日本国内におけるエンジニアに関する状況
まずは日本国内におけるエンジニアに関する状況を確認しておきましょう。
日本人エンジニアは不足している
日本国内において日本人エンジニアは不足している状況と言えます。
以下のグラフを見てください。
上記のグラフは経済産業省が2019年に行ったIT人材需給に関する調査報告書に掲載されているものです。
このグラフによると、年々不足数が増え続け、2030年には約45万人不足することが予測されています。
またこの調査ではIT需要の伸び率などを加味した上で、3つのシナリオで試算しており、IT需要の伸び率が非常に高い場合は最大79万人程度不足することも試算されているのです。
このグラフはエンジニアの中でもIT職種にフォーカスしてはいますが、機械工学系のエンジニアも同様に不足傾向にあると言え、日本国内においてエンジニア不足は深刻化していると言えるでしょう。
対して増加傾向にある外国人エンジニア
日本人エンジニアが不足していく一方で、外国人エンジニアの数はどうなっているのでしょうか。
こちらのグラフは外国人雇用状況届出のまとめを基に、当社が作成したものです。
日本でエンジニアとして就業する上で必要な在留資格を含む、専門的・技術的分野の在留資格における人口推移を表しています。
専門的・技術的分野にはエンジニア職以外の職種も入ってはいますが、増加傾向であることが読み取れます。
外国人エンジニアが日本に来る理由
外国人エンジニアが日本に来る理由として、以下の3点が挙げられます。
理由①:高い給与や充実した福利厚生
欧米先進国と比べれば給与水準が高いとは言えない日本ですが、在留外国人の大半を占めるアジア諸国に比べれば、まだまだ高い水準を誇っています。
多くの外国人エンジニアは、母国よりも高い水準の給与や、充実した福利厚生を求めて、来日してくるわけですね。
理由②:日本の高い技術力
二つ目の理由は「日本の高い技術力」です。
日本の誇る高い技術力は欧米先進国にも引けを取らず、時代時代の最先端を行くものを多く開発しています。
そういった技術力に興味があり、学びたいという意欲の高い外国人エンジニアが来日してくると言えるでしょう。
理由③:日本文化への興味
また純粋に日本文化に興味があるという理由もあるでしょう。
日本には漫画やアニメといった高いクオリティのエンターテインメント作品が多くある上、歴史的な建造物なども多く残存しています。
そういった文化に直接触れたいと考える外国人エンジニアが、日本での就業を望むケースがあるのです。
外国人エンジニアを採用するメリット・デメリット
続いて外国人エンジニアを採用するメリットとデメリットについてご紹介します。
メリット
メリット①:人手不足の解消
一つ目のメリットは「人手不足の解消」です。
先ほど挙げた通り国内エンジニアが不足する一方、外国人エンジニアは増加傾向にあります。
外国人エンジニアを採用候補として俎上に載せれば、それだけ選択肢が増え、人手不足の解消に繋がるでしょう。
メリット②:社内にはない視点が得られる
外国人エンジニアを採用すると、社内にはない視点が得られる場合もあります。
生まれ育った環境・文化、言語などが異なれば、当たり前とされることも変わってくるでしょう。
日本人では当たり前としていることでも、外国エンジニアからすれば「なぜ?」と疑問を抱くケースもあり、それが新たな商品開発やアイデアに繋がることもあるのです。
メリット③:グローバル化の足掛かりにできる
またグローバル化の足掛かりにできるという点も見逃せません。
採用した外国人エンジニアの母国への進出を検討する際、現地の責任者として活躍してもらうことができるでしょう。
また働いていた外国人エンジニアの母国での独立を支援し、海外のビジネスパートナーとして提携することも可能です。
デメリット
デメリット①:コミュニケーションが取りにくいケースがある
一つ目のデメリットとして、コミュニケーションが取りにくいケースがあるという点が挙げられます。
日本で働く以上、ある程度日本語を学んではいるものの、それでも仕事上の会話において十分ではない時があります。
そういったコミュニケーションに起因する課題をいかに解決するかが、外国人エンジニアを活用する上で重要なポイントと言えるでしょう。
デメリット②:価値観や文化が異なる
また価値観や文化が異なる点も、デメリットになってしまう場合があります。
先程日本人と外国人エンジニアでは「当たり前」が異なるとお話しましたが、それが悪い方向に作用することもあるのです。
日本人であれば当たり前のように確認することでも、外国人エンジニアからすればその確認が必要と思わない、といった業務上の認識のズレなどが生じやすいと言えるでしょう。
外国人エンジニアを採用する方法
ここからは外国人エンジニアを採用する方法を7つご紹介していきたいと思います。
採用方法①:自社採用サイト
一つ目の採用方法は「自社採用サイト」を活用した採用です。
自社サイトの採用ページや採用専門サイトなどを立ち上げ、そこで外国人エンジニアの採用募集を展開していく形になります。
自社採用サイトでの採用方法は、自社の伝えたいことを100%伝えられるという点が利点と言えます。
求人内容を掲載する以外にも、仕事の魅力や実際に働いている人のインタビューなどを掲載することは勿論、仕事をする上で大切にしている価値観や、会社の目指すビジョンなどを分かりやすく訴求することができます。
ただし自社採用サイト単独ではなかなか難しく、後ほど紹介する求人広告サービスやSNSなどと組み合わせ、外国人エンジニアにサイトの存在を認知してもらう必要があることは留意しておきましょう。
採用方法②:求人広告サービス
二つ目の採用方法は「求人広告サービス」です。
求人広告サービス会社の所有する求人媒体に、求人広告を掲載し、求職者にアプローチする形になります。
外国人エンジニア向けの求人広告に特化したサービスもあり、それらを上手く活用すれば、外国人エンジニアの母集団形成に大いに役立つでしょう。
また一つ目にご紹介した自社求人サイトへのリンクなどを求人広告に掲載することで、求人広告で認知を集め、自社求人サイトでより詳細を知ってもらうという導線を作ることができます。
求人広告サービスは掲載自体に費用が掛かるものや、採用が決まったタイミングで費用が発生するものなど様々な費用形態がありますので、費用対効果などを踏まえ活用してみると良いでしょう。
採用方法③:人材紹介サービス
続いてご紹介するのは人材紹介サービスです。
人材紹介サービスとは、企業と求職者の間に入り、適切なマッチングを支援してくれるサービスです。
人材紹介サービスも外国人エンジニアに特化したものがあり、それらを活用すると良いでしょう。
また人材紹介サービスには、外国人エンジニアの紹介だけに留まらず、在留申請手続きのサポートや受け入れ体制の構築に関するコンサルティングなども提供しているものがあります。
そのため初めて外国人エンジニアを採用するのであれば、人材紹介サービスを活用すると安心でしょう。
なお、在留資格については、こちらの記事で基礎的な内容を解説しています。
▶︎【在留資格とは】種類や取得要件、ビザとの違いなどを簡単解説
採用方法④:人材派遣サービス
人材派遣サービスを活用するのも一つでしょう。
人材派遣サービスとは、人材派遣サービス会社と雇用関係を持つ外国人エンジニアを、自社に派遣してもらい労働力を提供してもらうサービスです。
自社で雇用する必要がないため、在留申請の手続きなどは行う必要がなく、気軽に外国人エンジニアを活用することができます。
人材派遣の注意点として、有期雇用の派遣社員の場合、最大で3年間しか活用できないことが挙げられます。
そのため人材派遣サービスを活用するのであれば、紹介のあった外国人エンジニアが無期雇用か有期雇用かの確認をすべきだと言えます。
採用方法⑤:リファラル採用
次にご紹介するのはリファラル採用です。
リファラル採用とは、自社の社員に繋がりのある人を紹介してもらう採用方法のことを指します。
自社に既に外国籍の社員がいるのであれば、その社員に日本で働きたい知り合いはいないかを聞いてみると良いでしょう。
外国人労働者は日本において、出身国を同じくする者同士によるコミュニティを形成していることが多いため、そのコミュニティ内で探してもらうといったことも考えられますね。
自社に外国籍の社員がいなくとも、外国人の知り合いを持つ社員がいる可能性もあるので、一度社内報などで情報提供を呼び掛けるのもいいでしょう。
リファラル採用については、以下の記事もぜひあわせてご覧ください。
▶︎【外国人労働者のリファラル採用の基本】メリットやポイント、注意点などを解説
採用方法⑥:ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、求職者に対して企業側から直接コンタクトを取り、採用まで繋げていく採用方法のことを指します。
外国人労働者を中心としたダイレクトリクルーティングサービスも存在しており、それらを活用することで、外国人エンジニアを直接スカウトしていくことが可能です。
求人広告サービスや人材紹介サービスとは異なり、コチラから能動的にアプローチすることができ、自社の希望に適した人材を自ら発掘することができるという利点があります。
ただしその分自社で外国人エンジニアとのコミュニケーションを完結させる必要があるため、工数がそれなりに係る点は留意しておきましょう。
採用方法⑦:SNS
採用方法の最後にご紹介するのはSNSです。
活用の方向性としては、ダイレクトリクルーティングに近く、SNSを通じて直接外国人エンジニアとコンタクトを取っていく形になります。
ここで活用するのはFacebookやTwitterなどの一般的なSNSではなく、ビジネス系SNSと呼ばれるLinkedInなどが中心となるでしょう。
SNSは、コミュニケーションを図りつつ自社採用サイトに繋げたり、交流会に誘ったり、といった様々な活用の仕方がある点が利点です。
アカウント運用にはかなりの工数がかかるので、リソースと相談した上で、活用を検討してみると良いでしょう。
外国人エンジニアを採用する際のポイント
最後に外国人エンジニアを採用する際のポイントを押さえておきましょう。
採用前に自社内の環境を整備する
一つ目のポイントは自社内の環境整備です。
採用してから自社内の環境を整備していては間に合いません。
採用活動を始めた段階で、外国人エンジニアを受け入れるための適切な環境を整備していく必要があるのです。
国籍毎の特徴を掴んでおく
また国籍毎の特徴を掴んでおくことも重要なポイントです。
日本には多くの国籍から外国人エンジニアが訪れますが、国が異なれば、国民性などの特徴は異なります。
そのため雇いたい国籍があるのであれば、事前にリサーチしておく必要があるでしょう。
不法就労となるケースを理解しておく
不法就労となるケースも理解しておくこともポイントです。
不法滞在の人や就労不可の人を働かせてしまったり、就労制限を超えた仕事をさせてしまったりすれば不法就労となります。
上記のようなことをしてしまうと不法就労助長罪となり、懲役が科せられる可能性があるので、しっかりと理解しておきましょう。
不法就労については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
▶︎【不法就労助長罪とは】成立要件や防止方法などをわかりやすく解説
まとめ
今回は外国人エンジニアの採用をテーマにお話してきましたが、いかがでしたか。
当社は本文中でご紹介した人材紹介サービスを提供しており、エンジニア職種含めた外国人労働者の紹介から、在留申請手続きや受け入れ体制の構築支援などを行っております。
外国人エンジニアの採用に取り組みたい方は、是非一度お問合せください。