【特定技能外国人の受け入れ費用まとめ】費用相場もあわせて紹介

この記事では特定技能外国人の受け入れにかかる費用を項目別にご紹介していきます。それぞれの費用相場やトータルの費用イメージも交えて解説しつつ、最後にコストを抑える方法もご紹介していますので、特定技能外国人の受け入れを検討されている方は是非ご一読ください。

なお、YouTubeでも解説動画をアップロードしていますので、ぜひ併せてご覧ください!↓

特定技能外国人の受け入れ費用ってどんなものがあるの?

特定技能外国人を雇用するまでには、様々な費用が発生します。また、就労開始後に関しても、毎月・毎年発生する費用が存在します。

さらに、国外在住の外国人を呼び寄せる場合と日本在住の外国人を雇用する場合でも、費用が変わってきますし、採用予定の外国人の国籍によっては、送り出し機関へ支払う手数料が必要になってきます。

複雑ではございますが、ざっくりと費用項目をグルーピングすると「特定技能外国人の採用費用」「在留資格申請や登録支援機関に支払う費用」「外国人本人に支払う費用」の3つに分類することができます。

まずは、この分類に基づき、特定技能外国人の受け入れ費用を列挙していきますので、どんな費用が発生してくるのかをご覧ください。

なお、特定技能外国人の制度について一から知りたい!という方は、以下の記事をご確認ください。
▶︎ 特定技能とは?制度の概要から採用の流れまで基本を徹底解説

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特定技能外国人の採用費用

まずは、自社で特定技能外国人として採用する外国人を見つけなければなりません。

①特定技能外国人の紹介手数料

登録支援機関や人材紹介会社を活用する場合は、紹介手数料として、特定技能外国人の年収の20-30%や固定の手数料(10万円〜30万円)が1名採用ごとに発生してきます。

また、求人広告(Indeedなど)を活用する場合も、広告掲載期間やクリック数に応じて課金されます。仮に応募や内定がなくとも、一定の費用が発生してしまう点は留意しましょう。

自社で募集する場合は費用はかかりません。しかし、募集条件の見せ方や母国語での求人作成等、外国人の募集は工夫を凝らさないと全く候補者が集まらないことも多々あるため、初めて外国人を採用する場合は人材紹介会社に依頼した方が良いでしょう。

一方で、すでに自社で雇用している技能実習生(2号・3号)を特定技能1号へ移行する場合は、こちらの費用はかかりません。

②送り出し機関に対して支払う費用

国外に在住する外国人を特定技能として雇用する場合は注意が必要です。

理由としては、日本国政府と送り出し国(14ヵ国)各国との間で締結した、二国間協定(MOC)によって、送り出し機関を必ず通さなければならない国も存在するためです。参考:公益財団法人国際人材協力機構

例えばベトナムの場合は、特定技能外国人の給与額の1ヶ月〜最大3ヶ月分の手数料を徴収可能と規定されています。

これは、先に説明した二国間協定(MOC)に基づき、越労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局(DOLAB)がベトナム国内の送り出し機関宛に出した「日本への特定技能労働者提供契約と労働者派遣契約について」という通知にしっかりと明記されています。

人材の給与が20万円と仮定すると、最低でも20万円、最大で60万円もの人材紹介・手続き手数料を送り出し機関に支払う必要があるのです。

現状送り出し機関を必ず通さなければならない国としては、以下の4か国となっています。

  • フィリピン
  • カンボジア
  • ベトナム
  • ミャンマー

送り出し機関を通さなくても、各国毎に独自の手続きが定められており、現地の送り出し機関の助けを借りないと、どのみち日本へ呼び寄せることは難しいでしょう。

このように、国外から呼び寄せる場合は、どの程度の金額を送り出し機関に支払う必要があるのか、事前に確認することが重要です。

二国間協定については、以下の記事もあわせてご確認ください。
▶︎【特定技能制度の二国間協定とは】特定技能送り出し国ごとの手続きをご紹介

在留資格申請や登録支援機関に支払う費用

無事に内定者を確保できたら、次は在留資格を取得しなければなりません。また、受け入れ後に関しても、法令で定められた支援の実施が必要がです。

①在留資格認定・変更許可申請の費用

特定技能における在留資格申請は、準備しなければならない書類の数が膨大かつ複雑なため、専門知識を有する外部の行政書士や登録支援機関に委託する企業が大半です。

初回の申請書類作成委託費用(在留資格認定・変更許可申請)は、約10〜20万円程度が多いでしょう。

自社で対応することも可能ではありますが、かなりハードルが高いのであまりおすすめはできません。そもそもと在留許可申請が不許可になってしまう場合や、書類に不備があった際の対応に時間がかかり、待ちきれなくなった外国人材側から内定辞退され他社へ行かれてしまうなど多くのリスクを負うことになってしまうためです。

人材を集める時と同じく、初めて特定技能外国人を雇用する場合は、多少費用がかかったとしても外部のプロに任せた方がスムーズに手続きが進むでしょう。

②在留期間更新申請の費用

特定技能1号は5年間の在留期間がありますが、実際は毎年在留期間を更新しなければなりません。そのため、年に1度は、特定技能外国人の在留期間更新のための書類準備・作成・出入国在留管理庁への申請業務が発生してきます。

こちらも、初見で自社対応するのはハードルが高いため、外部の行政書士や登録支援機関に委託される企業様が多くなっています。その場合は、4万円〜8万円の費用が発生してくるでしょう。

③事前ガイダンス・生活オリエンテーション

在留資格の認定・変更申請の前には「事前ガイダンス」というものを実施する必要があります。

また、在留許可後には速やかに「生活オリエンテーション」を実施することが求められています。

どちらも法令で定められた内容(雇用契約や日本での生活上の注意点など)を外国人の理解できる言語(母国語)にて、所定時間を守った上で実施することが必須です。

外部に委託する場合は、それぞれ1,5万円〜4万円程度の費用が発生してきます。

それぞれ以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
▶︎【特定技能】事前ガイダンスって何をするの?具体的な内容や注意点を解説
▶︎【特定技能】生活オリエンテーションって何をするの?具体的な内容や注意点を解説

④義務的支援の委託費用

特定技能外国人を受け入れる場合は、法令で定められた「義務的支援」を支援計画に基づいて実施する必要があります。(先にあげた事前ガイダンスと生活オリエンテーションも義務的支援の一つです。)

この義務的支援に関しては、要件を満たした「支援責任者」と「支援担当者」の下で実施しなければならず、自社で要件を満たした職員を専任できない場合は、「登録支援機関」へ支援を委託することが可能です。

登録支援機関に委託した場合は、特定技能外国人一人当たり2〜4万円の支援委託費が毎月発生してきます。

登録支援機関と支援内容に関しては、以下の記事でも解説しています。
▶︎【特定技能制度における支援とは】登録支援機関や支援にかかる費用まで解説

外国人本人に対して支払う費用

続いて、雇用する特定技能外国人に対して支払う費用も出てきますので、それぞれみていきましょう。

①渡航費用

海外から来日してもらう場合、その渡航費については基本的には本人負担でも問題ございません。(もちろん、事前に本人との話し合いで合意を得ている必要はあります。)

しかし、先ほどの二国間協定(MOC)によっては、受け入れ側企業が負担するよう取り決めがなされているケースがあったり、送り出し機関によっても、受け入れ企業側に費用負担を求めてくる場合があります。

その場合は、国によって異なりますが、大体4〜10万円程の費用が掛かると見込まれるでしょう。

②住居の準備費用

国外から入国する場合、住居を企業側で準備する必要があります。賃貸物件を準備する場合は、初期費用全般が発生してきます。

また、家具・家電に関しても、事前に準備するか、配属時に外国人本人と購入しにいく必要があるでしょう。

住居に関しては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
▶︎特定技能外国人と技能実習生の住居は企業で準備?支援内容や住居ルールなどを解説

③給与及び福利厚生

特定技能外国人に対して支払う給与は、同じ程度の技能を有する日本人が従事する場合と同等以上の金額である必要があります。

特定技能外国人は技能試験と日本語試験に合格した一定の経験・知識を有する者、または技能実習2号・3号を満了した者であるため、報酬に関しては日本人と同等水準以上が求められています。

また、福利厚生に関しても、当然特定技能外国人も対象となります。特定技能外国人のみ手当や福利厚生施設の利用ができないなど、差別的な扱いをしてはならないと法令でもしっかりと規定されています。

受け入れ企業や業種によって千差万別ですが、額面22〜30万円程度+法定福利費+各種手当になるイメージです。

特定技能の費用で本人負担でも良いものは?

特定技能外国人に義務的支援の実施に要する費用を負担させることはできません。そのため、事前ガイダンス等の支援に係る費用は企業側で負担しなければならないと、先にご紹介しました。

一方で、特定技能制度では外国人本人負担でも良いものも存在します。以下にそれぞれ詳しくみていきましょう。

渡航費用

先に申し上げた通り、基本的には来日する際の渡航費用は本人負担で問題ないとされています。

そのため、二国間協定や送り出し機関からの要請がない場合は、本人としっかりと事前に話し合いをした上で、自費で入国してもらうことも可能です。

また、帰国する場合の渡航費用に関しても本人負担で問題ございません。(もちろん、帰国時に渡航費用を本人が工面できない場合は、受け入れ企業等で費用を貸し与える等の対応が必要です。)

この入国時と帰国時の渡航費用負担がないというのは、技能実習制度とは大きく異なる点となっています。

技能実習制度と特定技能制度の違いについては、以下の記事でも解説しています。
▶︎【特定技能と技能実習比較】7つの違いと技能実習から特定技能への切り替え方法

住居の準備費用

先に説明した通り、国外から呼び寄せる場合は本人が物理的に住居の準備ができないので、受け入れ企業が対応しなければならないと申し上げました。

しかし、国内在住者で自分で住居を準備できますという希望の特定技能外国人に対しては、特段受け入れ企業側が対応する必要はありません。もちろん、初期費用等も企業側が負担する必要もございません。

ただし、1名あたり7.5平米以上の居室が確保されているか、また契約時の日本語サポートなどは適宜確認と対応が必要になってくるケースがありますので、ご注意ください。

毎月の家賃に関しても、基本的には特定技能本人が全額負担でも問題ないこととなっていますので、こちらの点も技能実習とは大きく異なる点となっています。

結局どのくらいの費用相場になるの?

それでは、費用相場がどのくらいになるのか見ていきましょう。

注意点として、採用経路や業種によって費用が異なってきますので、一つずつ整理していきます。

国外採用と国内採用それぞれの費用相場

採用パターンによる費用の違いで費用が異なってきますので、それぞれ見ていきましょう。

国外在住外国人を特定技能として採用する場合

対して国外在住者を採用する場合の費用相場は以下のようになっています。

  • 送り出し機関への手数料:20〜60万円
  • 入国時渡航費用    :4〜10万円
  • 住居の準備費用    :初期費用全般(住居の家賃により大きく変動)
  • 人材紹介手数料    :10〜30万円
  • 在留資格申請費用   :10〜20万円
  • 事前ガイダンス等   :1.5〜4万円
  • 支援委託費用     :年間24〜48万円(一人当たり2〜4万円/月)
  • 在留資格更新費用   :4〜8万円

注意点としては、人材紹介手数料は送り出し機関への手数料に含まれているケースもありますのでご留意ください。また、事前ガイダンス等の費用に関しても、登録支援機関によっては在留資格申請費用に含まれているケースもあります。

特定技能外国人の在留許可がおり、受け入れ企業で就労を開始してからは毎月の支援委託費用が発生してくることとなります。

国内在住外国人を特定技能として採用する場合

まずは国内在住者を採用する場合の費用相場について見ていきましょう。

  • 人材紹介手数料 :10〜30万円
  • 在留資格申請費用:10〜20万円
  • 事前ガイダンス等:1.5〜4万円
  • 支援委託費用  :年間24〜48万円(一人当たり2〜4万円/月)
  • 在留資格更新費用:4〜8万円

国外から採用する場合と比べて、送り出し機関への手数料と入国時の渡航費用がなくなる形になります。

特定技能外国人本人が望んだ場合は、住居の準備も対応が必要となり、別途費用が発生してきますのでご留意ください。

技能実習2号から特定技能1号へ移行する場合の費用相場

すでに自社で雇用している技能実習生を特定技能へ移行する場合の費用相場としては、以下のようになるでしょう。

  • 在留資格申請費用:10〜20万円
  • 事前ガイダンス等:1.5〜4万円
  • 支援委託費用  :年間24〜48万円(一人当たり2〜4万円/月)
  • 在留資格更新費用:4〜8万円

当然ですが、人材紹介手数料が発生しません。

また、技能実習2号から技能実習3号へ移行する場合は、1ヶ月以上の一時帰国が義務付けられていますが、技能実習2号から特定技能1号へ移行する場合は特段一時帰国の必要はありません。(技能実習の国際貢献という目的が形骸化してしまっていますが。)

建設業で特定技能を雇用する場合の費用相場

建設業の場合はかなり厄介です。

  • 人材紹介手数料 :10〜30万円
  • 国土交通省申請費:4〜8万円
  • 在留資格申請費用:10〜20万円
  • 事前ガイダンス等:1.5〜4万円
  • 支援委託費用  :年間24〜48万円(一人当たり2〜4万円/月)
  • 業界団体の年会費:24万円(JACの場合)
  • 受け入れ負担金 :1.25〜2万円
  • 在留資格更新費用:4〜8万円

建設業の場合は、出入国在留管理庁への申請前に国土交通省から許可を得なければならず、そのための申請書類作成費用等が別途発生してきます。(在留資格申請費用に含まれているケースもあります。)

また、国土交通省が指定した業界団体へ加盟しなければならず、その団体ごとに年会費や月会費が発生してきます。

さらに、建設業の場合は、一般社団法人建設技能人材機構(JAC)という団体に対し、特定技能1名あたり1.25万円〜2万円の受け入れ負担金も年会費とは別で毎月納める必要があります。この費用は、技能実習からの移行者や国外試験受験者などの特定技能外国人の資格取得経路に応じて負担金が異なってきます。

詳しくは、こちらの一般社団法人建設技能人材機構(JAC)の年会費と受け入れ負担金のページをご覧ください。

また、建設業での特定技能外国人の受け入れに関しては、以下の記事でも解説しています。
▶︎【特定技能】建設業で従事できる業務内容や採用方法について徹底解説

特定技能外国人の採用コストを抑えるにはどうしたらいい?

最後に採用コストを抑える方法について、いくつかご紹介していきます。 

リファラル採用

まず、ご紹介する方法はリファラル採用です。

リファラル採用とは、いわゆる紹介採用のことで、自社ですでに働いている社員から別の求職者を紹介してもらう採用方法のことを指します。

リファラル採用は、激化する採用競争市場においても有効な採用方法として注目を集めていますが、特定技能外国人の採用にも有効活用できるでしょう。

既に自社で稼働している外国人がいる場合は、日本在住の知り合いに日本企業で働きたい人はいないかを確認してみてください。

外国人は同じ出身国の人同士でネットワークやコミュニティを構築していることも多く、それらのコミュニティ内で求職者を確認すれば、費用や時間というコストを抑えつつ採用活動を進めることができます。

もちろん、自社にしっかりと定着し、職場環境に満足していることが前提となります。採用経費を抑えるためにも、ぜひ外国人労働者の定着率向上に取り組んでみてください。
▶︎【外国人労働者の定着率を高めるためには】方法やポイントを交えて解説

自社支援の検討

すでにご説明した通り、特定技能外国人を受け入れる場合に、外部の登録支援機関に義務的支援業務を委託することによって、一人当たり数万円の支援委託費用が発生してしまいます。

この支援業務ですが、「一定の条件」を満たすことができれば、外部の登録支援機関に委託することなく、自社で対応することが可能です。そうすることで、支援委託費用を大幅に圧縮することが可能になります。

しかし、この「一定の条件」がかなりハードルが高いという点と、結局支援業務自体は自社で対応しなければならないので、担当者の工数が発生してしまうという点はデメリットと言えます。

支援業務を自社で行うための条件としては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ合わせてご確認ください。
▶︎【特定技能における受け入れ機関(特定技能所属機関)】基準や義務などを紹介します!

まとめ

今回は特定技能外国人を採用する際にかかる費用についてお話してきましたが、いかがでしたか。

特定技能外国人を受け入れる場合、入管申請の委託費など様々な費用が掛かりますので、事前によくご検討をお願いいたします。

この記事が何かお役に立てできれば幸いです。

特定技能外国人を採用したいとお考えであれば、一度当社までお気軽にご相談ください。

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監修者
菅原 勇人
菅原行政書士事務所代表。埼玉県熊谷市生まれ。2017年早稲田大学大学院卒業後、建材商社へ入社。主に営業として、中小中堅の建設事業者への提案に従事。就労をしながら、行政書士や宅建など法務系資格を複数取得。現在は菅原行政書士事務所の代表として、約1,000件にも及ぶ申請取次業務に携わる。行政書士(埼玉県行政書士会所属 / 第24132052)
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。
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