【事例インタビュー後編】飲食店での外国人雇用事例「将来はベトナムでお好み焼き屋さんを作りたい」

広島お好み焼きを中心に、豊富な鉄板焼きメニューを取り揃える「ちんちくりん」を中心に、飲食事業を運営する株式会社ケーツーエスでは、2022年5月に特定技能外国人の受け入れをご決断されます。前回の前編では、特定技能外国人を受け入れるに至った背景の部分を中心にお伺いしました。今回の後編では、ちんちくりん緑井店の奥作店長と同店舗に配属したロイさんに、実際に働き始めてどうだったのかを現場目線からお伺いしてまいります。

ベトナムに帰国したら、お好み焼き屋さんを作ってみたい

写真_ちんちくりんで働くロイさん
ちんちくりん緑井店のロイさん

ーー日本に来る前はどんなことをしていましたか?

高校卒業後、日本へ留学しようと思い、ベトナムの日本語センターに入学し6ヶ月間日本語を勉強しました。その後来日し、日本語学校で2年間、さらに日本語を学び、専門学校へ進学します。

元々日本のアニメが好きで、日本に留学したいとずっと思っていました。姉も日本に留学していたので、特に不安とかはなかったです。

ーーそこから特定技能になるんですね!でも、どうして外食業なんでしょうか?

留学生の時に、飲食店でアルバイトしていたことをきっかけに日本の外食業に興味を持ちました。当時は居酒屋さんや寿司屋、牛丼屋さんなどいろんなアルバイトを経験しましたね。

元々料理を作るのも好きだったので、自然とインターネットで特定技能の求人を調べていました。

ーー特定技能は試験に合格しなければなりませんが、外食業の試験は難しくなかったですか?

正直、あまり真剣に勉強してなかったですが、試験には合格できました笑。

YouTubeにベトナム語で特定技能試験の解説をしている動画があったので、1週間くらいYouTubeで試験勉強していました。

勉強期間は1週間ほどですが、動画が非常にわかりやすいことと、留学生時代の飲食店アルバイトの経験があったことが大きかったかもしれないです。

ちんちくりん緑井店の店内風景
ちんちくりん緑井店

ーー特定技能の就職活動は大変でしたか?

僕は留学生の時から広島県でずっと生活しています。加えて、特定技能になる前に、すでに奥さんと1歳になる子供と一緒に生活していたので、広島県にある外食業の会社で働きたいと考えていました。

しかし、広島県の特定技能での求人がなかなか見つからず、3ヶ月ほど就職活動を続けていました。

その間に、2社面接に参加し、1社不採用になってしまったところで、ちんちくりんに合格することができました。本当に運が良かったと思います。

ーー働き始めるまでに不安だったことはありますか?

やはり、社員の人と仲良くできるかは大きな不安でした。

お好み焼きを人生で2-3回しか食べたことがない初心者が、いきなりお好み焼き屋さんで働くことになったという点でも不安でしたね笑。

ーーそれは不安ですね笑!実際にちんちくりんで働いてみてどうですか?

社員の人は優しくて、すぐにお店に慣れることができました。

今は仕込みが中心ですが、簡単なドリンクや料理も作るようになってきて、仕事も楽しいですね。

ただ、お店に外国人は僕1人なので、若干寂しいですが。これからベトナム人の後輩とかがきたら嬉しいですね笑。

ーー最後に、将来の夢や目標を教えてください!

外食業の特定技能は最大5年しか日本にいられません。将来的に、外食業でも特定技能2号ができるようになるっていう噂もありますが、まだわかりません。

本当は、ずっと日本で、ちんちくりんで働きたいと考えていますが、もし5年後日本にいられなかったら、ベトナムに帰国してお好み焼き屋さんを作ってみたいですね。

そのために、早くちんちくりんで一人前になれるように、頑張っていきたいと思っています。

ーーロイさん、ありがとうございました!

正直、日本語が通じるのかは不安でした

写真_ちんちくりん緑井店_奥作店長
ちんちくりん緑井店の奥作店長

ーーちんちくりん緑井店では、外国人社員はロイさんのみですか?

はい、特定技能のロイくん1名のみですね。

現在は、日本人14名、ロイくんの合計15名体制で店舗を切り盛りしています。過去に外国人スタッフが在籍していたことがないので、緑井店として初めての外国人社員の受け入れになりますね。

ーー初めてなのですね!ちなみに、ロイさんは現在どんな業務を行っていますか?

メインは厨房で働いてもらっています。

まだ入社して日が浅いので、お任せしている業務は仕込みや皿洗いなどの裏方が中心です。弊社はお好み焼き屋なので、毎日20kgにも及ぶ大量のキャベツを切ってもらっていますね。また、最近だと徐々に揚げ物やサラダの調理業務にも幅を広げてもらってます。

ただ、鉄板焼きの調理にはもう少し時間がかかりそうです。特にお好み焼きの調理は職人技が必要なので、一定の経験がどうしても求められてきますから。

ーー日本語の部分で、意思疎通は問題ありませんでしたか?

正直、配属前は日本語に関して多少の不安はありました。面接に参加してなく、配属まで実際にお会いする機会がなかったので、どの程度の会話力なのかが想像できなかったので。

実際に配属し、一緒に働いてみて驚いたのですが、広島弁も通じるくらい日本語力があるので、ほとんど問題なかったですね笑。

仕事で活用する日本語に関しても、割と早い段階で解消されました。

ロイくんの物覚えが早いこともあり、日常会話含めて、仕事で活用する日本語に関しても問題なく意思疎通できていますね。

ーー受け入れてみて、ポジティブ・ネガティブ面ありましたら、ぜひ教えてください!

ポジティブ面で言うと、お店を下支えしていただいている感じで安心感がある点ですかね。

アルバイトの子達よりもしっかりしていますし、広い業務範囲を任せることもできる上に指示したことは確実にこなしてくれます。

現在は裏方や簡単な調理を中心にやってもらっていますが、今後はホールも任せていきたいと考えています。ゆくゆくは、ホール・キッチン関係なくオールマイティに仕事をこなせるようになってもらいたいですね。

ネガティブ面で言うと、わからないことはしっかりと「わからない」と伝えて欲しいですね。お客様のお口に入るものを提供しているので、きっちりとやってもらう必要はありますが、見切り発車で作業をして、ミスしてしまうケースもあったりするので。

想像よりもすぐに馴染んでもらえましたし、仕事の覚えも早かったですね

写真_奥作店長とロイさん
奥作店長とロイさんのツーショット

ーー育成・指導面で苦労されたことや気をつけている点はありますか?

やはり正社員として入ってもらっているので、アルバイトよりも多少厳しく指導しています。ただ、指導する際は、どのような言葉を投げかけるのかは注意していますね。ベトナムと日本だと食文化やマナーが異なるので、わかる部分とわからない部分があると思います。そこも考慮した上で、注意深く指導しています。

あと、厳しく指導するのと同時に、どこまで怒っていいポイントなのかと言う点は気を遣っていますね。受け入れてくれるキャパがロイくんにどこまであるのか、様子を見ながら探り探り指導しています笑。

一方で、ハングリーさは他の日本人と比べるとかなり高いと感じています。もちろん、お店側としても早く仕事を覚えて欲しいし、期待もしていますので、業務内容などが毎日・毎月単調に繰り返されないように気をつけています。

ーー生活面において、特別に対応されていることや問題はあったりしますか?

配属当初は、ロイくんの自宅からお店までの送り迎えをしていたくらいですかね。その他、社会保険などの会社の制度を事細かに伝えるとか。

正直、生活面・プライベートでの問題は特には発生していないですね。これは、ロイくんが来日してすでに5年経過しているって言うのが大きいのかもしれませんが。すでに一通り日本での生活を経験しているので、何か特別な手配をしてあげる必要もないのかなと思っています。

ーー最後に、初めて外国人を受け入れる企業様に向けて一言お願いします!

初めて受け入れる場合だと、どうしても最初は敷居を高くして構えてしまいがちです。でも、実際に一緒に働いてみると、そういったものは意外とすぐなくなります。

最初の想像よりもすぐに馴染んでもらえますし、仕事の覚えも早いです。

思っていたよりも外国人社員の受け入れは難しくなかったので、不安だとは思いますが、ぜひ一度外国人雇用にチャレンジしてみてください。

ーーありがとうございました!

編集後記

今回は、ちんちくりん緑井店の奥作店長と同店特定技能外国人のロイさんにお話をお伺いしてきました。双方受け入れ前に感じていらっしゃった不安点はすぐに解消され、今では非常に良い関係性を構築されていることがよく伝わってきました。外国人雇用をご検討されている企業様はぜひご参考になさってください。なお、外食業での特定技能外国人の受け入れは「【特定技能】外食業で従事できる業務や試験、採用方法などを解説」の記事も併せてご覧ください。

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監修者
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。
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