【特定技能】事前ガイダンスって何をするの?具体的な内容や注意点を解説

この記事では、特定技能制度における「事前ガイダンス」の具体的な内容や実施時の注意点をご紹介します。実施時間や書類対応など、細かくルールが定められていますので、特定技能外国人の雇用を検討されている企業様は、是非ご一読ください。 

また、事前ガイダンスについて具体的に何をしているのか、弊社でYoutube動画にしましたので、併せてご覧くださいませ。

事前ガイダンスとは

事前ガイダンスの具体的な内容を解説する前に、まずは概要についてお話していきましょう。

事前ガイダンスの定義

事前ガイダンスとは、特定技能外国人が日本での生活や業務に適応するために必要な情報を提供するプロセスです。このガイダンスは、企業が外国人材に対して雇用契約の内容や入国手続き、日本での活動に関する重要な説明を行うことを目的としています。適切な情報を伝えることで、外国人材が新しい環境にスムーズに溶け込むことを支援します。特定技能制度では、支援計画を策定した上で、その計画に基づいた様々な支援雇用した1号特定技能外国人(以下、特定技能外国人)に対して実施していく必要があります。

10の義務的支援業務
法務省「特定技能外国人受け入れに関する運用要領」をもとにジンザイベースが作成

この支援については、「義務的支援」と「任意的支援」の2つの種類が存在し、「義務的支援」に関してはその名の通り、特定技能外国人の受け入れ後、必ず実施しなければなりません。

「事前ガイダンス」は、その義務的支援の一つとなっており、雇用契約締結後、国外から呼び寄せる場合は、在留資格認定証明書交付申請の前(国内在住者を雇用する場合は、在留資格の変更申請前)に実施することになるため、義務的支援の中で最も早い時期に実施することになります。

主に、「特定技能雇用契約の内容」や「日本において行うことができる活動内容」、「入国するにあたって注意するべき事項」などを説明します。

よく「事前ガイダンス」と「生活オリエンテーション」を混同されている方もいらっしゃいますが、両者は別物になっていますので、ご留意ください。

なお、特定技能制度の基本的な概要について知りたい方は、「特定技能とは?制度の概要から採用の流れまで基本を徹底解説」をご覧ください。

実施の目的と重要性

事前ガイダンスの実施は、特定技能外国人が日本での生活や仕事にスムーズに適応するために不可欠です。このガイダンスを通じて、雇用契約の内容や入国手続き、日本での活動内容について正確な情報を提供し、外国人材の不安を軽減します。実施の目的は、理解を深めることで、適切な支援が受けられるようにすることです。

「事前ガイダンス」の実施方法

「事前ガイダンス」は、対面又はテレビ電話などにより、必ず本人であることの確認を行った上で実施することが求められています。

「事前ガイダンス」で伝える項目を資料に落とし込み、郵送又はメールで送付するのみで実施することは認められていません。

もちろん、本人がしっかりと理解できる言語で実施する必要があるため、必要に応じて母国語対応できる体制構築も必要となってくるでしょう。

何時間実施しなければならない?

「事前ガイダンス」の内容を本人が十分に理解するためには、3時間程度の時間をかけて実施することが求められています。

「技能実習2号を良好に修了した者」や「留学生」を同一機関で引き続き特定技能として雇用する場合であっても、1時間に満たない場合は、事前ガイダンスを適切に行ったとは判断されませんので、ご注意ください。

当然ですが、特定技能外国人が他社へ転職したような場合であったとしても、新しい受入機関側で「事前ガイダンス」を実施しなければなりません。

義務的支援の事前ガイダンス内容

それではここから事前ガイダンスの具体的な内容について見ていきたいと思います。

まずは事前ガイダンスの中で、必ず対応しなければならない「義務的支援」の内容から確認していきましょう。今回は、出入国在留管理庁HPの「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」を参考に、解説していきます。

業務内容や報酬額に関する説明

特定技能外国人に対する事前ガイダンスでは、業務内容や報酬額に関する詳細な説明が必要です。このセクションでは、雇用契約の具体的な条件や期待される業務の内容を明確にし、外国人材が日本での仕事に対する理解を深めることを目的としています。これにより、労働条件に関する誤解を防ぎ、円滑な就業開始をサポートします。

日本で行える活動内容の説明

日本で行える活動内容について、特定技能外国人が取得した在留資格に基づいて行うことができる業務を説明します。特定技能のカテゴリーに該当する業務には、農業、製造業、介護、宿泊業、飲食業などがあります。これらの業務に関して、法令に従い正しく活動することが求められます。また、許可されていない業務を行うと不法就労となり、企業や本人に罰則が課せられる可能性がありますので、十分に理解することが重要です。

新規入国手続きに関する説明

新規入国手続きには、特定技能外国人が日本に入国する際に必要な一連の手続きが含まれます。この手続きには、在留資格認定証明書の申請やビザの取得、入国時の書類提出が含まれ、円滑な入国を図るために十分な理解が求められます。各ステップを正確に把握することで、入国後のスムーズな生活開始につながります。

保証金や違約金に関する説明

保証金や違約金に関する説明では、特定技能外国人が契約において保証金や違約金に関するルールを理解することが重要です。特に、現在および将来にわたってこれらの契約が禁止されていることを明確に説明し、誤解を避けるための確認が必要です。これにより、雇用者と外国人材との間でのトラブルを未然に防ぎます。

入社準備費用とその有無の確認

特定技能外国人が日本で就労を開始する際には、入社準備費用が必要です。この費用には、必要な手続きや物品購入に関連する金額が含まれます。事前にこれらの費用について確認を行い、外国人が理解し納得できるようにすることが重要です。入社に伴う経済的負担を明確にすることで、安心して新しい環境に適応できるよう支援します。

支援に係る費用の負担に関する説明

特定技能外国人に対する支援に関わる費用の負担については、企業がその全てを負担する必要があります。この説明では、どのような費用が発生するか、そしてその負担が特定技能外国人に転嫁されてはいけないことを明確に伝えることが重要です。これにより、外国人材が安心して働く環境を整える役割を果たします。

入国時の送迎サポートについて

日本に入国する際には、入国時の送迎サポートが提供されます。この支援により、空港や港から居住地または職場までの移動がスムーズに行えることが保証されるため、初めての環境でも安心してスタートを切ることができます。企業は、この送迎の内容を十分に説明し、外国人材の不安を軽減することが求められます。

受入れ機関への相談・苦情の申し出方法

受入れ機関への相談や苦情の申し出方法については、特定技能外国人が問題や不安を抱えた際に、どのようにして迅速かつ適切にサポートを受けられるかが鍵となります。企業は、相談窓口の設置や連絡手段を明確に示し、外国人材が安心して苦情を申し出られる環境を整えることが重要です。具体的な手続きや連絡先を事前に説明することで、円滑なコミュニケーションを促進し、信頼関係を築くことができます。

任意的支援の事前ガイダンス内容

任意的支援の事前ガイダンス内容は、特定技能外国人に対する支援として推奨される項目を含みます。これには、日本の気候に適した服装や、持参すべき物、または持参してはいけない物などが含まれます。これらの情報を提供することで、外国人材が日本に適応しやすくなり、文化や生活習慣への理解が深まります

日本の気候や適切な服装の説明

日本の気候は四季がはっきりしており、季節によって服装が大きく異なります。春や秋は比較的過ごしやすいですが、夏は高温多湿、冬は寒さが厳しいため、適切な服装が求められます。特定技能外国人には、日本の気候に合った服装を選ぶための具体的なアドバイスを提供し、快適な生活のスタートをサポートします。

持参可能な物と持参すべきでない物の説明

特定技能外国人が日本に入国する際には、持参可能な物と持参すべきでない物についての理解が重要です。特に、日本の法律や文化において持ち込みが禁止されている物があるため、事前に確認しておくことが大切です。この知識を持つことで、入国時のトラブルを避け、スムーズに新生活を始めることができます。

当面必要となる費用の見積もりとその用途

特定技能外国人が日本にて安心して生活を始めるためには、当面必要となる費用の見積もりが重要です。これには、住居費や生活費、交通費などが含まれます。具体的な金額を事前に把握することで、計画的な資金管理が可能となり、円滑な生活スタートを支援します。

受入れ機関からの支給物の説明

特定技能外国人が日本での生活を始める際、受入れ機関からどのような支給物が提供されるかを理解することは重要です。支給物には、生活に必要な基本的な品物や、仕事に必要な道具などが含まれます。これにより、入国者はスムーズに新しい環境に適応できるようになります。

事前ガイダンスの実施上の注意点

事前ガイダンスを実施する際には、いくつかの重要な注意点があります。今から紹介する項目に注意を心がけることで、より効果的なサポートを提供できます。

理解しやすい言語での説明

特定技能外国人に対する事前ガイダンスでは、理解しやすい言語での説明が非常に重要です。これは事前ガイダンスでは、雇用契約や入国後に活動できる内容など、特定技能として就労する上で欠かせない情報を提供することとなります。

そのため、特定技能外国人本人が理解できる言語で実施することが求められている点は、繰り返しになりますが注意点として上げさせていただきます。

日本語が堪能だったとしても、入社後のトラブルを未然に防ぐという観点から、母国語でしっかりと伝えておいた方が良いでしょう。

実施時間の目安と要件

事前ガイダンスの実施にあたっては、時間の目安を設定することが重要です。一般的には、外国人材がしっかりと理解できるよう、3時間以上の時間を確保することが推奨されます。

また事前ガイダンスは一度行っただけで終了というわけではなく、実際の就業が開始した後でも、当該外国人の要望があれば適宜必要事項の情報提供を実施することが求められます。 

海外入国者と日本在住者への説明の違い

海外から入国する外国人と日本に既に住んでいる外国人への説明は、内容やアプローチが異なります。新規入国者は入国手続きや初めての生活環境に関する具体的な情報が必要である一方、日本在住者には既存の生活基盤に基づいたサポートが求められます。この理解をもとに、適切な情報提供を行うことが重要です。

自社での支援が難しい場合はぜひジンザイベースは登録支援機関ですので、ぜひご相談ください!

生活オリエンテーションの重要性

生活オリエンテーションは、特定技能外国人が日本での生活に適応するために非常に重要です。このプロセスを通じて、外国人材は日本の文化や風習を理解し、新しい環境で円滑に生活を始めることができます。適切なサポートにより、彼らの不安を軽減し、より良い生活経験を提供することが可能になります。

入国者の生活適応をサポート

特定技能外国人が日本での生活に適応するためには、様々な支援が重要です。生活適応をサポートすることで、文化や日常生活の違いに不安を抱かず、スムーズに新しい環境に馴染むことができます。具体的なサポート内容には、日常生活に関するアドバイスや地域の情報提供が含まれます。

文化・風習に関する教育

文化や風習に関する教育は、特定技能外国人が日本の社会にスムーズに溶け込むために不可欠です。日本の文化的背景や基本的なマナーを理解することで、職場や日常生活でのコミュニケーションが円滑になり、異文化理解が深まります。教育プログラムを通じて、外国人材が文化的な違いや習慣を知ることで、自信を持って新しい環境に適応できるようサポートします。

まとめ

今回は特定技能制度における支援業務の中から、事前ガイダンスにフォーカスしてお話してきました。

事前ガイダンスは本文でも触れた通り、最も早い段階で実施する支援であり、特定技能外国人に十分に理解してもらうまで丁寧に実施していく必要があります。

そのため提供する情報に不足がないことは勿論のこと、わかりやすい日本語で実施したり、当該外国人の母国語などを用いたり、といった対応の必要性も出てくるでしょう。

もしそういった対応を自社だけで実施することが難しいと思われた方は、是非当社までご相談ください。

当社は本文中でもご紹介した、登録支援機関としても活動しているため、支援業務の代行や在留申請のサポートサービスなどを提供しております。

特定技能外国人の雇用を検討されている方は、是非こちらのフォームからお気軽にお問い合わせください。

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監修者
菅原 勇人
菅原行政書士事務所代表。埼玉県熊谷市生まれ。2017年早稲田大学大学院卒業後、建材商社へ入社。主に営業として、中小中堅の建設事業者への提案に従事。就労をしながら、行政書士や宅建など法務系資格を複数取得。現在は菅原行政書士事務所の代表として、約1,000件にも及ぶ申請取次業務に携わる。行政書士(埼玉県行政書士会所属 / 第24132052)
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。
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