【在留資格「短期滞在」とは】活動範囲や申請方法などについて解説

在留資格「短期滞在」とは

在留資格「短期滞在」とは、外国人が日本に短期間滞在しながら観光、親族訪問、ビジネス活動などを行うことを可能にする資格です。この資格を取得するためには、在留資格認定証明書を含む必要書類が求められます。短期滞在は、通常90日以内の滞在が許可されており、各種活動に応じた柔軟な選択肢を提供します。

短期滞在の概要

短期滞在とは、日本に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族の訪問、見学、講習または会合への参加、業務連絡その他のこれらに類似する活動を行うための在留資格です。

就労不可のカテゴリーに分類され、日本における就労活動は禁止されています。

同じ就労不可のカテゴリーに分類されている「文化活動」や「留学」、「家族滞在」は資格外活動による就労が認められていますが、短期滞在は資格外活動による就労も認められていないのです。

短期滞在の具体的な活動範囲

短期滞在の具体的な活動範囲には、観光やスポーツ、親族訪問など多岐にわたります。日本を訪れる外国人は、この在留資格を利用して様々な目的で滞在可能ですが、就労を伴う活動は基本的に含まれていません。したがって、短期滞在中に行う活動範囲を理解しておくことが重要です。

短期滞在の活動範囲

短期滞在の具体的な活動範囲としては、以下に該当する報酬を受けない活動とされています。

  • 観光や娯楽、通過
  • 病気治療や保養
  • 協議会やコンテストへの参加
  • 友人や知人、親族への訪問、冠婚葬祭などへの出席
  • 工場見学や見本市などの視察
  • 教育機関や企業などで行う講習・説明会への参加
  • 報酬を受けない講義や講習の実施
  • 会議や会合などへの参加
  • 日本に出張して業務連絡や商談、契約調印、アフターサービスや宣伝、市場調査といった短期商用の活動
  • 日本の大学受験や外国法律事務弁護士となるための承認を受ける手続きなどのための滞在
  • その他日本において、収入を伴う事業を運営する、もしくは報酬を得る活動をすることなく短期間滞在する

例外的に報酬を受け取れる短期滞在

短期滞在では、先述の通り原則報酬を受ける活動は認められていません。

ただし業として行うものではない以下の活動については、例外的に報酬を受けることができます。

例外的に報酬を受け取れる短期滞在
  • 講演、講義、討論その他これらに類似する活動
  • 助言、鑑定その他これらに類似する活動
  • 小説、論文、絵画、写真、プログラムその他の著作物の制作
  • 催物への参加、映画又は放送番組への出演、その他これらに類似する活動 

他にも業として従事する場合を除き、親族や友人、知人の依頼を受けて、その者の日常の家事に従事する場合も謝礼金を受けることが可能です。

短期滞在における在留期間

短期滞在の在留期間は、90日もしくは30日、又は15日以内の日を単位とする期間となっています。最長で90日(3か月)以内とされています。短期滞在の在留期間は、就労系在留資格と異なり、自分自身で希望在留期間を選択することが可能です。

ただし、滞在期間が長いほど審査の基準が厳しくなるため、明確な理由がない状況で90日を選ぶといったことは避けた方が良いでしょう。

審査が通った後、この期間内であれば、観光やビジネス、親族訪問などさまざまな活動を行うことが可能です。

短期滞在における査証相互免除協定

短期滞在における査証相互免除協定は、特定の国々の国民が日本に入国する際にビザなしで入国できる制度を指します。この協定により、観光やビジネス目的での短期滞在が円滑に行えるようになります。各国の条件や適用範囲について理解しておくことが重要です。

また、短期滞在の在留資格を取得するには、短期滞在査証、あるいは通過査証を取得する必要があります。

滞在期間が15日以内であれば通過査証、15日を超える滞在期間の場合は短期滞在査証を取得する形になるのです。

通過査証は基本的に日本を経由して、第三国へ渡航する場合などが該当し、その他の短期滞在の場合は短期滞在査証で来日するケースが多くなるでしょう。

在留資格やビザに関してより詳細が知りたいという方は、以下の記事もあわせてご確認ください。
▶︎【在留資格とは】種類や取得要件、ビザの違いなどを簡単解説 

短期滞在の取得申請

短期滞在の取得申請は、日本での滞在を希望する外国人にとって重要なステップです。このプロセスには、必要な書類の準備や申請方法の理解が含まれます。正しい手続きを行うことで、スムーズに在留資格を取得することが可能です。

短期滞在の審査における基準

短期滞在の在留資格が許可されるかどうかの基準は公にされているわけでなく、明確なものも存在していませんが、最も大きなポイントとして挙げられるのが「報酬の有無」でしょう。

先の概要でもお伝えした通り、短期滞在においては報酬を得る活動を行うことはできません。

例外的に業として従事しない場合の謝金などの受け取りは認められますが、原則報酬を伴う活動は禁止されています。

そのため査証取得申請の際、日本での在留中に報酬が発生しないことが大きな要件になるのは言うまでもありません。

申請方法について

短期滞在の入国に関しては、必要書類を準備し、正確な手続きを踏むことが重要です。申請方法を理解し、適切に行動することで、スムーズに滞在を始めることができます。

外国人本人が準備すべき書類

外国人が日本で短期滞在の在留資格を取得する際には、様々な書類を準備する必要があります。以下記載の書類を準備することで、スムーズな申請が可能となりますのでしっかり確認しておきましょう!

外国人本人が準備すべき書類
  • パスポート
  • パスポート以外の本人確認書類
  • 査証申請書
  • 写真
  • 航空便や船便の予約確認書
  • 渡航費用支弁能力を証明できる書類
    短期商用目的の場合、出張命令書など
    観光や親族訪問の場合、所得証明書など
  • その他
    短期商用目的の場合、在職証明書
    観光の場合、滞在日程表
    親族訪問の場合、招聘人との関係を示す出生証明書など

招聘人側が用意すべき書類

招聘人側が用意すべき書類については、以下の3つです。名簿に関しては、招聘人が複数の場合のみ準備が必要です。

  • 招聘理由書
  • 滞在予定表
  • 招聘人が複数の場合、その名簿

申請の流れ

短期滞在を申請する流れとしては、大きく以下の6つのステップを踏みます。

申請の流れ
  • ステップ①:計画の策定
    初めに日本へ渡航する計画や、外国人を日本へ招く計画を立てます。
  • ステップ②:必要書類を準備する
    続いて先程記載したような書類を日本側と外国人側でそれぞれ準備することになります。
  • ステップ③:日本側から必要書類を外国人に送付
    次に日本側で用意した必要書類を、外国人へと送付します。
  • ステップ④:在外公館にて査証申請を実施
    書類が揃った後は、外国人本人が在外公館へと赴き、査証申請を実施します。
  • ステップ⑤:在外公館による審査
    申請後、在外公館による審査が行われます。
    この際必要に応じて、面接や追加資料の提出が求められる場合もあります。
  • ステップ⑥:査証発給
    無事審査が通れば、短期滞在の査証が発給されます。
    査証発給後は3か月以内に日本へ入国する必要があります。

短期滞在の取得における注意点

短期滞在の取得における注意点はいくつかあり、以下のポイントに気をつけるべきです。

  1. 不発給になった場合:もし査証が不発給となった場合、同一理由による査証申請は6か月程度経過しなければ実施できないため、申請書類などをしっかり確認し書類に不備がないようにしておくべきです。
  2. ビザ免除国かどうかの確認:一部の国からの訪問者はビザ免除で入国できるため、自国の状況を確認することが必要です。
  3. 滞在期間の遵守: 短期滞在の許可された期間は最大90日です。滞在期間を超えないように注意しましょう。

短期滞在における在留期間更新や在留資格変更

在留期間更新について

短期滞在の場合、基本的には在留期間の更新申請は認められません。ただし、人道的な理由などの特別な事情がある場合には、例外として認められることがあります。たとえば、病気治療などが該当します。その際に必要な書類は以下の通りです。

  • 在留期間更新許可申請書
  • パスポート
  • 短期滞在の活動を続ける理由を示す資料
  • 日本入国から現在までの活動内容を説明する資料
  • 滞在中の経費を支弁できることを証明する資料
  • 身分証明書

短期滞在の在留期間更新については、出入国在留管理庁のHPも併せてご確認ください。

在留資格変更について

短期滞在から別の在留資格への変更も原則として認められていません。しかし、短期滞在中に在留資格認定証明書の交付申請を行い、それが許可されれば、在留資格変更許可申請が可能です。この場合も、特別な事情が必要です。例えば、日本で就職が決まり在留資格認定証明書が交付された場合や、婚姻を目的として短期滞在後に配偶者ビザに変更する場合などです。

在留資格変更許可申請に必要な書類は以下の通りです:

  • 在留資格変更許可申請書
  • 写真
  • 日本での活動内容に応じた資料
  • 在留カード
  • 資格外活動許可書(取得している場合)
  • パスポートまたは在留資格証明書
  • パスポート等が提示できない場合、その理由を記載した書類

詳細については出入国在留管理庁のHPをご確認ください。

まとめ

今回は在留資格「短期滞在」にフォーカスして、概要や従事できる活動、査証取得の流れなどをお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。

もし短期滞在で来日している外国人を雇用する場合は、在留資格認定証明書交付申請を行い、さらに在留資格変更許可申請をする必要があるため、時間も工数も掛かると言えるでしょう。

そのため外国人を雇用するのであれば、基本的に就労系在留資格を有する外国人労働者の雇用に取り組むべきと言えます。

当社は外国人労働者に特化した人材紹介サービスを提供しておりますので、もしご興味ありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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監修者
菅原 勇人
菅原行政書士事務所代表。埼玉県熊谷市生まれ。2017年早稲田大学大学院卒業後、建材商社へ入社。主に営業として、中小中堅の建設事業者への提案に従事。就労をしながら、行政書士や宅建など法務系資格を複数取得。現在は菅原行政書士事務所の代表として、約1,000件にも及ぶ申請取次業務に携わる。行政書士(埼玉県行政書士会所属 / 第24132052)
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。
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