自社社員がトラブルに巻き込まれないために!外国人労働者の海外送金で気をつけるべきこと

多くの外国人労働者が日本で働いて賃金を母国の家族や親族に送金しています。

今回は、海外送金をする際の具体的な方法とその注意点、おすすめの送金会社についてご紹介します。

企業の人事担当者もサポート・管理の一環として、海外送金について知識を深めることが求められている昨今、本記事の内容は必見です。

海外送金をめぐる概況

昨今の日本では、特定分野での労働力が不足していることから外国人労働者を積極的に採用しており、そのため他国からの労働者数が増加傾向にあると言えます。

国際収支統計における労働者送金の立ち位置としては、送金先からの見返りを求めない無償の資金であり、その使い道は生活費などの家計を支えるために行われているケースが多いです。

つまり、外国人労働者の多くはいわゆる出稼ぎをすることによって、母国の家族・親族などに送金を行っている場合が通常であると言えます。

それゆえに、多くの外国人労働者の方が海外送金のサービスについて調べていますが、サービスが多様すぎるがあまりに本当に良い送金会社を見つけられず悩んでいるさまも散見されます。

法律的な面で言うと、海外送金は日本人も外国人もどの国に対しても自由に行えます。

しかし、外国為替及び外国貿易法により、送金先の国・地域や送金目的によっては財務大臣の許可等や主務大臣への報告が必須となるケースもあります。

 

実際の送金方法

銀行

国際銀行間による送金や決済を行います。

送金と受け取りに当たっては下記の手数料が発生するため、ややコストがかかることは否めません。

・送金手数料

送金銀行から差し引かれる、送金の際の手数料。

例えば下記の銀行の場合、下記の額が差し引かれています。 

①三井住友銀行:

当行海外支店/現地法人/連携銀行宛

SMBCダイレクト(オンライン):3,000円/件

店頭窓口:7,000円/件

海外他行宛

SMBCダイレクト(オンライン):3,500円/件

店頭窓口:7,500円/件

②三菱銀行:

当行在外支店・現地法人宛

三菱UFJダイレクト:2,500円/件。

店舗窓口:口座引き落としの場合、7,000円/件。外国送金Webサポートの場合、6,500円/件。

テレビ窓口:6,000円/件

海外他行宛

三菱UFJダイレクト:3,000円/件。

店舗窓口:口座引き落としの場合、6,500円/件。外国送金Webサポートの場合、7,000円/件。

テレビ窓口:6,500円/件

③新生銀行:円普通預金の引き落としによる送金の場合、2,000円/件。外貨普通預金の引き落としによる送金の場合、4,000円/件。

④ソニー銀行:3,000円/件。

 

・受け取り手数料

受け取り銀行から差し引かれる、受領の際の手数料。

こちらの4銀行では下記の額が引かれます。

①三井住友銀行:円から外貨に両替し送金する場合、外貨から外貨にそのまま送金する場合の両方とも1件あたり1,500円の徴収

②三菱銀行:円から外貨に両替し送金する場合、外貨から外貨にそのまま送金する場合の両方とも1件あたり1,500円の徴収

③銀行:円から外貨に両替し送金する場合は1件2,000円、外貨から外貨にそのまま送金する場合は1件2,000円相当の外貨を徴収

④ソニー銀行:円から外貨に両替し送金する場合、外貨から外貨にそのまま送金する場合の両方とも1件あたり0円

 

・中継銀行手数料

コルレス手数料とも言います。

送金時に中継した銀行から差し引かれる手数料です。

こちらの3銀行では下記の額が徴収されています。

①米国宛USD建送金:USD10.00~

②ヨーロッパ宛EUR建送金:EUR20.00~

③英国宛ポンド建送金:GBP12.00~

 

・リフティング手数料

送金時に両替せず、同じ通貨を送る場合に発生する手数料です。

こちらの4銀行では下記の額が差し引かれます。

①三井住友銀行:送金金額の0.05%(最低2,500円、または25米ドル)

②三菱銀行:送金金額の1/20%(0.05%)(最低2,500円)

③新生銀行:0円

④ソニー銀行:0円

 

海外送金サービス会社

銀行とは異なり、海外送金サービス会社を利用するとコスト面で多くのメリットがあります。

海外送金サービス会社は、一般的な銀行とは異なり国際的な金銭の取引に特化した団体です。

こういった会社は世界各地に自社の口座を開設しており、その送金ネットワークを介することによって手数料を抑えての金銭の授受が可能なのです。

また、コストを抑えられるだけではなく、WEBサイトやスマートフォンアプリでの送金が可能なため銀行よりも送金の手間がかからないというメリットがあります。

銀行での送金にこだわる理由がないのであれば、海外送金サービス会社の利用をおすすめします。

おすすめの送金会社については後述します。

 

海外送金の注意点

海外送金にあたっては、下記の通りさまざまな注意点があります。

・贈与税が課される場合がある

他者同士での金銭の授受は、労働による対価を与える、商品購入した際の送金などが多いため、贈与と認定されることは稀です。

しかし、家族や親族の間で経済的な援助を目的とした送金を行うと贈与とみなされ、贈与税が課されます。

贈与税がかかる場合、その受取人が1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の合計額から基礎控除額の110万円を差し引いた残りの額に対してかかります。

更に言及すると、財産を無償で渡す場合には贈与に該当し課税対象となりますが、扶養枠内の子や孫への養育費の贈与については非課税です。

ご自分の送金が課税対象になるかどうかはしっかりチェックしておきましょう。

・送金額が100万円以上だと「海外送金等のお尋ね」が届く

「海外送金等に関するお尋ね」とは、税務署で任意協力という前提で送られてくる質問状で、税金の申告漏れを把握するために届く書類です。

日本から海外に100万円以上の送金がされた際には、国内の金融機関はその送金を税務署に報告する義務があります。

そのため、高額の送金をした場合には税務署からこのような書類が届く場合があるのです。

あくまで法的拘束力がないため答える義務はありませんが、きちんと回答しておきましょう。

書類の内容としては、送金・受領年月日、送金・受領金額、送金・受領の相手国、国内金融機関などが記載されています。

・税務署から聞き込みが来る可能性もある

海外送金によって税務署から聞き込みが入ることもあることを把握しておきましょう。

税務署は、海外取引がある事業の所得の有無、国内外の源泉所得の有無、海外の家族・親族からの贈与の有無を調査する目的で来訪するのが一般的です。

もし聞き込みが来た際には、問われた項目に対して正直に答えましょう。

・制裁対象国への送金はできない 

日本から海外への送金は、テロ組織など犯罪集団への軍資金が潤うことを防止する目的で、送金する際の本人確認や送金の目的、送金する金銭を得た方法などの確認が厳正に行われています。

そのテロ行為等の防止のために制裁対象国として認定されている国への送金は、できないことがほとんどであるのでご注意ください。

銀行で海外送金をする際にも、米国財務省外国資産管理室(OFAC)規制にかかる取引ではないことを確認される場合があります。

OFAC規制とは、外交政策・安全保障上の目的から、米国が指定した国・地域や特定の個人・団体などについて取引禁止や資産凍結などの措置が取られており、その規制のことを指します。

OFACによって制裁対象国に認定されている国は下記の通りです。

キューバ、イラン、イラク、北朝鮮、スーダン、シリア、ジンバブエ、ベラルーシ、イエメン、ソマリア、リビア、コンゴ民主共和国、ロシア、ベネズエラ、レバノンなど。

さらに、国のみならず、個人や組織にも制裁を課す制裁対象分野及びその内容も指定されています。

指定されている対象分野及びその内容は、違法ダイヤモンド取引、麻薬、核拡散、テロリズム行為などです。

この分野及び内容に該当するおそれのある送金に関しては、後述する「・不正送金に注意」でも触れています。

・不正送金に注意

「海外送金する際に指定のサービスを介して送れば返礼金が得られる」という旨の話を持ちかけ、実際の送金先には犯罪者集団の口座が設定されていたという詐欺行為が確認されています。

よく知らないサービスを利用しての送金は控えましょう。

このような詐欺行為に騙され送金をしてしまうと、前述のOFACにより指定されている制裁対象国または制裁対象分野及びその内容とみなされ処罰される場合があります。

 

おすすめの海外送金会社

最後に、おすすめの送金会社とそのメリットデメリットを説明していきます。

ご自分に合ったサービスを見極めれば、ストレスのない送金が可能になります。 

Wise(TransferWise) 

・メリット

一般的な銀行よりもよりスピーディに、コストをかけずに送金が可能な会社です。

送金から受け取りまでの所用日数はほとんどが1〜2営業日なので、急いでお金を渡したいユーザーにはありがたいことでしょう。

また、独自のデビットカードを利用することでどの通貨でも金銭の利用ができます。

その上、複数の通貨を無料で保持することが可能なので、通貨を逐次両替する手間がかかりません。

手数料は随一の安さを誇り、送金額が例えば200,000円だとすると、海外送金手数料はたったの1,256円しかかかりません。

その他、会員登録がオンラインで完結することや、多言語でのカスタマーサポートがあることが利点として挙げられます。

・デメリット

受け取りのためには現地で口座開設をする必要があり、着金を確認する側の人にとっては手間がかかると言えます。

また、一部の国では日本からの送金が許可されていない場合もあるので、自分の国へは無事に送金できるか事前に確認する必要があります。

 

Pay Forex

・メリット

国によっては送金手数料が無料となる場合があります。

また、取扱通貨が30種類以上あるため200以上の国・地域への送金が可能です。

スピード送金を利用した場合には着金が送金依頼日の当日〜2営業日と驚異の速さであり、とにかく早く送金したい場合にはこちらのサービスの利用をおすすめします。

最近アプリがリリースされ、そのアプリを利用すれば153カ国の携帯電話にチャージが可能となっており、また、9ヶ国語でのカスタマーサポートが整備されているため安心して送金ができます。

・デメリット

送金手数料は随時更新されるため、逐次確認する必要があります。

スピード送金は原則24時間以内の着金に対応している通貨のみ利用可能であり、通常送金は1〜3営業日の着金なので送金先の通貨がその対象内でなければ着金スピードを遅く感じることもあるかもしれません。

  

Western Union

・メリット

こちらのサービスもアプリを利用した送金が可能です。

アプリ上では支払い方法として現金または銀行振替が選択できますが、一部対象国ではモバイルウォレットという受取人の携帯電話に送金額をチャージする方法も選べます。

全国のセブン銀行あるいはファミリーマートからの送金も可能であるので、気軽に送金ができることが最大のメリットと言えます。

また、国によっては現金支払い、現金受け取りの場合、支払いが数分で済むこともあり大変にスムーズな受け渡しができます。

・デメリット

セブン銀行での海外送金をする場合、セブン銀行口座の開設と海外送金サービス契約の申請が必須です。

また、ファミリーマートでの送金には事前登録が必要であり、サービスメンテナンス期間を除く365日利用できますが受付時間は午前9時~午後9時のみです。

そのほかにも送金手数料は送金額に依存し、990円〜9000円と振れ幅が大きいです。

 

以上、海外送金の概況からおすすめの送金サービス会社まで紹介しました。

自社の外国人社員がトラブルに巻き込まれずに適切に海外送金するために、雇用企業のサポートは欠かせません。

他にも様々な支援が必要とされています。ご興味のある方は是非お気軽に当社までお問い合わせください。

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監修者
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。
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