埼玉県を中心に展開する社会福祉法人永寿荘。2019年に初めて外国人を採用しています。その後も技能実習生や養成校に通っていた外国人を採用し、最近では特定技能外国人を弊社より5名採用いただきました。
介護業界での外国人採用を始めた背景や、外国人と一緒に働いている現状などについて永嶋理事長にお伺いさせていただきました。
なお、今回のインタビューについては、YouTubeでもご覧いただけます。ぜひご覧ください。また、外国人雇用をご検討中の企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ。
海外渡航を機に介護業界外国人材採用のパイオニアに

ーーーまず最初に貴社の事業概要についてお伺いできますか?
永嶋理事長:
社会福祉法人永寿荘の永嶋正史と申します。弊社は2002年に創業し、現在では特別養護老人ホーム、デイサービスセンター、認可保育園の運営、障がい福祉、放課後デイサービス、就労継続支援A型・B型といった事業を行っており、介護、保育、そして障がい福祉の三つの事業を柱に運営しております。
現在の職員数はおよそ600名、事業規模としては31億円程度となっております。施設数は特別養護老人ホームが4ヶ所、デイサービスも4ヶ所、認可保育園が5園です。その他にも細かい事業が多数あります。
ーーー永嶋理事長のご経歴ついてお伺いできますか?
永嶋理事長:
学生時代はほとんど勉強せず、アメリカンフットボールというスポーツに打ち込んでいました。学校卒業後は、株式会社ダイエーという全国にスーパーマーケットを展開している会社に入社し、そこで約6年の経験を積みました。ダイエーでは店舗勤務はもちろん、中内功さんという創業者の秘書室での経験もあり、それが現在の会社の事業運営にも活かされていると考えております。
その後、2000年頃から現在の永寿荘の設立準備室の責任者として、法人の立ち上げと施設の開設に携わりました。2002年に法人が設立され、当初は老人ホームの施設長として始まりましたが、現在は理事長として法人全体、グループ全体を統括する立場に就いております。
ーーー外国人の方はどのくらいいらっしゃいますか?
永嶋理事長:
現在、外国人は38名おります。東南アジア系の方々も含め、英語教室も運営しているため、米国籍の方も3名在籍しており、合計で38名という状況です。
今月に関しては、技能実習生としてミャンマーの方が12名入職しました。また、4月からは介護の養成校に通いながら働く方が複数名入職する予定です。そのため、ある施設ではこれ以上外国人が増えるのは難しいと感じる一方、まだ受け入れに余裕がある施設もあるという状況です。
最初に入職してくれた5年以上前の方々は、入社時から日本語のレベルが高かったです。スリランカの方は、もうすぐリーダー業務を担当できるのではないかと考えています。その方は実務者研修も受講しており、介護福祉士の養成校も卒業しているため、そのまま継続的に在留することが可能です。
ーーー働いている方の国籍と今後の方針を教えてください
永嶋理事長:
現在はミャンマーの方が12名入職したため、ミャンマー国籍の方が最も多くなっています。次いでスリランカやネパール、ベトナムの方が7名ほど、中国の方も5~6名在籍しています。
直近では、技能実習生が10名以上入職し、受け入れ側もさまざまな準備が必要でした。費用面でも生活用品だけで1人あたり20万円ほどかかり、それに加えて渡航費やその他の経費もあるため、かなりの費用になっています。そのため、特定技能での採用の方がスムーズではないかと考えています。
ーーー今は特定技能の方がどんどん増えていってる感じですか?
永嶋理事長:
そうですね。今回は短期間で一気に5人採用させていただいたので、そこだけを見ると、おそらく最も多いルートになります。養成校の留学生は年に1回、4月入職のみですので、その場合でも2~3人程度です。そのため、数ヶ月で5人という点では、比率としてはかなり高くなってくると思います。
ーーー外国人雇用自体はいつ頃からスタートされたのですか?
永嶋理事長:
おそらく2019年の春にスリランカの方を採用したのが最初だと思います。きっかけは(中村社長と)一緒にベトナムに行ったことです。ベトナムでは技能実習が制度化されるという話になっていました。他社が後ろ向きな姿勢を示す中、逆に私たちは前向きに取り組んだ方がよいのではないか、これから外国人の方と一緒に働くことは普通になるだろうと考え、技能実習生の受け入れも並行して進めました。また、ちょうどその頃、養成校の留学生についての話が当社にあり、面接会に参加したことも大きな進展につながったと思います。
利用者はもちろんですが、一緒に働く人たちの受け入れ態勢がどうであるかということが非常に重要だと考えています。そこに感覚のズレがあると、おそらく円滑に協働することはできないでしょう。実は最初にスリランカの方を採用する前の段階で、「今羽の森」という施設において、ご結婚されて日本国籍を取得された元フィリピン国籍の方が1人いらっしゃいました。その方が本当の意味での外国人雇用のスタートだったと言えます。
その時、同じ介護職のスタッフたちが、その方のために自主的にひらがなのマニュアルなどを作成してくれました。私たちが想像していた以上に、現場のスタッフはより柔軟に共に働くことを考えてくれていると感じました。これなら技能実習生も養成校の留学生の方々も一緒に仕事ができるのではないかと思ったことが、外国人雇用を拡大する大きな要因になったと考えています。
利用者さんからのクレームも一切上がってこない

ーーー御社でも人材紹介のビジネスをされていますか?
永嶋理事長:
基本的には介護施設向けに日本人の方の紹介を行っています。
人材紹介事業を展開していますが、介護、医療、そして福祉という領域に特化した人材の紹介に注力しています。様々な人材紹介会社がある中で、当社の特徴は対面でのしっかりとしたヒアリングと、面接等にも同行するという点です。よくある事例として、FAX1枚のやり取りだけで求職者も求人者も会社の担当者と一度も会ったことがないというケースがありますが、当社ではそのようなことは一切ありません。
また、初任者研修と実務者研修の講座も提供していますので、きちんと教育された人材をご紹介できると考えています。
当初は自社の採用がしやすくなればという思いがありましたが、介護業界では人材を採用できなかったり、採用活動自体を行えていない会社も多いため、そうした企業の手助けになればという両面から事業を展開しています。
ーーーエージェントとは複数社とお付き合いされていますか?
永嶋理事長:
特定技能についてはジンザイベースさんだけです。技能実習の方も1社だけということで、あまり浮気はしないタイプです。
貴社の中村社長とは実は以前から面識があります。そういった点で信頼できるというのが大きな要因だと思います。
ーーー利用者さんからの反応やがっかりされたことは何かありますか?
永嶋理事長:
何らかのクレームは一切上がってきていません。大きなトラブルは本当に聞いたことがありません。この5〜6年間、外国人の方々と一緒に仕事をしてきましたが、そのような話は本当にないですね。
日本のラーメンを喜んで食べるだろうと思って、みんなを連れて行ったのですが、「甘い」と言ってあまり食べなかったということはありました。これにはちょっとがっかりしましたね笑。
ーーー今後の展開についてどのようにお考えですか?
永嶋理事長:
老人ホームを新設するという計画は現在のところありませんが、今後は基本的に在宅介護を拡充していきたいと考えています。そういう意味では、外国人労働者の受け入れルートが緩和されてきたことは、かなりの追い風ではないかと思います。
今度、外国人スタッフが30名を超えたので、外国人の方々だけを集めた社内イベントを開催しようと考えています。それぞれあまり交流がない場合もあるため、当法人でどのような人が働いているのかを、国籍に関係なく、みんなで集まってイベントを行うことを検討しています。
ーーー最後に人手不足にお困りの企業様に一言あればお願いいたします!
永嶋理事長:
ジンザイベースさんには本当にお世話になっています。「即戦力」という言い方はあまり好きではないのですが、すぐに現場にフィットできる方をご紹介いただいているという点では、非常にありがたく思っています。ジンザイベースさんはスピーディーに対応してくださっていると感じますので、信頼できるパートナーだと思います。
まだまだ業界としては外国人労働者の方に対して前向きではないと聞いていますが、ぜひそうした一歩を踏み出していただければ、新しい領域で事業もうまく回り始めるのではないかと感じています。
ーーーありがとうございました!
編集後記
今回は、社会福祉法人永寿荘の永嶋理事長にお伺いしてきました。介護業界では結構早い段階での外国人採用をし今では従業員の5.6%が外国人従業員。今回は技能実習制度廃止に伴い特定技能の採用に踏み出しました。もし、人手不足でお困りの企業様いらっしゃいましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。
