外国人労働者の書類選考と面接のポイントをまとめて解説

外国人労働者採用における書類選考と面接の重要性

初めに、外国人労働者採用における書類選考と面接の重要性について、確認しておきましょう。

外国人労働者採用においては日本人を採用する以上に、書類選考や面接が重要になります。

その理由としては、外国人労働者が日本で働くために必要な在留資格の取得要件に、学歴と従事予定の業務の関連性なども含まれている、という点が挙げられます。

この点を書類選考や面接などを通じて確認していく必要があるというわけです。

またその外国人労働者が不法入国などをしていないかといった、法的なリスクの有無も見極める必要があり、そういった意味でも書類選考や面接は重要だと言えるでしょう。

そこでここからは書類選考と面接の2つのステップに分けて、それぞれのステップにおいて確認すべき点についてご紹介していきたいと思います。

外国人労働者の書類選考時に確認すべき点

それではさっそく具体的に確認すべき点についてお話していきます。

まずは書類選考時に確認すべき点について見ていきましょう。

外国人労働者を採用する際に確認すべき書類とは

外国人労働者を採用する際に確認することになる書類は以下の2点となります。 

  • 職務経歴書
  • 履歴書

基本的には日本人を採用する場合と同じですが、記載内容については日本人以上に確認する必要がある点は先ほどお話した通りです。 

職務経歴書や履歴書を通じて確認すべき点としては

  • 在留資格
  • 在留期限
  • 学歴・専攻内容
  • 母国での職歴
  • 職歴に空白期間はないか
  • 保有資格

の6点です 

ここからそれぞれの項目について詳しく解説していきます。

在留資格

確認すべき点としてまず挙げられるのは「在留資格」です。

国内で既に働いている外国人労働者を雇用する場合は、必ず確認しておくべきでしょう。

現在の在留資格は何なのか、資格外活動許可の有無などを職務経歴書に記載してもらい、その点を確認することになります。

具体的には、採用しようとしている外国人労働者が、自社で従事させようとしているポジションに就くことができる在留資格を有しているかを確認しましょう。

例えば、会計士などの業務に従事させようとしている場合、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では対応できず、「法律・会計業務」の在留資格が必要になるわけです。

なお、在留資格については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
▶︎【在留資格とは】種類や取得要件、ビザとの違いなどを簡単解説

在留期限

また在留資格の内容と合わせて在留期限の確認も必ず実施しましょう。

在留資格によっては在留期間の制限は勿論、期間の更新に制限があるものもあります。

もしそれらを確認せずに採用してしまい、あとから在留期限を過ぎていたと発覚した場合、不法就労助長罪に問われることになります。

不法就労を防止するためにも、在留資格と在留期限の2点はしっかりと確認しておくようにしましょう。

なお書類選考の時点では、在留カードの提示を求めることは不適切であるため、在留資格と合わせて在留期限も職務経歴書に記載してもらうようにするとよいでしょう。

不法就労助長罪については、以下の記事もあわせてご確認ください。
▶︎【不法就労助長罪とは】成立要件や防止方法などをわかりやすく解説

学歴・専攻内容

次に確認すべき点は「学歴・専攻内容」です。

基本的なオフィスワーク系の業務に就く場合に必要になる在留資格は「技術・人文知識・国際業務」となりますが、この在留資格の取得要件には学歴要件があります。

具体的に言えば、従事予定の業務に関する知識や技術を学ぶ専門分野を専攻し、大学(短期大学や大学院)を卒業していることが求められるのです。

また大学でなくとも、従事予定の業務に関連のある専門分野を専攻し、専修学校などを卒業した上で、専門士・高度専門士の称号が付与されていれば取得可能となっています。

「技術・人文知識・国際業務」以外の在留資格にも、学歴要件がある在留資格はあるため、海外在住の外国人労働者に来日してもらって採用する場合は、学歴・専攻内容を確認するようにしましょう。

「技術・人文知識・国際業務」については、以下の記事でより詳しく解説しています。
▶︎【技術・人文知識・国際業務とは】概要や在留資格の手続きなどを解説

母国での職歴

学歴・専攻内容と同じく「母国での職歴」も確認すべきでしょう。

学歴・専攻内容と同様に実務経験も、在留資格の取得要件に含まれていることが多いのです。

例えば先に挙げた「技術・人文知識・国際業務」においては、実務経験要件として従事予定の業務について10年以上の実務経験が必要となっています。

ここでいう10年には大学や専修学校などでの専攻期間も含まれるので、実質の実務期間は4~6年という形になるでしょう。

ただし、あくまで従事予定の業務に関する実務経験が必要になるので、大学などを卒業した後、専攻した内容とは全く関係のない業務に就いていた場合は、実務経験としてカウントされないため注意してください。

こちらも海外在住の外国人労働者に来日してもらうケースで、特に重要なポイントとなります。

職歴に空白期間はないか

また職歴に空白期間がないかの確認もすべきでしょう。

外国人労働者の在留資格は仮に失業したとしても、在留期間が満了するまでは有効ですが、正当な理由なく就労していない状態が3か月続くと、在留資格が取り消されてしまいます。

そのため既に日本で働いている外国人労働者を採用しようとする場合は、「空白期間はないか、空白期間の長さはどれくらいか」といった点を確かめる必要があるのです。

もし3か月以上の空白期間がある場合、不法滞在などの恐れがあるので注意しましょう。

保有資格

保有資格についても確認事項として挙げられます。

業務に関連した資格は勿論、既に日本語能力試験JLPTなどを受験したことがあるのであれば、その結果なども記載してもらうようにすればよいでしょう。

外国人労働者の場合、職務経歴書の記載方法がわからず、保有資格について記載していないケースも往々にしてあります。

そのためもし資格を記載する欄に何も記載されていないようであれば、面接の際にでも確認するなどの対応が必要になるでしょう。

保有資格については、その他の確認すべき点と異なり直接的なリスクはないので、仮に確認し忘れたとしても、そこまで大きな問題にはなりません。

外国人労働者の面接時のポイント

続いて外国人労働者の面接時のポイントについて押さえていきましょう。

法的に雇用しても問題ないかを確認

面接時にまず確認すべきなのは「法的に雇用しても問題ないか」という点です。

書類選考においても在留資格や在留期限を確認し、自社で従事してもらう予定の業務は対応可能かを確かめる必要があるとお話しましたが、面接時もこの点を改めて確認しましょう。

書類選考時は、あくまで職務経歴書に在留資格の種類や期間を記載してもらっただけですので、面接においてはパスポートや在留カードなどの現物を持参してもらい、確認することが肝要となります。

何度も繰り返しになりますが、この確認を怠ってしまえば不法就労のリスクが高まりますので、十分に注意するようにしましょう。

来日理由の確認

来日した理由を確認することもポイントとなります。

来日した理由を確認することで、外国人労働者の日本で働く上でのモチベーションや意識、キャリアビジョンなどを確かめることができるでしょう。

回答によって、採用予定の外国人労働者の持つ

  • 近い将来母国に帰ることを想定している
  • 日本で働き続けたい
  • 実現したいキャリアビジョン

といった将来プランをある程度想定することができます。 

それを基に自社の採用方針や、募集しているポジションに求める役割に合うかどうかを判断すれば、採用後のミスマッチのリスクも低減することができるはずです。

経歴書などの書類の事実確認

また面接では、書類選考時に提出してもらった履歴書や職務経歴書などの書類の事実確認をすることも重要になってきます。

学歴などについては卒業証明書などを在留カードと併せて持参してもらい、確認すればよいでしょう。

記載している実務経験は、面接での質問を通じて

  • 記載している内容に本当に従事していたのか
  • 従事予定の業務と記載内容について、本人の認識のズレはないか

といった点を確かめていくことになります。 

ここで記載内容に虚偽があったり、脚色した内容になっていたりすることが発覚した場合は、在留資格が取得できない可能性が高いので注意が必要です。

この点は海外在住の外国人労働者を雇用する場合、特に重要なポイントになるため、しっかりと確認しましょう。

日本語能力

面接は日本語能力を確かめる場としても活用すべきでしょう。

提出してもらった職務経歴書や履歴書などで、仮に日本語能力試験JLPTの結果などの記載があったとしても、実際どれくらいコミュニケーションを図ることができるのか確かめる必要があります。

また会話に関する能力だけでなく、読み書きに関する能力も必要に応じて確認すべきです。

流暢な日本語を話していても、日本語を読んだり、書いたりできないという外国人労働者は少なくありません。

そのため面接で簡単な筆記試験などを実施して、読み書きのレベルも確認するとよいでしょう。

職歴に空白期間がある場合

先程書類選考の際の確認事項において、既に国内で働いている外国人労働者の書類選考時には、職歴に空白期間がないか確かめましょうとお話しました。

もし書類選考の時点で空白期間があった外国人労働者を面接する場合、その空白期間に何をしていたのか確認する必要があります。

先述の通り、仮に在留資格の期限が残っていたとしても、正当な理由がなく就労していない期間が3か月あった場合、在留資格が取り消されてしまいます。

その空白期間の間、就職活動に取り組んでいたのであれば問題ないのですが、その点が不明瞭な外国人労働者を採用してしまうと、不法就労などのリスクが生じてしまうでしょう。

そのため面接においてこの点を確認することは忘れないようにしましょう。

外国人労働者の書類選考や面接に不安がある場合には

ここまで外国人労働者を採用する際、書類選考や面接で確認すべき点についてお話してきましたが、中には自社だけで対応するのは不安だと感じた方もいらっしゃるでしょう。

もし自社だけで外国人労働者の書類選考や面接対応を行うことが不安な場合は、人材紹介サービス会社の利用をオススメします。

外国人労働者に特化した人材紹介サービス会社であれば、書類選考において確認すべき点を踏まえた形で、外国人労働者の職務経歴書や履歴書を整備して送ってくれます。

また応募してきた外国人労働者の応募書類などを企業に先立ち確認してくれるため、法的なリスクがある人材が面接まで上がってくる可能性を減らすことも可能です。

その他面接において確認した方がよい点などのアドバイスも提供してくれるため、外国人労働者の採用に初めて取り組む場合は特にオススメと言えます。

まとめ

今回は外国人労働者を採用する場合の書類選考や面接において、注意すべきポイントをテーマにお話してきましたがいかがでしたか。

当社は最後にご紹介した外国人労働者に特化した人材紹介サービスを提供しております。

書類選考や面接におけるサポートも実施しておりますので、自社だけで対応するのが不安という方は、是非一度お気軽にご相談ください。

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監修者
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。
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