東南アジアに位置する南北に細長い国ベトナム。現在日本には、約48.9万人(2022年末現在)のベトナム人が在住しており、在留外国人の国籍別の人数では、中国に次いで第2位となっております。▶️参考:出入国在留管理庁HP
この記事では、そんなベトナム人の気質や国民性などの特徴について紹介していきます。ベトナム人の雇用を考えている企業様や、既に雇用している企業様は、ぜひ最後までご覧いただき、社内で役立てていただければと思います。
なお、YouTubeでは、弊社のベトナム人社員から、こちらの記事の内容を紹介していますので、併せてご覧ください。
ベトナムの基本情報
ベトナム人の特徴に入る前に、ベトナムという国の基本情報をおさえていきましょう。
人口は1億人!|平均年齢は31歳!
ベトナムの正式名称「ベトナム社会主義共和国」、インドシナ半島東部に位置し、南シナ海と面し、北部は中国、西部はラオスやカンボジアと国境を接します。
アンナン山脈に沿って南北1650㎞と細長い国土で、北部は亜熱帯気候、南部は熱帯性気候と異なる環境にあります。
国土面積は約33万㎢と日本から九州を除いたくらいの広さで、人口は約1億人で今も増加傾向にあります。
首都はハノイで、北部に位置しています。南部には、みなさんも一度は聞いたことがあるホーチミンがあります。
平均年齢は31歳と非常に若く、15〜59歳の占める割合は65%で、中でも25〜29歳が最も多いです(参考:ジェトロHP)。
通貨は、ドン(Dong)といい、国際通貨コードはVND。(※2023年8月22日時点で1ドンは0.0061円)
民族は53以上!|公用語はベトナム語|英語も通じる
ベトナムの民族の86%はキン族で、また53もの少数民族が存在します。公用語はベトナム語で、20代の人たちは英語も問題なく話せます。
最近では、日本語も人気で、中学校で日本語を勉強する人も増えてきています。
主要産業・宗教
ベトナムの主要産業は、農林水産業(GDPに占める割合11.88%)、鉱工業・建築業(同38.26%)、サービス業(同41.33%)の3つです。
特にGDPの構成比で最も多いサービス業においては、2010年代以降、日本からも大手外食産業が続々とベトナムへ参入しています。近年、日本の外食業は人手不足が大きな課題となっており、この深刻化する人手不足を補うため、ベトナムに進出した飲食店ではベトナム人材の採用・育成に注力する企業も増えています。
主要3つの産業に加えて、製造業も盛んになっており、ここでも日本企業が多数進出しております。また、貿易相手国としては、輸出入ともに、日本がランクインしています。
宗教は、無宗教や民間信仰の方が一番多く約7〜8割を占めており、仏教、カトリック教、カオダイ教の方も一部います。
このことから、大半のベトナム人は宗教的に食ることができない物はないため、ベトナム人を雇用する際に宗教という観点から食べ物で注意する点はほぼありません。
ベトナム人の性格・気質・国民性
では、ベトナム人の性格や気質、国民性を紹介していきましょう。
前提として、ベトナム人の性格などは、その人によって異なり、一概には言えません。弊社のベトナム人社員から聞き取った情報をもとに紹介していきます。
家族を大切にする
ベトナム人は家族を非常に大切にします。また、両親の存在は絶対なので、例えば、父親が病気になった場合には、日本で働くベトナム人も、父親のお世話をするために帰国を希望するケースが多々あります。
ベトナム人を雇用する場合、定期的に母国に帰国できるような体制を構築できれば、より満足度高く働いてもらえるでしょう。
感情は出やすい?
日本人と比較して、感情が態度に出やすい人は多いです。そのため、仕事をする上での、注意やアドバイスなどは人前では行わず、別室で行うなど、個別に対応した方が良いかもしれません。
阿吽の呼吸は伝わらない?
日本における、空気を察する、阿吽の呼吸などの曖昧なコミュニケーションは、ベトナム人には伝わるのでしょうか?
結論、伝わるのは難しいです。
コミュニケーションを取る場合には、曖昧な表現はなるべく避けて、具体的な表現を意識しましょう。
報・連・相のイメージがない?
ベトナム人は、報・連・相のイメージを持っていません。「報・連・相をちゃんとしてください!」と言われても「ちゃんと?」が分からないため、「いつまでに、何をやって、いつ報告して、いつ連絡して、いつ相談して」というのを具体的に提示することが求められます。一度教えた後は、しっかりできる方が多いので、就労初期にしっかりと教育するのが大切です。
国民的スポーツはサッカー?
外国人とコミュニケーションを取る上で「共通の話題」を見つけるのはとても重要です。この共通の話題を探す上で欠かせないのが「スポーツ」の話です。
では、ベトナムではどんなスポーツが人気かと言うと、人気No.1はサッカーです。
世界最大級のマーケティングリサーチ会社ニールセン(Nielsen)によると、2022年におけるアジア各国の国民のサッカーファン割合に関する調査で、ベトナムはサッカーファンの割合が75%とアジアトップでした。同調査で日本が28%だったことを見ると、ベトナムのサッカー人気が分かると思います。
これは、10年以上前から国を挙げての強化を実施しており、着実に国全体のサッカーレベルも成長を続けていることが大きな要因として考えられます。
既にベトナム人を雇用している、もしくは、今後雇用する場合、サッカーの話題でコミュニケーションを取るのも一つの手かもしれません。
ベトナムにおける地域差
前項ではベトナム人の性格・気質・国民性について紹介しましたが、細かく見ていくとひとくくりには説明できないことがあります。
それは、「地域差がある」ということです。
前述の通り、ベトナムは南北1650㎞と細長く続く地形をしているため、北・中・南それぞれの地域ごとに歴史や文化、考え方、性格などが分かれると言われています。
ベトナムの2大都市であるハノイとホーチミンを例にとってみましょう。
首都ハノイはベトナム北部に位置し、日本ほどの寒暖差はないものの年間を通して湿度や気温の変動が激しい「亜熱帯気候」に属しています。
文化的には、中国が近いこともあり、中国式の文化の影響を強く受けています。社外主義が色濃く残っているためか、歴史的建造物なども多く学術的にも進んでいます。
性格はしっかりとしていて真面目で勤勉な人が多いという特徴があります。内気でシャイな人も多く、こちらが心を開かないと相手も開いてくれない場合もあるかもしれません。さらに消費より貯蓄を好む傾向があり、大まかに見ると少し日本人と近いかもしれません。
一方、ホーチミンは南部に位置する都市で、「熱帯性気候」に属しており年間を通して寒暖差があまりありません。
文化的には、かつてフランスの植民地だったこともあり、その名残が街並みに色濃く残っています。しかし、資本主義の色も強く、高層ビル群が立ち並び、歓楽街なども発展している経済都市となっています。
性格は南国気質で、おおらかで楽天的、外国人などにも開放的に接する方が多いです。あまり人見知りをしないので、商売上手とも言われています。また、購買意欲が強く新しいもの好きなため、ホーチミンに進出している外資系の飲食業などは、高価格で高品質なサービスを提供する傾向があります。
ベトナムのお給料事情
それでは、気になるベトナムにおけるお給料事情について、ざっくりと見ていきましょう。
平均給与
日本貿易振興機構(JETRO)が発表した2022年のベトナムの1人当たりの月間平均所得は660万ドン、日本円で約4万円程度です。
一方で大手求人サイトのジョブストリートの調査では、ベトナムの大学新卒の初任給は、業種や地域、企業によって大きく異なりますが、平均月額は300米ドル、日本円で約4.4万程度です。
ただ、最近は給与水準も上昇傾向にあり、特にサービス業が堅調で、タクシーの運転手で月給15万円以上の方もいるようです。
ベトナムの給与体系
ベトナム労働法では、労働者の賃金の昇給は、基本的には、労働契約の締結時における、当事者による合意で決定されます。そのため、昇給期間、昇給条件、昇給額などの詳細を当事者同士で明確にするのが一般的だと言われています。
また、合意された昇給条件を労働者が満たしているにも関わらず使用者が昇給しない場合、民事制裁のみならず、政令の規定に従って行政制裁としての罰金を科されることがあります。
従って、労働者のモチベーションアップにつながるように、個人の成果によって昇給していくシステムを採用している企業が多くなっています。特に年功序列型の給与システムを採用している企業様に関しては、事前に説明をして合意を得る必要があります。
人気の職業
続いて、ベトナム人に人気の職業を見ていきましょう。
ベトナムでの人気職種
ベトナムでは、大卒の方には、以下に列挙したように、金融業界やサービス業が人気の職業となっています。また、日本やアメリカなどの外資系企業への就職に憧れている方も大変多くいらっしゃるようです。
- 金融業界
- サービス業界
- IT系
日本での人気職種
そして、日本では、特定技能外国人にフォーカスすると、一番人気は飲食料品製造業、次いで製造業となっております。理由としては、社宅のある企業が多い点が挙げられます。社宅や家賃補助がある企業は外国人にとっても人気なのですね。
また、将来的に母国で日本語を使って仕事をしていきたいと考えている方には、介護業や外食業が人気の職業となっています。
ベトナム人に人気の国は?
やはり日本が一番人気です。
厚生労働省が公表している2022年10月末時点での『「外国人雇用状況」の届出状況まとめ』では、外国人労働者の国籍別ではベトナムが約46.2万人と一番多く、全体の25.4%を占めているほどです。
▶参考:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)
ただ、円安や他国と比べた給与水準などの問題で、今後どうなっていくかは分かりません。最近では、オーストラリアや韓国での就労を考えている人も多いようです。
特に、ベトナムとオーストラリアは2022年から農業従事者に関する連携を開始しており、今後ベトナム人のファーストチョイスはオーストラリアになる可能性が高いでしょう。
▶参考記事:ベトナムとオーストラリア、農業従事者の支援に関する了解覚書に調印
ベトナム人の仕事観
続いて、ベトナム人の仕事観についてみていきましょう。
ベトナム人はすぐ転職する?
ベトナム人は職種や仕事の内容は別にして、どこの会社で働けば給与をより多くもらえるのかという基準で会社を選んだり、職場を替える傾向にあります。日本人と比べても転職に対する抵抗感は低く、むしろ転職に対して積極的でもあり、
転職=ステップアップ、キャリアアップ
と考えている人が多いのです。
これは、日本にいるベトナム人も同じで、最近は転職をする人が増えてきています。人間関係や給料の大小など、様々な理由が考えられますが、転職理由として一番多いのは、入社前に提示された条件と実際の条件が違う場合です。人材会社から実情とは異なる条件を伝えられ、入社してみると全然違ったというケースもあり、面接時にしっかりとコミュニケーションをとることをおすすめします。
目先の利益を優先する?
日本人は社内でのステップアップ、キャリアアップなど中長期的なことを見据えて就職先を選ぶことも多いです。
一方でベトナム人は、中長期的な視点というよりは、「その時いくら稼げるか」という目先の利益を、企業選択時に重要視している方が多い傾向があります。
例えば、マネージャー候補・幹部候補・サービス業等での現場管理者候補…など、日本では比較的応募が集まりやすいような将来性を提示した求人も、ベトナム人は全く魅力的に感じないことが多いです。
そのため、ベトナム人採用の際は、採用時点のスキルに見合う報酬を提示することが重要です。
残業に対する考え方は?
日本では一般的な「残業」ですが、ベトナム人はプライベートや家族との時間を大事にするため「定時退社」が一般的です。
しかし、日本にいる就労系在留資格を持つベトナム人は独身の方も多く、プライベートよりも収入に重きを置くケースも少なくありません。そのため、残業代が出る場合は、たくさん働いて稼ぎたいと考えます。
長時間労働でも真面目に働く気質があるベトナム人ですので、安心して業務を任せられるでしょう。
人手不足に悩まれている企業様へ
ベトナム人は、真面目で仕事にも早く慣れる傾向があります。そのため、人手不足に悩まれている企業様は、ベトナム人の雇用を一つの選択肢に加えていだければと思います。
ベトナム人に限らずですが、外国人を雇用するためには、就労系在留資格が必要です。
就労系在留資格はいくつもあり、それぞれの在留資格によって働ける業種や出来る業務に制限がありますが、人手不足が課題となっている業種の企業様におすすめするのは「特定技能」の在留資格です。
この特定技能は、人手不足が著しい特定の業種で、外国人労働者の受け入れを促進することを目的に2019年4月に導入された比較的新しい労働制度です。
2022年12月末時点での特定技能在留資格を持つ外国人は約13万人で、このうちベトナム人が約7.7万人と半数以上を占めており、今後も増加傾向にあります。
自社の業種が特定技能が定める業種にあたる企業様は、特定技能のベトナム人を雇用することが人手不足解決の鍵となるかもしれません。
特定技能を活用し、ベトナム人の雇用を検討される企業様は是非こちらの記事もご覧ください。
▶特定技能でベトナム人を雇用するには?独自の手続きや費用がある?
終わりに
当社は、ベトナム人を含めた特定技能外国人の紹介や支援活動の代行などに対応させていただいております(ベトナム人の正社員も所属しているため、きめ細かいサポートも可能)。
また、ベトナム人以外にも、ネパール・インドネシア・ミャンマーなど、昨今、増加傾向にある国についても取り上げておりますので、是非そちらもご覧ください。
ネパール人の特徴
▶【外国人雇用に役立てる!】日本で働くネパール人の性格や価値観などの特徴を紹介|英語が話せる?
インドネシア人の特徴
▶【外国人雇用に役立てる】日本で働くインドネシア人の性格や価値観などの特徴を紹介!
ミャンマー人の特徴
▶【外国人雇用に役立てる!】日本で働くミャンマー人の性格や気質などの特徴を紹介!|採用する際の注意点は?
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