不法就労助長罪とは?経営者が知るべき罰則・注意すべきポイントを徹底解説します!

絶対に知っておくべき「不法就労助長罪」の基礎知識

まずはじめに、不法就労や不法就労助長罪の基礎知識を整理しておきましょう。

不法就労の定義と現状

不法就労とは、本来就労が認められていない外国人が業務に従事することです。

そもそも就労が認められていない在留資格で就労した場合や、在留資格で許可された範囲を超えた活動に従事するなど、違法な状態で就労することを指します。

近年外国人労働者の人数が増加する中で、意図的に不法就労を目論む外国人労働者も残念ながら一定数存在しているのです。以下は警視庁が公表するデータですが、令和5年においては、不法就労助長罪の検挙件数が278件あり、検挙件数の中では最も多くなっています。

警視庁_犯罪インフラ事犯_検挙状況の推移(令和5年)
出典|警視庁:犯罪インフラ事犯 検挙状況の推移(令和5年)

以下のデータは、出入国在留管理庁が公表する不法残留者数(オーバーステイ)の推移となっています。

出入国在留管理庁_不法残留者数の推移(令和6年)
出典|出入国在留管理庁HP:本邦における不法残留者数について(令和6年)

一時期よりもだいぶ減ってはいますが、令和6年時点でもまだ約7万人もの不法残留者が存在します。

出入国在留管理庁_在留資格別 不法残留者の構成比(令和6年)
出典|出入国在留管理庁:本邦における不法残留者数について(令和6年)

在留資格別でみた時には、「短期滞在」や「技能実習」、「特定活動」といった在留資格を有する方の不法残留者が多いことが伺えます。

こういった在留資格を有する方が自社の採用面接に来た際には、オーバーステイの可能性もあり、不法就労を希望している可能性がある点はよく留意しておきましょう。

そもそも、在留資格って何?という方は、「【在留資格とは】種類や取得要件、ビザとの違いなどを簡単解説」の記事で基本的な概要をご確認いただけますので、ぜひご覧ください。

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不法就労助長罪に問われる4つのパターン

不法就労助長罪とは、不法滞在者を雇用したり、許可された範囲外の業務に従事させたりした場合に問われるものです。

不法就労助長罪はその事実を仮に知らなかったとしても、適用されることになります。つまり、先にあげた不法就労に該当してしまった外国人のみならず、その外国人を雇用した企業にも罰則・罰金が課されてしまうということです。

また、ただ単に自社で雇用するだけでなく、不法滞在者などに業務発注した場合も不法就労助長罪に該当する点は注意が必要でしょう。

以下、よく摘発されるケースを4つほどご紹介します。

①不法滞在者の雇用

一つ目のケースは不法滞在者の就労です。

不法滞在者とは、以下のような「在留資格を持たない外国人」を指します。

  • 密入国や偽造した在留資格(ビザ)で不正に入国した外国人
  • 在留期限が切れてもそのまま日本に滞在している外国人(オーバーステイ)
  • 退去強制命令を受けている外国人(被退去強制者)

特に注意が必要なのは、正規の在留資格を持っていた外国人が在留期限切れとなるケースです。在留期間の更新を怠っていると、それまで適法に就労していた外国人でも不法滞在者となってしまいます。

そのため、新たに受け入れ予定の外国人だけではなく、すでに雇用している外国人従業員の在留カードを定期的にチェックし、在留期限を把握する必要があります。特に在留期限が近づいている従業員については、更新手続きが適切に行われているか確認することが重要です。

②就労資格のない外国人の雇用

就労が認められていない在留資格者を雇用してしまうと、不法就労助長罪が適用されてしまいます。

現在、29種類の在留資格が日本国では認められておりますが、以下の在留資格では基本的に就労が認められておりません。

  • 短期滞在(観光やビジネス目的の滞在)
  • 文化活動
  • 留学
  • 家族滞在

そのため、上記の外国人をフルタイムで雇用することは難しいという点は理解しておきましょう。

ただし、留学や家族滞在などの在留資格では、「資格外活動許可」を出入国在管理庁から受けている場合、例外的に週28時間までの就労が可能になります。

面接に来た外国人が就労が認められているのか、そうではないのか、また資格外活動許可の有無等をしっかりと確認する必要があるといえるでしょう。

資格外活動許可については、「【在留資格における資格外活動許可とは】要件や申請方法などをわかりやすく解説」の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

③在留資格外の活動をさせる

就労可能な在留資格であっても、許可された活動範囲を超えた就労は違法となってしまいます。

例えば、先ほどの留学生の場合は、週28時間まで就労可能ですが、28時間以上就労させてしまうと違反となってしまいます。

「技術・人文知識・国際業務」の資格で雇用した外国人を、その専門性とは無関係の作業に従事させることも、在留資格外の活動となってしまいます。

ただし、すべての在留資格に厳格な制限があるわけではありません。「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」などの在留資格については、就労活動に制限がないため、業種や職種・時間を問わず就労が可能です。

企業としては、採用時に在留資格で認められている具体的な活動範囲を確認し、予定している業務がその範囲内に収まっているかを慎重に判断する必要があります。業務内容の変更や勤務時間の調整を行う際は、必ず在留資格の活動範囲内であることを確認しましょう。

④不法滞在者等を斡旋する

最後に、見落とされがちなのが、不法滞在者等を斡旋するケースです。

受け入れ事業者のみならず、人材の斡旋事業者側も不法就労助長罪が適用される場合があります。

具体的には、在留期限が切れてしまったオーバーステイの外国人材を企業へ紹介・斡旋したり、「技能実習」の在留資格を持つ人材を他の企業へ違法に派遣するケースなどが該当します。

外国人材紹介事業を展開する企業としても、紹介する予定の人材が適切な在留資格を有しているのか、オーバーステイではないのか等、しっかりと確認する必要があるといえるでしょう。

見過ごせない不法就労助長罪の重大リスク(罰則と処罰の対象)

ここからは不法就労助長罪の罰則や処罰の対象について、詳しくみていきましょう。

弊社が運営するYouTubeチャンネル「ぐろーばる採用TV」でも解説動画をあげておりますので、ぜひ併せてご覧ください。

不法就労助長罪の罰則内容|2025年の罰則強化

現行法では、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が科されます。さらに、状況によってはその両方が科される場合もあります。

注目すべき点として、2025年6月からは不法就労助長罪の罰則が大幅に強化されることが決定しています。

新しい罰則では、5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金へと引き上げられ、これまで以上に重い処罰が課されることになります。この厳罰化の背景には、深刻化する人手不足を背景とした外国人雇用の増加に伴い、不法就労に関する問題が社会的な課題として認識されていることがあります。

実際の判例を見ると、不法就労と知りながら外国人を雇用した企業の経営者が実刑判決を受けたケースや、在留資格の確認不足による過失があったとして罰金刑に処されたケースなど、様々な処罰事例が報告されています。

一方、不法就労を行った外国人本人に対しても厳しい罰則が設けられています。

不法入国の場合は3年以下の懲役もしくは禁錮、または300万円以下の罰金が科されます。また、無許可での資格外活動に対しては1年以下の懲役もしくは禁錮、または200万円以下の罰金が定められています。さらに、不法就労が発覚した場合、在留資格の取り消しや退去強制処分などの措置も取られ、将来的な日本での就労機会を失うことにもなりかねません。

これらの罰則強化を踏まえると、企業側には今まで以上に慎重な対応が求められます。特に、外国人雇用に関する法令遵守体制の整備や、在留資格の確認手順の見直しなど、予防的な取り組みの重要性が一層高まっているといえるでしょう。

企業・経営者も罰則対象に

では、どういった場合に不法就労助長罪が成立するのか、明確な成立要件について確認しておきましょう。

出入国管理及び難民認定法(入管法)の第七十三条の二には、不法就労助長罪の成立要件として以下のような記載があります。

  1. 事業活動に関し、外国人に不法就労活動をさせた者
  2. 外国人に不法就労活動をさせるために、これを自己の支配下においた者
  3. 業として、外国人に不法就労活動をさせる行為又は前号の行為に関し斡旋した者 

この3つのいずれかに当てはまる場合、不法就労助長罪が該当してくるわけです。

繰り返しになりますが、処罰対象は「不法就労を行ってしまった外国人本人」「不法就労をさせた・斡旋した企業」が対象となります。

故意であった場合はもちろん、不法就労の事実を知らなかった場合でも、不法就労助長罪は適用されますので、要注意です。

不法就労者を雇用した法人・経営者に対しても罰則が適用される形になりますので、十分気をつけるようにしましょう。

不法就労助長罪の検挙事例

続いて不法就労助長罪の検挙事例について、ご紹介します。

ここでは警視庁が発表している「組織犯罪の情勢」から引用してご紹介していきたいと思います。

事例①:人材派遣会社が摘発された事例

“人材派遣会社社員の日本人の男らは、令和元年7月から令和2年10月にかけて、「技能実習」等の在留資格で入国したベトナム人の男女らを水産加工会社に派遣し、働かせていた。

令和2年11月までに、ベトナム人の男女らを雇用していた日本人の男5人を入管法違反(不法就労助長)で、ベトナム人が作業員として働くことを知りながら日本人の男らにあっせんしたベトナム人の男1人(不法残留)を入管法違反(不法残留、不法就労あっせん)で、作業員として働いていたベトナム人の男女5人(不法残留)を入管法違反(旅券不携帯、不法残留)で逮捕した。(引用:令和2年における組織犯罪の情勢

こちらは、人材派遣会社が「技能実習」等の在留資格を有する複数のベトナム人男女を水産加工会社へ派遣していた事例となっています。

技能実習は、一つの会社で3年、ないしは5年就労し、日本の技術や知識を母国に移転することで、経済発展に貢献することを目的とした在留資格です。そのため、研修生としての側面が強く、転職の概念がありませんので、本事例の摘発に至ってしまったといえるでしょう。

事例②:就労資格のない外国人の就労による摘発事例

“電気設備会社経営の日本人の男は、令和元年5月から同年9月にかけて、「短期滞在」の在留資格で入国した中国人の男らを電気工事作業員として働かせていた。

同年9月までに、中国人の男らを雇用していた日本人の男1人を入管法違反(不法就労助長)で、作業員として働いていた中国人の男6人(不法残留)を入管法違反(不法残留、資格外活動)で逮捕した。(引用:令和元年における組織犯罪の情勢

就労がそもそも認められていない「短期滞在」での就労という、明確な不法就労助長罪適用事例になります。

こちらも、不法就労を行なっていた中国人のみならず、受け入れ側の経営者も逮捕されてしまっております。

事例③:在留資格外の活動をさせていた事例

“日本語学校経営の日本人の男らは、平成31年4月から令和元年6月にかけて、「留学」の在留資格で入国したベトナム人の男らを、就労可能時間を超えて自らが経営する産業廃棄物処理場等で働かせていた。

令和元年11月までに、ベトナム人の男らを雇用していた日本人の男女5人を入管法違反(不法就労助長)で、作業員として働いていたベトナム人の男2人(留学)を入管法違反(無許可活動)で逮捕した。(引用:令和元年における組織犯罪の情勢

こちらは、資格外活動許可で就労可能な28時間を超えてしまった留学生の摘発事例になります。

似たような事例として、2022年にも飲食店で留学生を28時間以上就労させてしまった摘発事例もあります。(参考:朝日新聞デジタル:ラーメンチェーン「もっこす」社長を逮捕 留学生を働かせすぎた疑い - 2022年11月15日

この28時間という時間制限は、掛け持ちしているアルバイト先での就労時間も加算されますので、雇用している留学生アルバイトが、自社以外でどのくらい就労しているのかも確認する必要があります。

外国人雇用時の3つのチェックポイント・注意点

ここまで不法就労助長罪についてお話してきましたが、ここからは不法就労助長罪に該当しないためにすべきことについて、確認していきましょう。

身分・在留カードを確認する

まず挙げられるのは在留カードを確認するということです。

採用活動において面接を実施することになりますが、その際在留カードを確認することが非常に重要になります。

在留カードを確認する際のポイントとしては、在留資格の種類や就労制限の有無、在留期間等が挙げられます。

具体的には、以下の在留カードのサンプル画像の中で、①の部分が在留資格、②が就労制限の有無、③が在留期間となっております。

②で就労不可と記載がある場合は、裏面の④の部分をご覧ください。こちらに「許可:原則28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と記載があった場合は、資格外活動許可を有していることとなりますので、アルバイトとして雇用可能になります。

在留カードのサンプル画像(裏表)
出入国在留管理庁「在留カード」はどういうカード?を元にジンザイベースが作成

これらの情報を事前にしっかり確認しておくことで、本当に雇用することができるのかどうかを判断することができるでしょう。

具体的な確認方法については、こちらの法務省のYouTube動画に加え、「在留カードってパスポートと何が違う?偽造在留カードの確認方法も含めて解説!」の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

定期的な就労状況の確認(在留期限や配置転換)

在留カードやマイナンバーも確かめた上で、特に問題なく雇用し、働きだした後でも不法就労助長罪のリスクは残っています。

それは在留期間切れ配置転換時における在留資格外活動のリスクです。

外国人労働者本人はもちろんのこと、雇用している企業側も在留期間を適切に管理し、更新が必要な時期が訪れれば、更新手続きを適切に実施しなければなりません。

もしこれらを怠り、知らず知らずのうちに在留期間が切れていたとなれば、当然不法就労助長罪に問われる形になるため、在留期間の管理も徹底して行うことが重要なのです。

また、配置転換として、任せている業務内容を組み替えるケースもあるでしょう。

その際に、新しい配属先で従事予定の業務が現在の在留資格で認められている範囲かは、都度確認が必要になってきます。

不法就労助長リスクを防ぐための企業の体制づくり

最後に、外国人採用時に発生する不法就労助長のリスクを、以下に企業として防止する体制を築いていけるのかについて、触れておきます。

社内研修・教育の実施ポイント

まず重要になってくるのは、今まで解説してきた事項について、しっかりと社内に浸透させることです。

外国人雇用では、知らなかったではすまされない重大なリスクがあることをそもそも知らないという担当者があまりにも多いです。特に近年では、偽造された在留カードが多数出回っており、一般企業の人事担当者が真贋を見分けることは極めて困難になっているのも事実です。

結果として、不幸な事態につながってしまうケースは増えてきております。

そのため、経営者のみならず、人事・採用等の担当部署、受け入れた外国人材のマネジメントを担当する上長等、関係各所にしっかりと研修・教育を通じて認知させていく必要があるといえるでしょう。

外国人専門の人材紹介会社や行政書士に相談する

社内研修を実施した上で、なお不安が残る場合は、専門知識を持った外国人材紹介会社や行政書士の活用が効果的です。

外国人材紹介会社を活用することで得られる主なメリットは、在留資格の確認から各種申請手続き、就労開始後の従業員管理まで、一貫したサポートを受けられる点です。特に初めて外国人材を採用する企業にとって、法令遵守の観点から大きな安心感があります。

さらに、外国人材紹介会社は豊富な採用実績とノウハウを持っているため、業務内容や求める人材要件に最適な外国人材を紹介することが可能です。

外国人雇用に関する法令は年々厳格化しており、単独での対応にはリスクが伴います。このような状況下では、専門家のサポートを受けながら、安全かつ効率的な採用を進めることが、企業防衛の観点からも推奨されます。

まとめ

今回は不法就労助長罪をテーマにお話してきましたが、いかがでしたか。

当社は最後にご紹介した外国人労働者に特化した人材紹介サービスを提供しております。

在留資格申請のサポートや関連知識を提供させていただくことは勿論、受け入れ体制構築の支援も対応致しますので、ご興味ありましたら是非お気軽にご相談ください。

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監修者
菅原 勇人
菅原行政書士事務所代表。埼玉県熊谷市生まれ。2017年早稲田大学大学院卒業後、建材商社へ入社。主に営業として、中小中堅の建設事業者への提案に従事。就労をしながら、行政書士や宅建など法務系資格を複数取得。現在は菅原行政書士事務所の代表として、約1,000件にも及ぶ申請取次業務に携わる。行政書士(埼玉県行政書士会所属 / 第24132052)
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。2021年に株式会社ジンザイベースを創業。海外の送り出し機関を介さず、直接マッチングすることで大幅にコストを抑えた特定技能人材の紹介を実現。このシステムで日本国内外に住む外国人材と日本の企業をつなぎ、累計3000名以上のベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュ、ネパール等の人材採用に携わり、顧客企業の人手不足解決に貢献している。著書「日本人が知らない外国人労働者のひみつ(2024/12/10 白夜書房 )」
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