この記事では、飲食店や居酒屋をはじめとする飲食業において、外国人労働者(正社員・アルバイト)を雇用できる在留資格や採用の流れ、注意点などをわかりやすく解説していきます。飲食サービス業で外国人雇用を考えておられる方は、是非最後までご確認ください。
なお、YouTubeでも解説動画をアップロードしていますので、ぜひ併せてご覧ください!
外国人雇用の基本情報を教えて!
まずは、外国人労働者を雇用する際の基本的な情報を押さえておきましょう。こちらの前提知識をなくして外国人採用をしてしまうと、思わぬ箇所で法令違反等のリスクを犯してしまいますので、必ずチェックするようにしましょう。
まず「在留資格」を押さえましょう
「在留資格」とは、外国人が日本に在留し、何かしらの活動を行うために必要となる資格のことです。
そのため、飲食業で外国人を雇用するには、採用予定の外国人が在留資格を有している必要があります。逆に、在留資格を持っていない外国人を雇用することはできません。
よく巷では「ビザ」と混同されている方もいらっしゃいますが、「在留資格」とは別物です。(「ビザ」は日本に入国する前に発行される入国許可証のことを指しています。)
この在留資格は、出入国管理及び難民認定法によって規定されており、現在29種類存在し、就労制限の有無によって以下3つのカテゴリーに分類されます。
これらの在留資格を有していない外国人が日本に滞在している場合、不法滞在として、取り締まりの対象となります。
不法滞在になった場合、刑事処分として3年以下の懲役や禁固、300万円以下の罰金が科され、さらに行政処分として強制送還や国外追放処分を受けることになるのです。
不法滞在かどうかを見極めるためには、外国人が所有している「在留カード」を確認する必要があります。
在留資格についてより詳しい内容を知りたい方は、「【在留資格とは】種類や取得要件、ビザとの違いなどを簡単解説 」もあわせてご確認ください。
面接時には「在留カード」を確認
「在留カード」とは在留資格の認定や変更、更新などの許可を得た際に、出入国在留管理庁から外国人に交付される、身分証明書に該当するカードのことを指します。
交付される外国人は3ヶ月以上の中長期在留者に限り、旅行者などの短期滞在者には交付されません。ただ、中長期滞在者であっても、日本に在留できる期間には一定の制限がなされているケースが一般的ですので、在留期限が切れていないか確認することが必須です。
この在留カードには先の「在留資格」や「在留期限」など、外国人に関する重要な情報が多く記載されています。外国人労働者を雇用する際は、特に以下の4点を確認するようにしましょう。自社で雇用できる外国人かどうかを判断するために必要な情報になります。
①在留資格
②就労制限の有無
③在留期限
④資格外活動許可の有無
在留カードについては「在留カードとは?確認すべきポイントや偽造在留カードとの違いを解説!」も併せてご覧いただけると理解が深まります。
留学生の場合は、「資格外活動許可」の有無をチェック
続いては、在留カードの確認項目に出てきた、「資格外活動許可」について確認しておきましょう。
この資格外活動許可を持っていると、現在有している在留資格に属さない収入を伴う活動に従事することが可能になります。
つまり、就労制限や就労不可の在留資格を有している外国人の方は、こちらの資格外活動許可を得ることで、アルバイトを行うことができるようになります。
在留カードの裏側に、「資格外活動許可欄」に記載がありますので、必ず確認しましょう。「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」と記載がある場合は、アルバイト可能です。
※「許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)」と記載があった場合は、パスポートに貼り付けてある資格外活動許可書を確認し、飲食業でアルバイト可能か確認しましょう。
しかし、仮に資格外活動許可を得ていても、1週間に28時間以内でしか就労が認められないという点は注意しましょう。決して無制限に就労させても良いわけではありません。
資格外活動については「【在留資格における資格外活動とは】要件や申請方法などをわかりやすく解説」もあわせてご確認ください。
「不法就労助長罪」には気をつけましょう
ここまで確認してきた項目は、どれも非常に重要です。
なぜなら、本来働く資格を有していない外国人を働かせてしまったり、在留資格で許可された範囲外の活動をさせてしまった場合、「不法就労助長罪」という罪に事業主が問われてしまうケースがあるからです。
特に、昨今は偽造在留カードなどが横行しており、不法就労を目論む外国人労働者も増加傾向にあるため、不法就労助長罪のリスクが高まっています。
不法就労助長罪に該当した場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金が事業主側に科される可能性があります。また、不法就労助長罪はその事実を認識していなくても、責任が問われることになる点もポイントと言えます。
そのため「偽造在留カードに気づかなかった」、「在留カードの確認を怠っており、本来は飲食店で雇用できない人を雇用してしまった」という言い訳は通用しないので、選考段階において十分に注意するようにしましょう。
不法就労助長罪については、「【不法就労助長罪とは】成立要件や防止方法などをわかりやすく解説」でも詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
受け入れ後は「外国人雇用状況届出」を忘れずに
外国人雇用に当たっては、人によっては在留資格の変更や更新といった手続きが必要になってきますが、特に日本人を採用する場合と比較して、何か特別な手続きはありません。(社会保険等の取り扱いにおいても日本人社員と同じです)
ただし、一点だけ、外国人が入退社した際に必要な手続きがあります。それが「外国人雇用状況届出」です。
以下の期日までに、最寄りのハローワークもしくは厚生労働省管轄のオンラインシステムを利用して外国人雇用・離職の状況報告をする必要があります。
- 雇入れの場合:翌月の10日まで
- 離職の場合:翌日から起算して10日以内
こちらは、届出を怠ってしまった場合は、30万円以下の罰金が課されてしまう可能性がありますので、忘れずに対応するようにしましょう。
詳しくはこちらの「【外国人雇用状況届出とは】手続き概要や様式、提出方法などを解説」も併せてご覧ください。
飲食店で雇用可能な在留資格は?
ここからは飲食業において外国人労働者を雇用可能な在留資格についてご紹介していきます。ざっくりと、以下の3つのグループに大別できますので、順番に解説していきます。
アルバイトとして雇用可能な在留資格
まずはアルバイトとして雇用する場合に対象となる在留資格から見ていきましょう。
留学
留学とは、日本の教育機関に留学生として訪れる外国人が取得することになる在留資格のことを指します。
本来留学の在留資格は就労不可のカテゴリーに属しているため、日本での就労は認められていないのですが、資格外活動許可を得ることで働くことができるのです。ただし、先に説明した通り、資格外活動許可の場合、週28時間を超えて雇用することはできません。
また、この週28時間という制限はアルバイトごとに設けられるわけではなく、全てのアルバイト先の合計労働時間に対する制限である点は留意しておきましょう。そのため、他社でアルバイトを掛け持ちしている外国人留学生の労働時間数には注意が必要です。
従事できる業務に特に制限はなく、報酬に関しても日本人のアルバイトと同様に時給で問題ございません。
在留期限としては、基本的には学校を卒業するまでの期間が付与されるので、専門学校であれば2年、総合大学の留学生であれば4年間が上限となります。
留学については、「【在留資格「留学」とは】申請の流れなど基本的な概要を解説」の記事も合わせてご確認ください。
家族滞在
家族滞在の在留資格を有する外国人も、飲食業においてアルバイトとして雇用することができます。
家族滞在も留学と同じく本来就労不可のカテゴリーに属しているため、雇用するには資格外活動許可を得ている必要があります。
資格外活動で就労するため、留学と同じく週28時間までしか働けない点には注意してください。また、従事できる業務や報酬に関しても、留学と同様になります。
在留期限は基本的には更新が許可される限り、無期限で日本に滞在することが可能になります。
家族滞在については、「在留資格「家族滞在」で働けるって本当?制限や取得要件などを解説!」の記事も合わせてご確認ください。
正社員として雇用可能な在留資格
続いて正社員として雇用する場合に必要な在留資格についてご紹介していきます。
技能
「技能」とは専門的・技術的分野の在留資格の一つで、産業上特殊な分野に属する熟練した技能を要する業務に従事するために必要となります。
従事できる業務は調理のみが対象となり、ホールスタッフの業務に従事できない点は注意が必要です。また、当然ながら、日本食などの調理師として雇用することができません。あくまで高度な技能を要する外国調理が対象となります。
在留資格取得時には、調理師としての実務経験が10年以上ないと許可がおりません。(教育機関で調理等の科目の履修期間も含めて10年以上でも問題ありません。)
報酬は、高度な外国料理の知識が求められている点からも、日本人と同等かそれ以上の条件でなければなりません。
技能の在留資格では在留期間の通算上限がないため、更新が認められる限り、長期的に雇用することが可能となっています。
日本国内には約4万人が在留している一方で、取得ハードルや従事可能な業務内容に制限があるため、多くの飲食店様にとってはメインターゲットにはなりづらいでしょう。
技能については、「【在留資格「技能」とは】概要や取得要件、必要な手続きなどを解説」の記事も合わせてご確認ください。
特定活動46号
特定活動46号とは、「日本の大卒者で日本語能力試験N1以上の日本語力を有する者が日本で就労する活動」に従事するための在留資格となります。
特定活動46号は留学生の就職支援のために設けられたという経緯があり、在留資格の取得に当たって実務経験要件は設けられておらず、日本語能力があるかどうかが主な要件となっています。
特定活動46号では店舗管理業務や接客・調理業務などに従事することができます。しかし、皿洗いなどの単純労働のみに従事させることは認められておらず、主には日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務に従事することが想定されています。
そのため、現場での外国人労働者と日本人の通訳・翻訳業務やディレクションを行いつつ、単純作業もこなすという働き方が想定されています。
特定活動46号も技能と同じく在留期間の通算上限がないので、在留期間更新が許可される限り永続的に雇用することが可能で、報酬は日本人と同等かそれ以上の水準が求められています。
日本の大学を卒業したものかつ、N1以上の日本語能力が必要という、取得ハードルが高いがために、母数がかなり少ない在留資格となっています。
特定活動46号については、「【特定活動46号とは】概要や取得要件、必要な手続きなどを解説」の記事もご確認ください。
特定技能
次にご紹介するのは特定技能です。
特定技能とは日本における人手不足の解消を目的として設けられた在留資格となっており、12の特定産業分野において、単純労働を含めた職種で外国人労働者の受け入れを可能としました。
12の特定産業分野のうち、外食分野の特定技能外国人であれば、飲食物の調理やホールなどでの接客、店舗管理業務など、飲食店での一通りの業務に従事することが可能です。
特定技能は先に挙げた技能や特定活動46号と異なり、在留期間の通算上限があり、2022年4月時点においては最長でも5年しか雇用できません。
一定の技能試験と日本語能力を有する方しか取得できないため、報酬水準は日本人社員と同等かそれ以上の水準が求められます。
現在、出入国在留管理庁が最も力を入れて在留者数を増やそうとしている在留資格のため、制度開始3年ですでに日本国内に約8万人の在留者数が存在しています。
特定技能については、「【特定技能】外食業で従事できる業務や試験、採用方法などを解説」の記事も合わせてご確認ください。
雇用形態に制限のない在留資格
在留資格の最後に、アルバイトでも正社員でも雇用できる在留資格についてご紹介しておきましょう。
永住者などの身分系在留資格
アルバイトでも正社員でも雇用できる在留資格として挙げられるのは、身分系の在留資格となります。
身分系とは、以下の在留資格を指しています。
これらの在留資格は冒頭でも触れた通り、活動制限がないので、日本人と同じように働くことができます。
飲食業においても調理からホール接客、店舗管理といった業務などは当然従事可能となるのです。
また永住者には在留期間が設けられていないため、在留期間の更新手続きなどをしなくても、長期的に雇用することができるという利点があります。
飲食店で雇用可能な在留資格まとめ
ここまで見ていただいた通り、アルバイトとして外国人社員を雇用するか、正社員として雇用するかで、大きくターゲットとする在留資格保持者が異なることがお分かりかと思います。
技能ですと調理業務しか従事できず、特定活動46号は母数がかなり少なく募集に苦戦することが予想されます。また、留学生に関しても週28時間という労働時間の制限がある点を考慮する必要があるでしょう。
特に正社員でホール・キッチンどちらにも従事してもらいたい場合は、ほぼ「特定技能」か「身分系」の2つの在留資格にターゲットが絞られてくるという点は、留意しておきましょう。
なお、以下の記事は、飲食業の企業様で特定技能外国人を受け入れていらっしゃる実際の事例集になります。ぜひ合わせてご覧ください。
飲食店で外国人労働者を採用するまでの流れは?
続いて外国人労働者を採用するまでの流れについて、簡単に確認していきたいと思います。
募集
まずは外国人労働者の募集を行います。方法としては、費用の有無で大きく2つの括りでどちらの施策を行うかを検討した方が良いでしょう。
費用をかけずに募集する方法
費用をかけて募集する方法
アルバイト・正社員問わず、費用対効果及び工数をよく検討した上で、それぞれ単独で展開するのではなく、複数の手法を組み合わせて展開することで、募集効果も高まりますので、事前によく検討していただくことが大切です。
選考~雇用契約締結
ある程度求人に対して応募が集まれば、日本人を採用する場合と同じく書類選考や面接を実施します。
書類選考や面接では、在留資格取得において要件となる学歴や実務経験を有しているかなどを詳しく確認していくことがポイントです。
また、後程ご紹介する不法就労助長罪の対象とならないために、在留資格の種類や就労制限の有無、在留期間、資格外活動許可などを在留カードから確認することも求められます。
選考を通じて、双方問題ないということであれば内定を出した上で、雇用契約の締結に進みます。
雇用契約書については、雇用することになる外国人労働者が契約内容を十分に理解できるように、母国語や簡単な日本語で表記したものを用意しておくと安心です。
特に、雇用条件の内容は、入社後にトラブルに繋がりやすいので、残業時間や昇給のタイミング、どのくらい昇給するのかなど、細かく伝えておく必要があります。
在留資格申請
雇用契約の締結ができれば、次に在留資格の申請を実施します。
在留資格の申請は国内在住者を採用する場合と、国外から呼び寄せる場合に分けて確認していきましょう。
国内在住者を採用する場合
まず国内在住者を正社員として採用する場合について確認していきます。
国内在住者を採用する場合は、基本的に「在留資格変更許可申請」、もしくは「在留期間更新許可申請」を出入国在留管理庁へ行うケースが多くなります。
例えば、「留学」から「特定技能」へ在留資格を変更する場合など、他の在留資格へ変更する場合は、「在留資格変更許可申請」が必ず必要となります。また、すでに「特定技能」、「特定活動46号」の在留資格を有している方を雇用する場合、在留資格が変わらなくとも、「在留資格変更許可申請」が必要になってくる点は要注意です。
また、「技能」の在留資格を有している方を転職者として雇用する場合は、在留期限が切れるタイミングで「在留期間更新許可申請」が必要になってきます。
「在留資格変更許可申請」、「在留期間更新許可申請」どちらも、最短でも2週間〜1ヶ月半ほど時間がかかる点は留意しましょう。
一方、「身分系」の在留資格を有している方や、資格外活動許可を有している方は、特段申請を行う必要はありません。
各申請の必要書類等の詳細については以下の出入国在留管理庁のウェブサイトからご確認ください。
国外から呼び寄せる場合
次に国外から外国人労働者を呼び寄せる場合の手続きについて、確認していきましょう。
この場合、「在留資格認定証明書交付申請」を実施しなければなりません。
在留資格認定証明書が交付された後は、現地の外国人に在留資格認定証明書を郵送し、パスポート等の必要書類と共に在外日本国大使館にて査証(ビザ)申請を実施しましょう。このビザ申請自体は大使館の混み具合にもよりますが、1-2週間ほどで許可は降りるでしょう。
先に解説した在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請よりも時間が掛かる点は、注意しておきましょう。
詳細については以下の出入国在留管理庁のウェブページを併せてご確認ください。
就労開始(雇用の手続き)
国内在住者で、資格変更の申請をした場合は、新しい在留カードが交付されることで、就労開始となります。
また、国外から呼び寄せる場合は、査証申請が通れば来日でき、就労が開始できます。
いずれにせよ、新たに外国人の方を雇い入れた場合は、就労開始後に以下の手続きを行う必要があります。
- 労働保険・社会保険への加入
- 外国人雇用状況届出
外国人雇用状況届出については、先に説明した通り、雇用した日の翌月10日までに、管轄のハローワークもしくは専用システムにて届出を行う必要があり、もし届出を怠った場合、30万円以下の罰金対象となるので注意してください。
また外国人労働者も基本的には所得税や住民税の対象になることも覚えておきましょう。
外食業で外国人を雇用する際の注意点は?
最後に外国人労働者を雇用する際の注意点についてお話しておきたいと思います。
不法就労助長罪のリスク
一つ目の注意点は不法就労助長罪です。
先にも説明した通り、不法就労助長罪はその事実を認識していなくても、責任が問われます。
在留資格や在留期限をしっかりと確認するのはもちろん、偽造在留カードを所持していないか等も必ず確認するようにしましょう。
在留カードには偽造がなされないように様々な加工がされていますので、出入国在留管理庁が公開しているこちらの資料を参照しながら確認してください。
また、「在留カードとは?確認すべきポイントや偽造在留カードとの違いを解説!」でも偽造在留カードについて詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
申請が不許可になるリスク
二つ目の注意点は申請が不許可になるケースがあるという点です。
在留資格に関する申請は、手続きをすれば必ず許可されるといったものではなく、不許可になるケースが多々あります。
書類の不備は勿論のこと、各在留資格における上陸許可基準を満たしていない場合は、当然許可されることはありません。
そのため外国人労働者を雇用する場合は、該当となる在留資格とその要件などをしっかりと確認した上で、書類の不備がないように準備する必要があるでしょう。
また、行政書士や在留資格申請のサポートを行っている人材紹介会社など、外部の機関に申請作業を委託することで、比較的安定的に許可を得られることが可能になります。費用はかかってしまいますが、検討するのも一つの手と言えます。
詳しくはこちらの記事もご確認ください。
▶︎【在留資格】不許可になるケースや対処法などをまとめて解説
日本語による会話が難しいケースや育成に時間がかかるケースがある
最後に挙げられるのは、日本語による会話が困難なケースや育成に時間が掛かるケースがあるという点でしょう。
来日する外国人労働者はある程度の日本語が理解できるものの、業務上の高度なコミュニケーションは難しい場合が往々にしてあります。
日本語が伝わらないことによるミスや最悪の場合、顧客からのクレームにつながってしまうケースも発生してしまいかねません。特に飲食店や居酒屋をはじめとする飲食業では、HACCAPなどの厳格な衛生管理を遵守しなければならず、外国人労働者にもしっかりと理解させる必要があります。
また価値観や労働慣習などの違いに起因して、日本人よりも育成に時間が掛かってしまう場合もあると言えます。
事前に他言語マニュアルを作成しておくなど、コミュニケーションや育成の課題を見越した上で、外国人労働者雇用に取り組むようにすべきでしょう。
外食業で外国人を採用する際のよくある質問
最後に、外国人を採用する際によくいただく質問について解説していきます。
日本語能力ってどのくらい?
飲食店では接客を伴う業務が発生するため、雇用する外国人の日本語力は実際どのくらいなのかとよくご質問いただくケースがあります。
結論、個人差があるため、一概にどの程度という回答は難しいのですが、検定試験等で日本語能力をある程度把握することは可能です。
外国人の方がよく受験する検定試験としては、「日本語能力試験」と「ビジネス日本語能力テスト(BJT)」が挙げられます。
「日本語能力試験」は最もポピュラーな日本語能力を判定する検定試験となっており、N1〜N5(N1に近づくほどほど日本語能力が高い)という指標が取り入れられています。一般的な接客業では、N2以上の資格を有していれば、問題なく顧客とのコミュニケーションは可能でしょう。
また、「ビジネス日本語能力テスト(BJT)」も日本語能力試験に次ぐ受験者数を誇っており、J1+〜J5(J1+が一番日本語能力が高い)という指標となっています。ビジネス日本語に特化していることから、J1レベルの方は日常会話はもちろん、日系企業で働く上でのビジネス日本語もほぼ問題なくマスターすることが可能でしょう。こちらもJ2以上のレベルを保有していれば、問題なく接客業に従事できると言えます。
また、日本語学校や専門学校に通っている留学生であれば、来日年数が浅いほど日本語能力は低い印象ですが、学校でも毎日語学学習を行っていることから、日増しに日本語能力は急成長していく印象があります。
ただ、実際には、書類選考や実際の面接時に保有資格と合わせて、どの程度の日本語能力を有しているのかを直接コミュニケーションをとりながら把握することが大切です。
宗教上の理由で業務に影響は出てくる?
宗教に関しても気にされる方は多いですが、結論そこまで大きな影響はないと弊社としては感じています。
お祈りを1日に複数回実施することが必要な「ヒンドゥー教」や「イスラム教」を信仰している方が多い国もあります(インドネシアやネパールなど)が、若い世代に関しては「朝にまとめて1回お祈りするのみ」というように、年代に応じて信仰度合いやお祈りの実施頻度は異なってきます。
ただし、食事に関しては、イスラム教徒は豚肉、ヒンドゥー教徒は肉類全般を口にしない方が多いため、歓迎会や飲み会などでは一定の配慮をした方が良いでしょう。(一般的に生魚を食べる習慣も日本以外ではあまり見受けられないため、食事会をする際は寿司なども食べられるか事前に確認した方が良いでしょう)
ただし、総じて宗教上の理由で何かしら業務に支障が出るかというと、実際に数百名の外国人材を支援してきた経験からも、ほぼないというのが実態です。
留学生アルバイトを正社員雇用することは可能?
もちろん可能です。
ただし、飲食業で外国人を正社員雇用するとなると、先に説明した通り「技能」、「特定活動46号」、「特定技能」のいずれかとなってくるでしょう。
どのような業務に従事させるかによって選択する在留資格は異なってきますので、任せる予定の業務がどの在留資格で適格かは事前に調査しておいた方が良いでしょう。
また、各在留資格ごとに外国人材側、受け入れ企業側で満たさなければならない条件もありますので、そもそも受け入れが可能かもしっかりと確認しておくべきです。
最後に、本人の希望も十分にヒアリングし、雇用条件面含めてしっかりと合意を得た上で在留資格申請を行うようにしましょう。
まとめ
今回は飲食店において、外国人労働者を採用するための在留資格や採用の流れなどを中心にお話してきましたが、いかがでしたか。
当社は外国人労働者に特化した人材紹介サービスを提供しており、今回本文でもご紹介した外国人労働者の採用を支援しております。
人材紹介サービスだけでなく、在留資格申請に関するサポートや受け入れ体制の構築支援も行っておりますので、外国人労働者の採用に取り組みたいという方は、一度お気軽にお問い合わせください。