【外国人労働者のリファラル採用の基本】メリットやポイント、注意点などを解説

人事界隈では近年注目を集めているリファラル採用。この制度は日本人を採用するだけのものだとお思いではないですか?

実は、外国人労働者をリファラルで雇用される企業様が増えてきています。

今回は外国人労働者採用の基本をおさらいした上で、リファラル採用を活用する際のポイントや注意点などを解説していきます。

外国人労働者採用にリファラル採用を活用したいという方は、是非最後までご確認ください。

 

外国人労働者採用の現状

まずは外国人労働者の採用における現状について、確認しておきましょう。


外国人労働者の増加推移

現在、日本国内には、どのくらい外国人労働者がいらっしゃるのでしょうか?

参考までに以下のグラフを見てみましょう。 

グラフ引用:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和2年10月末現在)

上記は厚生労働省が公表しているデータですが、ご覧の通り、外国人労働者数は増加の一途をたどり、2020年10月末時点で約172万人の外国人の方が日本で働いてます。

特に、2020年には新型コロナウイルスの影響があったにもかかわらず、約6,5万人増加していることが伺えます。

今なお国外において約37万人もの入国待ちの外国人材が待機しているとも言われており、新型コロナウイルスの影響が弱まった際には、再び外国人労働者数が急増することが予想されます。

グラフ引用:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和2年10月末現在)をもとにジンザイベースが編集

上記の図は、先ほどと同じく厚生労働省が公表しているデータになりますが、外国人労働者を雇用している企業を、産業・事業規模別に表しています。

全国約27万事業所で外国人労働者が働いており、特に、製造業、卸売・小売業、宿泊業・飲食サービス業において、外国人雇用が進んでいることが伺えます。

注目すべき点として、事業規模30名以下の企業様で最も外国人労働者を活用している実態があると言うことです。


外国人労働者採用のメリット

それでは外国人労働者を採用するメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

 

メリット①:人手不足の解消

まず挙げられるメリットは人手不足の解消でしょう。

日本国内における生産年齢人口(15歳以上65歳未満の人口)は1995年に8,726万人とピークを迎えた後は減少の一途を辿り、2040年には6,000万人を割ると推測されています。(参考:国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口(平成29年推計)

日本人労働者がますます減少していく日本において、外国人労働者の採用は人手不足の有効な対策として期待されています。

メリット②:社内の活性化

また社内が活性化することもメリットとして挙げられます。

異なるバックグラウンドを持った外国人労働者が入社することで、これまで社内には無かった視点や考え方が持ち込まれることになり、新たなアイデアによりビジネスが加速する可能性を秘めています。

メリット③:海外展開のアドバンテージが得られる

海外展開のアドバンテージが得られる点も見逃せません。

海外展開を検討している国を母国とする外国人労働者を雇用することで、現地に関する商慣習などの情報を得ることはもちろん、現地拠点設立時の責任者を任せることも可能なのです。

実際に私が過去担当していた建設業の企業様では、ベトナム人の外国人技能実習生を受け入れたことをきっかけに、ベトナム現地に拠点を設立されたておりました。特に、技能実習生は3年間の実習を満了した後には、責任者レベルまで技能を身につける外国人材もいます。この企業様で働いていた技能実習生は、3年満了のタイミングで、母国へ帰国するとともに、現地の責任者として身に付けた技能を武器に活躍しておりました。


リファラル採用とは

ここまでお話してきた通り外国人労働者の採用には多くのメリットがあるわけですが、優秀な外国人労働者を採用するには様々な方法を駆使する必要があります。

その中でも特に有効なものの一つが、本記事のテーマであるリファラル採用です。

ここからはそのリファラル採用についてお話していきたいと思います。

 

リファラル採用の概要

リファラル採用とは、自社の社員に友人や知人を紹介してもらう採用手法のことを指し、欧米においては主流の採用方法となっています。

実際に働いている社員は自社の強みや特徴を当然理解しています。

その上で自社に合いそうな友人や知人に対して「自社で働かないか」と声をかけていくことになるため、入社後のミスマッチのリスクも低いという特徴を持っています。

 

縁故採用との違い

リファラル採用についてお話すると、「いわゆる縁故採用のことでしょ?」と言われる方もいらっしゃるのですが、その実態は大きく異なります。

リファラル採用で紹介された求職者は、正規の選考ルートを通じて採用に至ります。

対して縁故採用の場合、紹介元となった社員の顔を立てなければならないケースもあり、正規の選考ルートなどを通らずに採用に至るケースも往々にしてあるのです。

そのため縁故採用の場合、実際のところそのポジションに見合うだけのスキルや経験を持っていない人材でも採用してしまうリスクがある点は留意すべきでしょう。

 

リファラル採用が注目される背景

リファラル採用が注目されている背景は大きく以下の2つが挙げられます。

 

背景①:人手不足の慢性化

一つ目の背景としては、外国人労働者を採用するメリットでもお伝えした、「人手不足の慢性化」が挙げられます。

あらゆる業界で人手不足が慢性化している状況の中、これまでの採用手法だけではなく、新たな採用手法を模索している企業様は多いのではないでしょうか。

その新たな採用手法の一つとして、リファラル採用が注目を集めています。

 

背景②:入社後のミスマッチ

「入社後のミスマッチ」も背景として挙げられます。

いわゆる求人媒体に掲載して母集団を形成するといった採用手法では、自社と求職者側の情報格差が大きくなりやすく、入社後のミスマッチが発生するリスクが高まります。

しかしリファラル採用であれば自社のことを良く知っている社員からの紹介であるため、入社後のミスマッチを防ぎやすいことから、注目されています。

背景③:採用コスト

従来通り、人材紹介会社に依頼して人材を採用すると、年収の〇〇%を紹介手数料として支払う必要が出てきます。

一方、求人媒体を活用してみても、掲載期間に応じた課金形態となっており、「求人媒体に広告を出したのに、全然反応がない! 」といったケースも多発しています。

経済の先行きが不透明な中、少しでも採用コストを抑えようとする企業様は増えており、その中でもリファラル採用が特に注目を集めています。

外国人労働者のリファラル採用を活用するメリット・デメリット

リファラル採用の基本的な内容を押さえていただいたところで、続いてリファラル採用を外国人労働者の採用に活用するメリットやデメリットについてお話していきます。

 

メリット

メリット①:優秀な人材を効率的に獲得できる可能性が高まる

信頼できる社員からの紹介であれば、幅広いネットワークから質の高い人材を紹介してくれる場合があります。

また、信頼できる社員であるが故に、候補者のスクリーニングにかかる工数を削減し、効率的に人材を確保することも可能になります。

 

メリット②:定着率が向上する

外国人労働者は職場の人間関係に馴染めずに離職してしまうケースもありますが、リファラル採用の場合、母国を同じくする外国人労働者が既に働いている環境に入社する形になります。そのため、入社後の定着率も向上することが見込めます。

また、実際に働いている紹介者から、企業についての情報を事前に聞いているため、企業側と求職者側での情報格差が格段に少なくなります。そのため、ミスマッチによる早期退職を防ぎやすいという観点も含めて、定着率向上が期待できます。 

メリット③:採用コストを下げることができる

リファラル採用は社員からの紹介になるため、背景の部分で説明したような、人材紹介会社や求人媒体を活用するよりも、圧倒的な低コストで採用することが可能です。

発生するコストと言えば、紹介してくれた社員に対するインセンティブくらいでしょう。

 

デメリット

デメリット①:計画的な人員計画を立てるのが困難

リファラル採用は、社員個人の持っているネットワークに依存することになります。社員のネットワーク次第では、リファラル採用が全く機能しないケースもありえます。

また、紹介会社や求人媒体を活用するのと同じように、社員に紹介してもらえるタイミングも結局はコントロールできないので、計画的な採用や突発的な欠員補充には向きません。

 そのため、リファラル採用のみで採用活動を継続することのみで、安定的に人材を確保することは困難であると言えます。

デメリット②:既存の社員とは異なる国籍の求職者の採用には不向き

また既存の外国人労働者とは異なる国籍の求職者の採用には向いていません。

リファラル採用は外国人労働者が持つ、母国を同じくする者同士のコミュニティやネットワークを前提としています。 

そのため既存社員とは異なる国籍の外国人労働者採用をするには、ハードルが上がってしまいます。

 

デメリット③:社員に対する動機付け

働いている社員が、自社を友人に紹介したいという動機付けがなされていないと、全く紹介してくれません。

前提として、会社と従業員が良好な関係性を築けていること、さらには、紹介者に対するインセンティブや気軽に社内へ呼べるような制度設計など、単にリファラル採用を開始しただけではなかなか機能しない点は考慮するべきでしょう。

 

外国人労働者のリファラル採用のポイント

ここからは外国人労働者のリファラル採用に取り組む上でのポイントをお話していきます。

 

①従業員のロイヤルティを高めていく

一つ目のポイントとして、「いかに既存社員に優秀な候補者を紹介してもらうか」という点を考慮する必要があります。

リファラル採用に取り組むには、そもそも今働いてくれている外国人労働者のロイヤルティが高くなければなりません。

外国人労働者に自社のことを十分に理解してもらいつつ、当該外国人の満足度も十分に高めていくことがポイントになります。

また、紹介者に対してインセンティブを支払うなど、紹介したくなるような施策・制度設計をしてうまくいっている企業様もいらっしゃいます。

 

②現社員にリファラル採用を認知させる

また社員に対してリファラル採用に取り組むという旨を認知させる必要もあるでしょう。

リファラル採用の内容をよく知らなければ、コネ入社ではないかといった悪い印象を抱いてしまう社員も出てくることになります。

こうなっては入社してもらった外国人労働者に対しての風当たりも強くなってしまい、離職に繋がりかねません。

そのため事前にリファラル採用についての導入背景や目的を理解してもらう必要があるのです。

 

③採用情報の配信

採用情報の社内配信もリファラル採用を成功させるために重要なポイントとなります。

既に自社で働いている外国人労働者からもたらされる情報は、求職者側にとって信頼できる情報です。

しかし既存の外国人労働者が就いている職種とは異なる職種で募集している場合、それらを補うために、Webサイトや社内イントラなどを活用し採用情報を自社社員に認知してもらう工夫が重要です。

 

④社員をリクルーターとして育成する

続いてご紹介するポイントは社員をリクルーターとして育成することです。

リファラル採用において紹介してくれる既存社員は、いわゆるリクルーターの役割を担います。

そのため外国人労働者含めた社員をリクルーターとして育成しておくことで、リファラル採用の効果も高めることができます。

具体的な取り組みとしては、人事部門の採用担当者などに講師を依頼し、リクルーターに関する社内セミナーを開催するなどが考えられるでしょう。

 

⑤不採用になった場合のフォロー

リファラル採用においては、不採用になった場合のフォローも欠かせません。

せっかく紹介したにもかかわらず不採用になった場合、紹介してくれた外国人労働者の中にはその友人・知人に対して顔向けできないといった思いを抱く人も出てくるでしょう。

そのためなぜ不採用になったのかを明確に説明するとともに、紹介してくれたことを改めて感謝することも忘れてはいけません。

また求職者に対して不採用を通知する時も、既存の外国人労働者との関係性を踏まえて、丁寧な対応を心掛ける必要があることを覚えておきましょう。 

 

まとめ

今回は外国人労働者の採用にも役立つリファラル採用についてお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか。

リファラル採用は本文でもご紹介した通り、一朝一夕には効果を実感できるとは言い難いですが、一方で、効果をはっきした際には多大なるメリットを享受することが可能になります。

ぜひ一つの採用手法として、リファラル採用をご検討いただければと思います。



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監修者
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。
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