この記事では、「就労ビザ」をテーマにその種類や取得条件、申請方法などについて解説をしていきます。就労ビザは、日本で外国人を雇用する上で必要なものとなります。今後、外国人の雇用を検討したい方や、既に外国人の雇用をされている方もぜひ最後までご覧ください。
就労ビザって何?!
まずはじめに、就労ビザとはそもそも何か?について確認をしていきましょう。
就労ビザと在留資格の整理
まず、外国人が日本国内で、会社員や経営者、個人事業主として「収入を伴う事業を運営する活動や報酬を受ける活動(=仕事)」を行うためには、就労可能な「在留資格」が必要です。
これらを総称して「就労ビザ」とよく巷では言われています。
そもそも在留資格とは、「外国人が日本に在留し、何かしらの活動を行うために必要となる資格」のことを指しており、その活動の種類によって29の在留資格が存しています。
さらに、在留資格ごとに就労の可否や業務内容まで決められており、就労制限が一切ない「永住者」などの居住資格を除くと、就労可能な在留資格(就労ビザ)は現在19種類です。それぞれについては後述します。
一般的に、在留資格=ビザと言われることも多いですが、正確に定義するとそれぞれは全くの別物です。ビザとは査証とも呼ばれ、日本に入国する前に発行される入国許可証のことを指しており、在留資格は来日後の活動を規定した資格のことです。
就労ビザの取得に際しては、正確な情報と手続きの理解が不可欠です。特に、申請に必要な書類や審査プロセスを知っていることで、スムーズに手続きを進めることができます。日本での外国人採用を成功させるためには、企業としてのサポート体制も重要です。
不法就労に注意
外国人を雇用する際、就労不可の在留資格を持っている外国人はもちろん雇用できません。かといって、就労ビザを持っていても誰でも雇用できる、というわけでもないのです。
就労ビザは19種類の在留資格に分かれますが、その在留資格ごとに就労可能な業務内容が決まっており、雇用する外国人が有する在留資格と雇用後の業務内容がマッチしていない場合は不法就労とみなされる場合があります。
もし不法就労をさせてしまった場合は、外国人本人だけでなく雇用した側も不法就労助長罪に問われ、処罰対象になるため、雇用予定の外国人の在留資格をしっかりと確認することがとても重要です。
特に、企業側が適切な手続きを経て外国人を雇用するためには、各種関連法令や在留資格の内容を十分に理解する必要があります。
加えて、外国人労働者が持つビザの種類や条件に基づいて適切な業務を提供することが法律的にも求められます。この確認を怠ると、意図せず法律違反を犯してしまうリスクが高まります。そのため、企業は常に最新情報を保ちながら、外国人労働者の在留資格についての知識を深める努力が重要です。
就労ビザにはどんな種類がある?!
就労ビザは現在19種類の在留資格ですが、具体的には以下の通りです。
それぞれの在留資格の詳細は以下で説明します。
技術・人文知識・国際業務
最もポピュラーな就労ビザが在留資格「技術・人文知識・国際業務」です。
この在留資格は、それぞれの頭文字から「技人国(ギジンコク)」とも呼ばれ、大まかに言うと、エンジニアやオフィスワーカーとして働く場合に必要な在留資格です。
法令的に業務内容の要件は、「自然科学や人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務、又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務」とされております。
1種類の在留資格ではありますが、「技術」「人文知識」「国際業務」と3つの異なる分野での就労予定者を対象としており、それぞれどのような業務に従事できるかも異なります。
以下にそれぞれの業務内容の定義や職種の具体例をあげていきます。
また、「技術・人文知識・国際業務」の詳しい規則や取得方法については弊社で動画を作成しましたのでぜひご覧ください。
技術
理学、工学その他の自然科学の分野に属する技術もしくは知識を有する業務
具体例:機械設計や回路設計などに従事する機電系エンジニアや、アプリケーションやシステムなどを開発するシステムエンジニア、プログラマー、情報セキュリティエンジニア、など
また、これらの職種には、基本的な技術力だけでなく、プロジェクト管理やチームでの協働能力も求められます。さらに、近年ではAIやビッグデータ関連の技術に携わる職種も増えており、データサイエンティストや機械学習エンジニアとしての需要も高まっています。
人文知識
法律学、経済学、社会学その他人文科学の分野に属する技術もしくは知識を要する業務
具体例:企画、営業、マーケティング、広報、経理、人事、法務、総務、コンサルティング、商品開発、など
これらの職種では、特に高いコミュニケーション能力や分析力が求められます。外国人労働者は、多様な文化的背景や視点を持っているため、国際的なビジネスシーンにおいて重要な役割を果たします。また、特に企業のグローバルな展開においては、海外市場の調査や戦略立案を担当することが多くなります。このため、外国人材を活用することで、新たなビジネスチャンスを見出す可能性が広がります。
国際業務
外国の文化に基盤を有する思考もしくは感受性を必要とする業務
※単に外国人であるだけではなく、日本国内の文化の中では身につかない思考・感受性に基づく一定の専門的業務である必要があります
具体例:翻訳、通訳、語学の指導、海外取引業務、デザイナー、貿易、通訳が主業務のホテルマン、など
国際業務に携わる外国人労働者は、その専門知識や異文化理解を通じて、日本企業の国際的なビジネス展開に寄与します。特に、海外の市場動向や消費者のニーズを理解し、適切な戦略を立てることが求められます。
技人国の在留期間は、5年、3年、1年または3ヶ月とされており、更新回数の制限がないため、更新が許可される限り永続的に在留することが可能です。
また、配偶者や子供に限り家族帯同も認められているのも特徴です。
技能実習
在留資格「技能実習」は、技能実習制度に基づき、外国人が日本の技能、技術、知を日本国内で学び、母国に持ち帰るための在留資格です。
この在留資格を有する外国人を技能実習生と呼び、彼らが従事可能な職種としては、基本的には以下の表に記載の90職種・165作業が該当してきます。
表に記載のない職種・作業であっても、「同一の作業の反復のみによって習得できるものではないこと」かつ「適切な技能実習計画を作成し、認定を得る」ことができれば、1年のみ技能実習生として日本へ呼び寄せることが可能です。
在留期間は最長5年間ですが、1年目、2-3年目、4-5年目で在留資格の区分が分かれており、それぞれ技能実習1号、2号、3号と在留資格の変更と更新が必要です。
また、技能実習は制度上、様々な登場人物(機関、団体等)やルールがあるのも特徴です。
特定技能
在留資格「特定技能」は、日本国内では充分な人手確保が難しい、特定産業分野の12分野14業種において、即戦力となる外国人労働者の雇用が可能な在留資格です。
これまで技人国の在留資格では従事できなかった、単純労働を含む作業に従事可能な就労ビザです。
特定技能は1号、2号の2つの区分がありますが、2号については1号からの移行のみで取得ができます。
それぞれの在留期間や対象分野・業種については以下の通りです。
特定技能1号
特定技能1号は以下の12分野です。
特定技能1号は「特定産業分野ごとの相当程度の知識又は経験を必要とする技能が求められる」とされているため、各分野ごとに実施される特定技能評価試験(後ほど解説)と、日本語能力試験(N4相当)に合格しなくてはなりません。
在留期間は、1年、6ヶ月、4ヶ月で、更新が可能ですが在留期間上限は「5年」となっているため、別の在留資格へ変更しない限りは帰国しなくてはなりません。また家族の帯同は認められておりません。
特定技能2号
特定技能2号は、1号からの移行が前提ですが、1号の介護分野を除く11分野が対象です。
「長年の実務経験等により身につけた熟達した技能が求められる」こととなっており、それぞれの分野によって2号移行の要件が異なります。
特定技能2号の主な特徴として、より高度な専門性が求められるため、受入れ企業は熟練した技術を持つ外国人労働者を必要とします。このため、受け入れ体制や教育環境の整備が不可欠です。
在留期間は3年、1年、6ヶ月ですが、更新回数の制限はなく、要件を満たすことで家族の帯同も可能です。特定技能2号を取得することで、外国人労働者は長期間にわたって日本での就労が可能となり、生活基盤を築くことができます。
経営・管理
在留資格「経営・管理」とは、日本において貿易その他の事業の経営を行い、又は当該事業の管理に従事する活動を行うための在留資格のことです。
大まかに言うと、外国人が日本で会社を設立したり、経営したり、管理職で仕事をするための在留資格で、業種・業態の制限がないための、役職や立場に伴う就労ビザと考えてよいでしょう。
具体的な役職例としては、
- 代表取締役や取締役
- 監査役
- 部長や支店長
- 工場長
のような事業を経営する立場や管理する立場にある役職が挙げられます。
在留期間は5年、3年、1年、6ヶ月、4ヶ月、3ヶ月で、在留期間の通算上限などは設けられていません。
また、配偶者や子供に限り家族の帯同が可能です。
この資格を取得するには、事業に必要な資本や経費を自ら負担することが求められ、また、実際に事業を運営するための施設や人員の確保が必要です。 そのため、事業計画や資金計画などを詳細に策定し、明確なビジョンを持つことが重要な要素となります。 さらに、事業を円滑に進めるためには、日本国内での法律、税制、雇用に関する理解が不可欠となります。
このように、経営・管理の在留資格は、ただ単に事業を行うための資格ではなく、日本のビジネス環境に適応し、成功を収めるための重要なステップとなります。
介護
在留資格「介護」は、介護福祉士の資格を有する外国人が、日本で介護または介護の指導を行う業務に従事するための在留資格です。
他にも介護業務に従事できる在留資格としては、特定技能、技能実習、特定活動のEPA介護福祉士候補者がありますが、大きな違いは、介護福祉士の資格を有しており、従事できる介護業務に制限がないことです。
そのため、他の介護系在留資格では就労が出来ない、訪問系の介護サービスでも就労が可能です。
在留期間は、5年、3年、1年、3ヶ月となっており、在留期間の通算上限などは設けられていません。
また、配偶者と子供に限り家族の帯同が可能です。
在留資格「介護」の取得要件は、介護福祉士の資格を有する以外にも、日本の介護事業所との雇用契約が必須であったり、報酬条件など、細かい点もあるため、是非「【在留資格「介護」とは】概要や取得要件、採用までの流れを解説」の記事もご覧ください。
その他まとめ(一覧表)
その他の就労可能な在留資格は以下の表の通りです。
以上のように、多種多様な在留資格が存在し、それぞれ特定の目的や条件に応じた活動を認めています。
在留期間は在留資格ごとに異なりますが、15日~5年などです(「外交」は外交活動を行う期間、「高度専門職2号」は無期)。
就労ビザを取得するのは難しい?
ここからは就労ビザの取得に関して、不許可事例や具体的な取得要件を見ていきましょう。
入管申請・審査が必須 | 不許可になることも
外国人を雇用するには就労ビザが必要ですが、就労ビザ取得に関しては、出入国在留管理庁への在留資格申請をしなければなりません。
基本的に申請は新規、変更(他からの切替)の2パターンですが、どちらのケースも、出入国在留管理庁による申請書類や内容等の審査が必須であり、不許可になることもあります。
ケースバイケースのため一概には言えませんが、不許可になる場合として多いのが、業務内容の関連性が認められない場合です。
出入国在留管理庁が公表している不許可事例を挙げると以下の通りです。
こちらの方は、大学などを卒業後に「技人国」の就労ビザにて不動産会社で働くために在留資格申請をしたにも関わらず、学校で専攻し学んだ科目・内容と雇用後に行う業務との関連性が認められなかったケースです。
このように、業務内容の関連性については、大学などでの専攻と業務の関連性が認められないケースが多いです。
また、その他では外国人留学生のオーバーワークや申請内容に虚偽があるなどが不許可になるケースとして多いです。
このような不許可のリスクを避けるためには、申請者は自分の専門的なスキルや学んだ内容が、希望する業務にどのように関連しているかを明確に説明することが重要です。また、企業側も申請者のバックグラウンドをしっかり確認し、適切な職務を割り当てることで、不許可を避けるためのサポートを行うべきでしょう。
就労ビザの取得条件
就労ビザの取得要件は、各在留資格によって異なります。
ここでは「技人国」と「特定技能」の在留資格を例に挙げて見ていきます。
「技人国」の場合
技人国ビザを取得するには、学歴要件を満たす必要があり、原則として以下の3パターンのどれかに当てはまる外国人とされています。
上記を満たしていなくても対象となる特例が2つあり、「一定以上の実務経験者(技術・人文知識は10年以上、国際業務は3年以上)」と「日本や母国の情報処理技術の有資格者」ですが、あまり多くはないでしょう。
加えて、業務内容要件は、前述の通り、学歴(職歴)と職務内容の関連性があることが必須です。
また、業務内容に「専門性」があることも重要な要件です。専門知識、技術を必要としないような「単純作業」は認められていません。
それ以外にも、
- 日本人と同様以上の報酬であること
- 勤務先となる企業に安定性、継続性があること
- 申請する外国人の素行が不良でないこと(オーバーワークなども素行不良)
といった要件があったりしますのでご注意ください。
「特定技能」の場合
特定技能を取得するには、以下の2つの要件を満たすことが求められます。
日本語能力試験は2種類あり、日本語能力試験(JLPT)ではN4以上、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)ではA2レベル以上の水準が必要です。上記以外の特例として、「技能実習2号を良好に修了または、技能実習3号の場合は実習計画を満了」し、「技能実習時の職種・作業内容と、特定技能1号での職種が一致」する場合、先にあげた試験に合格する必要はありません。
このように、特定技能ビザの取得は、外国人が日本での就労を希望する際に、その職務に応じたスキルと日本語能力が求められるため、事前にしっかりとした準備が不可欠です。
就労ビザの具体的な申請方法は?
ここからは就労ビザの具体的な申請方法について見ていきます。
申請を行う前に知っておくべきポイント
就労ビザの申請を行う前には、いくつかの重要なポイントを理解しておく必要があります。特に、必要な書類や申請する在留資格による条件、申請フローの具体的な手順を予め把握しておくことが重要です。これらを理解していることで、不備のない申請が可能となり、無駄な時間や労力を避けることができます。また、申請のタイミングや入管の流れについても確認し、余裕を持って手続きを進めることが成功への鍵となります。
国内在住 or 海外在住によって申請方法が異なる
前述の通り、就労ビザの申請方法は新規、変更(他からの切替)の2パターンあり、それぞれ以下のようになっています。
また、在留資格を変更をする必要がないような転職の場合は、「就労資格証明書交付申請」を行いましょう。ただし、特定技能の場合の転職は②が必要になるので注意しましょう。
また、就労ビザの申請は、例えば「技人国」では、申請受理後1ヶ月〜3ヶ月の審査期間があります。書類不備の場合は、申請受理もされず審査には進みません。
また、入社が多い時期などの前は混みあう可能性がありますので、それらも見越した早めの申請をしましょう。
①②それぞれの申請詳細については以下で見ていきましょう。
さらに、海外在住者が新規で就労ビザを申請する場合、事前に十分な準備が不可欠です。 特に必要書類の確認や、在留資格認定証明書の取得手続きは、スムーズな申請を進めるための基盤となります。 このため、企業は求職者に対して必要な情報提供を行った上で、トラブルを避ける必要があります。
このように、国内在住・海外在住による申請の違いを理解し、適切に手続きを進めることが、成功への鍵となるでしょう。
① 在留資格認定証明書交付申請
まずは「在留資格認定証明書交付申請」ですが、申請者は外国人本人も可能ですが、慣れないやり取りなどがスムーズに出来ないことも多いため、一般的には受け入れ先の企業が行うことになります。
申請のステップについては以下の通りです。
ステップ①:「在留資格認定証明書」の申請
在留資格認定証明書交付申請書と以下の必要書類を用意し、出入国在留管理庁の窓口もしくはオンラインにて申請をします。
在留資格によって必要な書類が異なるため、必ず出入国在留管理庁HPから詳細を確認するようにしましょう。
ステップ②:「在留資格認定証明書」の交付
出入国在留管理庁の審査で許可がでると、在留資格認定証明書が送付されます。
ステップ③:「在留資格認定証明書」を本人に送付
交付された証明書を海外の外国人本人に送付します。
ステップ④:外国人本人が日本大使館に査証(ビザ)を申請
本人が、送付された「在留資格認定証明書」を含めた必要書類を準備し、在外日本公館にてビザ申請を実施します。通常であれば、受理翌日から最短5営業日以内に発給されます。
ステップ⑤:来日、入国
原則、在留資格認定証明書作成日から3ヶ月以内に日本に入国しなければなりません。
この一連の流れでは、企業が外国人応募者をサポートすることで、手続きがスムーズに進むことが期待されます。また、特に海外在住の外国人にとっては、適切に指示を受けられることが重要です。企業側が積極的にサポートすることで、入国後の労働環境も整えられ、労働者の定着率向上や早期離職の防止にも寄与するでしょう。
② 在留資格変更許可申請
在留資格変更許可申請は、既に在留している外国人の雇用のため、申請は原則外国人本人が行います。
ステップについては以下の通りです。
ステップ①:「在留資格変更許可」の申請
在留資格変更許可申請書と以下の必要書類を用意し、外国人本人が、出入国在留管理庁の窓口もしくはオンラインにて申請をします。
- 在留資格変更許可申請書 1通
- 写真(縦4cm×横3cm)1葉(申請書に添付して提出)
- パスポート及び在留カード 提示
- 日本の活動内容に応じた資料や証明書
こちらも変更する在留資格によって書類が違ってくるため、必ず出入国在留管理庁HPで確認しましょう。
ステップ②:結果ハガキ(通知書)が届く
出入国管理庁から許可が降りると、本人宛にハガキ(通知書)が届きます。
ステップ③:新しい在留カードの発行手続き
外国人本人が、届いた通知ハガキと必要書類(申請受付表・パスポート・在留カード・手数料納付書としての4,000円の収入印紙)を出入国在留管理庁へ持参し、新しい在留カードの発行手続きをします。その場で新しい在留カードを受け取ることができます。
就労ビザ取得後、一定期間ごとの更新が必須
一度就労ビザを取得したら終わりではなく、就労ビザには在留期限(=在留資格の有効期間) があるため、一定期間ごとに更新をする必要があります。この手続きのことを「在留期間更新許可申請」と呼びます。
もしこれらを忘れてしまうと、オーバーステイとして不法滞在者(犯罪)扱いになってしまい、雇用側も法的責任(不法就労助長罪)が問われる場合があるため、忘れずに対応をしましょう。
申請は、原則外国人本人が行い、6ヶ月以上の在留期間を有する外国人は、在留期限の3ヶ月前から最寄りの出入国在留管理庁にて可能で、費用は4,000円かかります。
また、更新申請の際には、これまでの就労内容や勤務状況に加えて、今後の就労計画についても提出することが求められることがあります。企業側としても、労働者の在留資格更新手続きのサポートを行うことが、外国人労働者の安定的な雇用や定着に寄与するため、重要な役割となります。
適切なタイミングで必要な書類を準備し、迅速に手続きを進めることが、双方にとってスムーズな運営を促進するでしょう。
就労ビザ取得者はアルバイトや副業が可能?!
就労ビザを持っている外国人は、アルバイトや副業はできるのでしょうか?
結論、可能ですが在留資格次第です。
基本的に、本人が有している就労ビザ(在留資格)が「特定技能」「技能実習」などの副業NGな在留資格でなければ、その在留資格で認められている活動範囲内であれば副業やアルバイトは禁止されていません。
また、有している在留資格で認められていない業務でも、「資格外活動許可(個別許可)」が取得できれば可能になります。
と、なっています。
もちろん、本業に支障がない時間や場所での範囲外しか認められず、本業の勤務先にも許可を取っておく必要があります。就労ビザ外国人の副業、アルバイトについては「就労ビザで働く外国人は副業やアルバイト可能?条件や注意点を解説!」の記事をご覧ください。
また、就労ビザを持つ外国人を派遣社員での間接雇用も可能で、この場合、雇用主は派遣元の会社となります。
ただし、以下のような禁止事項があるのでご注意ください。
- 派遣労働が禁止されている業務を行わせることはできない
- 派遣業許可がある派遣会社から受け入れなければならない
- 在留資格で認められている活用範囲外の業務はさせられない
特に、アルバイトや副業を考える外国人労働者にとって、それぞれの在留資格がどのような条件のもとで活動できるのかを把握しておくことが、法律を守る上で必要不可欠です。
就労ビザを持つ外国人を採用するには?
ここからは、実際に就労ビザを持っている外国人を採用するための具体的な手法について見ていきましょう。
なお、弊社外国人スタッフに外国人求職者を採用するためにどのようなことを工夫したらいいか伺いましたので、こちらの動画も併せてご覧ください。
求人サイトや自社サイトによる募集
まずは、求人サイトや自社サイトへ求人情報を掲載し募集する方法です。日本人雇用でも一般的な手法のため、比較的簡単に始められるでしょう。
しかし、求人サイトによって費用、応募数、応募者のレベルがバラバラであったり、自社サイトを含む無料求人サイトの場合は有料よりも工数がかかったりと、サイトの選定が難しく、かつ、希望通りの人材が確保できない場合もあります。
リファラル採用
リファラル採用は、企業の社員や外部のネットワークを通じて、求職者を紹介してもらう採用方法です。特に外国人を採用する際にも効果的で、以下のメリットがあります。
- 信頼性の高い候補者:既存社員や信頼できる人脈から紹介を受けるため、候補者の信頼性が高い。
- コスト削減:求人広告費用や人材紹介会社の手数料がかからず、採用コストを抑えられる。
- 企業文化に合った人材:紹介者が企業文化に合った人物を推薦するため、職場に適応しやすい。
一方、留意すべき点は、ビザの要件確認やリファラル制度の整備、そして文化的な配慮です。リファラル採用を上手に活用することで、効果的に外国人労働者を採用できます。
人材紹介会社の活用
最も簡単な手法としては、人材紹介会社の活用です。
紹介会社は求人票のサポートから求める人材を集め、面談の設定などをしてくれます。また、外国人材を紹介している会社は在留資格等のサポートまで行っているケースもあり安心です。
初めて外国人を雇用する企業や、できるだけ早く採用したい等の場合におすすめです。さらに、人材紹介会社は、企業のニーズに合った人材をマッチングさせるための専門知識を持っており、応募者のバックグラウンドやスキルを詳細に分析することができます。
このため、採用の手間を大幅に削減でき、業務に専念する手助けとなります。
特に言語の壁がある場合でも、専門のコンサルタントがいることで、よりスムーズにコミュニケーションを取ることができ、両者の理解を深めることが可能です。
送り出し機関には要注意
送り出し機関とは「日本で働きたい外国人を募集し、日本へ送客する外国の機関」のことです。
彼らは、日本で働きたい外国人が出国するまでの期間に日本語教育を実施したり、現地国における出国手続きを一部代行したり等、単純に人材を集客する以外の活動を行っているケースが大半です。
しかしながら、悪質な送り出し機関も多く存在しているのも実情で、外国人に高額な費用を請求したり、レベルの低い日本語教育を行ったり…など、トラブルも多いのが実情です。
送り出し機関を通して外国人を採用する際は、真っ当な機関かをしっかりと見極め
外国人雇用時の注意事項は?
ここでは就労ビザを持つ外国人を雇用した際の注意事項を見ていきましょう。
不法就労助長罪に注意する
改めてになりますが、就労不可の在留資格はもちろんですが、就労ビザを持っていたとしても在留資格ごとに従事できる業務内容が決まっています。
認められた活動範囲外の業務に従事をさせた場合は、雇用主も不法就労助長罪に問われてしまうので十分に注意しましょう。
就労ビザ取得時に出入国在留管理庁の審査で不許可になるのであれば罪には問われませんが、「バレないから大丈夫だろう」と、許可を取るうえで虚偽の申請をしたり、許可を受けた範囲を超える業務をさせるなどは、後々取り返しのつかないことになる可能性があります。
また、受け入れ企業側が不法就労の事実を知らなかったとしても、確認を怠ったなどの過失がある場合も処罰の対象になるため、外国人を雇用する際は、在留資格の確認には細心の注意を払いましょう。
大手人材会社PASONAが運営する「企業法務ナビ」のニュースでも以下のような飲食店での不法就労助長罪の記事が取り上げられています。
▶企業法務ナビ|調理の在留資格ない外国人を違法に働かせた疑い、「ジャパンチキンフードサービス」社長ら逮捕
人材不足だからといって、不法就労をさせることのないように気をつけましょう。
早期離職の防止及び定着施策への投資
ここまでみてきた通り、外国人雇用には様々な手続きを経て、初めて雇用することができます。特に、内定から入社まで時間のかかるケースもあったりするため、時間と費用を日本人と比較すると多く消費します。
よくあるのが、苦労してやっと入社したと思いきや、3-6ヶ月で早期退職に至ってしまうケースです。これは、転職に対するネガティブなイメージがない等、文化的な背景も相まって、結構頻発します。
実際に、新卒で入社した会社を6ヶ月で辞め、弊社に転職してくる外国人従業員もいます。
話を聞くと「面接時に聞いていた業務内容と入社後の業務内容が異なる」、「外国人だけ明らかに給与・待遇面で差別されている」、「単純作業ばかりでキャリアプランを描けない」など、辞めて然るべき理由ばかりです。
外国人雇用に取り組まれる企業様については、しっかりと受け入れ体制を築いた上で定着施策に投資をするという、極めて当たり前な考え方を取り入れ、実践していく必要があると言えるでしょう。
まとめ
今回は就労ビザについてでしたが、いかがでしたでしょうか。一括りに「就労ビザ」と言っても、在留資格ごとに活動内容が制限されています。
これから外国人採用を検討する場合は、専門家や外国人専門の紹介会社などに相談することをおすすめします。
当社は外国人労働者の採用から定着率の向上まで支援すべく、人材紹介サービスや受け入れ体制構築支援などを企業様に提供しております。
もしご興味ありましたら、お気軽にご相談ください。