この記事は「特定技能制度においてミャンマー人を採用したい」、「ミャンマー人の特徴や採用する上での注意点を知りたい」という方に向けて、特定技能におけるミャンマー人の採用ルートや注意点、採用に掛かる費用などを解説していきます。特定技能におけるミャンマー人の採用を検討している方は、是非ご一読ください。
また、弊社YouTubeでは、ミャンマー人社員に聞いた日本で働くミャンマー人の特徴について解説しておりますので是非こちらもご覧ください。
ミャンマー人の在留者数
まずは外国人労働者のうち、ミャンマー人の割合について確認します。
最新の集計によると、2023年末の在留外国人は3,410,992名でした。そのうち、ミャンマー人は86,546名と全体の2.5%を占めています。
また在留資格「特定技能」で言うと、
同様に2023年末時点での1号特定技能外国人が208,425名に対し、ミャンマー人は11,873名と全体の5.7%を占めております。また、分野別で見ると介護分野が最も多くなっています。
国内情勢の影響で来日者が急増中
ミャンマー人の来日が急増している背景には、ミャンマー国内の情勢悪化があります。
ミャンマーは大統領を元首とする共和制国家でしたが、2021年のミャンマークーデターにより軍事政権となり、その結果、ビジネスや人の移動が制限されました。
それにより、ミャンマーに進出していた外資系企業の撤退なども相次ぎ、失業率の向上や大卒者の就職難、大学中退者の急増などに繋がっています。
その結果、現地で大学進学を考えていた優秀な若者たち等が国外に流れており、特定技能で日本に来日するケースも増えているのです。
ミャンマーの現状については以下の弊社YouTubeでも取り上げておりますので是非ご覧ください。
特定技能ミャンマー人を採用するメリット
在留資格「特定技能」を持つミャンマー人を採用するメリットについて見ていきましょう。
これについては、以下の弊社YouTubeでも解説しておりますので是非ご覧ください。
平均年齢が若く学力が高い
ミャンマー人の平均年齢28.2歳(2019年中間年人口調査)と日本48.6歳と比べても非常に若いです。また、0~14歳の割合が27.2%と多く、65歳以上の高齢人口は6.4%と少ないため、今後も若年層の労働力の増加が期待されます。
その一方で、国内の内戦等の影響で、大学に進学したのにも関わらず学校に通えない若者が増えています。彼らは大学を中退せざるを得なく、中退して海外に行くケースが多いです。
同様に大学を卒業した優秀な層も国内情勢悪化を鑑みて海外で就職先を見つけるケースも多く、結果的に若くて学力が高いミャンマー人が日本で増えているのです。
就労意欲が高い
ミャンマー人は比較的勤勉な特徴があります。
また、学生たちは自身の進路や稼ぎの可能性を広げるために、高校卒業時に行われる「セーダン試験」と呼ばれる試験で高得点を目指し勉学に励みます。
しかし、ミャンマーは農業国でもあり、さらに前述の通りの国内情勢悪化から、若い学生のなかで国外で働くという選択肢も身近になっています。
学力の高い若者は、日本をはじめとする賃金の高い海外で働きたいという高い就労意欲をもっているのです。
介護職を希望する人材が多数
先述の通り、特定技能のミャンマー人に最も人気な分野は、介護分野です。
ミャンマーは約9割が仏教徒とされており、仏教の教えとして「他人のために重労働を行うことで徳を積む事ができる」という考え方があるため、自ら進んで介護や外食、宿泊などの直接的に他人のためになる職種を望む傾向があるのです。
特定技能ミャンマー人を採用するデメリット
一方で、デメリットも見ていきます。
ミャンマー国内から呼び寄せる場合
特定技能のミャンマー人を現地から呼び寄せる場合、いくつかのデメリットがあります。いくつかを以下にて解説します。
申請書類が多すぎて時間がかかる
まずひとつは、他の国と比べて申請書類が多く時間がかかることです。
例えば、受け入れ企業はミャンマー政府認定の送り出し機関を通じて、ミャンマー労働・入国管理・人口省(MOLIP)の承認・許可を取る必要があります。
また、ミャンマー人が日本で就労する場合、日本での在留資格認定を受けると同時に、ミャンマー出国前に海外労働身分証明カード(OWIC)と呼ばれるスマートカードをMOLIPに申請・発行をしてもらう必要があります。スマートカードは全てのミャンマー人が国外就労をする際に必要なものです。
このスマートカードは、発行に2週間から数ヶ月を要すると言われています。
在留資格認定証明書の有効期限が3ヶ月なので、在留資格認定証明書が発行されたミャンマー人は3ヶ月以内に来日しなくてはなりませんが、スマートカードの発行手続きを事前に行っていなかった場合、在留資格認定証明書の有効期限が切れてしまう可能性もあるのです。
こちらの詳細については、以下の採用までの流れでも詳しく解説します。
送り出し機関を必ず通す
特定技能で現地からミャンマーを受け入れるには、ミャンマーの制度上、ミャンマー政府から認定を受けた現地の送り出し機関を通じて、人材紹介や雇用契約の締結を実施する必要があります。
ミャンマー政府が認定している送り出し機関については、出入国在留管理庁|ミャンマーに関する情報の「ミャンマーの送り出し機関(PDF)」(英語表記)から確認ができます。
軍事政権で出国禁止
最近では、2021年のクーデーターで全権を握るミャンマー国軍は、外国での就労を希望するミャンマー人男性の渡航許可証の発行を一時的に停止したことを明らかにしました。
ミャンマーでは国内情勢悪化により、国軍の徴兵から逃れようと国外に出る若者が続出しており、国軍にはその流れを制限する狙いがあるとみられています。
また、2024年2月には国民の強制徴兵を可能とする人民兵役法を施行しており、徴兵の対象は18~35歳の男性と、18〜27歳の女性とされました。しかしながら、国民の反発を踏まえて、現状は女性の徴兵は除外する方針を明らかにしています。
そのため、ミャンマー国内から特定技能外国人を受け入れる場合は、女性の雇用が今はオススメです。
すでに日本国内にいるミャンマー人の場合
次に、すでに日本国内にいるミャンマー人を特定技能で雇用する際のデメリットについて見ていきます。
在留資格に注意
ミャンマーにおいては、2021年の国軍によるクーデターの影響による国内情勢不安を理由に、日本への在留を希望するミャンマー人については、緊急避難を目的として在留や就労を認める措置が取られています。
また、難民認定申請者については、審査を迅速に行い、難民該当性が認められる場合には適切に難民認定し、難民該当性が認められない場合でも、上記と同様に緊急避難措置として、在留や就労が認められるようになっています。
上記の場合に認められる在留資格は「特定活動」と言われるものですが、上記の理由などよりミャンマー人の対象者への特定活動の在留資格認定は比較的寛容な審査になっています。
そのためか、特定活動のミャンマー人を雇用しても、都合が悪くなるとすぐ転職をしてしまうというデメリットがあります。
一方で、特定技能においては審査が厳しいため、特定活動のように簡単に転職する外国人は多くありません。
採用にかかる費用
ここでは、特定技能でミャンマー人を採用する際にかかる費用について見ていきます。
かかる費用は大きく分けると以下の通りです。
教育・訓練費用
特定技能外国人を雇用する際には、日本語学習の支援が義務とされており、それらの費用は受け入れ企業側が負担します。特定技能外国人からこの費用を徴収することは出来ません。
渡航費用
ミャンマーからのフライト料金などの渡航にかかる費用です。この費用に関しては、本人に自費負担をしてもらうことも可能ですが、自費負担の場合、求人に応募が集まらないこともあります。良い人材を採用したい場合は、できる限り受け入れ企業が負担しましょう。
自己負担にするか企業負担にするか、渡航のための各種手配などは弊社でも相談にのれますので、お気軽にお問い合わせください。
送り出し機関への手数料
ミャンマー国内から呼び寄せる際、送り出し機関を通した採用が必須で、この場合は送り出し機関への手数料が発生します。
この手数料は、ミャンマーの政府の発表だと、上限が1500米ドルと定められています。
基本的には、外国人本人が支払う手数料とされていますが、ミャンマーの経済状況を考慮すると受け入れ企業が支払う方が良いでしょう。
採用までの流れ
ここからは特定技能でミャンマー人を採用する流れを見ていきます。
ミャンマーから呼び寄せる場合と、国内に在留している方を採用する場合とで異なるので、それぞれ以下にて解説します。
ミャンマーから呼び寄せる場合
ミャンマーから呼び寄せる場合については、以下のフローチャートの通りです。
ミャンマーから特定技能外国人を受け入れる場合は、こちらの①~⑰のステップを踏んで日本に入国をしますが、ミャンマー特有なものや特徴的なものを以下にて解説します。
求人票の許可申請と承認
ミャンマーの特定技能人材を受け入れる場合は、受け入れ企業はミャンマー政府認定の送り出し機関を通じて、ミャンマー労働・入国管理・人口省(MOLIP)へ求人票の提出と承認許可を受ける必要があります。
後に、認定送り出し機関は、MOLIPの承認・許可を得た求人票を基に適当な人材を募集し、受け入れ企業はこの送り出し機関から人材の紹介を受けて特定技能に係る雇用契約を締結します。
在留資格認定証明書の申請
受け入れ企業は、地方出入国在留管理官署に対し、特定技能に係る在留資格認定証明書の交付申請を行い、その交付を受ける必要があります。
認定証明書の交付を受けた企業は、雇用契約を締結した外国人へこの認定証明書を郵送します。
在留資格認定証明書の交付申請については出入国在留管理庁|在留資格「特定技能」をご参照ください。
スマートカード(OWIC)の発給申請
特定技能外国人として来日予定のミャンマー人本人は、ミャンマーの制度上、海外で就労する場合にはMOLIPにスマートカード(OWIC)の申請を行います。
それと同時に、受け入れ企業から送られてきた在留資格認定証明書をミャンマーの日本大使館に提示し、特定技能に係る査証発給申請を行います。
これらの手続きを行い、日本での上陸審査の結果、上陸条件に適合していると認められれば、在留資格が付与され日本に入国ができます。
また、スマートカードはミャンマー出国時に提示が必要です。
ミャンマー現地からの入国の流れについては、ミャンマー人社員が説明した弊社YouTubeがありますので併せてご覧ください。
日本に既に在留しているミャンマー人を採用する場合
既に日本に在留しているミャンマー人を採用する場合は、比較的シンプルで、
- 雇用契約の締結
- パスポートの(更新)申請
- 在留資格変更許可申請
の3つを行います。
雇用契約の締結は、送り出し機関を経由する必要はありません。
パスポートの更新は、ミャンマー人本人が日本のミャンマー大使館にて行います。
在留資格変更許可申請については、原則本人が行う必要があります。
まとめ
今回は特定技能制度においてミャンマー人を採用するケースについて解説しましたが、いかがでしたか。
弊社には、ミャンマー人スタッフが常駐しており、募集から受け入れ後のサポートまで母国語で対応することが可能です。
もし、特定技能外国人を雇用したい!ミャンマー人の採用をしたい!という方は、是非以下のお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。