・在留資格「技能」とは
・「特定技能」や「技能実習」との違い
・具体的な業務や取得要件は
この記事は上記のような知識を知りたい方に向けて、在留資格「技能」の概要や従事できる業務、取得要件などをまとめて解説していきます。
在留資格「技能」の基本知識を押さえたいという方は是非一度最後までお読みください。
外国人労働者の在留資格
外国人労働者が日本で働くには、その活動に応じた在留資格を取得する必要があります。
例えば
・エンジニアとして活動するのであれば、「技術・人文知識・国際業務」
・公認会計士として活動するのであれば「法律・会計業務」
・企業の経営者として活動するのであれば「経営・管理」
といった形になるのです。
これらの在留資格のことを就労系在留資格と呼びます。
就労系在留資格とは別に、「永住者」や「定住者」に代表される身分系在留資格と呼ばれるものもあり、こちらは活動制限がないためどのような業務にでも従事することが可能です。
今回は就労系在留資格の中から、「技能」をテーマにして詳しくお話していきたいと思います。
在留資格「技能」とは
まずは在留資格「技能」の基本的な内容からお話していきます。
在留資格「技能」の概要
在留資格「技能」とは、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う産業上の特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する活動」のための在留資格です。
先述の通り就労系在留資格の一つであり、高度外国人材として扱われる専門的・技術的分野の在留資格でもあります。
2021年6月末時点で39,603人が在留しており、専門的・技術的分野の在留資格の中では「技術・人文知識・国際業務」に次ぐ人数を誇っているのです。
「技術・人文知識・国際業務」のように複数の領域を称した在留資格ではありませんが、「技能」で該当してくる職種は多岐に渡っているため、次項で詳しく説明していきます。
在留資格「技能」で従事できる業務
在留資格「技能」における産業上の特殊な分野は3つに分かれており、その上でそれぞれの分野に該当する職種が設定される形になっているのです。
具体的には以下の9つの業務に従事することが可能となっています。
【産業の分野①:外国特有の分野】
1号:外国料理の調理師
2号:外国特有の建築土木技能を有する大工
3号:外国特有の製品の製造や修理に従事する技術者
【産業の分野②:日本よりもレベルが高い分野】
4号:宝石や貴金属、毛皮などの加工職人
5号:動物の調教師
8号:スポーツ指導者
9号:ソムリエ
【産業の分野③:日本に技術者が少数しかいない分野】
6号:海底鉱物探査や海底堀削の技術者
7号:航空機のパイロット
このように「技能」で従事することができる活動は様々な分野に及び、特殊な分野において特別な技能が必要な職種が含まれていることがわかるでしょう。
在留資格「技能」の在留期間
在留資格「技能」の在留期間は5年、3年、1年、又は3か月のいずれかのパターンとなります。
上記のうちどの在留期間になるかは、申請者である外国人労働者や雇用することになる企業側が設定することはできません。
基本的に出入国在留管理庁側によって、就労予定期間や希望する在留期間、雇用主となる企業自体の規模や経営状況などを踏まえ、総合的に審査された上で決定されることになります。
とはいえ「技能」は在留期間の通算上限などはありませんので、更新申請が許可される限り、長期間に渡って在留することが可能です。
家族帯同の可否
在留資格「技能」は家族帯同が可能となっています。
日本で働く外国人労働者の配偶者や子供に対して与えられる在留資格「家族滞在」の要件として、在留資格「技能」を有する場合でも可能となっているわけです。
ただし無条件で認められているわけではなく、外国人労働者本人の配偶者や子供に限って在留が認められる形になります。
そのため外国人労働者の両親はもちろん、配偶者の両親などの帯同はできません。
特定技能・技能実習との違い
在留資格「技能」はよくその名前の類似性から、「特定技能」や「技能実習」と混同されがちです。
ここからはその違いを理解するために、「特定技能」と「技能実習」の概要について確認しておきましょう。
・特定技能とは
特定技能とは就労系在留資格の一つであり、2019年4月に創設された比較的新しい在留資格です。
在留資格「技能」のような高度な技能を要する専門的な業務に従事することはできず、特定産業分野と呼ばれる14の分野において、比較的単純な業務に従事することができます。
例えば
・介護分野における身体介護やそれに付随する支援業務
・ビルクリーニング分野における建築物内部の清掃業務
・電気・電子情報関連産業分野におけるプリント配線基板製造、電子機器組み立て
などが挙げられます。
「技能」を含めた専門的・技術的分野の在留資格とは異なり、純粋に国内における人材不足の解消を目的として設けられたため、上記のような単純作業でも就労が可能になっているのです。
・技能実習とは
技能実習とは、開発途上国を中心とした諸外国から、技能習得を目的として来日する外国人が取得する在留資格です。
就労系在留資格の一つに数えられていますが、先述の通り日本の産業における様々な技能の習得を目的としており、厳密に言えば労働力として扱ってはなりません。
技能実習の対象となるのは農業や漁業、建設関係など、先ほどの特定技能と重複する分野も多くなっています。
このように技能という共通の名称が使われているため混同しがちですが、3つの在留資格は目的も職種も大きく異なることがおわかりいただけたでしょう。
在留資格「技能」の取得要件
続いて在留資格「技能」の取得要件について確認していきたいと思います。
取得要件
「技能」の取得要件は大きく2つに分かれているので、一つずつ見ていきましょう。
【要件①:報酬要件】
一つ目の要件は報酬です。
この要件は「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格にもありますが、基本的に同等の業務に就く日本人社員と同等以上の報酬を支払うことが求められます。
【要件②:実務経験年数】
二つ目の要件は実務経験年数です。
「技能」は特殊な分野における熟練した技能が求められることから、実務経験が重視されることになります。
「技能」に含まれる職種別に必要な実務経験年数を見ていきましょう。
・外国料理の調理師
実務経験年数10年以上が求められます。
ただし外国の教育機関において調理や関連科目を専攻した期間を含めることができます。
・外国特有の建築土木技能を有する大工
実務経験年数10年が要件となります。
ただし、実務経験年数が10年以上ある外国人の監督下で実務を経験している場合は、5年以上あれば取得が可能です。
・スポーツ指導者
実務経験年数3年以上、もしくは選手としてオリンピックや世界選手権などの国際的な大会に出場した経験が要件となります。
・ソムリエ
実務経験年数5年以上が求められます。
さらに国際ソムリエコンクールで入賞以上の経験をしているか、もしくは出場者が1国から1名に限定されている国際ソムリエコンクールに出場したことがある、ワイン鑑定などで法務大臣が認める資格を持っている、といった要件が必須となっています。
・航空機のパイロット
250時間以上の飛行経歴が求められます。
・外国特有の製品の製造や修理に従事する技術者
・宝石や貴金属、毛皮などの加工職人
・動物の調教師
・海底鉱物探査や海底掘削の技術者
これら4つの職種については実務経験年数10年以上が求められます。
教育機関などで実務に関する科目を専攻している場合は、その期間を含めることも可能です。 この点はソムリエやスポーツ指導者も同様となります。
不許可事例
・実務経験年数が足りていないケース
在留資格「技能」が不許可になる事例としては、実務経験年数が足りていないケースが多いです。
先程お話した通り、「技能」は特殊な分野における熟練した技能を要する活動に従事するための在留資格であるため、比較的長い実務経験年数が求められます。
そのため10年求められるとしているところ、9年の実務経験では許可されないわけです。
・技能を活かす業務に従事しないケース
また例えば外国料理の調理師としての実務経験要件は満たしていても、在留後に日本食のレストランで務めるなどがあれば不許可となるでしょう。
外国料理に特有の技能に基づき来日が認められているわけですから、当然と言えば当然ですが、この辺りが曖昧になっているケースもあるので、十分に注意する必要があるでしょう。
在留資格「技能」の取得申請
最後に在留資格「技能」の取得申請について見ていきましょう。
手続きの流れ
在留資格の取得申請の流れは以下のようになります。
・ステップ①:在留資格認定証明書の交付申請
まず出入国在留管理庁に対して、在留資格認定証明書の交付申請を実施します。
・ステップ②:在留資格認定証明書を外国人労働者に送付
その後交付された在留資格認定証明書を外国人労働者まで送付することになります。
・ステップ③:当該外国人がビザ申請の実施
次に外国人労働者側で、送付された在留資格認定証明書を含めた必要書類を準備し、在外日本公館にてビザ申請を実施します。
・ステップ④:来日、就労開始
無事ビザが交付されれば、来日することができ就労開始となります。
取得申請に必要な書類
在留資格「技能」を取得する際に必要な書類は、外国料理の調理師としての活動か、それ以外の活動かで必要な書類が変わってきます。
詳しくは出入国在留管理庁のページをご参照ください。
・外国料理の調理師としての活動に必要な資料
・外国料理の調理師以外の活動に必要な資料
更新の手続き
更新手続きについては、必要書類を用意して出入国在留管理庁まで、在留期間更新許可申請を実施します。
在留期間更新許可申請に必要な書類は
・在留期間更新許可申請書
・写真
・パスポート及び在留カード
などが挙げられます。
詳細はコチラのページをご確認ください。
まとめ
今回は在留資格「技能」をテーマにお話してきましたが、いかがでしたか。
当社は外国人労働者を専門とした人材紹介サービスを提供しており、在留資格「技能」を含めた専門的・技術的分野の在留資格を有する外国人労働者の紹介を実施しております。
人材紹介サービスだけでなく、在留資格申請のサポートや受け入れ体制構築の支援も実施しておりますので、ご興味ありましたら一度お気軽にご相談ください。