【事例インタビュー】過疎地認定地域での特定技能外国人雇用。その受け入れ実態とは?

京都で餃子の王将をフランチャイズとして2店舗経営されている株式会社ウィントライアングルでは、特定技能外国人を複数名雇用しています。今回は、受け入れ側であるウィントライアングル森戸社長へ、特定技能外国人を受け入れる背景〜実際に受け入れてみてどうだったのかというお話を伺いました。一方、実際に同社で働いている特定技能外国人DANGさんにもお話を伺い、どうして特定技能、中でも外食業へ就職しようとしたのかを聞きました。

なお、YouTubeでも森戸社長へのインタビュー動画をアップロードしています。ぜひあわせてご覧ください!

過疎地域認定され、高校生アルバイトの募集も困難

写真_株式会社ウィントライアングル_森戸社長
株式会社ウィントライアングル 森戸社長

ーー御社の事業概要を教えていただけますか?

当社ウィントライアングルは、「餃子の王将」のフランチャイズとして、京都府京丹後市と与謝野町で2店舗運営しています。全体として、22名の人員構成です。

以前は、パートを中心に雇用し、パートで庇いきれない部分を高校生のアルバイトでなんとか店舗を回してきました。

一方で、高校生アルバイトは、中間テストや部活等の学業イベントが重なったタイミング、パートさんはお子さんが熱を出してしまったり等、やむを得ない理由ですが、どうしても突発的な休みが出てきます。その度に、シフトの調整が難しく、正社員比率を高めたいと常々考えていました。

しかし、毎年人口が減少しており、人材の確保が年々難しくなってきています。特に、店舗の所在地でもある京丹後市と与謝野町は双方ともに過疎地として認定されており、近年では高校生のアルバイトの募集さえ、応募がなくなりつつあります。日本人のみの雇用だと店舗を継続させるのが困難であるという、典型的な人手不足の状態に陥っていました。

ーーそういった背景があり、特定技能を受け入れるに至るのですね

はい、この地域の飲食業で、特定技能外国人を雇用しているのは弊社が初めてじゃないですかね?

周りではほとんど外国人を雇用するなんて聞いたことありません。紹介してくれる人材紹介会社もほとんどないですからね。

ーー御社はどのように人材紹介会社を見つけたのですか?

弊社の場合は、インターネットで検索し、人材紹介会社を探しました。そのうち3社ほどに連絡をとり、話を聞きました。

そのうち1社から数名特定技能外国人を紹介いただいていましたが、現在はジンザイベースのみに依頼しています。

思った以上に日本語がうまい
上達スピードも早いため不安は杞憂に終わりました

ウィントライアングル_調理中の写真_ソンさん
店舗で調理中の特定技能外国人(ソンさん)

ーー実際に受け入れてみてどうでしたか?

未経験者だと、入社時の能力的には正直アルバイトと大差ありません。

ただ、日本語でのコミュニケーションに困ることはなかったですね。思った以上に日本語がうまくて、かつ上達スピードも早いです。

近隣で実習生を雇用している工場などの会社さんからは、「どうしてそんなに日本語うまいんですか?」と聞かれるほどです。特定技能外国人が入社するまでは、外国人社員・スタッフは一人もおらず、日本人のみの環境だったため、現場で働くメンバーは不安を感じていましたが、杞憂に終わりました。

また、若い人が入社してくれているので、店舗の雰囲気が明るくなっていますね。弊社の場合は20代から70代まで幅広く在籍していますが、20代の人数は少なかったですからね。

一点、意外と日本円のことを知らない方がいたことにはびっくりしました。実際に、日本円のお釣りの計算ができなかった特定技能外国人もいました。釣り銭の計算方法を従業員へレクチャーした経験は初めてでした。笑

ーー外国人社員が定着するための施策や工夫はありますか?

教育の部分に関しては力を入れています。

マニュアルやルールを作成するときには母国語で作成したり、しっかりと伝わるように工夫しています。日本語は上手いとはいえ、特に細かいニュアンスは伝わりづらいですからね。

また、「将来キャリアアップ・キャリアを積んでいってもらう」というところを意識しながら指導しています。店舗でのマネジメントも含めて経験したり、母国に帰ったときに開業できるくらい、日本での商品企画力・料理及び接客技術を持ち帰ってもらいたいですね。そういった将来像を意識させるようなコミュニケーションを心がけています。今風に言うと、コーチングに近いかもしれません。

また、評価に関しても3ヶ月に一度面談・査定を実施しています。すごい簡単なPDCAを回させて、評価をし、給与に繋げています。個人差がある前提ですが、どうしても就労意識に関しては日本人よりもまだまだな部分があると感じているので、基本的なPDCAを回させる意識づけはしっかりとしています。また、こういった評価制度を回していくことで、外国人本人にとってもキャリア向上のいい意識づけになっていると思います。

ーーありがとうございました!

【特定技能外国人インタビュー】
将来ベトナムへ帰国し自分のお店を持ちたい

写真_株式会社ウィントライアングル_DANGさん
株式会社ウィントライアングル DANGさん

ーー日本に来る前はどんなことをしていましたか?

高校を卒業後は、ベトナムの縫製会社で3年程度働いていました。

正直、給料はよくはなかったです。家族のためには、もっと稼がなければならなかったので、日本へ農業の技能実習生として行くことを決意しました。

ーー日本にきてからどのくらい経ちますか?

もう2022年9月でちょうど5年になります。

最初、3年間農業の技能実習を終了したら、ベトナムに帰国しようと考えていました。

しかし、新型コロナウイルス感染症の影響で、帰国ができなくなってしまいます。3年満了後、特定技能へビザを変更し、そのまま同じ農業分野で1年間就労していました。

私個人としても、どうせ帰れないなら、もう一年位日本にいて、お金をもうちょっと貯めてから帰ろうかなと軽く考えていました。

ーーそこからどうして外食業の特定技能になろうと思ったのですか?

趣味が料理を作ることだったので、元々外食業に興味がありました。接客業を通じて、外食業の経験のみならず、日本語の勉強にもなるので、キャリアの幅が広がるとも感じています。

外食業の接客経験を積みたい理由としては、将来ベトナムに帰国して、自分のお店を持ちたいと考えているからです。日本の接客はとても学ぶことが多いです。ベトナムで日本の接客をしたら、みんな嬉しいと思います。

ーー外食業の特定技能になるにあたって、不安なことはありませんでしたか?

特定技能評価試験に合格できるのかとても不安でした。最初は試験の申し込み方法すらわからなかったです。

Facebookで外食業の試験対策コースがあることを知り、オンライン授業を週に3-4回受講していました。1回2時間、21:00〜23:00までの集団講義です。試験の申し込みはその授業のベトナム人の先生にしてもらいました。笑

また、自分が希望する条件の企業へ就職するのも大変で、受け入れ企業を探すのにも苦労しました。ウィントライアングルは寮を手配してもらえるので、いい会社を運よく見つけることができたなと感じています。

ーー実際に外食の特定技能になってみてどうですか?

今はまだ入社したばかりで、店長から研修を受けています。

ウィントライアングルは、社長や店長が優しく、丁寧に仕事を教えてくれるので、とても充実しています。

ーーありがとうございました!

編集後記

今回は、株式会社ウィントライアングル様に特定技能受け入れについてお伺いしてきました。

森戸社長からは、過疎地域における人材獲得の難易度・実態、特定技能外国人の受け入れ後の施策について貴重な事例をお伺いできました。また、DANGさんには、どうして外食業を目指したのか、特定技能になる際の不安点などを語っていただきました。

特定技能外国人雇用について、貴重なお話を伺えた一方で、外食業、特に地方での人材獲得の困難さを改めて実感しました。

ぜひ人材採用でお困りの企業様は、お気軽に弊社までお問い合わせください。

特定技能外国人の雇用に関しては、「【特定技能】外食業で従事できる業務や試験、採用方法などを解説」で詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

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監修者
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。
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