この記事では、在留資格「家族滞在」の取得要件や働くことができるのか、また制限についてなど、家族滞在の基本的な概要について解説していきます。家族滞在の基本を押さえたい方は是非最後までお読みください。
なお、YouTubeでも解説動画をアップロードしていますので、ぜひ併せてご覧ください!
在留資格「家族滞在」とは?
初めに在留資格「家族滞在」の概要について確認していきましょう。
家族滞在の概要
家族滞在とは、日本で就労している外国人労働者や留学生の配偶者(妻または夫)及びその子供が、被扶養者として日本に在留するために必要な在留資格です。
「在留資格」は外国人の方が何かしらの活動をする際に必ず取得しなければならない資格のことを指しています。巷ではよく「ビザ」と呼ばれていますが、日本に入国する前に発行される入国許可証が「ビザ」となりますので、厳密には意味が異なりますのでご注意ください。
あくまで被扶養者が取得する在留資格であるため、「働くことを目的としている」方や「一人で生活していく」予定の方は対象とはなりません。基本的には扶養者と同居し、経済的に依存しており、子供は養育を受ける状態であることが前提となります。
出入国在留管理庁「【在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表】」によると、2021年6月末時点において、家族滞在で在留する外国人は190,010人に及び、全体の6.7%の構成比となっています。
家族滞在の在留期間としては、法務大臣が個々に指定する期間となっており、基本的に扶養者である外国人労働者の在留期間と合わせる形になります。
家族滞在では、基本的に就労は認められておりませんが、一定の条件を満たすことでアルバイトが可能になります。(詳細は後ほどご説明します。)
在留資格についてより詳細を知りたい方は、以下の記事もあわせてご確認ください。
▶︎【在留資格とは】種類や取得要件、ビザの違いなどを簡単解説
家族滞在の対象となる家族とは
家族滞在の対象となる家族は、外国人労働者の配偶者(妻または夫)と子に限ります。
つまり、外国人労働者やその配偶者の親や兄弟姉妹、親戚などは取得できません。
先にも記載した通り、被扶養者が経済的に依存していることが前提となるため、独居して一人暮らししていたり、一定の収入を得ている場合は、家族滞在の対象外となります。
ただし、子供の年齢が20歳以上であったとしても、親の扶養を受けているのであれば「家族滞在」の対象となります。(一定の収入を得られるようになった場合は、他の在留資格へ変更する必要があります。)
なお、子供が生まれたことにより、新たに家族滞在を取得することになった場合は、出生から30日以内に申請しなければいけないという点は注意が必要です。
また、高度専門職であれば優遇措置による両親の呼び寄せが可能となっているほか、一定条件を満たすことで、特定活動の在留資格でも両親を呼び寄せることは可能となっています。
高度専門職に関しては、以下の記事もあわせてご覧ください。
▶︎【高度専門職とは】概要や取得要件、必要な手続きなどを解説
家族滞在における就労可否
家族滞在で日本に在留する外国人の就労は原則認められていませんが、資格外活動許可を得ることによって、就労が認められます。
とはいえ、就労を目的とした就労系在留資格ではなく、あくまで被扶養者として在留することになるため、週に28時間以内と就労時間は制限されることになります。
在留資格の就労制限については、以下の記事でも解説しています!
▶︎【在留資格の就労制限とは】就労制限がある在留資格や確認方法を解説
資格外活動とは?
それでは資格外活動について、詳細を確認していきましょう。
資格外活動の概要
資格外活動とは、現在有している在留資格に属さない収入を伴う事業を運営する活動、又は報酬を受ける活動のことで、資格外活動許可を得ることで従事可能です。基本的に就労活動に制限のある在留資格や、就労不可の在留資格を有する外国人が対象となっています。
つまり、留学生や家族滞在の外国人がアルバイトをする場合、この資格外活動許可を出入国在留管理庁から取得する必要があります。
一方、活動制限がない永住者や定住者などの身分系在留資格は、資格外活動許可を得ることなく、アルバイトなどで就労が可能となっています。
また、注意点として、この資格外活動許可を得ていても、1週間に28時間までしか就労ができないという点は押さえておきましょう。
資格外活動許可を得るには
資格外活動許可を得るには、以下の許可要件を満たす必要があります。
- 申請人が資格外活動に従事することにより、在留資格本来の活動の遂行が妨げられないこと
- 現に有する在留資格に係る活動を行っていること
- 申請に係る活動が入管法別表第一の一、または二の表に該当すること
(ただし特定技能と技能実習は除く) - 申請する活動が以下の活動に該当しないこと
・法令に違反すると認められる活動
・風俗営業
・店舗型性風俗特殊営業が営まれている営業所において行う活動
・無店舗型性風俗特殊営業
・映像送信型性風俗特殊営業
・店舗型電話異性紹介営業
・無店舗型電話異性紹介事業に従事して行う活動 - 収容令書の発行又は意見聴取通知書の送達、もしくは通知を受けていないこと
- 素行が不良でないこと
- 日本の公私の機関との契約に基づく在留資格に該当する活動を行っている場合、当該機関が資格外活動を行うことについて同意していること
その他、資格外活動許可に関する詳細は、以下の記事でご確認ください。
▶︎【在留資格における資格外活動許可とは】要件や申請方法などをわかりやすく解説
在留資格「家族滞在」の外国人を雇用するには?
ここまで見てきていただいた通り、在留資格「家族滞在」を有する外国人は、アルバイトとして雇用することが可能です。
ただし、その際の注意点として、以下のようなものが挙げられますので、しっかりと確認しておきましょう。
資格外活動許可を得ているか?
先に説明した通り、家族滞在の方がアルバイトをするには、「資格外活動許可」を得ているかを確認する必要があります。
この「資格外活動許可の有無」は、在留カード(裏面④)を見ることで、確認できます。その他にも、
①在留資格
②就労制限の有無
③在留期限
なども合わせて確認するようにしましょう。
就労時間は週28時間以内に収まっているか?
家族滞在では、週28時間までしか労働に従事することができません。
注意点として、この28時間というのは、全ての就労を合算して28時間と計算されるという点です。
雇用した外国人が他の会社でもアルバイトをしている場合は、そのアルバイト先での就労時間と自社での就労時間を合算して28時間を超えていないかを計算する必要があります。
この点を把握せずに、「28時間以内であれば問題ない」と考えて雇用してしまうと、不法就労助長罪に該当してしまう可能性があるため、注意しましょう。
不法就労助長罪については、以下の記事を合わせてご覧ください。
▶︎【不法就労助長罪とは】成立要件や防止方法などをわかりやすく解説
在留資格「家族滞在」の取得要件は?
ここからは在留資格「家族滞在」の取得要件について確認していきましょう。
対象となる在留資格
一つ目の要件としては、扶養者となる外国人労働者の在留資格が、家族滞在の対象となっているかという点です。
家族滞在の対象となる在留資格は以下の通りです。
上記の在留資格に該当しない場合、家族滞在によって配偶者や子を呼び寄せることはできません。
ここには載っていませんが、特定技能2号も一定条件下において、配偶者や子を呼び寄せることが可能となっていますが、詳しくは以下の記事をご覧ください。
▶︎特定技能とは?制度の概要から採用の流れまで基本を徹底解説
家族関係の証明
二つ目の要件として、家族関係の証明が挙げられます。
家族滞在の在留資格を取得するには、扶養者となる外国人と被扶養者となる配偶者や子との家族関係を証明する必要があります。
そのため在留資格認定証明書交付申請の際に、戸籍謄本や結婚証明書、出生証明書などを提出する必要があるのです。
その他の必要書類などについては、後ほど詳しく解説します。
扶養できる経済能力
三つ目の要件は扶養できる経済能力があるかです。
家族滞在の外国人を呼び寄せる側の外国人労働者が、呼び寄せた後に配偶者や子を扶養するだけの経済力があるのかを示すことも求められます。
呼び寄せたものの、養っていくことができなければ、家族滞在の外国人も働く必要に迫られ、不法就労などのきっかけを作ってしまいかねません。そのため、扶養者である外国人労働者の収入などを証明する資料も提出する必要があるのです。
こういった理由から、留学生の配偶者や子供も家族滞在の対象となっていますが、あくまで学業に専念する在留資格であるため、収入面が安定しないとの理由で許可を得るのが難しくなっています。第三者からの支援を受けていることや、相当の貯金額を有しているなどの理由がない限りは、家族滞在の取得は困難と言えるでしょう。
在留資格「家族滞在」の在留資格認定申請
それでは在留資格「家族滞在」の取得方法などについて確認していきましょう。
申請の流れ
まず申請の流れについてご紹介します。
在留資格「家族滞在」の取得の流れとしては、以下のようになります。
- ステップ①:書類の準備
まずは書類の準備を開始します。 - ステップ②:在留資格認定証明書交付申請
必要書類ができた後は、家族を呼び寄せる外国人労働者側が、出入国在留管理庁まで在留資格認定証明書交付申請を実施します。
このステップについては、行政書士などに代理申請してもらうことが可能です。 - ステップ③:在留資格認定証明書を現地の家族へ送付
在留資格認定証明書が無事交付された後は、現地の家族へと送付しましょう。 - ステップ④:現地家族が在外公館にてビザ申
在留資格認定証明書が届けば、現地家族の方で、その他の必要書類と併せて在外公館に対して、ビザ申請を実施することになります。 - ステップ⑤:来日
ビザが無事発給されれば、来日が可能となります。
申請に必要な書類
次に家族滞在の取得に必要な書類について確認していきましょう。
詳細は出入国在留管理庁のこちらの出入国在留管理庁HPからご確認ください。
取得における注意点
家族滞在の在留資格を取得するには、申請人である家族が日本で在留する外国人労働者の扶養に入ることが条件となります。
もし扶養に入ることなく、家族も日本で就労するつもりなのであれば、家族滞在ではなく就労系在留資格にて来日する必要がある点は留意しておきましょう。
また家族滞在の在留資格にも当然ながら在留期間が定められているため、更新を希望する場合、在留期間更新許可申請を実施しなければなりません。
もし在留期限を忘れており、在留期間更新許可申請を行わなかった場合、不法滞在となるので注意しましょう。
在留資格「家族滞在」の在留期間更新許可申請
最後に先ほど触れた在留期間更新許可申請について、簡単にお話していきます。
申請の流れ
在留期間更新許可申請の流れとしては、以下のようになります。
- ステップ①:必要書類を準備
まずは在留期間更新許可申請に必要な書類を準備します。 - ステップ②:出入国在留管理庁で申請を実施
必要書類が揃えば、出入国在留管理庁で申請を実施しましょう。 - ステップ③:出入国在留管理庁による審査
申請実施後、出入国在留管理庁による審査が実施されます。審査期間はおおよそ2週間~1か月程度とされています。 - ステップ④:在留期間更新許可
無事申請が許可されれば、在留期間が更新されることになります。
許可時は収入印紙で4,000円を納付する必要がある点は留意しておきましょう。
申請に必要な書類
在留期間更新許可申請に必要な書類は以下の通りです。
詳しくは出入国在留管理庁のこちらの出入国在留管理庁HPからご確認ください。
申請における注意点
申請における注意点としては、スケジュールに余裕を持って申請を実施するという点です。
先述の通り、在留期間更新許可申請の処理期間はおよそ2週間〜1か月となっています。
そのため1か月前に実施すれば間に合うと考えがちですが、書類の不備などによって許可が降りなかった場合、修正する時間がなく帰国を強いられる可能性があります。
在留期間更新許可申請は、在留期限の3か月前から行うことが可能ですので、上記のような事態に陥らないためにもできるだけ余裕を持って申請するようにしましょう。
まとめ
今回は在留資格「家族滞在」にフォーカスしてお話してきましたが、いかがでしたか。
家族滞在の外国人は本文でも触れた通り、資格外活動許可を得ることで就労することが可能です。
そのためアルバイトなどの形態であれば、雇用することができます。
とはいえ週当たりの労働時間の制限があるため、フルタイムでの労働力として外国人労働者を雇用したい場合は、就労系在留資格を持つ外国人労働者を雇用しましょう。
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