新型コロナウイルス感染症の影響が一段落する中で、緊急事態宣言の解除や水際対策の緩和に伴い、飲食事業者様の人手不足感は増すばかり。
「人がいないから新規出店できない」「シフトの調整ができないから、臨時休業せざるを得ない」というように、経営上の重大な課題となってきています。
そこで今回は、POSレジ付店舗管理ソフト『K1くん』の開発を手掛ける株式会社APPLI LABと、累計100社近くの特定技能受け入れ企業をサポートしてきた株式会社ジンザイベースの2社による、『”システムによる効率・省人化”と”外国人雇用も含めた人材活用”の2つのDX』というテーマでウェビナーを開催いたしました。
APPLILAB社「DXツールを活用した店舗経営・オペレーション効率化の最前線とは?」
残念なDXが、世の中に溢れかえっている
島倉:改めまして、APPLILABの島倉と申します。お願いします。
今回、『DXツールを活用した店舗経営、オペレーション効率化の最前線』というテーマになっていますが、弊社はそもそもの「接客に力を入れよう」という点を飲食店様に伝えていまして、DXではなく、接客に飲食店のお客様がより力を注げるような形で、弊社のシステムだったり、世の中のDXをうまく使っていくという部分にお力添えできればなと思ってます。
そもそも、「DXはすでに皆さんできてます!」ということをまず冒頭にお伝えしたいなと思っております。理由は、かっこいい「DX」っていう言葉が先行していると思いますが、もうすでにみなさん何かしらDX施策を実施されているんじゃないでしょうか。
例えば、LINE登録を集めてキャンペーン施策を打ったり、予約の管理を紙からiPadやクラウド管理へ移行したり。なので、DX化は皆さんの営業の中で常にできてるものだと思っていただければなと思ってます。
一方で、弊社が見た「残念なDX」をお伝えしたいなと思っています。
例えば、そもそも「ツールを導入する目的がどうだったのかな?」というケース。ツールの導入自体が目的になってしまっている企業様、実際は多いのではないでしょうか。
一方で、人件費を下げることが目的で、結果としてサービスの質が低下しちゃってるなんて企業様も、パターンとしては多いのかなと思います。
また、今流行りの配膳ロボットがただ歩いてるだけで、パッシングもできてなかったりして、配膳ロボがただの邪魔な機械になっちゃっていたり。
そして、どんどんツールを入れてきた結果、使い切れてないお客様も中にはいるんじゃないかなと思ってます。
結果として、お客様の離反や単純に販管費が重くなってるという、残念なDXがあると感じています。
今回、DXの話はもちろん、今後POSレジを検討中だったり、たくさんこれだけのPOSレジがある中で何を選んだらいいかわからないっていう方が弊社にお声をいただけてるので、そういった部分と弊社の強みも含めてお話していければと思っております。
『K1くん』で飲食店の業務を一括管理
島倉:簡単に弊社の概要をご説明させていただくと、今16期目の会社で、『K1くん』というPOSレジ管理システムを開発・営業している会社となっております。導入実績としては、1,000店舗程度となっています。
実は、私たちは今まで販促費0円で1,000店舗の導入実績を作ってきました。これは、弊社の代表が飲食店を年間600〜700店舗ぐらい食べ歩きをし、現場に一番答えがあるっていうのを創業当時からずっと考えておりました。結果として、口コミだったりお客様紹介のみで今まで導入実績を積み上げてきています。
弊社の強みは3つあります。1つ目はサポート体制です。弊社は全国365日24時間電話対応可能で、コールセンターではなく、全て弊社の社員メンバーが常に対応しています。
先ほどお伝えしたとおり、現場で課題感あるという観点で言うと、基本的に飲食店のトラブルは18時以降のピーク中が多いのかなと思っています。その時間帯に、「プリンターが出ない」、「レジが動かない」と言うトラブルが発生した時に、コールセンターの対応ができなかったりすると、私たちとしてはお客さんに寄り添ったサービスじゃないなと。なので、基本的には営業マン全員が対応できるような仕組みになってます。
2つ目のポイントは、提案力です。弊社は採用、特に飲食店経験者の採用に力を入れています。やっぱり、システム会社と飲食店は、どこかウェット感がないというか、飲食店で発生しているトラブルを、システム会社の人はあまり危機感を感じていないみたいなところがあると感じています。
弊社は飲食店の現場で経験した人間を基本的には採用してるので、そのときのトラブルの内容や、焦ってる温度感を細かいところまでキャッチアップしながら解決することができます。
結果、1年未満の解約は1%未満を創業当時からずっと継続させていただいております。
3つ目がシステムです。弊社は飲食店に特化したレジになっているので、基本的には全部弊社で一括管理できるようになっています。
ここに記載させていただいているものは、全て弊社の『K1くん』というサービスで管理ができます。「日時の計算」、「勤怠」、「仕入れ」だったり、「シフトの管理」も対応できます。他社連動にも力を入れていて、SNSでの予約管理や決済、最近だと、座席会計システムに関しても連動できます。
導入実績としては、5店舗〜50店舗のお客様であったり、多いところだと、1,000店舗を超えるようなお客様にも導入させていただいていたり、幅広い規模感のお客様にご導入いただいております。
ジンザイベース「外食業における外国人材活用の最新事例と採用を通じたDXとは?」
外食業では、「人手不足による倒産」っていうリスクも大袈裟じゃない
中村:皆さん、年々採用がちょっと厳しくなってきたなとか、人が来なくなったなって思われることありませんか?
断言しますが、今以上に良くなることは一切ない、絶対にあり得ません。
というのも、日本の国民自体がものすごいスピードで減っているというのがまず一つあります。中でも、労働人口がものすごいスピードで減少しているというのがここのスライドからもお分かりいただけると思います。
なので、昔応募が来てましたっていう状況があった中で、今はどんどん来なくなってるのは、実は当たり前の話で、もっと言うと、これからさらに人材獲得競争というのは加速していく状況であります。
ここで言いたいことは何かというと、今実施している採用手法というのは、もちろん継続していく必要性があります。ただもっと厳しくなることは予測されますので、他の手法を模索していくことが求められていくのかなということです。
ここ最近、皆さんも現場で実感されてるかもしれないですが、人手不足による倒産リスクというのも、全然大げさな話でもなく、頻繁に起き始めています。倒産まではいかなくても、「新規出店ができない」もしくは「オープンする予定が、人が集まらないから、計画を後ろ倒ししている」なんていうなことはもう珍しい話ではなくて、比較的当たり前な状況になってきていると実感しています。
こういった背景がある中で、「外国人雇用」が注目を集めてきています。
皆さんが、どんなイメージを持ってらっしゃるかわからないんですが、最初は「人いなくて仕方ないから外国人を採用しよう」みたいなきっかけの方が多いんですが、採用してから良いフィードバックいただくことが多くてですね。
まず、目的が日本人と全然異なるケースが多いです。例えば、日本語力を向上させるためにホールを希望したり、将来的に自分の店を開きたい、そのための修行として飲食店で勤めたい、あるいは学生時代にバイトをしていて、経験を生かすために飲食店に勤めるであったり、短期的なお金を稼ぐという目的ではなくて、将来の目的があり、そのための手段として外食業を選定される方が多い印象です。
結果として、非常に意識が高く、ストイックな方々が多く集まってくるので、各企業に入社したときに、当然のごとく良いフィードバックをいただく機会が多くなります。
なので、働く地域や業態、収入によって若干異なりますが、断言できることとしては、外食業においては、買い手市場といっても特に変ではないということです。
『ダイバーシティトランスフォーメーション』で危機を回避する
中村:今回、「飲食店における採用のDX」ということで、何かシステム的なことのご案内をさせていただくか、というふうに想像された方々いらっしゃれば申し訳ございません。
我々が定義する『DX』っていうのは、よく言うデジタルトランスフォーメーションではなく、『ダイバーシティトランスフォーメーション』とお伝えさせてもらってます。
要は、従来のやり方だともう人の充足はもう難しいので、「女性」や「ご高齢者」もしくは「外国人」も含めた上で、多様性に富んだ採用を推進していくことが、この危機を回避することができる唯一の策であり、それこそがベストであると思った上で、推進をさせていただいていることから『ダイバーシティトランスフォーメーション』とご案内させていただいています。
まずは、飲食店で雇用可能な外国人を理解する
中村:まず皆さんにご理解いただきたいのは、外国人の方は基本的に免許証みたいなものを持っていて、「留学」とか、「特定技能」、「家族滞在」などといった、在留資格と呼ばれる何かしらの資格を持っています。要は、「どういう目的で今日本にいるのか」っていうのが書いてあります。その目的・資格の中で、飲食店で働くことは一部限定されてます。
ただ、基本的には「特定技能1号」、これが飲食店において雇用できる外国人としてはメインになってきます。それ以外に、日本の教育機関で学んでいる「留学生」もアルバイトとして雇用できます。注意点として、留学生は、アルバイトとして雇用することはできますが、1週間28時間以内かつ、資格外活動許可っていうものを入管から別途取得が必要ではありますが。
なので、いろんな在留資格がある中で、飲食店で働くことができて、かつ主戦力になるような在留資格としてはアルバイトか、特定技能(フルタイム)の主にこの2択がメインになると思ってください。
ちなみに、ある程度ご存知の方いらっしゃれば、「技術・人文知識・国際業務ビザはどうなの?」というお話もあるかもしれないですが、一昔前は「技術・人文知識・国際業務ビザ」というもので、飲食店で働くケースは結構多かったです。
ただ、「外国人を採用する理由書」を入管申請する際に作成するのですが、怪しい理由で申請してるケースが多かったりするのは事実です。
なので、今起きてる問題として、「技術・人文知識・国際業務ビザ」で申請したときに、不許可になるケースが結構あります。また、「技術・人文知識・国際業務ビザ」で就労してる方々が、在留期間を更新する際に、更新許可が難しくなるケースってのをよく耳にします。
なので、もし「技術・人文知識・国際業務ビザ」で雇用されている企業様がいれば、ぜひ「特定技能」への切り替えを打診していくことで、会社のコンプライアンスリスクを軽減していけますので、ぜひご検討いただければなと思います。
しつこいようですけど、正社員としては「特定技能」。アルバイトとしては「留学生」。この2つをぜひご注意いただければなと思います。
留学生アルバイトには、一定のコンプライアンスリスクが伴う
中村:ぜひ皆さんに知っておいて欲しいんですが、こちらは、去年の11月に起きた事件で、兵庫県で展開しているあるラーメンチェーンさんが、留学生を雇用していて、1週間に28時間までしか働けないところ、全然守ってなかったことが入管にバレてしまったというものになります。
こういった場合、「不法就労助長罪」という罪が事業主に適用されてしまいます。こちらは、300百万以下の罰金もしくは3年以内の禁固刑、もしくはその両方が科せられることとなってしまいます。
つまり、罰則があることを理解し、外国人雇用というのはしっかりとルールを守った上で実施していかないと、特に留学生の場合、一定のコンプライアンスリスクが出てくるということは把握しておきましょう。
こういった観点でいくと、「特定技能」はフルタイムで就労できる在留資格なので、コンプライアンスリスクは基本的にはないのかなと思います。
特定技能外国人の奪い合いになりつつある
中村:特定技能の一般的な情報については、「特定技能とは?制度の概要から採用の流れまで基本を徹底解説」の記事に譲るとして、外食業に絞ったお話をさせていただきます。
前提として、特定技能外国人の全体としての在留者数が増えている状況において、外食業においても同じく、順調に増加してきています。
注意点として、このスピードで増えてるから、本当にギリギリまで日本人の募集を頑張ってみて、そこで駄目だったら外国人採用を検討しようって思われる企業さんもいらっしゃると思います。
でも、日本国内にいる有資格者、いわゆる特定技能として働ける外国人の数って無限じゃなく、有限なんですね。現状だと、年間3回ほど全国で外食業試験が行われていて、この試験に合格された方のみが特定技能に切り替えができるというルールになってます。
ここの問題点が2つあって、まず一つは試験の難易度が結構高いんです。合格率は50〜60%ぐらいですかね。なので、約2人に1人しか受からないってのが今の状況です。もう1つが全国各地で年間3回試験を実施しているんですが、人気がありすぎて地区によっては抽選になったりしています。
枠が増えていない中で、こういった背景から特定技能の有資格者は、べらぼうに増えてなかったりします。だからこそ、ここのパイにおいても奪い合いになりつつあります。結果として、比較的条件が良い大企業が多くの人材を掻っ攫っていってる、という状況もあったりはします。
なので、なるべく早く動いていくっていうことをおすすめしております。
人材の質(特に日本語能力)は面接でしっかりと見極める
中村:人材の質っていう観点では、先ほどお伝えした試験に合格した方のみが対象となってきますので、接客/調理/安全衛生などの全般的な知識を知っている、かつ日本語で受験するものなので、ある程度飲食業を知ってる人でないと、この試験を突破できないようになっています。
だからこそ、即戦力まで言えるかどうかはちょっと会社さんによると思うんですが、ある程度の知識を保有したセミプロということは確実に提起できるのかなとは思います。
語学力の部分で言うと、大体N2からN4の方が多くいらっしゃいます。ただ、どのレベルの方でもですね、結局各社さんで活躍しています。
N4の日本語能力でも、キッチンをメインに活躍されているケースもあれば、N2レベルの方でホール全体の業務に携わったりなど、いろんなケースがあったりします。店舗の中でどういった作業で今困ってるのかっていうところを明確にしていったときに、求める採用要件を設定させることが大切だと思っています。
もう一つあって、履歴書上では、日本語能力の部分をN1やN2と記載があり、ここを元に日本語レベルを想定すると思うのですが、実は、直接話す能力には全く比例してません。
なぜならば、1番多くの人が受ける日本語能力試験というのは、筆記試験のみなんです。つまり、実際に話す能力とか聞く能力っていうのは一切測定されていないんです。なので、応募があった求職者とは、まず話をしてみることをおすすめします。
履歴書上はN4って書いてあるけど、話をしてみたら全然N3ぐらいあるじゃんみたいなことは、実はよくある話です。履歴書上はN4だからどこの会社さんでも書類選考として落としがちですが、実は、そういった優秀な人材っていたりはするんで、とにかく電話でもいいので応募があればまず話をしてみるってことをおすすめしております。
「国内」と「国外」、どちらの集客方法が適しているか見極める
中村:ちょっと複雑になってくるんですが、実はこの外食試験はインドネシア、ミャンマーなど、いろんな国で行われています。つまり、国外でも、特定技能の有資格者っていうのは一定数存在しています。
そのため、「国内」と「国外」でどこから採用するかというところは、各社で検討する必要があります。ただ、明確に優先順位があってですね、都心部の会社さんは「国内」で集客しましょう。集まります。地方の会社さんは、募集条件が良ければ「国内」でも集客できる可能性があります。
一方で、「募集条件がそんなに。。」と言う場合は、国外1択で集客をしていくべきです。
なぜかというと、すでに日本に滞在している外国人で、今住んでいるのが仮に地方だったときに、わざわざ地方から地方へ転職するってことはあんまりないんですね。
やはり、募集条件が良いであったり、友人がたくさんいるという理由で、どうしても都心部を目指す方が多い傾向にあったりします。こういった背景から、都心部の会社さんであれば、その時点で優位性があるので、日本国内の人材を集めることが比較的簡単にできると思います。
一方で、地方の会社さんの場合、稀に地方から地方へ転職する方もいらっしゃるので、そこをターゲットに集客しに行くってのもありますが、採用条件をどこまで都心水準に合わせることができるか、こことの天秤にかけた時に、国外集客一択になってくるのかなと感じています。
国外在住の方の目的を考えた時に、別に都心で働くことではなくて、「日本で働くこと」が目的のケースが多いです。もちろん、大阪や東京、名古屋など、こういった賃金が高いエリアに行ければベストではあるんですけど。ただ、最初の主戦場として「働く場所が絶対ここじゃないと行かない!」っていう方は比較的少ない傾向にあります。
したがって、地方の会社さんだとしても、国外募集であれば人を集めていくことができる可能性は高くなります。エリアによっての優位性を考えたときに、各社さんで一番いい方法をやっていくべきだと思いますし、そういうことをご案内させていただいています。
ちなみに、国外からの呼び寄せだと、働き始めるまでにめちゃくちゃ時間がかかります。国内集客だと結構早いです。なので、どのタイミングで人が必要か、そこを考えた上で提案する人材会社がいらっしゃれば、そこに相談していくっていうのがいいのかなと思います。
編集後記
今回は、JinzaiPlus初の試みとして、オンラインセミナーを開催させていただきました。オペレーションにおけるDXと人材採用におけるDXというテーマでしたが、飲食事業者様に向けて、少しでもお役立ちいただける情報をお届けできていれば幸いです。今後も、オンラインセミナーをはじめとしたイベントを実施していく予定ですので、ぜひチェックしてみてください。
最後に、外食業の企業様で実際に外国人材を受け入れている企業様の事例を以下にご紹介させていただきます。非常に参考になると思いますので、ぜひあわせてご覧ください。
また、弊社は特定技能外国人のご紹介、中でも飲食店事業者様へのご紹介に強みを持っています。「人手不足で困っている」、「外国人雇用に取り組んでみたいけど、不安がある」などというご担当者様は、ぜひ以下のサービスサイトよりお気軽に問い合わせくださいませ!