【事例インタビュー】外国人の方はよく働く上にやる気もある / 株式会社クロールアップ様

仙台を中心に、「ケータリング事業」を中心に「居酒屋」、「ベーカリー」、「ラーメン」と多業種展開されている株式会社クロールアップ。コロナの影響を受ける中、将来の人手不足を見越して特定技能外国人の雇用をご決断されます。今回は、同社代表取締役及川社長に、特定技能外国人の受け入れ背景から入社後の実態に至るまでお伺いしてきました。また、同時に、同社で働くミャンマー人社員(特定技能外国人)にもインタビューを実施しております。これから特定技能の雇用をご検討されている外食企業様は、ぜひご覧ください。

同じ飲食業でも、業態によって応募者数にはっきりと違いが出てくる

クロールアップ_及川社長のお写真
快く取材に答えていただいた及川社長

--会社の概要及び及川社長の経歴をお伺いしてもよろしいでしょうか。

弊社は居酒屋をメインに飲食店を5店舗展開しています。また、ベーカリーやラーメン店、2023年4月にはカフェを新業態としてオープンする予定です。

飲食店舗が多くなってきていますが、祖業はケータリング事業で、飲食店は後付けですね。フェスやコンサートなどのイベント時や学校売店・社員食堂での食事提供を中心に、今でも主力事業として運営しています。社員数は約20名。アルバイト・パートさんも加えると大体80名くらいの規模感になります。

私個人の経歴としては、岩手県出身で20歳を機に仙台に出てきました。最初の1年ぐらいは派遣やら何やらで食い繋ぎ、その後自宅近くの居酒屋に勤務したのがきっかけで22歳の年に起業し、今に至るって感じです。

--コロナの影響はありましたか?

ケータリング事業部は年間約8,000万から1億くらいの売り上げがありましたが、コロナ禍初年度は、1,000万を切っていました。去年も3,000万程度しか売り上げがありません。

そんな状況でしたが、今年の3月ぐらいからやっと戻り始めてまして、今年度は80%ぐらいまでの回復は、見込んでおります。

このコロナ禍においては厳しい状況が続きましたが、逆にベーカリー業態の開発など、既存事業以外の取り組みに関しても幅を広げて継続させることができました。

従業員に関しては、基本的には全員雇用し続けました。でも、今振り返ると、やっぱ解雇しないといけなかったかもしれません。3ヶ月で、半年で、今年こそは元に戻るだろうと思い続けて、結局3年ですから。ここは、私の経営者としての判断ミスだったなと、今振り返ればの話なんですけどね。

今後に関しては、既存店の盛り返しというのを目標にしています。4月に新しいカフェがオープンしますけども、新規の店舗としては今のところ一旦ストップさせ、あとは既存事業をいかに磨き上げて、利益率を高めるかという部分を目指していきます。

--特定技能外国人の受け入れ前は、人の募集はどのように対応なされていましたか?

元々、弊社はどちらかというとリファラルでの採用数が結構多いのに加えて、アルバイトとして働いていた方が、学校卒業と同時に辞めて他の会社に就職したけど、半年ぐらいでやっぱり戻ってきて社員になるっていうケースもあったりしましたね。

ただ、リファラルのみだと必要数は集まり切らないので、Indeedでの広告媒体を中心に有料・無料を問わずに常に募集活動をしていますね。過去には、マイナビさんのような新卒・第二新卒の媒体掲載もしたことがあるんですけど、合わなかったので今はやめて、中途の募集を中心にしています。

やっぱり、お金をかけたからって応募が来るわけではないので、無料・有料問わずに出し続けてる中で、半年や3ヶ月に1回ぐらい1人でも応募が来てくれたらOKみたいな感覚ですね。なので、急な募集はあまりしたことないですね。常にダラダラと求人を出しておいて、応募が来れば面接をさせてもらってっていう感じです。

一方で、業態によって応募が来る来ないっていうのがはっきり分かれてるなと最近感じています。直近だと、新規でカフェ業態の出店が控えていたので応募を出していましたが、ここは集まりやすかったですね。ただ、これはカフェ業態だからこそ集まったと思っています。

実際、居酒屋とラーメン業態の社員募集に関してはやっぱり苦戦してます。すぐには集まらない感じですね。

日本人と同じ接し方をしてたが故に、がっかりする場面にも遭遇しました

写真_天ぷら酒場「ててて天」仙台牛の天ぷら
天ぷら酒場「ててて天」仙台牛の天ぷら

--特定技能の前に外国人雇用はされていましたか?

技人国の方をコロナ前から雇用していました。2019年の11月ぐらいからですかね。近くに留学生が30人ぐらいいる専門学校があり、将来の幹部候補として2人採用しました。結局2人とも途中で辞めてしまうことになるのですが、ネパールとベトナム国籍の方が1名ずつでしたね。

--辞めてしまうというのは、何か理由があるんですか?

1人は起業するっていうので辞めて、もう1人は奥さんが大阪での仕事が決まって、自分も一緒に大阪に行くっていうので辞めてしまいました。

--実際パフォーマンス的なところで言うと、どうでしたか?

いや、よく働いてもらってましたし、全然人としても良かったですね。飲みにもよく行きました。

私は採用面談のときから、日本人と同じ扱いで採用するから、その覚悟でねって話をして入社いただいていたので、他の日本人社員と何も変わりもなく接していましたね。

ただ、止め方はちょっと外国人っぽいというか、そこはがっかりしてしまいましたね。

--なるほどですね。何か直前に申し出たりとかみたいな感じですか。

そうですね。

私は、半期に一度、全社員必ずミーティングを入れて面談しています。その際に、やめようと思ってるとか、そういった情報は早い段階で把握し、先手を打つようにしていました。

その時に1人は妻が大阪へ就職が決まりそうで、みたいな話をちゃんと事前に伝えてくれていました。3ヶ月ぐらい前からその話をしてくれていたので、何だよって言いながらも、引き止めてもしょうがないね、っていう形でした。

もう1人の方は、「日本では1ヶ月前に言えばいいって聞いてます」みたいな形で、緊急事態宣言が解除され、来月から全業態でグッと忙しくなるな、というタイミングで抜けられちゃいました。

正直、コロナ禍にお子さんが産まれて、休業などをなんとか調整をしたりして、本当に日本人と同じく接し、もちろん、外国人だからってきつくしたわけでもない中で最後そこの辞め方みたいなところはわかんなかったかと思って、ちょっとその辺はがっかりでしたね。

まあ日本人でも一緒ですけどね。でも、そうやって付き合ってきた分、ちょっとそこはがっかりだったかなって感じがしますよね。

でもやっぱり、外国人の方はよく働く上にやる気もある

仕込みをするミャンマー人の特定技能外国人

--そんな中、どうして特定技能の導入をご決断されたのですか?何か背景とかってあるんでしょうか?

昨年12月ぐらいに、御社から特定技能の提案を受けて、すぐ思い浮かんだんですよ。多分、2023年3月か4月頃から、世の中がコロナ前に戻ろうとするときに、間違いなく人材不足で困るだろうなって。これは早い段階で外国人の方に入っていただいた方がいいなと。やっぱり、外国人の方はよく働くし、やる気も満々じゃないですか。

人がいないことで戦えない環境ってのが一番かっこ悪いなと思ってたので、すぐに返信して動き始めましたね。何とかこの3年間で生き延びたのに人がいないから売上立たない、人がいないから営業できないっていう状況だけは避けたいなと。

--将来の人手不足を見越した上での対策として、外国人雇用をご決断された形ですね。

恐らく、半年から1年で間違いなく人が足りなくなるのと、管理職以外の面でやっぱり作業をする人員っていうのは黙々と作っていく作業ですので、なかなか求人が集まらないっていう現実があります。そこを特定技能の外国人社員に埋めてもらえるとすごくいいんじゃないかと思っています。

直近では、日本人が管理側に回って、特定技能外国人が作業側を担ってもらっています。将来的には、あくまでパフォーマンス次第という前提にはなってしまいますが、特定技能の中からも管理側に回ってもらえる人材が出てきてくれればいいなと考えています。

--実際にジンザイベースへご依頼いただいてどうでしたか?

集客・面接・申請に関しては、ストレスなくスムーズに進んでいったという印象があります。

ただ、特定技能を希望する方の中には、日本へ来るときの手続きや住む場所の準備など、何から何まで至れり尽せりでやってこられた方がいらっしゃいます。弊社では、良くも悪くも日本人と外国人を区別していないので、住居などの手配は自分達でしてもらっているので、ニュアンスが伝わらないことでのやり取りの不備が出たりとかっていうのはちょっと引っかかったかなぐらいですね。もちろん、ジンザイベースさん側でもサポートはしてもらっているとは思うのですが。

--特定技能外国人を受け入れる際に、現場の方々はどんな反応をなさってましたか?

元々技人国の方を2名採用していたので、違和感なくすっと受け入れられていましたね。

当時から、コミュニケーションに大きな問題もなかったですし、日本人外国人関係なく飲み会等の会社イベントにも参加してましたし。別に外国人への抵抗はなかったので、今現在も同僚としては問題ないかなって感じです。

入社早々に「即戦力」として活躍するミャンマー人社員

東北学院大学のホーイ記念館の中にある「土樋パン製作所

--面接などで、技人国と特定技能の方で何か違いを感じる場面はあったりしましたか?

やっぱり、技人国を持っている方は日本語が上手ですよね。細かいニュアンスを含めて伝わるって言ったらいいですかね。日本人同士でも伝わらない時があるので、すごい難しいと思うんですけどね。

それ以外は別に大差はない感じですかね。一番重要なやる気や仕事への取り組み方に関しては変わらないですから。

--実際に受け入れてみて、現場からはどのような評価でしょうか?

一番最初に入った女性のミャンマー人の方は、元々技能実習生でスーパーの総菜コーナーで働いていたので手際もいいし、物覚えもいいですね。日本語能力はN4の合格者なんですが、全然伝わりますね。N2ぐらいの会話能力はあるんじゃないですかね。そのため、入社時の研修等も楽で、もう1社員として、満席のピーク時以外はほぼ回せるってことで、1人前にやっていただいてます。

一方で、飲食と全然関係ない工場作業員として働いていたって方は、どうしても基本から教えてないといけないですし、日本語力がN4レベルで伝わらないっていうのは、ちょっと難しいとこかなと思ってますね。

これからもし特定技能をさらに増やすってなった場合は、食品工場やスーパー、もしくは居酒屋で働いてたって方じゃないと、採用しても即戦力は難しいんだなってのは正直感じました。面接の時には、やる気や雰囲気、笑顔に加えて、経歴もしっかりと見た上で検討するようにしていきます。

--外国人社員の方が、パフォーマンスを発揮するために御社で取り組まれていることはありますか?

特に意識してやっていることはないですね。

強いていうなら、さっき言った半年に1回の社長面談で、近況の確認や退職意思などを確認はしていますが。また、現場レベルでは、定期的に懇親会をはじめとした食事会、飲み会なんてことは結構頻繁にやってたりはしますね。

これは僕だけじゃなくて社員同士もそうなんですけど、やっぱり、コミュニケーションの量を増やすってことは常々言ってはいますね。喋る量を増やすっていうのは、大切だと思います。

ミャンマーに帰国したら、日本で学んだ知識を活かして、自分のレストランを開きたい

取材にお答えいただいたミャンマー人のカインさん

--どういった経緯で日本へ来たんですか?

日本に来る前は、大学を卒業してから家族の仕事を手伝っていました。私のお父さんは農家でしたので、お父さんのお手伝いのみをしていました。

その後、日本語学校で半年ほど日本語を学んだあと、技能実習生として来日しました。技能実習生としては、食品製造の会社でフライヤーなどを使い天ぷらをあげたり、弁当を作っていたりしました。

知り合いには日本で仕事をしている人が多く、私の弟も先に日本へ行っていました。日本はアジアで一番安全な国ですし、何よりお給料も高いので、日本へいくことに対して特に不安はありませんでした。

--その後、特定技能へ切り替えようと思ったんですね!

私は技能実習生を終えたあとは、飲食店で仕事をしたいと考えていました。

理由としては、将来ミャンマーに帰る時、自分のレストランを開きたいと考えていたためです。飲食店で働くことで、日本の接客や調理を学べると思って、特定技能の「外食業」を選択しました。

--特定技能になるときに、何か不安なことはありませんでしたか?

ありました笑。

飲食店と食品製造の工場では、働き方が全然違います。また、自分だけではなくて、お客様の満足感や会社の業績とか考えないといけないので、「大丈夫かな?」と不安に思っていました。

あとは、飲食店で使う日本語も全然違うので、とても不安な気持ちになっていました笑。

--実際、特定技能になった時はどうでしたか?

実際に仕事をしてみて、とても面白いと思いました。

店舗の先輩社員や日本人従業員の方々はわからないことやお客様との話し方などを優しく教えてくれました。最初は覚えることが多くて大変でしたが。

本当にいい会社に就職できてよかったです。

--特定技能の試験は難しかったですか?

元々食品製造の会社で働いていたので、内容はちょっと似ていましたから、そんなに難しくはなかったと思います。

ミャンマーにいるオンラインの学習講座を1万円くらいの受講料を自分で払って勉強はしていましたが、技能実習生の時にも、似たような日本語の試験(技能検定試験)を受けていましたので、そこまで大変ではなかったですね。

--最後に、将来の夢を教えてください!

先ほども少し話しましたが、将来は母国に帰って、自分のお店を開きたいと思っています。なので、日本の飲食店で仕事のやり方やカスタマーサービスの対応方法を学んで、母国で活かしていきたいと思っています。

編集後記

今回は、株式会社クロールアップの及川社長とカインさんにお話をお伺いしてきました。将来の人手不足を見越した外国人雇用に取り組み、結果として入社早々に「即戦力」として活躍するミャンマー人の採用に成功されている貴重な事例をお伺いできました。ただ、及川社長もおっしゃる通り、即戦力人材を雇用するには、面接時の見極めは必須だと改めて感じさせられました。

弊社では、ミャンマー人、インドネシア人、ベトナム人、ネパール人と多国籍の人材紹介が可能です。少しでも外国人雇用にご興味がある方は、ぜひこちらのお問い合わせフォームからご連絡くださいませ。

また、飲食店での外国人雇用については、「【特定技能】外食業で従事できる業務や試験、採用方法などを解説」の記事も併せてご覧ください。

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監修者
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。
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