【高度人材とは】定義や該当する在留資格、採用方法などをご紹介

外国人労働者の雇用を検討されている方の中には、「高度人材」という言葉を聞いたことがあるものの、「具体的な定義や該当する在留資格がどれか正直わからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこでこの記事では高度人材の定義や該当する在留資格をご紹介した上で、採用方法なども解説しています。

外国人労働者の雇用を検討されている方は、是非最後までお読みください。

 

高度人材とは

まずは高度人材とは何かについてお話していきましょう。

 

高度人材の定義

高度人材の定義には大きく二つ存在します。

一つ目の定義は、内閣府の高度人材受け入れ推進会議が2009年に出した「外国高度人材受入政策の本格的展開を」という報告書に求めることができます。

そこでは“「高度人材」についての定まった定義はないが、本報告書では、現行の就労可能な在留資格である専門的・技術的分野の在留資格を有する外国人労働者を対象とする。”という表記があります。

もう一つの定義は出入国在留管理庁によるもので、在留資格「高度専門職」を取得した外国人労働者を指す言葉として使われています。

この記事では前者の定義を前提にお話を進めていきますので、その点は留意してください。

 

高度人材を受け入れる背景

高度人材の受け入れを積極的に進めていく背景には大きく2つの背景が挙げられます。

 

・背景①:少子高齢化社会

まず挙げられるのは少子高齢化社会です。

日本では少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少し続けています。

それを受けて女性やシニア、障がい者など国内にいる人材の活用はもとより、外国人労働者の積極的な活用も重要な課題となっているのです。

 

・背景②:グローバル化

もう一つの背景がグローバル化でしょう。

年々グローバル化が進み、今やあらゆるヒト・モノ・カネが一国内に収まることなく、世界中に広がりを見せています。

そのような中で日本にやってくる外国人労働者も多くなることが想定され、そのための環境や制度などを整備し、積極的に受け入れていくことが求められていると言えます。

 

高度人材の受け入れメリットとデメリット

続いて高度人材の受け入れメリットとデメリットについて確認していきましょう。

 

メリット

・メリット①:人手不足の解消

一つ目のメリットは人手不足の解消です。

先程もお話した通り、日本では1995年以降生産年齢人口が減少し続けています。

そんな中、高度人材である外国人労働者を受け入れていくことで、人手不足に対する対策としても効果を発揮すると期待されているのです。

 

・メリット②:高い専門性と技術

また高い専門性と技術を兼ね備えているという点もメリットと言えます。

高度人材はその高い専門性や技術を活かし、日本においてそれぞれの専門分野で働くことが許可された外国人労働者です。

そのため国内人材でも集まりにくい、経験やスキルを持った人材の獲得に繋がると言えるでしょう。

 

・メリット③:長期に渡り就業が可能

長期に渡り就業が可能であることも見逃せません。

高度人材として定義されている専門的・技術的分野の在留資格の多くは、在留期間の定めはあるものの更新回数の制限がないのです。

そのため更新許可さえ得れば、長期に渡り日本で就業することができ、雇用する企業にとっても貴重な人手の確保に繋がると言えます。

 

デメリット

・デメリット①:受け入れ体制の整備が必要

一つ目のデメリットは受け入れ体制の整備が必要という点です。

 高度人材である外国人労働者を受け入れる際、当該外国人の母国語で記載したマニュアルを用意したり、受け入れ現場にメンターを配置したり、といった様々な体制構築が必要になります。

そのため日本人社員を雇用するよりも、受け入れ体制の整備に工数が掛かることは留意しておくべきでしょう。

 

・デメリット②:在留資格申請の手続きに工数がかかる

また在留資格申請の手続きに工数がかかるという点もデメリットと言えます。

どんな在留資格でもすぐに取得できるわけではなく、必要書類を漏れなく準備した上で、様々な手続きをクリアしなければなりません。

これらの準備や手続きを、通常業務と並行して実施しなければならないのです。

 

・デメリット③:言語や価値観などの違いによる衝突

言語や価値観などの違いによる衝突もデメリットの一つです。

育ってきた環境や使う言語も異なるため、コミュニケーション上の意思疎通が難しいケースがどうしてもあるでしょう。

意思疎通が難しいことから、お互い誤解が生じ、衝突を起こしてしまう可能性もある点は注意すべきと言えます。

 

高度人材に該当する主な在留資格

ここからは高度人材に該当する主な在留資格についてご紹介していきます。

 

技術・人文知識・国際業務

一つ目にご紹介するのは「技術・人文知識・国際業務」です。

「技術・人文知識・国際業務」は3つの領域に対応した在留資格で、それぞれ以下のような業務が可能になっています。

 

・技術

技術とは、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術もしくは知識を有する業務」と定義されています。

具体的には機電系エンジニアやシステムエンジニアなどの技術者の職種が挙げられるでしょう。

 

・人文知識

人文知識とは、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う法律学、経済学、社会学その他人文科学の分野に属する技術もしくは知識を要する業務」に該当する業務のことを指します。

営業やマーケティング、事務といったオフィスワーカー系の業務に従事する場合に該当することになる領域です。

 

・国際業務

国際業務は「外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務に従事する活動」と定義されている業務です。

具体例を挙げると、企業勤めの語学教師や通訳、デザイナーなどになります。

 

「技術・人文知識・国際業務」は、専門的・技術的分野の在留資格の中で最も多い人数を誇り、2021年6月末時点で283,259人が在留しています。

 

 

技能

続いてご紹介する在留資格は「技能」です。

技能は「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動」を行うために必要な在留資格となっています。

具体的な職種で言うと

・外国料理の調理師
・スポーツの指導者
・航空機の操縦者
・貴金属などの加工職人

などが挙げられます。 

専門的・技術的分野の在留資格の中では、「技術・人文知識・国際業務」に次いで多く、2021年6月末時点で39,603人が在留しています。

 

経営・管理

在留資格「経営・管理」も専門的・技術的分野の在留資格の一つです。

経営・管理は「本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動」を行うために必要な在留資格を指します。

ただし、在留資格「法律・会計業務」に該当する「資格を有しなければ法律上行うことができないとされる事業の経営又は管理に従事する活動」は含まれません。

具体例としては企業の経営者・管理者が挙げられます。

経営・管理の在留資格を持つ外国人労働者は、2021年6月末時点で26,943人です。

 

高度専門職

高度専門職も高度人材に含まれる在留資格です。

高度専門職とは、高度なスキルや知識を有する外国人労働者が取得できる在留資格で、2012年に導入された高度人材ポイント制度を活用した優遇措置でもあります。

高度専門職に該当する活動としては以下の3つが挙げられます。

 

・高度学術研究活動「高度専門職1号イ」

「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う研究、研究の指導又は教育をする活動」のための在留資格です。

在留資格「教授」や「研究」などの活動と重複しており、大学教授や企業の研究部門の研究者といった業務に従事することが可能です。

 

・高度専門・技術活動「高度専門職1号ロ」

「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動」に従事できる在留資格です。 

在留資格「技術・人文知識・国際業務」における「技術」や「人文知識」に相当する業務への従事が可能となっています。

 

・高度経営・管理活動「高度専門職1号ハ」

「本邦の公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動」のための在留資格です。

在留資格「経営・管理」に相当した活動が可能とされています。

これら3つの在留資格とは別に「高度専門職2号」というものもあり、これは1号イ・ロ・ハや、その他の就労系在留資格が可能な活動のほぼ全てに従事できる在留資格となっています。

高度専門職の在留資格を保有する外国人労働者は、2021年6月末時点で15,891人在留しています。

 

教育

次にご紹介するのは在留資格「教育」です。

教育とは、「本邦の小学校,中学校,義務教育学校,高等学校,中等教育学校,特別支援学校,専修学校又は各種学校若しくは設備及び編制に関してこれに準ずる教育機関において語学教育その他の教育をする活動」に従事するための在留資格です。

具体的な業務としては、中学校や高等学校などの語学教師などが挙げられ、2021年6月末時点で11,884人が在留しています。

 

企業内転勤

最後に「企業内転勤」をご紹介します。

企業内転勤とは、「本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項に掲げる活動」が可能となる在留資格です。

外国の事務所からの転勤者で、「技術・人文知識・国際業務」に相当する業務、つまりエンジニアや営業、マーケティングなどに従事する場合に必要になります。

2021年6月末時点で10,735人が在留しています。

 

高度人材を採用する方法

最後に高度人材である外国人労働者を採用する方法についてご紹介します。

 

人材紹介サービス

一つ目の方法は人材紹介サービスです。

外国人労働者に特化した人材紹介サービスもあるため、そういったサービスを活用することで効率的に採用することができます。

人材紹介サービス会社から提案のあった外国人労働者の面接などを実施していくため、応募対応などの工数を削減でき、且つ成果報酬型であるため、コストも抑えやすいというメリットがあります。

 

リファラル採用

リファラル採用も高度人材の採用には効果的と言えます。

リファラル採用とは、自社の社員に自分の知り合いを紹介してもらう採用手法です。

外国人労働者の多くは母国を同じくする者同士で、コミュニティを形成していることが多く、リファラル採用に取り組むことでこういったコミュニティにアプローチすることができます。

ただしまだ自社に外国人労働者がいない場合は、効果がそこまで高くないため、何人か外国人労働者を採用した後に活用すべき手法と言えるでしょう。

 

求人広告

求人広告も高度人材採用には欠かせない手法です。

求人広告媒体に求人広告を掲載することで、求職者にアプローチする形になります。

外国人労働者向けの求人広告に特化したサービスもあるため、それらを上手く活用することで、高度人材にもアプローチすることができるでしょう。

また自社サイトで募集ページなどを設けている場合、そこへの導線としても利用することができる点も見逃せません。

 

ダイレクトリクルーティング

ダイレクトリクルーティングも有効な採用方法の一つとして挙げられます。

ダイレクトリクルーティングとは、求職者に対して企業側から直接コンタクトを取って、採用まで繋げていく採用手法です。

人材紹介や求人広告では紹介や応募を待つことになりますが、ダイレクトリクルーティングではこちらから積極的にアプローチしていくという特徴があり、自社の希望するスキルや経験を持った外国人労働者を自ら発掘することができます。

高度人材を含めた外国人労働者に特化したサービスもあるので、活用を検討してみるとよいでしょう。

 

SNS

SNSも採用において非常に役立つツールとなります。

LinkedInなどのビジネス系SNSを活用することで、直接高度人材にアプローチしていくわけです。

SNS上でコミュニケーションを図りながら、自社採用サイトに繋げたり、交流会に誘ったりといった活用もでき、ダイレクトリクルーティングよりも幅広いシーンで活用できると言えるでしょう。

ただしアカウント運用にある程度の工数が掛かるため、その他の採用工数と相談しながら検討してみてください。

 

まとめ

今回は高度人材にフォーカスしてお話してきましたが、いかがでしたか。

当社は高度人材含め外国人労働者に特化した人材紹介サービスを提供しております。

人材紹介サービスだけでなく、在留資格申請のサポートや受け入れ体制構築の支援なども行っておりますので、少しでもご興味がある方は一度お気軽にご相談ください。


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監修者
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。
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