介護福祉士資格を有し、日本語能力も高いことから注目を集めている在留資格「介護」(介護ビザ)。本記事では、介護施設で働ける4つの在留資格を比較しながら、在留資格「介護」(介護ビザ)の特徴や取得要件、メリット・デメリットなどを解説しています。
なお、弊社が運営するYouTubeチャンネル「ぐろーばる採用TV」でも解説していますので、ぜひ併せてご覧ください!
外国人労働者が取得する「在留資格(ビザ)」とは?
まず、大前提として、外国人は誰でも雇用可能なわけではありません。
特に、外国人が日本で働くには、就労が認められている「在留資格」を取得する必要があり、就労可能な在留資格を有していない外国人を雇用したり、在留資格ごとに認められた範囲外の活動を行わせていると「不法就労助長罪」として、受け入れ企業の経営者が摘発されてしまうこともあります。
この「在留資格」は、出入国在留管理庁へ在留資格ごとに必要な書類を作成及び届出することにより取得が可能で、2024年12月現在において29種類存在しています。

ざっくりとですが、就労制限の有無によって大きく以下の3つのカテゴリーに分類することが可能です。
- 就労制限のない在留資格:永住者や定住者など
- 就労制限のある在留資格:技術・人文知識・国際業務や経営・管理
- 就労不可の在留資格:留学や短期滞在など
ここまで見てきたように、もし外国人を採用したいとなった場合、「どんな業務を外国人材に任せるのか」「その業務を実施できるのはどんな在留資格を持っている外国人か」を事前に把握しておくことが必須です。
在留資格については、「在留資格ってなに?ビザとの違いや取得方法、29種類まとめて解説!」もぜひ併せてご覧ください!
介護施設で働ける在留資格は4つ
では、この29種類の在留資格の中から、介護施設で働ける在留資格は具体的にどれなのでしょうか?
結論、以下の4つの在留資格のうち、いずれかを持っている方が、介護施設で就労可能となっています。

各在留資格の特徴について見ていきましょう。
なお、こちらの「外国人介護士の採用方法!4つの在留資格ごとのメリット・デメリット総まとめ」でも詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください!
在留資格「技能実習」
技能実習制度は、開発途上国からの人材を受け入れ、技能移転を通じて相手国の発展に寄与することを目的としています。
実習生は現地の送り出し機関で約6ヶ月の日本語学習後に来日し、受け入れ後は監理団体が労使間のサポートを行います(監理費が必要)。
在留期間は最長5年で、給与は日本人職員と同等以上が必要で、主な業務は身支度・移動・食事・入浴・排せつの介助、機能訓練の補助などです(訪問介護は不可)。
配属後6ヶ月は人員配置基準に含まれません。注目すべき点として、技能実習2号または3号修了後は次に説明する特定技能への移行が可能で、最長10年まで就労できます。
技能実習制度については、「技能実習生って問題だらけ?制度や受け入れ方法について徹底解説!」の記事も併せてご覧ください。
在留資格「特定技能」
特定技能は、2019年4月に国内の人手不足解消を目的として創設されました。
特に介護業界では2040年までに69万人もの人材が不足すると推計されています。こうした中、介護業界での人手不足解消に向けて、「特定技能」制度が密かに注目を集めているのです。
技能実習とは異なり、国内在住者も募集できるため人材確保がスムーズで、一定の日本語・技能試験合格が条件となるため即戦力として期待できます。
在留期間は最長5年ですが、介護福祉士資格を取得することで在留資格「介護」への変更が可能です。正社員での雇用が必須で、日本人と同等以上の給与が必要で、受け入れ後は支援業務を実施する必要があります。業務範囲は入浴・食事・排泄などの身体介護に加え、レクリエーションや機能訓練の補助も可能で、介護保険3施設やグループホームなどで働けます(訪問介護は除く)。
特筆すべき点として、配属直後から人員配置基準に含められ、夜勤も含めて日本人とほぼ同等の働き方ができることが大きな特徴となっています。
介護業界での特定技能受け入れについては「特定技能「介護」で外国人を雇用しよう!他の介護ビザとの比較、業務内容や採用方法・試験などについて徹底解説!」の記事でも詳しく解説しています。
EPA介護福祉士候補者
経済連携協定(EPA)に基づく介護福祉士候補者制度は、インドネシア・フィリピン・ベトナムの3カ国から介護人材を受け入れることが可能になっています。
候補者は母国で介護や看護課程を修了しており、入国前後で日本語研修を受講するため、技能実習生より高いスキルを持っているケースがあります。
3年以上の就労・研修後、4年目に介護福祉士試験を受験し、合格すれば無期限での滞在が可能です(不合格の場合は1年の猶予後に帰国)。
給与は日本人と同等以上が保証され、介護施設での身体介助を中心に、介護保険施設やグループホームなどで働けますが、訪問介護は介護福祉士資格取得後でないと従事できません。
なお、受け入れ手続きは公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)のみとなっています。
EPA制度を活用した外国人材の受け入れについては「【EPA制度とは】概要やメリット、制度を利用した外国人労働者の受け入れ方も解説」の記事でも詳しく解説していますので、ぜひあわせてご覧ください。
在留資格「介護」
在留資格「介護」はよく「介護ビザ」とも呼ばれています。
2017年9月に創設され、介護福祉士の有資格者が取得できる在留資格となっています。
在留期間の制限がなかったり、家族の呼び寄せができる等、今まで紹介してきた在留資格とは異なる点が多々あるので、次の項ではより詳しくご紹介できればと思います。
在留資格「介護(介護ビザ)」とは?
在留資格「介護」とは、本邦の公私の機関との契約に基づいて、介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動を行うための在留資格です。
2021年12月末時点で、国内で在留資格「介護」を取得している外国人は3,794人となっています。(参考:出入国在留管理庁「令和3年末現在における在留外国人数について」)
従事できる業務・仕事内容は?
従事できる具体的な業務としては、以下のようなものが中心となっています。
- 介護者の体に直接触れて行う「身体介助」
- 家事全般の手伝いを実施する「生活援助」
- 要介護者家族への介護指導や介護用具の使用方法の説明
これらの業務を特別養護老人ホームや有料老人ホーム、介護療養型医療施設などにおいて、実施していくことになります。
また、就労可能なサービス種別に関しても制限がないため、デイサービス・訪問系など関係なく、全ての介護施設において就労が可能となっています。また、介護ビザでは、いつでも他の介護施設へ転職することが可能です。
求められる技術と日本語能力は?
在留資格「介護」は、介護福祉士国家試験の合格者が対象となるため、技術レベルはかなり高いでしょう。
また、介護福祉士国家試験を受験するには、介護福祉士養成校卒業もしくは介護の実務経験が3年以上必要なため、日本語能力はN2レベル以上と高い言語能力を有しています(介護福祉士養成校の入学には、N2以上が必要です) 。
そのため、在留資格「介護」を持っている外国人材は、介護施設で働ける4つの在留資格の中で、最も介護技術のレベル・日本語能力が高い方であると言えます。
家族の呼び寄せができる?
在留資格「介護」は家族帯同も可能です。
在留資格「介護」で働く外国人労働者は、配偶者や子供を在留資格「家族滞在」にて、日本に呼び寄せることができます。
ただし外国人労働者本人や配偶者の両親、兄弟、親せきなどは基本的に呼び寄せることができない点には留意しておきましょう。
在留期間の制限がなくなる?
在留資格「介護」の在留期間としては、以下のいずれかになります。
- 5年
- 3年
- 1年
- 3か月
上記のうちどの在留期間になるかは、申請人である外国人労働者や、雇用企業側が任意で設定できるわけではありません。在留資格の申請時に出入国在留管理庁が審査を行い、決定することになります。
ただ、在留資格「介護」は在留期間の上限が設けられていませんので、上記在留期間が満了する直前に在留期間の更新手続きをすれば、長期的に就業することが可能となります。
将来的には介護ビザから永住権の申請も可能になる?
実は、介護ビザで5年以上働き、10年以上日本に滞在すると、永住権を申請することができます。
永住許可がなされれば、就労制限が一切なくなるので、介護以外の職にも転職することができるようになります。
社会的信用も大きく向上し、住宅ローンや審査が降りやすくなったりしますので、外国人側にとってはかなり大きなメリットがあると言えるでしょう。
在留資格「介護」の取得要件
他の在留資格と同様、介護ビザについても、取得するための要件が設定されています。この要件を満たさずに出入国在留管理庁へビザ申請をしても、基本的には不許可になってしまいます。
また、一度介護ビザの許可を受けた外国人材を採用したとしても、入社後に任せている業務内容が、介護福祉士としての業務が含まれていない場合、当然在留資格の取り消し処分を受けてしまうので、企業様もご注意ください。
要件①:介護福祉士の資格を有していること
まず挙げられるのは介護福祉士の資格を有していることです。
在留資格「介護」を取得する外国人労働者の多くは、在留資格「留学」で来日し、介護福祉士養成校に通って介護福祉士の資格を取得するという流れが多くなっています。
以前は在留資格を取得するための介護福祉士の資格取得ルートが決められていましたが、2020年4月以降、介護福祉士の資格取得ルートは問われないようになりました。
要件②:日本の企業(介護事業所)と雇用契約を結んでいること
二つ目の要件は日本の企業(介護事業所)と雇用契約を結んでいるということです。
いくら介護福祉士の資格を取得しても、その後日本の介護事業所ではない企業と雇用契約を締結した場合、在留資格は取得できません。
要件③:業務内容が介護もしくは介護の指導であること
業務内容が介護、もしくは介護の指導であることも要件として挙げられます。
つまり介護福祉士として業務に従事するかどうかが問われるわけです。
要件④:日本人と同等以上の報酬を受けること
最後の要件は日本人と同等以上の報酬を受けることです。
もし外国籍であることを理由に、同じ介護福祉士として就業している日本人従業員よりも報酬が低い場合は、在留資格の取得はできません。

在留資格「介護(介護ビザ)」の申請・入社までの流れ
最後に在留資格「介護」の取得申請の流れなどについて確認していきましょう。
手続きの流れ
まずは在留資格「介護」を取得するまでの流れからお話していきます。
ステップ①:介護福祉士の資格取得
留学中に介護福祉士の試験を受験し、資格を取得する必要があります。
この資格を取得するまでに、留学や技能実習、特定技能など、他の在留資格で日本に滞在しつつ、資格取得へ向けて学業へ励む方が大半になります。
ステップ②:就職活動
介護福祉士の資格取得後、日本の介護事業所への就職を目指し、就職活動を実施します。
すでに技能実習や特定技能で就労している事業所へそのまま就職する場合は、このステップは省略されることとなります。
ステップ③:在留資格変更許可申請の実施
日本の介護事業所への就職が確定後、出入国在留管理庁にて在留資格「介護」への変更手続きを実施します。
在留資格変更許可申請に必要な書類は後ほど触れます。
ステップ④:在留資格変更が許可された後、就業開始
在留資格変更許可申請が無事通れば、在留資格「介護」が取得でき、就業開始となります。
取得申請に必要な書類
在留資格「介護」の在留資格変更許可申請に必要な書類は以下の通りです。
- 在留資格変更許可申請書
- 写真
- パスポート及び在留カードの提示
- 介護福祉士登録証の写し
- 労働者に交付される労働条件を明示する文書
- 派遣契約に基づいて就労する場合、労働条件通知書
- 契約機関の概要を明らかにする次のいずれかの文書
①勤務先などの沿革、役員、組織、事業内容などが詳細に記載された案内書
②その他勤務先などの作成した①に準ずる文書 - 技能移転に係る申告書(技能実習からの変更の場合)
詳しくはこちらの出入国在留管理庁のページをご確認ください。
更新の手続き
在留期間を更新する場合、在留期間更新許可申請を実施しなければなりません。
在留資格更新許可申請の流れとしては
- 必要書類を準備
- 出入国在留管理庁にて在留期間更新許可申請を実施
- 申請が許可されれば更新
となります。
在留期間更新許可申請に必要な書類については、こちらの出入国在留管理庁のページを併せてご確認ください。
在留資格「介護」のメリット・デメリット
ここまで在留資格「介護」について見てきましたが、介護施設様が採用する際のメリットとデメリットをまとめておきましょう。
メリットは?
これらの違いから在留資格「介護」のメリットをまとめると、以下のようになるでしょう。
- メリット①:介護に関して業務内容に制限がない(訪問介護も可能)
- メリット②:有資格者であるため、専門的な知見を有している
- メリット③:更新手続きさえ実施すれば、永続的に雇用できる
- メリット④:日本語能力も比較的高め
上記のため、在留資格「介護」取得者を雇用したいと希望される介護施設様も多いかと思います。
デメリットもある?
一方で、大きなデメリットもあります。
冒頭に記載した通り、令和3年末時点で日本国内に約3,000人程度しか在留資格「介護」取得者が存在しないということも事実です。このため、在留資格「介護」取得者に絞った募集活動をする場合、募集活動期間が長期化する可能性が大いにあるという点は留意しておくべきでしょう。
加えて、これだけ技術及び日本語能力の高いとなると、どの介護施設からも引く手数多だと思いますので、募集する際の条件についても考慮する必要があるでしょう。
特定技能から在留資格「介護」へ切り替えるパターンが多い?
実際に人材募集をする際には、募集難易度の高さからか、在留資格「介護」の有資格者に絞った採用活動をされている介護施設様は、ほとんどないというのが筆者の印象です。
逆に、技能実習や特定技能など、他の在留資格で受け入れたのち、介護福祉士合格を目指して育成していく介護施設様の方が圧倒的に多いと感じていますし、現実的です。
実際に、弊社がご支援している介護施設様では、技能実習生から雇用し、途中特定技能に切り替えたのち、在留資格「介護」へ切り替えていらっしゃるケースも多々あります(「【事例インタビュー】神戸の介護施設で80名の外国人雇用 | やすらぎ福祉会 春日様」から記事形式でもインタビューをご覧にいただけます)。
ただ、技能実習は廃止が確定している上、「国外呼び寄せしかできないため、就労開始まで時間がかかる」「日本語能力が低く、基本的には新卒同様の介護未経験者」というデメリットがあります。
実際に、技能実習ではなく特定技能へ一本化される介護・病院施設様は増えている印象です。以下は、弊社が実際にご支援している医療法人様で、看護助手として特定技能外国人を雇用されているケースですが、将来を見据えて、特定技能人材に絞った形で、採用に動いていらっしゃいます。
▶︎【技能実習から特定技のへ】医療現場における外国人材活用|40名を超える多国籍チームの実態とは?!
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まとめ
今回は在留資格「介護」について、詳しく解説してきましたが、いかがでしたか。
当社は在留資格「介護」を含め、様々な職種の外国人労働者の採用を支援しております。
人材紹介サービスだけでなく、受け入れ体制の構築支援や受け入れ後の定着率向上のためのコンサルテーションなど、外国人労働者の活用に関して幅広いサポートを実施しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
