外国人の一時帰国に手続きは必要?(再入国許可・みなし再入国許可)

外国人労働者が一時帰国するには

日本で就業している外国人労働者には、母国へと帰国するタイミングが当然生じることになります。

例えば日本人と同様に、長期休暇時の帰省や冠婚葬祭による帰国が考えられるでしょう。また、中華圏の国籍者の場合、毎年2月が旧正月に当たるため、長期休暇を取得したいと希望される方も多いでしょう。

上記のような一時的に帰国して再び日本へ入国するようなケースでは、出国手続きだけを行えばいいだけでなく、特定の手続きを実施しておかなければなりません。

具体的には、以下2つのどちらかの手続きをすることになります。

  1. 再入国許可申請
    日本での在留期限が一年以上残っていて、出国後一年以上経過した後再度日本に入国する予定がある方
  2. みなし再入国許可
    1年以内(もしくは1年以内に在留期限が切れる場合は、その在留期限まで)に再度日本へ入国し、同じ活動を再開する予定のある方

まずは、再入国許可について詳しく解説していきたいと思います。

再入国許可とは

まずは再入国許可の概要について確認していきましょう。 

再入国許可の概要と種類

再入国許可とは日本に在留する外国人が一時的に出国した後、再び日本へと入国しようとする場合に、入国・上陸手続きを簡略化することを目的に、法務大臣から出国に先立ち与えられる許可です。

再入国許可には、一回限り有効なものと、有効期間内(基本的に最長5年)であれば何度も利用できるものの2種類が設けられています。

再入国許可による簡略化の内容として、再入国許可を受けた外国人は一時帰国の後に再入国する際、査証(ビザ)が免除となる点が挙げられます。

また再入国後に関しては、一時帰国前の在留資格や在留期間が継続しているものとして扱われるのです。

対して、もし日本に在留している外国人が再入国許可を受けることなく出国してしまうと、当該外国人が有する在留資格や在留期間が消滅してしまいます。

そうなると再び日本へ入国する場合、改めてビザ申請や在留資格認定許可申請などを実施しなければなりません。

再入国許可の審査ポイント

再入国許可の審査ポイントとしては、以下の2点が挙げられています。

【再入国許可の審査ポイント】

  1. 現に収容令書の発付を受けている者でないこと
  2. その他再入国許可することが適当でないと認められるものでないこと

要件②の「適当でないと認められるもの」としては、以下の者が該当します。 

  • 入管法25条の2に規定する出国確認の留保該当者として関係機関から通知を受けている者
  • 日本の外交上、その他の利益を害する行為や公安を害する行為を行う恐れがある者
  • 短期滞在の在留資格をもって在留する者
  • 難民認定申請を行っていることを理由に特定活動の在留資格を持って在留する者
  • その他許可することが適当でないと認められる者

再入国許可の申請方法

続いて再入国許可の申請方法について確認していきましょう。

再入国許可申請の流れ

まずは再入国許可申請の流れから見ていきます。

再入国許可申請の流れは、基本的に以下の通りです。

ステップ①:必要書類を準備

まずは必要書類を準備することになります。

必要書類については後ほどご紹介します。

ステップ②:出入国在留管理庁にて申請を実施

必要書類を準備できれば、管轄の出入国在留管理庁にて再入国許可申請を実施しましょう。

受付時間は平日の9:00~12:00、13:00~16:00となっています。

なお再入国許可申請は、出国しようとしている外国人本人以外に

  • 申請取次者の承認を得た当該外国人が所属する機関や団体の職員
  • 申請取次者の承認を得た当該外国人のサポートを行う団体の職員
  • 申請取次者の承認を得た弁護士や行政書士
  • 当該外国人の法定代理人

といった人たちも申請可能となります。

ステップ③:申請手数料を納付

許可された際、一回限りの場合3,000円、数次有効の場合6,000円を収入印紙で納付します。

再入国許可申請は、在留資格関連の申請と異なり、基本的に申請した当日に審査処理されることになります。

再入国許可申請に必要な書類

再入国許可申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 再入国許可申請書
  • 在留カードもしくは外国人登録証明書(特別永住者の場合、特別永住者証明書)の提示
  • パスポートの提示
  • パスポートが提示できない場合、その理由を記載した理由書
  • 申請取次人が申請を提出する場合、身分を証する文書

再入国許可の種類によって必要書類が異なるわけではなく、再入国許可申請書内で一回限りか数次有効かを選ぶ形になります。

詳細についてはこちらの出入国在留管理庁のHPもご確認ください。

再入国許可申請の注意点

再入国許可による再入国が認められるのは、あくまで現在の在留資格の在留期間が有効な間のみです。

そのため再入国許可申請を実施する場合、一時帰国期間中に在留期限が来ないかを事前に確認し、もし在留期限が来る場合は在留期間更新許可申請を実施する必要があります。

また在留期間更新許可申請中に出入国することは可能ですが、在留期限から2か月を経過する日までに再入国し、在留期間更新許可申請の結果通知を受ける必要がある点は注意しましょう。

みなし再入国許可とは

次にみなし再入国許可について確認していきます。

みなし再入国許可の概要

一時帰国といっても長期帰国だけでなく、数日間だけ出国するようなパターンもあるでしょう。

そのような場合、たった数日のために、毎回再入国許可申請を実施するのは面倒と言えます。

こういった不便を解消する為に、特定条件を満たすことで、短い期間(1年未満)の出国であれば通常の再入国許可を取得しなくてもよいとしたのです。

この制度をみなし再入国許可といいます。

みなし再入国許可の有効期限は出国の日から1年間となり、在留期限が出国の日から1年経過する前に到来する場合は、在留期限がそのまま有効期限となります。

みなし再入国許可の条件

みなし再入国許可の該当条件は以下の通りです。

  1. 3か月以上の在留期間を許可されている在留資格を持つ
  2. 出国の日から1年以内に再入国する

ただし次の事項に該当する場合はみなし再入国許可の対象とはならず、一時帰国後の再入国を希望する場合、先にご紹介した通常の再入国許可を取得しなければなりません。

  • 在留資格取消手続中の者
  • 出国確認の留保対象者
  • 収容令書の発付を受けている者
  • 難民認定申請中の「特定活動」の在留資格をもって在留する者
  • 日本国の利益又は公安を害する行為を行うおそれがあること、その他の出入国の公正な管理のため再入国の許可を要すると認めるに足りる相当の理由があるとして法務大臣が認定する者 

みなし再入国許可の申請方法

ここからはみなし再入国許可の申請方法について確認していきましょう。

みなし再入国許可申請の流れ

みなし再入国許可は外国人側の利便性を高め、日本側の処理工数も削減することを目的としています。

そのため出国する当日に空港もしくは港にて、簡単に行うことが可能です。

具体的な流れとしては以下となります。

  • ステップ①:再入国EDカードを受け取る
  • ステップ②:再入国EDカードの「みなし再入国許可による出国を希望する」欄にチェックを入れる
  • ステップ③:パスポートおよび在留カードとともに出国審査官に渡し、みなし再入国を希望する旨を伝える

みなし再入国許可に関しては、申請に費用は掛かりません。

再入国カードの記録方法
出典:出入国在留管理庁「平成28年4月1日から外国人入国記録・再入国出入国記録(EDカード)の様式が変わりました。

みなし再入国許可申請の注意点

みなし再入国許可において注意すべき点としては、出国のタイミングで再入国EDカードにチェックし忘れないということです。

通常の再入国許可申請のように手続きを実施しない分、再入国EDカードにチェックすることは忘れず対応しなければなりません。

またチェックを入れるだけでなく、出国審査官に対してみなし再入国を希望する旨を口頭で伝えることも留意しておく必要があるのです。 

再入国許可申請はオンラインにて申請可能

最後に再入国許可申請をオンライン申請で実施する場合について、簡単にお話していきます。

オンライン申請とは

在留資格に関する諸申請はオンラインでも実施可能であり、再入国許可申請も例外ではありません。

オンライン申請は外国人本人だけでなく、当該外国人から依頼を受けた者がオンライン上で手続きを実施できる仕組みとなっています。

 具体的には

  • 外国人の所属機関の職員
  • 所属機関の職員から依頼を受けた弁護士・行政書士
  • 所属機関の職員から依頼を受けた公益法人の職員
  • 所属機関の職員から依頼を受けた登録支援機関の職員

といった人たちもオンライン申請が利用可能です。

またオンライン申請には以下の様なメリットがあります。

  • 出入国在留管理庁まで出向く必要がなく、自宅やオフィスなどで申請可能
  • 受付時間を気にする必要がなく、24時間利用可能
  • オンライン申請を実施するにあたって承認を得る必要があるものの、無料で利用可能

オンラインで再入国許可申請を行うには

再入国許可申請をオンライン申請で行う場合、無条件で申請が可能となっているわけではなく、特定条件を満たした場合に可能となっています。

具体的には

  • 在留資格変更許可申請
  • 在留期間更新許可申請
  • 在留資格取得許可申請

のいずれかをオンラインで申請する際に、同時に実施する場合に限るとしているのです。 

そのため再入国許可申請を単独でオンライン申請することはできません。

オンライン申請の利用方法

オンライン申請の利用の流れは以下のようになります。

ステップ①:利用申出の実施

まずはオンライン申請の利用申出を行います。

利用申出に当たっては、

  • 在留申請オンラインシステム利用申出書
  • 本人確認資料の写し
  • 誓約書
  • 在職証明書
  • 所属機関からの依頼書(弁護士などが対応する場合)

などの書類を準備する必要があります。 

他にも必要な書類はありますので、より詳細については出入国在留管理庁のページからご確認ください。

これらの資料が準備できれば、出入国在留管理庁にて申出を行います。

ステップ②:オンラインでの申請

利用申出が承認されれば、在留申請オンラインシステムを利用することができます。

利用申出の際に取得したIDとパスワードでログイン後、申請情報を入力し、必要書類を添付することで申請が可能です。

具体的な操作方法については、こちらの「操作マニュアル」をご確認ください。

ステップ③:結果通知

審査終了後、結果がメールで通知されます。

許可された場合は、手数料納付書などの必要書類を添付することになります。

オンライン申請の利用条件

オンライン申請を利用するには、以下のような条件を満たす必要があります。

  • 申請等取次者の承認要件を満たしていること
  • 外国人の受入れの開始、終了等の届出を行っていること
  • 外国人雇用状況届出を行わなければならない事業主においては、同届出を行っていること(所属機関のみ)
  • 誓約書の提出があること
  • 経営状況、財務状況等の観点から、安定的・継続的に事業が運営されていることが認められること(所属機関のみ) 

より詳しい内容はこちらの出入国在留管理庁の資料をご確認ください。 

まとめ

今回は外国人が一時帰国する際に必要となる再入国許可について、詳しくお話してきましたが、いかがでしたか。

外国人労働者を雇用している場合、どこかのタイミングで再入国許可申請を実施する機会が訪れるので、その際この記事の内容を参考に実施していただければ幸いです。

また当社は外国人労働者に特化した人材紹介サービスを提供しておりますので、外国人労働者の雇用に取り組みたい方は、是非お気軽にお問い合わせください。

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監修者
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。
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