建設業界における人手不足は深刻化の一途を辿っており、外国人労働者の活用、特に在留資格「特定技能」での採用が注目されています。
本記事では、特定技能「建設」の制度概要から採用可能な職種、試験要件、受け入れ企業が満たすべき条件まで、外国人採用を検討する建設業界の方に向けて徹底解説します。特定技能外国人の採用方法や手続きの流れ、メリット・デメリットも含め、実務に役立つ情報を網羅的にお届けします。
なお、特定技能「建設業」については、弊社運営のYouTubeチャンネル「ぐろーばる採用TV」でも解説動画をアップロードしていますので、ぜひ併せてご覧ください!
どうして建設業で「特定技能」が創設された?
大前提として、そもそもなぜ建設業で「特定技能」が認められているのでしょうか?
建設業の抱える課題と実際にどのくらい特定技能外国人が就業しているのか、整理していきましょう。
深刻化する建設業の「人手不足」の実態
建設業における人手不足は、年々深刻さを増しています。
総務省の統計局労働力調査によると、建設業界の就業者数は1997年にピークとなる685万人を記録しましたが、2023年時点では483万人にまで減少しました。実に約30%もの就業者が減少したことになります。

この就業者減少の背景としては、急速な高齢化に加え、若手人材の確保に業界として苦戦していることが指摘されています。
一般社団法人日本建設業連合会が取りまとめたデータによると、建設業就業者の年齢構成を見ると、55歳以上の就業者の割合は2003年の26%から2023年には36.6%へと増加している一方、29歳以下の就業者の割合は2003年の17.7%から2023年には11.6%と減少の一途を辿っています。
高齢化率に関しては、全産業の中でも特に高い水準で推移しており、今後多くの熟練工が退職年齢を迎えることで、さらなる人手不足が予想されます。

一方で、インフラの老朽化対策や、災害に強い国土づくりのための工事需要は今後も増加が見込まれます。また、2025年以降も大規模な再開発案件が予定されており、建設需要は依然として高い水準を維持すると予測されています。
このような状況の中、建設業界では深刻な人手不足が継続しており、その解決策の一つとして、特定技能制度が2019年4月に創設されました。労働力を確保するための特定技能制度の活用によって、同業界の人手不足解消に寄与することが期待されているのです。
建設業界の人手不足の現状については「【建設業の人手不足】2025年問題や原因、対応策まで徹底解説!」でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
建設業における特定技能の受け入れ人数・状況は?
では、現状建設分野における特定技能外国人がどれくらいいるのか、見てみましょう。以下の表は、出入国在留管理庁が定期的に公表している特定技能外国人の在留者数です。

ご覧の通り、2024年6月末時点で、特定技能全体では251,594名の外国人が在留しています。そのうち、建設分野では31,853名が就労しており、全体の12.7%にあたります。昨年同月時点では、建設分野の特定技能外国人が18,429名だったので、1年間で13,424名も増えている現状なのです。
また、特定技能制度においては、各受け入れ分野ごとの産業需要等を踏まえ、2029年までの受け入れ見込み人数が設定されています。建設業については、80,000人の受け入れ上限が設定されており、16分野中4番目に多い数字が設定されています。
つまり、今後2029年までに80,000万人まで特定技能が増加する見込みがある点から、建設業での特定技能の活用はますます進んでいくことが予想されています。
その他、特定技能含めた建設業での外国人受け入れ方法については「建設業で外国人労働者を受け入れることができる?具体的な方法や注意点を解説!」でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
そもそも、在留資格「特定技能」とは?
特定技能「建設業」とは、2019年4月に新たに創設された就労系在留資格「特定技能」の対象分野(業種)の1つです。人手不足が深刻化している16の業種で受け入れが可能となっており、これにより、建設分野の現場業務などにおける単純労働での外国人雇用が可能となりました。
また、「在留資格「特定技能」とは?技能実習との違いも含めてわかりやすく解説!」の記事内でも、特定技能制度の概要について解説していますので、ぜひご覧ください。
特定技能1号と2号の違い・特徴は?
特定技能には「1号」と「2号」の2種類あり、求められる技能水準や在留期間などに違いがあります。
具体的には、以下の表をご覧ください。
まず、特定技能1号では最長5年しか日本に在留できません。しかし、2号に移行すると、在留期間の更新が認められる限り日本に在留することでき、要件を満たせば永住許可申請も可能になります。
また、2号に移行することで家族の呼び寄せも可能になるため、建設業で働く外国人にとっては、かなり魅力的な制度となっています。
特定技能1号と2号の違いについては「特定技能2号とは?1号・2号の違いや取得要件、試験について徹底解説!」の記事もご覧ください。
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特定技能「建設業」で採用可能な職種と3つの業務区分
それでは、特定技能「建設業」で働ける具体的な職種を一般社団法人「建設技能人材機構」のWEBサイトを参考に見ていきます。
現在、特定技能「建設業」では、以下の3区分で就労可能です。

建設分野の特定技能制度は、2022年8月30日に大きな制度改正が行われました。それまでは19の業務区分に分かれていましたが、より実態に即した柔軟な運用を可能にするため、「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3つの区分に再編されました。
各区分で具体的にどのような業務に従事できるのか、詳しく見ていきましょう。
土木区分の業務範囲
土木区分では、指導者の指示・監督のもと、土木施設の新設、改築、維持、修繕に関する作業に従事できます。主な作業内容には以下が含まれます。
建築区分の業務範囲
建築区分では、建築物の新築、増築、改築、移転、修繕、模様替えなどの作業に従事できます。主な作業内容は以下の通りです。
ライフライン・設備区分の業務範囲
ライフライン・設備区分では、インフラ設備の整備・設置、変更、修理に関する作業に従事できます。主な作業内容には以下があります。
2022年の制度改正による業務範囲の拡大
2022年8月、建設業における特定技能外国人の業務範囲は大きく広がりました。
例えば、以前は「型枠施工」の資格を持つ方は型枠施工の作業しかできませんでしたが、改正後は土木区分で資格を取得すれば、同区分内のすべての作業に従事することが可能になりました。
また、3つの区分すべてに共通して認められる関連業務として、以下のような作業も含まれます。
- 原材料・部品の調達・搬送
- 機器・装置・工具等の保守管理
- 足場の組立て・解体
- 現場の清掃・保守管理
- その他、主たる業務に付随する作業
この業務区分の再編により、建設現場のニーズに応じて、より柔軟な人材配置が可能になりました。ただし、1号特定技能外国人が作業を行う際は、必ず日本人の指導者の指示・監督のもとで業務を行う必要があります。
なお、これらの業務区分は特定技能1号と2号に共通していますが、2号の場合は、さらに建設現場において複数の建設技能者を指導しながら工程を管理する能力も求められます。
特定技能「建設」で働くために必要な試験と要件は?
特定技能1号を取得するには、「技能実習を良好に修了する」か「試験に合格する」か、どちらかを満たしていないといけません。
試験に合格するパターンで特定技能を取得する
特に注意が必要なのが、「試験に合格する」パターン。以下に記載の「①特定技能評価試験」と「②日本語能力試験」の2つに合格する必要があるためです。
①特定技能評価試験
建設分野における特定技能1号評価試験は、「建設分野特定技能1号評価試験」で、法務省が定めた建設分野特定技能評価試験実施要領に従い、学科試験および実技試験により行います。試験概要は以下のとおりです。
この技能評価試験は、建設分野3区分(土木、建築、ライフライン・設備)ごとに実施されており、出題は全て日本語です。
区分ごとのサンプルテキスト、試験の申し込み方法については、一般社団法人建設技能人材機構のWEBサイトに掲載してありますので、興味ある方はご確認ください。
②日本語能力試験
日本語能力試験は、「日本語能力試験(JLPT)」もしくは「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」の2つが存在します。どちらの試験を受けても問題ありません。どちらの試験も国内外で行われており、インターネットから申込みが可能です。
技能実習を良好に修了し、特定技能へ移行する
建設分野の特定技能1号を取得するもう1つの方法として、技能実習からの移行ルートがあります。
技能実習から特定技能への移行対象となるのは、建設分野の技能実習2号を良好に修了した方、または技能実習3号の実習計画を満了した方です。
この場合、特定技能評価試験と日本語能力試験が免除されます。これは、技能実習での3年間(3号の場合は5年間)の実務経験により、必要な技能と日本語能力がすでに身についていると評価されるためです。
ただし、この試験免除には重要な条件があります。技能実習時と同じ作業・業種に対応する区分であれば、試験なしで移行できますが、異なる区分への移行を希望する場合は、その区分の評価試験に合格する必要があります。

例えば、技能実習で型枠施工に従事していた方が、特定技能でも建築区分で働く場合は試験が免除されます。しかし、同じ方がライフライン・設備区分での就労を希望する場合は、その区分の評価試験合格が求められます。ただし、この場合でも日本語試験は免除されます。
技能実習から特定技能への移行については「【意外な落とし穴?】技能実習から特定技能へ移行するための手続き・注意点は?」の記事で説明してますので是非ご覧ください。
建設業で「特定技能2号」を取得するための必要な試験と要件は?
特定技能2号は、より高度な技能を持つ外国人材を対象とした在留資格のため、建設分野での2号評価試験は、技能検定1級相当の高い技能水準が求められ、試験内容も1号と比べてより難易度の高いものとなっています。
実際に、特定技能2号の取得者数はまだまだ少ない状態が続いています。

特定技能2号の評価試験も、1号同様に「土木」「建築」「ライフライン・設備」の3区分に分かれています。学科試験と実技試験の両方に合格する必要があります。
学科試験では、上級技能労働者が通常有するべき知識を問う問題が出題されます。
- 問題数:40問
- 試験時間:60分
- 出題形式:4択式
- 合格基準:合計点の75%以上
実技試験では、実践的な技能に関する問題が出題されます。
- 問題数:25問
- 試験時間:40分
- 出題形式:4択式
- 合格基準:合計点の75%以上
特に重要なのは、2号評価試験の受験には実務経験が必要という点です。「建設現場において複数の建設技能者を指導しながら作業に従事し、工程を管理する者(班長)としての実務経験」が求められます。この実務経験は建設キャリアアップシステムに蓄積された就業日数(職長+班長)で確認されます。
ただし、建設キャリアアップシステムの能力評価基準のある職種で、レベル3を取得している場合は、「能力評価(レベル判定)結果通知書」の写しを提出することで、実務経験の要件を満たすことができます。
特定技能2号は、日本語試験の要件はありませんが、実際の現場では部下の指導や工程管理が求められるため、十分なコミュニケーション能力が必要です。2号への移行を目指す方は、技能面だけでなく、日本語能力の向上も意識して準備を進めることをお勧めします。
なお、特定技能2号のサンプル問題やテキストは、「一般社団法人 建設技能人材機構」のHPから閲覧可能ですので、ぜひご確認ください。
特定技能「建設」で受け入れ企業が満たすべき要件
建設分野の場合、特定技能外国人を受け入れるには、他の分野にはない「建設業独自の手続き」が必要になるため、以下見ていきましょう。
建設業の許可を取得する
まず、特定技能外国人を雇用するためには建設業許可が必須となります。通常、建設業許可は軽微な工事のみを請け負う場合、取得は不要ですが、特定技能外国人を採用する場合は必ず取得が必要です。
なお、受け入れ予定の特定技能外国人が従事する職種と、取得している建設業許可の種類が一致している必要はありません。何らかの建設業許可を取得していれば、特定技能外国人の受け入れは可能です。
建設キャリアアップシステムへの加入
特定技能外国人を受け入れる企業は、建設キャリアアップシステム(CCUS)への事業者登録が必要です。また、特定技能外国人本人も技能者登録を行う必要があります。
なお、建設キャリアアップシステムについては、こちらのページをご覧ください。
JAC(一般社団法人 建設技能人材機構)への加入
特定技能「建設」の受け入れには、JACへの加入が必須です。
加入方法は2つあり、「①JACの賛助会員として加入」か「②JACの正会員団体の傘下に入会する」のいずれかを選択する必要があります。
「①JACの賛助会員として加入」する場合は、一律年会費が24万円発生し、入会についてはJACのWebサイトから可能になっています。
「②JACの正会員団体の傘下に入会する」場合、すでに正会員として加入している建設業者団体のいずれかに加入(令和6年7月1日時点で52の建設業者団体が存在)する形となります。そのため、年会費についても各団体ごとに異なりますし、加入手続きも異なります。
総じてJACの賛助会員となるよりも年会費を抑えられる傾向がありますが、各団体ごとに加入基準が設定されているため、自社の事業と親和性のある建設業者団体に加入した方がスムーズでしょう。
建設特定技能受入計画の作成と国土交通省への申請
出入国在留管理局への在留資格申請の前に、国土交通省による建設特定技能受入計画の認定を受ける必要があります。この申請は外国人就労管理システムを通じてオンラインで行います。
受入計画では審査を受けることになり、以下のような項目がチェックされます。
- 同一技能の日本人と同等以上の賃金設定
- 月給制による安定的な報酬支払い
- 建設キャリアアップシステムへの登録状況
- 特定技能1号外国人の数が常勤職員数を超えないこと
申請から認定までの標準的な審査期間は3ヶ月程度ですが、審査は非常に細かく、修正対応が必要になることも多いため、余裕を持った申請をお勧めします。
このように、建設分野での特定技能外国人の受け入れには、複数の要件を満たす必要があります。特に、JACへの加入や建設特定技能受入計画の認定は建設分野特有の要件となっているため、申請準備の際は十分な確認が必要です。
特定技能外国人(建設業)の採用方法と手続きの流れ
建設分野の特定技能外国人を採用する方法は、大きく3つのルートがあります。それぞれの特徴と、採用から就労開始までの具体的な流れについて解説します。
技能実習生からの移行者を採用する
最も一般的なのが、技能実習生からの移行による採用です。このルートには2つの方法があります:
①自社の技能実習生を特定技能に移行する場合
すでに自社で受け入れている技能実習生が、技能実習2号もしくは3号を良好に修了する際に特定技能へ移行するケースです。技能実習期間中に技能や日本語能力、仕事への適性を確認できているため、最もスムーズな採用方法といえます。
②他社の技能実習生を採用する場合
他社で技能実習を修了予定の実習生を採用する方法です。人材紹介会社などを通じて採用するのが一般的です。
いずれのパターンにおいても、すでに3年ないしは5年の日本での就労・居住経験があるため、一定の建設業における技能と日本語能力を有する即戦力人材を確保できます。
特に、建設業における特定技能1号評価試験の合格率を見た時に、技能実習生からの移行者から採用するのが、建設業においては最もメジャーで確実と言えます。
海外から呼び寄せる形での新規採用
海外在住者を特定技能として採用するルートです。
ただし、建設分野の場合、現時点では海外での技能評価試験の実施が限定的なため、基本的には技能実習を修了して母国に帰国している元実習生の採用が現実的と言えるでしょう。
仮に海外現地の特定技能評価試験合格者がいたとしても、航空券や入国後の宿泊費用など、追加のコストが必要となる上、日本語能力についても国内在住者と比較すると弱い部分は否めないでしょう。
そのため、社会人経験がない「新卒レベル」の候補者である点を想定し、受け入れ準備を進めておくべきでしょう。
国内在住者(留学生等)からの採用
日本国内の留学生を採用するルートです。海外から呼び寄せる場合と同様に、特定技能評価試験の合格者が対象となります。国内の試験の場合であっても、そもそもの受験者数が少なく、合格率も決して高いとは言えないため、非常に限定的な採用ルートと言えるでしょう。
加えて、住民税の納税状況や在学中の就労制限(アルバイトは週28時間まで)等をしっかりと遵守できているかを確認されます。稀に、建設業の試験・日本語能力試験の双方に合格してるにも関わらず、納税義務を果たしていない等という理由から、申請が不許可になるケースもあるので、注意が必要です。
採用から就労開始までの具体的な流れ
建設分野での特定技能外国人の採用は、他の分野と比べて必要な手続きが多いのが特徴です。ここでは、採用検討から実際の就労開始までの流れを詳しく解説していきます。
① 建設業独自の受け入れ基準を満たす
まず最初に行うべきは、受け入れ企業としての準備です。建設業許可を取得していることを確認し、建設キャリアアップシステムへの登録とJAC(一般社団法人建設技能人材機構)への加入手続きを進めます。これらは特定技能外国人を採用するための必須要件となりますので、早めに準備を始めることをお勧めします。
② 採用募集・面接の実施
準備が整ったら、具体的な採用活動に入ります。採用方法としては、技能実習からの移行、海外からの採用、国内在住者からの採用など、複数の選択肢があります。それぞれの特徴を検討し、自社に適した方法を選びましょう。候補者が決まったら、面接を実施し、採用の可否を判断します。
③ 雇用契約の締結
採用が決まったら、次は雇用契約の締結です。この際、重要なのが労働条件の設定です。特定技能の場合、日本人と同等以上の給与水準が求められます。また、支援計画の作成も必要です。これは特定技能外国人の生活支援に関する計画で、多くの企業は登録支援機関に作成を委託しています。
④ 建設特定技能受入計画の作成+国土交通省への申請
続いて、建設特定技能受入計画を作成し、国土交通省に申請します。この計画では、特定技能外国人の従事する業務内容や、給与、受け入れ体制などを詳細に記載します。
⑤ 出入国在留管理庁への申請
最後に、出入国在留管理庁へ在留資格認定証明書交付申請(国外から呼び寄せる場合)もしくは、在留資格変更許可申請(国内在住者を採用する場合)を実施します。
概ね2ヶ月ほどで許可はおりますが、入管の混雑状況によっては前後する場合があります。
⑥ 就労開始
いよいよ就労開始に向けた準備です。国外から呼び寄せる場合は、一部の国では現地国での手続きが発生してくる点は注意しましょう。また、住居の確保や生活に必要な各種手続きのサポートなど、きめ細かな支援が求められます。
このように、建設分野での特定技能外国人の採用は、複数の段階を経て進めていく必要があります。一連の流れを把握し、計画的に準備を進めることが、スムーズな採用・受け入れのポイントとなりますので、ご留意ください。

建設業で特定技能外国人を採用するメリット・デメリットは?
建設業における特定技能外国人の採用は、人手不足解消の有効な手段として注目を集めています。ここでは、採用する際のメリット・デメリット、そして費用面での考慮点について詳しく解説します。
特定技能外国人を採用するメリット
まず大きなメリットは、作業内容の汎用性の高さです。2022年の制度改正により、同一区分内であれば複数の作業に従事できるようになりました。例えば、土木区分で採用した場合、型枠施工から建設機械施工まで、幅広い業務に携わることが可能です。これにより、現場のニーズに応じて柔軟な人員配置ができます。
次に、日本語能力の高さが挙げられます。特定技能外国人は最低でもN4以上の日本語能力が求められるため、基本的なコミュニケーションに支障がありません。特に技能実習からの移行者は、すでに3年以上の日本での就労経験があり、現場での意思疎通もスムーズです。
さらに、長期的な人材育成が可能という点も重要です。特定技能2号へのキャリアアップを目指すことで、将来的には現場のリーダーとして活躍することも期待できます。実際に、特定技能2号を取得すれば専任技術者になることも可能です。
受け入れる際に注意すべき課題・デメリット
一方で、いくつかの課題やデメリットにも注意が必要です。最も大きな課題は、転職が可能という点です。特定技能は技能実習と異なり、働く場所を変更できます。そのため、育成に時間と費用をかけても、より良い条件の企業へ転職してしまうリスクがあります。
また、受け入れまでの手続きが複雑で時間がかかることも課題です。特に建設分野は他分野と比べて独自の要件が多く、JACへの加入や建設特定技能受入計画の認定など、準備に時間を要します。
生活支援の負担も考慮が必要です。住宅の確保から日常生活のサポートまで、会社として様々な支援が求められます。この支援業務は登録支援機関に委託できますが、それに伴うコストは別途必要となります。
建設業で特定技能外国人を受け入れるにはどのくらい費用がかかる?
ここでは、特定技能外国人を建設業で雇用する場合の費用について見ていきます。
前提として「義務的支援」を行う必要がある
まず前提の話となってしまいますが、建設分野に限らず、特定技能外国人を受け入れる場合、受け入れ機関である企業は以下の3つの基準を満たす必要があります。

支援体制に関する基準に関しては、直近2年以内に外国人の受け入れ実績や生活支援の担当業務に従事した経験のある従業員がいない場合、満たすことができません。
この場合、「登録支援機関」という第三者機関に支援を委託することで、基準を満たしたとみなされます。そのため、特定技能外国人を受け入れる際は、登録支援機関の活用も是非ご検討ください。
費用の具体例・シュミレーション
建設業における、特定技能外国人雇用のおおよそな費用について、海外から呼び寄せる場合と国内で採用する場合を比較しながら見ていきましょう。
先述の通り、建設業では、JACの賛助会員かJAC正会員企業へ加盟する必要があり、団体ごとに年会費が発生します。
さらに、特定技能外国人1名につき、受け入れ負担金をJACへ支払う必要があり、この負担金は、以下の表のとおり、受け入れ方法によって額が異なります。
加えて、在留資格認定・変更申請や在留期間更新許可申請の書類作成及び申請取次を行政書士に委託する際には、その手続き費用が発生します。
また、特定技能人材への義務的支援を登録支援機関に委託した場合にも、一人当たり数万円の支援委託費用が発生してきますので、建設業に関しては多くの間接費用が発生してくると言わざるを得ないでしょう。
まとめ
今回は特定技能の中でも建設分野をテーマとしてお話してきましたが、いかがでしたか。
当社は、創業当初から国内外各国の外国人材を建設業の方々に数多くご紹介しております。また、特定技能における登録支援機関としても建設業のお客様のサポート実績が多数あります。
特定技能外国人の雇用に取り組みたい、一度話を聞いてみたいという方は、お気軽に以下問い合わせフォームからご連絡ください。
また、施工管理等の現場作業以外の領域で採用する場合は、「【施工管理で外国人労働者を採用するには】雇用の流れや注意点を解説」の記事をぜひ参照ください。
