在留資格を取得するには給料に関する要件がある
外国人労働者が日本で働くためには、従事することになる業務内容に対応した在留資格を取得しなければなりません。
それぞれの在留資格には、取得するための要件が設けられていますが、その多くに給料に関する要件も含まれています。
多くの場合、「同等業務に従事している日本人社員と同等以上の給料を支払う必要がある」としているのです。
これらの条件は、2020年4月(中小企業では2021年4月)から導入された同一労働同一賃金の適用も影響していると言え、外国籍であることだけを理由に低い給料を設定することはできません。
そのため外国人労働者を採用する場合はこれらを踏まえつつ、さらには後ほどご紹介する相場などを参考にして、適切な給料を設定する必要があると言えるでしょう。
エンジニアの在留資格に関する基本的な内容については、以下の記事をぜひご覧ください。
▶︎外国人エンジニアに必要な在留資格とは?取得要件なども併せて解説
外国人エンジニアの給料相場に関するデータ
それでは外国人エンジニアに関して、給料相場に関するデータについてご紹介していきます。
職種別の給料相場
まずは職種別の給料相場から確認していきましょう。
現在は同一労働同一賃金の観点や、先述の通り在留資格の取得要件に「給料に関する要件」が設けられているため、基本的に日本人と同等の給料相場を参照する必要があります。
そのためここではdodaが2021年12月に公表している平均年収ランキングから引用して、日本全体でのデータをご紹介していきたいと思います。
電気・電子・機械系のエンジニアの給料データ
まずは電気・電子・機械系のエンジニアにおける平均年収について確認していきたいと思います。
電気・電子・機械の主な職種における年収は以下の通りです。
IT・通信系のエンジニアの給与データ
次にIT・通信系エンジニアの年収について見ていきましょう。
IT・通信系における各職種の年収データはそれぞれ以下の通りです。
建築・土木系のエンジニアの給与データ
職種別データの最後に、建築・土木系エンジニアの給与データについてご紹介します。
建築・土木系の各職種における年収データは以下のようになっています。
なお、職種ごとに取得可能な在留資格を知りたい!という方は、以下の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
▶︎【外国人エンジニア】在留資格別の職種やオススメの採用方法をご紹介
各国のエンジニアの給料相場
続いて各国におけるエンジニアの給料相場について確認していきたいと思います。
こちらのデータについては、ヒューマンリソシアが2020年5月に発表している「IT技術者の給与ランキングに関するレポート」から引用してお話していきます。
以下のグラフを見てください。
上記のグラフはエンジニアの中でもIT系エンジニアの国別年収を表したものです。
1位のスイスの年収は92,500ドル、日本円にして約1200万円となっています。
次点にアメリカが続き83,389ドル(約1100万円)、次々点にはイスラエルの79,511ドル(約1050万円)となっているのです。
日本は42,464ドル(約550万円)、全体の18位という結果であり、世界的に見ると給料相場が低いことがわかります。
年代別の給料相場
年代別の給料相場については、先の職種別データと同様に外国人労働者単独のデータはありません。
そのため厚生労働省の発行する「令和3年賃金構造基本統計調査」の内容から日本全体におけるデータをご紹介していきます。
以下の表を見てください。
表内の赤枠の部分が先程ご紹介した職種に対応した産業となっています。
この表には当然エンジニア以外の職種のデータも含まれていますが、全体的な傾向は把握できるでしょう。
電気・電子・機械系のエンジニアが含まれる製造業は全体的に低い傾向にあり、20代から30代にかけては200万台、40代に入りようやく300万円に達するような流れとなっています。
IT・通信系のエンジニアを含む情報通信業は30代前半から300万円代に入り、40代では400万円代、50代後半には500万円代に到達していることがわかります。
建築・土木系のエンジニアが含まれる建設業については、20代から30代前半にかけては200万円台を推移し、30代後半から300万円代に到達しながら、50代で400万円台に乗るような形になっています。
外国人エンジニアの給料設定におけるポイント
ここからは外国人エンジニアの給与設定におけるポイントについて、解説していきます。
ポイント①:日本人と同等以上の給料を設定する
冒頭でもお話した通り、外国人エンジニアが日本で働くためには当然在留資格を取得する必要がありますが、その取得要件には「日本人と同等以上の給料を設定する」というものも含まれています。
同じ業務や役割を持つ日本人社員と比べ、合理的な理由もなく、給料を低く設定することはできない点は十分に留意しておきましょう。
ポイント②:相場を把握しておく
前項でご紹介してきた通り、各職種に応じておおよその平均年収や相場というものが存在しています。
この相場を把握することなく、外国人エンジニアの給料を設定してしまうと、在留資格の取得における要件を満たせない可能性が出てくるでしょう。
また自社内で同じ業務に従事している社員と同等の給料であっても、相場よりも低い給料となっている場合、せっかく雇用したにもかかわらず、より良い給料を求めて他社に転職される恐れがあるのです。
こういったリスクを防ぐためにも、相場を把握した上で給料を設定するようにしましょう。
ポイント③:語学力も加味する
また語学力を加味するという点も重要なポイントです。
外国人エンジニアが日本で働く上で必要なスキルは技術力だけではありません。
当然一緒に働くことになる社員とコミュニケーションを取るための日本語能力も必要となります。
また海外拠点がある場合、英語力などを持っていれば、海外クライアントとの折衝役としての役割なども任せることができるでしょう。
そのため技術力だけでなく、日本語や英語などの語学力を加味し、必要に応じて日本人以上の給料を設定するという考え方を持っておくことが重要なのです。
給料交渉の際に押さえておくべきポイント
給料設定のポイントを押さえていただいたところで、実際に外国人エンジニアと給料交渉をする際に押さえておくべきポイントについても確認しておきましょう。
ポイント①:業務内容や役割を明確に
海外、特に欧米圏ではジョブ型雇用が一般的です。
ジョブ型雇用では業務内容や役割が非常に明確となっており、日本の総合職のように状況に応じて業務や役割が変わることはありません。
そういった傾向を踏まえつつ、給料の根拠となる業務内容や役割を明確にした上で、給料交渉に臨みましょう。
ジョブ型雇用について知りたい!という方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
▶︎【ジョブ型雇用とは】特徴やメンバーシップ型雇用との違いについて簡単解説
ポイント②:昇進や昇給についても説明する
エンジニアに限らず、外国人労働者は給料含めた待遇に対して、日本人以上にシビアな態度を取ります。
そのため給料や待遇に不満を感じれば、すぐに転職へと動き出してしまうのです。
そういったリスクを回避するためにも、給料交渉の際に昇進や昇給についても具体的に説明しておくとよいでしょう。
昇進モデルケースやそれに応じた昇給の具合などについて、具体例を交えて説明し、自分自身の将来像を具体化してもらうことが重要なのです。
また現時点で給料が相場より低くても、昇進や昇給などの待遇次第では、外国人エンジニアに選んでもらえる可能性があるので、この点も忘れず説明しておきましょう。
給料設定に悩んだときは
ここまで給料の相場、設定や交渉におけるポイントについて触れてきましたが、もし自社だけで給料設定をするのが不安である場合、外国人労働者を専門とした人材紹介会社へ相談してみることをオススメします。
外国人労働者に特化している人材紹介会社は、外国人労働者が希望している給料の相場などの実態をリアルに把握しています。
そのためそういった情報などを提供してもらいつつ、自社で雇用したい職種においての募集方法などを相談していけば、効率的に雇用することができるでしょう。
外国人エンジニアの採用方法やその他のポイントについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
▶︎【外国人エンジニア採用】メリットや採用方法、ポイントまで簡単解説
まとめ
今回は外国人エンジニアの給料について、様々なデータを通じてお話してきましたが、いかがでしたか。
当社は最後に触れた外国人労働者を専門とする人材紹介サービスを提供しており、外国人労働者を雇用したい企業様のサポートをさせていただいております。
給料設定についてのご相談は勿論、受け入れ後の昇給や昇進といった待遇面の構築支援も対応可能ですので、ご興味ありましたらお気軽にお問い合わせください。