【食品製造×特定技能】1期生全員退職→日本語力重視の2期生採用で大成功?! | アミュード株式会社様

埼玉県で小袋タイプの調味料を開発・製造している「アミュード株式会社」。同社では初めて特定技能外国人を受け入れた際の経験を活かし、2期生からは日本語力を重視した採用方針に転換。現場からの不安があった中、2期生受け入れ後1年が経過した今、現場はどうなっているのか、同社の栗原社長と森工場長を始めとした経営層〜現場チームまで幅広く取材。外国人材の戦力化に成功した理由と、持続可能な受入れのポイントについてお話を伺いました。

YouTubeでもインタビューを公開していますので、ぜひ以下からご覧ください!

前回の失敗から『日本語力重視』の採用へシフト

栗原社長と森工場長のお写真
インタビューに快くお答えいただく栗原社長と森工場長

ーー貴社について簡単にお伺いできますでしょうか?

栗原社長:粉末・粘体・液体の小袋タイプの調味料を開発から製造・販売まで実施しております。

森工場長:特定技能外国人については、現在2名雇用しています。1名は小袋に液体を詰める作業である「充填」を、もう1名は 中身を「仕込む」作業を担っていただいております。

今回、特定技能外国人の受け入れは2回目になります。初めての際は、3名のベトナム人の方に働いていただいてました。

ーー特定技能の方を再度採用するに至った背景は何かありましたか?

栗原社長:最初に受け入れていたベトナムの特定技能の方が色々事情があり、全員辞めてしまいました。

人材不足ということもあるのですが、弊社は幸いなことに日本人の方が入社してくださっていたんですね。ただ、残業とか夜の遅い時間帯とか朝早い時間帯とかになると、日本人だとやはり定時で帰りたいということもありましたので、もう一度チャレンジしてみようかなと思って、ジンザイベースに相談させていただきました。

森工場長:いろいろお話をしている中で、純粋で勤勉で長続きするのではないかということで、ネパールの方を採用したという感じですね。

実際のオンライン面接での印象としては、やはりオンラインだと言葉が通じないと身振り手振りでもなかなか通じないところがネックになりますが、今回紹介いただいた2名は、日本語がすごく上手だったので、とても良かったと思います。

栗原社長:面接のときに一番重視したのは、とにかく日本語能力でしたね。

森工場長:前回の方は、挨拶程度は話せるかなというくらいで、こちらの話を聞くことはできても、向こうから話すことができない、あるいはこちらからの意思も通じない方もいたので、本当に単純作業しかできないという状況でした。

今回のミラン君・ラマ君に関しては、ある程度の仕事がほぼ日本人と一緒にできるので、あまりそこを意識しなくていいというのが一番の利点です。多分一緒に仕事をしていてストレスを感じなかったのが大きいですね。

ーー特定技能外国人が入社するまでに何か不安だったことはありましたか?

栗原社長:現場の人間はみんなすごく不安でした。誰一人英語も話せる人がいなかったので、仕事ができるのか、日本語が通じるのかというのが一番の心配でしたね。

ベトナムの方の中には1名だけしか仕事ができなかったので、正直言って、次のネパールの方も不安があって、「日本語ができるの・分かるの?」ということばかり聞かれました。日本語がわからないと本当に私たちは仕事を教えられないと。

「今回は大丈夫だよ」と現場サイドともコミュニケーションを取って、入社してみたら本当に大丈夫でした。

ーー入社前後でポジティブ・ネガティブなギャップはありましたか?

森工場長:前回のベトナムの方は、あまり主張・意思表示がなかったイメージがあるんですよ。

「日本語が通じないからわからない」ということかもしれませんが、ネパールの方は、はっきりとこうしたいとか、例えば住居・家財道具を準備する際も「これはいらない」とか、はっきり言ってくれるので、こちらとしてはわかりやすいですね。

栗原社長:ベトナム人の方は、お布団など、弊社が用意するものはなんでも「ありがとう」と言って、使っていました。

ただ、今回のネパール人は違うんです。「これは要らない」と言って、布団一式は自分達で新しいものを買ってくる、ソファーに敷くものも「ふかふかなのでこれがいい」と。こだわりがあって、日本人が思っているように、「これがあれば便利だから支給しよう」では使わなくて、あくまで自分たちが気に入ったもののみを使う。ここら辺の文化がだいぶ違うなと感じましたね。

ーー実際にお2人入社されて大きなトラブルはありませんでしたか?

森工場長:トラブルはないですね。日本人のOJTをやっている指導者達も厳しく教えたりするので、もう本当に日本人と一緒です。何か不適切な行動があると、「駄目でしょう!」と注意します。

もうはっきりと駄目なことは駄目、やってはいけないことはやってはいけないということを明確に言っています。

栗原社長:それは特定技能の方だけではなくて、日本人含めて社員全員に対してですね。その場で注意するというのが弊社のやり方なので。

例えば、ある従業員がフラフラと機械が動いているのに、自分の担当と関係のない隣の部屋に行っていたり。そういうときは、大きな声でその人の名前を呼んで注意するようなことがあります。

ーー住居については2人一緒に住まわれているのでしょうか?

栗原社長:そうですね、キッチンなどは共用なのですが、寝室は1人1部屋形式です。

部屋は弊社側で手配したのですが、生活しやすいように全部確認して、希望するものは一緒に買いに行ってますね。

家に関しては、前回の際は、自分の彼女を家に呼んだりすることがあって、揉めたことがありました。やっぱり、他の人にとっては不快なんですよね。なので、それはよくないと今回の2人には伝えてますね。

外で会うなら形なら良いけれど、互いの知人を呼んできてそこで騒ぐのは駄目と。それは入社時には厳しく言っています。

森工場長:それ以外で気にしたのはWi-Fiですね。それだけは繋いであげないと、おそらく二人とも家族がいるので、やはり母国に連絡を取ったり、友達との連絡も電話やLINEなどを使えるようにというのは気にしました。

「普通の日本人」と同様のOJTを実施

充填チームの皆さん(写真)
充填チームの皆さん(左から:ミランさん、西澤さん、小林さん)

ーー今ミランさんにはどういった業務を任せていらっしゃいますか?

小林さん:ミランくんは普通の一般の方と一緒に充填作業を行っています。

元々弊社ではあまり外国の方が働いていなかったので、現場としては特定技能というより、外国の方に対して壁がありましたね。

「どういう人なのだろう」、「どういう環境で育ったのだろう」というのは全く想像もつかないですし、生活も全く違いますし、考え方も違います。なので、チーム全体として、不安という方がほとんどでした。

ーー実際にチームに受け入れてみてどうでしたか?

小林さん:ミランくんに関しては、入社時から日本語がかなり通じていたので、普通の方と同じような教育の仕方をしています。もう日本人の方と同じですね。一番最初の方は簡単な作業を主にやってもらいましたが、それ以降はOJTという形で教育者をつけて、マンツーマンで大体3ヶ月から6ヶ月くらいやりました。

今年2024年に入ってから、独り立ちという形で今完全に手伝いなしで作業をしています。

ーー業務に支障とはありませんでしたか?

小林さん:やっぱり、言葉が通じるのが大きいですよね。若干ニュアンスが伝わらないところもありましたが、それは会話しているうちに意思疎通ができるようになっていたので問題はありませんでした。

ミランくんも疑問に思ったことに関しては、必ずどういう意味かと、こちらに逆に聞いてくれたので良かったと思っています。

ーー同僚としてどのような接し方されているんですか?

西澤さん:自分の方は普通にコミュニケーションを取りやすいように世間話をしたりとか、そういう感じです。

例えば自分の作業をしているところに来たとき、少し言葉を交わしたりとか、そういう感じで結構よく話しています。

ーーポジティブな面もそうですし、何かネガティブな部分でもギャップとかありましたか?

小林さん:作業場ではなかったですね。

ただ、プライベートと言えばいいんですか。お休みを取る際、私生活を優先したりというのが日本の方はあまりないじゃないですか。どちらかというと、もう考え方が仕事優先になってしまっているので、そういう考え方もあるんだなというのがあった程度ですね。

後は、ミランくんが家族を思う気持ちが強いというのにはびっくりしました。義理の妹さんが来たから仙台まで送っていきたいという。今まで勤めていた方で、そういうことをする方がいなかったので、ちょっとそれはびっくりしました。

ーー職場に馴染むために意識的に取り組まれていることはありますか?

小林さん:全くなかったんですけど、一番最初はどういった方になるかもわからなかったですし、僕たちのチームって結構きっかけがあれば全員で話して、どんどん話していくんですけど、きっかけがないと、みんな黙ってしまう形なんです。基本的に僕からミランくんにいろいろと話しかけていましたね。そうすると僕とミランくんが話している中に1人、2人、3人とどんどんどんどん加わってくるようになってくるので、きっかけ作りを意識していました。

ーーミランさんは日本に来てどのくらいになりますか?

ミランさん:今年でもう8年になります。8年という中で、学校へ行って、日本の専門学校に入って、学校が終わる直前にコロナが来たんですよ。

コロナのせいで家族から心配して帰ってきてと言われて、専門学校の卒業まで行かなかったから、また特定技能でコロナが落ち着いてきたら戻ってきました。

飲食店とか工場とかありますが、食品製造業を選んだのは、日本の学生のときにアルバイトで経験があったからです。そこで製造の仕事をやったことがあるので、試験に出る内容も知っているから特定技能評価試験に合格できるかなと思いました。

アルバイトの経験があるし、知識もあるので、この会社に入社できてとても嬉しいです。皆さん優しいです。

ーー逆に大変だなと思うことはありますか?

ミランさん:大変なことは、今住んでいるところはちょっと不便なので、生活するのがちょっと大変ですね。

ただ、今の時期は西澤さんと一緒に買い物に行ったり出かけたりしているから、今はそんなに困ったことはありません。週1回一緒に買い物に連れて行ってもらっています。

ーー最後にミランさんの将来の目標を教えてください!

ミランさん:最近は、特定技能の2号に合格して、ずっと長く日本で働けるようにしたいと思っています。難しいらしいので、勉強頑張ります。

最初は分からないことをラマさんに聞いて教えてもらっていた

製造チームの皆さん(写真)
仕込みチームの皆さん(左から:ラマさん、今村さん、板橋さん)

ーー今ラマさんにはどういった業務を任せていますか?

板橋さん:基本的には製造の工程で、原料の投入や仕込み前の洗浄、殺菌工程等を諸々やってもらっている形になります。

ーー入社して約1年ですが働きぶりはいかがでしょうか?

板橋さん:非常に前向きで、どんどん仕事を覚えていってもらっています。仕事がないときでも自ら清掃とか行ってくれたり、またやることが何かないかとか、そういったところの質問をいただいたりとか、非常に積極的な仕事ぶりだと思います。

ーー特定技能の方がチームに配属になるという点に対して不安なことはありましたか?

板橋さん:受け入れ側として、最初はコミュニケーションがちゃんと取れるのかなと不安に感じていました。あとは実際の働きぶりが、例えば手際だったりとか、スピードだったりとか、そういったところがちゃんとやってくれるのかなという不安はありました。

ーーコミュニケーション面で実際配属になってからはどうですか?

板橋さん:実際にかなり会話とかコミュニケーションを取っているのですが、全然問題なく教えたこともちゃんとやってくれますし、聞かれたことも私たちも理解できるので、現状は全然問題ありません。

ーー井上さんは同僚としてどうですか?

井上さん:私は4月から仕込みチームに来たんですけど、最初は本当にラマさんに先生として教えてもらっていて。わからないことがあったら、最初はラマさんに聞いて教えてもらっていたりとかしていました。

ーーうまく馴染めるかどうかを意識して取り組んだことはありますか?

板橋さん:みんなでとにかく話しかけて、まずちょっと仲良くなろうというところで、本当にコミュニケーションはみんな大事にしているんだと思います。なので今でもみんなとすごく会話している姿が現場でもあるので、そこは非常によかったなと思います。

ーーラマさんが入社されて結構経ちますが来日何年ぐらいですか?

ラマさん:14年ぐらいになります。

最初に日本の学校(専門学校)を卒業したんですけど、それで帰国してまた戻ってきました。

飲食店のアルバイト経験は持っているけど、工場の経験は持っていないから、チャレンジしてみようと思い、今回アミュードに転職しました。

ーーアミュードを選んだ決め手となったことは何ですか?

ラマさん:以前、東京に住んでいたことがあり、友人もたくさんいました。なので、東京の近くの埼玉県の会社に就職しようと思いました。ここなら、すぐに東京にも行けますので。

将来的には特定技能2号を取得して、長く日本で働きたいと思っています。

編集後記

今回は、食品製造業で特定技能外国人材の受入れに成功しているアミュード株式会社様に取材させていただきました。

1期生の受入れでは日本語力の問題から現場が疲弊し、最終的に全員が退職。しかし、その経験を活かし、2期生では「日本語力」を最重視した採用に切り替えたことで、見事に成功を収めています。

また、現場の従業員の方々も、休日に買い物に連れて行くなど、業務外でも積極的に関わりを持っており、そうした企業文化も定着の重要な要因となっているように感じました。

特定技能外国人材の採用をご検討中の企業様、特に食品製造業の方々にとって、今回のインタビューが参考になれば幸いです。採用時の日本語力の見極めについて、より詳しいアドバイスが必要な方は、ぜひ弊社までお問い合わせください。

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監修者
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。
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