在留資格の管理・申請をテクノロジーの力でもっと効率的に|株式会社AIRVISA様

外国籍労働者の受け入れが加速する日本では、企業側の在留資格管理がますます重要な課題となっています。厚生労働省の発表によれば、2024年に外国人労働者数が初めて230万人を突破し、製造業、小売業、サービス業など幅広い業界での活用が進んでいます。こうした状況下で注目されているのが、在留資格にまつわる申請・管理のデジタル化です。

SmartHRのグループ会社として、外国籍人材の在留資格申請・管理をクラウド化する「AIRVISA」を展開する株式会社AIRVISAの代表取締役社長ジャファー・アフメット氏に、外国籍人材管理の課題とその解決策について話を伺いました。

ビザの管理はクラウドで、申請はオンラインで完結

AIRVISAのサービス概要画像

ーーーまず最初に貴社の事業内容についてお伺いできますでしょうか?

ジャファー氏:

弊社はSmartHRのグループ会社として、外国籍人材の在留資格(以下ビザ)の申請・管理を行うことが可能なクラウドサービス「AIRVISA」を提供しています。

「AIRVISA」は外国籍の方のビザ申請手続きの負担軽減につながるオンラインビザ申請機能と外国籍従業員の在留資格情報の収集・管理などをクラウドで管理する2つの機能を備えています。

ご存知の通り、外国籍の労働人口は年々増えており、今ではコンビニに入ると外国人がいないコンビニがないぐらいの状況になっています。

日本で就労するには、外国籍の方はビザの申請をしなければなりません。これが非常に複雑で、ビザの種類だけで約30種類、手続きにすると90種類以上あります。ビザごとに必要な書類が異なる上、行政書士に依頼すると一定のコストが発生してしまいます。

一方で、企業側としてもビザの管理をしなければならず、最悪の場合、不法就労助長罪という罪に問われてしまうリスクがあります。加えて、ビザの申請は外国籍と企業が伴走して必要書類を回収・作成しなければならず、手続きも多い状況です。

これまで、こうした管理や手続きは紙やエクセル、チャットベースで行われてきましたが、「AIRVISA」を活用することで、これらをクラウドで管理でき、さらにビザ申請もオンラインで完結できるようになります。

ーーーAIRVISAを導入すると企業側にどのようなメリットがありますか?

ジャファー氏:

クラウドで一括管理ができ、申請含めてオンラインで完結できるので、大幅に作業効率を上げると同時にビザにまつわる法的リスクを低減させることが大きなメリットになると考えています。

従来のSmartHRをはじめとしたHR系のクラウドシステムは外国籍に特化したものではなく、広く浅く幅広い機能を持つサービスが大半であったため、ビザの管理漏れが発生するリスクがありました。

実際、クラウドシステムを使っていても、全てをシステム上で管理することができず、結局一部のデータはエクセルで管理しなければならないなどといった実情がありました。ビザ申請に関する従業員とのやりとりに関しても、メールでのやり取りで申請に必要なデータを収集したり、申請状況をリマインドをするなど、多くの作業をアナログでやる必要があり、非常に煩雑だったのです。

当社のサービスでは、この管理機能の部分は無料のため、月額費用等は一切発生しません。どこで当社は収益を上げているかというと、ビザ申請の発生件数に応じて費用を頂戴しています。これが他社との大きな違いとなっており、企業様はほぼ無料で使えて、申請をAIRVISAでする際に費用が発生する仕組みになっているので、企業側のコスト面の負担を大幅に軽減することができます。

また、受け入れ企業のみならず、人材紹介会社からも使いたいという声をいただいておりますので、大規模に人材を管理する会社にも使いやすいような設計を意識しています。

圧倒的にリーズナブルにご利用いただく|月額利用料は無料、申請費用は1件あたり最大3万円

ーーー在留資格の申請時は行政書士が代行するのですか?

ジャファー氏:

はい、そうです。

行政書士の業務は基本的に、企業からの必要書類・データの収集、回収したデータのチェック、企業や外国籍の方とのやり取り、そして出入国在留管理庁へのビザ申請というプロセスです。

AIRVISAを活用することで、データ収集の時間を大幅に簡略化できるようになります。SmartHRを活用している方はイメージいただけると思うのですが、アンケートフォームに必要項目を入力するだけで、関係機関へ提出するためのデータ収集がほぼ完結します。行政書士は項目に誤りがないかチェック・本人確認するだけで良く、申請プロセスがかなり簡略化されるのです。

また、企業側からすると、ビザ申請では同じデータを何度も使うケースが多いのですが、AIRVISAでは一度入力したデータを繰り返し使えるので、2回目、3回目の申請もかなり楽になります。こうした工夫により、手続きの煩雑さを大幅に軽減しています。

将来的にはマイナポータルと連携して、ビザの申請もマイナポータル経由で一気通貫でできるようにしたいと考えています。そうなれば、行政書士の作業はさらに簡略化され、申請前の確認程度になるかもしれません。

ーーーAIRVISAの利用料は無料の一方で 申請ごとに発生する費用はどの程度ですか?

ジャファー氏:

現在は技術・人文知識・国際業務(いわゆる「技人国」)の更新申請と変更申請に対応しています。会社でビザ申請費用を負担される場合、在留期間の更新申請は13,800円、在留資格の変更申請は30,000円となっています。

同じ手続きを行政書士に依頼すると、更新申請で5〜60,000円(印紙代別)、変更申請を依頼すると8〜100,000円ほどになるので、当社のサービスはかなりリーズナブルです。

また、自分で入国管理局に行く場合、特に東京入管は日本で一番混んでいて、朝10時に行っても終わるのは16時頃になります。しかも平日しか開いていないので仕事を休む必要があり、距離が遠い場合は移動時間もかかります。そのような時間的コストも考えると、当社のサービスを利用した方が圧倒的に効率的でしょう。

今後は、技人国以外のビザにおいても更新申請や更新変更、加えて、国外にいらっしゃる方の申請(認定申請)にも、幅を広げていきたいと考えています。

ーーークラウド管理の部分では類似サービス(競合他社)も徐々に増えている印象ですが

ジャファー氏:

他社サービスは特定の在留資格に特化したものが多いのですが、当社はより広範な「外国籍移民のプラットフォーム」を目指しています。元々大手のナショナルクライアントに向けてサービスを提供していた際に気づいたのですが、企業が「特定の在留資格」だけを持つ方々を雇用しているケースはほとんどありませんでした。実際には、特定技能を持つ方もいれば、技能実習生もいる、技術・人文知識・国際業務の方もいるというように、様々な在留資格の方が混在しています。

このような実態を踏まえると、特定のビザに特化した管理サービスでは、受け入れ企業にとって使い勝手が悪いのです。AIRVISAは全ての在留資格の方に対応できる点が大きな強みとなっています。具体的には、在留資格のオンライン申請は現在「技術・人文知識・国際業務」のみに対応していますが、外国籍に対する各種手続きや管理については、幅広い在留資格に対応できる設計になっています。一つのプラットフォームで様々な在留資格を持つ方々を包括的に管理できるため、企業担当者の負担を大きく軽減できるのです。

最近は登録支援機関を使わず、自社で支援する企業が増えているので、将来的には、特定技能における支援業務などにも対応範囲を広げていけたらと考えています。

ーーー不法就労や偽造在留カードの未然防止機能はありますか?

ジャファー氏:

現在でも在留カードの情報管理は可能ですが、より包括的なリスク管理を実現するため、今後は資格外活動許可書や学生証など、就労判定に必要な追加データも保存できる機能を拡充していく予定です。

また、今年の秋から在留カードとマイナンバーカードが一体化される政府の方針が発表されています。この制度変更に合わせた最適な対応策をすでに検討しています。これまでの在留カードと比較して、マイナンバーカードとの一体化によりセキュリティ強度が大幅に向上すると見込まれるため、より安全で効率的な管理が可能になるでしょう。こうした制度変更にも迅速に対応し、常に最先端のサービスを提供できるよう準備を進めています。

戦略的に外国籍人材の受け入れ体制・基盤を構築すべき

ーーーどのような業種の企業に導入されているのでしょうか?

ジャファー氏:

情報通信業、語学学校、ホテル業などの業種での導入事例が多くなっています。特に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ方々が多い業種で高い評価をいただいており、現在はこの在留資格でのオンライン申請に注力してサービスを展開しています。

外国籍の人数が50名以上の企業ほど導入メリットを実感されており、エクセルでの管理が複雑化している、社内での情報共有が難しい、期限管理の効率化を図りたいなどの理由でご検討いただくケースが多いです。

まず管理のシステム化から始めて、その後ビザ申請のオンライン化にステップアップされるお客様や、従業員の福利厚生の一環として低コストで申請できる点を打ち出し、導入されるケースも増えています。多くの企業で、社内での業務効率化を実現するツールとして活用いただいています。

人材系企業からのお引き合いも増えています。人材系企業だと、人数が多いだけでなく、拠点も多いため、拠点ごとの管理状況をヘッドクォーターが把握できていないケースがあります。そこで全社的に外国籍の管理をするプラットフォームとしてご検討いただいています。

また、派遣業など人材系企業では、社員が入国管理局に行く時間は売上減少に直結します。例えば、2,000名の社員が3年に1回申請するために平日に休むとなると、その分の売上が減少するわけです。加えて、行政書士への依頼は高額になるので、AIRVISAを利用することで、大幅なコスト改善につながると考えています。

ーーーITに慣れていない企業へのサポートはどうしていますか?

ジャファー氏:

あらゆるお客様のニーズに応えるための包括的なサポート体制を構築しています。アカウント作成後にはチャットボット機能があるので、何か不明点があった際には、迅速な課題解決できる体制を構築しています。

また、利用状況を定期的に確認し、一定期間活動が見られない場合には「お困りの点はございませんか?」といったフォローアップを行い、潜在的な課題解決をサポートしています。お客様のご要望に応じて、訪問型の導入研修やセミナーなども柔軟に提供しており、それぞれの環境に最適な形でサービス活用を支援しています。加えて、導入マニュアルも用意し、いつでも必要な情報にアクセスできる環境を整えています。

ーーー具体的な導入事例を教えてください

ジャファー氏:

やる気スイッチグループの株式会社やる気スイッチキャリアでは、グループ全体8ブランドのうち4つが英語教育に関連しており、フルタイム勤務の外国籍講師が250名在籍しています。従来は外国籍講師の雇用に関わる情報の管理に表計算ソフトを用いていましたが、管理業務が煩雑になり、最新情報の把握が難しいという課題を抱えていました。

特に、講師一人ひとりへの連絡や出入国在留管理庁への訪問など、個人に紐づいた業務が多数発生していた点に苦労されていたようです。外国籍講師の採用をさらに増やす計画もあり、業務効率化と法令遵守の徹底に向けて、AIRVISAの導入が決定しました。導入後は、データの一元管理と申請手続きの効率化により、大幅な業務改善が実現されています。

もう一つの事例として、Webサイト多言語化ソリューションを提供するWovn Technologies社では、全従業員の3割以上が外国籍という環境で、ビザ関連業務の課題を抱えていました。これまでは行政書士を通じてビザ申請を行っていましたが、労務担当者と従業員、行政書士との間で複雑なやり取りが発生し、情報管理の煩雑さが大きな負担となっていました。

業務の効率化と労務担当者のリソース確保を目的に、AIRVISAを導入しました。同社では、企業が利用料金を負担することで、従業員の負担なくビザ申請をサポートしています。オンラインでの申請が可能になったことで、紙書類の準備や窓口訪問の必要がなくなり、手続きが大幅に簡素化されました。また、チャットサポート機能やレビュー機能により、申請に関する不安も軽減され、外国籍従業員が本来の業務に集中できる環境づくりに貢献しています。

■AIRVISAの導入企業例:
やる気スイッチグループのやる気スイッチキャリアが「AIRVISA」を導入
Webサイト多言語化ソリューションを提供するWovn Technologiesが「AIRVISA」を導入

ーーーこれから外国人雇用を検討中の企業へメッセージをお願いします

ジャファー氏:

日本の労働市場は人口減少に伴い、外国籍人材の活用がますます重要になってきています。今後もこの傾向は続くと予測されますので、企業としては早い段階から適切な受け入れ体制を整備することが戦略的に重要です。

特に注目すべきは、法規制環境の変化です。昨年、外国人の不法就労に関する罰則が強化されるなど、コンプライアンス面での要求水準も高まっています。外国籍人材の管理は日本人従業員とは異なる独自の知識やプロセスが必要であり、適切な対応を怠ると企業としての信頼にも関わる重大な問題に発展する可能性があります。

私たちは、こうした課題を抱える企業のパートナーとして、テクノロジーを活用した効率的な管理体制の構築をサポートしています。外国籍人材の価値を最大限に活かすためには、在留資格の管理だけでなく、円滑な手続きサポートも含めた包括的なアプローチが不可欠です。

企業と外国籍人材の双方にとって働きやすい環境を整えることは、日本の産業競争力向上にも直結する重要な取り組みです。AIRVISAはそのための最適なソリューションとして、多様な人材が活躍できる社会の実現に貢献していきたいと考えています。外国籍人材の採用を検討されている企業様には、ぜひ早い段階からシステム化による効率的な管理体制の導入をご検討いただければと思います。

編集後記

今回は、株式会社AIRVISAのジャファー・アフメット社長に、外国籍人材の在留資格管理についてお話を伺いました。

2024年に外国人労働者数が230万人を突破した日本では、多くの業界で外国籍人材の活用が進んでいますが、在留資格管理はまだアナログな方法に頼る企業が多いのが現状です。

インタビューで印象的だったのは、ビザ関連業務の複雑さと、一度の管理ミスが企業のコンプライアンス上の大きな問題に発展する可能性があるという点です。やる気スイッチグループやWovn Technologiesの事例からは、システム化によって効率化だけでなく、従業員満足度の向上にもつながることが分かりました。

今後の労働市場では、外国籍人材の活用は避けられません。単なる人手不足解消ではなく、適切な管理体制と支援体制の構築が不可欠です。AIRVISAのようなテクノロジーを活用したソリューションが、多様な人材が活躍できる職場づくりの基盤となるのではないでしょうか。

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監修者
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。2021年に株式会社ジンザイベースを創業。海外の送り出し機関を介さず、直接マッチングすることで大幅にコストを抑えた特定技能人材の紹介を実現。このシステムで日本国内外に住む外国人材と日本の企業をつなぎ、累計3000名以上のベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュ、ネパール等の人材採用に携わり、顧客企業の人手不足解決に貢献している。著書「日本人が知らない外国人労働者のひみつ(2024/12/10 白夜書房 )」
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