【在留資格のオンライン申請】概要や利用方法などをまとめて解説

外国人労働者雇用に必要な在留資格申請

外国人労働者を雇用する際に必ず通る手続きがあります。

それは在留資格申請です。

海外から外国人労働者を呼び寄せる場合は勿論のこと、国内にいる外国人労働者を転職者として受け入れる場合でもこの手続きを避けて通ることはできません。

在留資格に関する申請手続きは書類を準備した上で、出入国在留管理庁まで提出することになりますが、実はオンライン上でも実施することができるのです。

この記事は在留資格のオンライン申請にフォーカスしてお話を進めていきます。

なお、在留資格について基本的な事項を知りたい!という方は、以下の記事を合わせてご確認ください。
▶︎【在留資格とは】種類や取得要件、ビザとの違いなどを簡単解説 

在留資格のオンライン申請とは

それではさっそく在留資格のオンライン申請について、基本的な内容をご紹介していきましょう。

なお、出入国在留管理庁のHPにも参考資料等が掲載されていますので、あわせてご確認ください。

オンライン申請の概要

在留資格のオンライン申請は、外国人労働者から依頼を受けた利用者がオンラインで手続きすることができる仕組みです。

詳細は後ほどお話しますが、利用申出を行い、承認を得ることで、在留資格のオンラインシステムを利用できるようになります。

2020年3月までは、オンラインで申請可能なものは「在留期間更新許可申請」や「再入国許可申請」などに限られていましたが、2020年3月以降は「在留資格認定証明書交付申請」なども実施可能となりました。

ただし、全ての在留資格で利用できるわけではなく、「外交」や「短期滞在」、「特定活動(出国準備期間)」の在留資格を保有している人や、これらの在留資格に変更する場合は利用できません。 

オンライン申請のメリット

在留資格の申請をオンラインで実施することで、以下のようなメリットを得ることができます。

メリット①:出入国在留管理庁まで出向く必要がない

一つ目のメリットは出入国在留管理庁までわざわざ出向く必要がないという点です。

従来であれば、必要書類を準備した上で管轄の出入国在留管理庁窓口まで行く必要がありました。

オンライン申請を利用することで、自宅やオフィスからでも手続きが可能となり、時間や交通費などのコスト削減も可能となるでしょう。

メリット②:24時間利用可能

また24時間利用可能という点もメリットとして挙げられます。

通常出入国在留管理庁の受付時間は午前9時から12時、午後1時から4時が基本ですので、この時間以外では手続きが実施できません。

しかしオンライン申請を利用すれば、24時間手続きが可能となり、午後4時以降の遅い時間でも対応することができるのです。

メリット③:無料で利用できる

また無料で利用できるという点も見逃せません。

オンライン申請を行うための利用申し出や承認を得る必要があるものの、利用に関しては一切費用が掛からないのです。

そのため追加コストも掛からず、メリット①で挙げた通り移動にかかっていた交通費といったコストが純粋に削減される形になるでしょう。

オンライン申請の対象となる申請

続いてオンライン申請の対象となる申請について詳しくご紹介していきます。

対象となる申請①:在留資格認定証明書交付申請

まず挙げられる申請は在留資格認定証明書交付申請です。

在留資格を持っていない外国人が、在留資格を取得するために行う申請のことを指し、主に海外から外国人労働者を呼び寄せる場合に必要な申請となります。

在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請よりも処理期間が長くなり、在留資格に関する申請の中でも難易度がやや高いと言えるでしょう。

2020年3月以降に新たにオンライン申請が可能となりました。

対象となる申請②:在留資格変更許可申請

続いてご紹介する申請は、在留資格変更許可申請です。

既に日本に在留している外国人労働者は、現在許可されている活動とは別の活動につく場合、在留資格自体を変更しなければなりません。

その際に必要になるのが在留資格変更許可申請です。

具体的には海外からの留学生を新卒社員として雇用する場合や、就労系在留資格から身分系在留資格(永住や配偶者)に切り替える場合などが該当してくるでしょう。

在留資格認定証明書交付申請と同じく、2020年3月以降に可能となりました。

対象となる申請③:在留期間更新許可申請

在留期間更新許可申請もオンライン申請が可能となっています。

外国人労働者が取得している在留資格の多くは在留期間に定めがあるため、定期的に更新手続きをする必要があります。 

既に自社で外国人労働者を雇用している場合や、転職者として受け入れた場合、どこかのタイミングで必ず実施することになるでしょう。

上記2つの申請と異なり、2020年3月以前からオンライン申請ができた申請の一つです。

なお、以下の記事でも在留期間更新許可申請について解説しています。
▶︎【在留期間更新の基本】手続きの流れや必要書類などをまとめて解説

対象となる申請④:在留資格取得許可申請

次に挙げられるのは在留資格取得許可申請です。

在留資格取得許可申請とは、日本で出生した外国人や日本国籍を離脱して外国人となった人といった、上陸許可を経ることなく日本に在留することになった外国人が、日本に在留するために必要な手続きのことです。 

外国人労働者の雇用シーンではほとんど発生しない申請ですが、例えば自社の社員が外国籍になった場合などに該当してくると言えます。

2020年3月以降に新たに可能となった申請の一つです。

対象となる申請⑤:就労資格証明書交付申請

就労資格証明書交付申請もオンライン申請の対象となっています。

就労資格証明書とは、外国人労働者が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動、又は報酬を受ける活動を法務大臣が証明する文書のことです。

外国人労働者の在留期間更新をスムーズに

実施するために役立ち、特に転職を伴う場合は重要な役割を果たします。

こちらも2020年3月以降新たにオンラインでの申請が可能となりました。

就労資格証明書については、以下の記事でも詳細を解説しています。
▶︎【就労資格証明書とは】メリットや交付申請の方法を簡単解説

対象となる申請⑥:再入国許可申請

また再入国許可申請もオンライン申請が可能です。

再入国許可申請とは、一時的に日本を出国する外国人が再入国する際の手続きを簡略化する手続きのことを指します。

再入国許可を得ておくことで、入国の際改めて在留資格の申請などをする必要がなく、スムーズに再入国することが可能になります。

再入国許可申請をオンライン申請できるのは、先の②〜④の申請と同時に実施する場合に限る点は留意しておきましょう。

再入国許可を含めた、外国人の一時帰国に係る手続きについては、以下の記事でも解説しています。
▶︎外国人の一時帰国に手続きは必要?(再入国許可・みなし再入国許可)

対象となる申請⑦:資格外活動許可申請

資格外活動許可申請もオンライン申請の対象の一つとなっています。

資格外活動許可とは、外国人が現在有している在留資格に属さない収入を伴う事業を運営する活動や、報酬を受ける活動を行おうとする場合に必要な許可です。

例えば留学生が週28時間以内のアルバイトに従事するといった場合に必要になります。

資格外許可申請においても、先に挙げた②〜④の申請と同時に行う場合に限り、オンライン申請が可能となっています。

資格外活動許可については、以下の記事もあわせてご確認ください。
▶︎【在留資格における資格外活動許可とは】要件や申請方法などを分かりやすく解説 

オンライン申請を利用できる人

オンライン申請が利用できるのは、外国人本人から依頼を受けた利用者と先ほどお話しましたが、具体的には以下のような人です。

利用可能な人①:外国人の所属機関の職員

外国人の所属機関の職員はオンライン申請を利用することができます。

つまり、外国人労働者を雇用する企業の社員も可能というわけです。

 利用可能な人②:①から依頼を受けた弁護士・行政書士

所属機関から依頼を受けた弁護士や行政書士もオンライン申請を利用することが可能となっています。

利用可能な人③:①から依頼を受けた公益法人の職員

同じく依頼を受けた公益法人の職員も対応が可能です。

公益法人とは、外国人労働者の受け入れ支援などをしている国際厚生事業団JICWELSなどのことを指します。

利用可能な人④:①から依頼を受けた登録支援機関の職員

登録支援機関の職員もオンライン申請が可能です。

登録支援機関とは特定技能制度における、外国人労働者への各種支援を代行する機関のことを指します。

特定技能制度や登録支援機関については、以下の記事もあわせてご確認ください。
▶︎特定技能とは?制度の概要から採用の流れまで基本を徹底解説
▶︎【特定技能制度における支援とは】登録支援機関や支援にかかる費用まで解説

在留資格のオンライン申請の利用方法

最後に在留資格のオンライン申請の利用方法について確認していきましょう。 

オンライン申請の手続き

オンライン申請の手続きの流れとしては以下のようになります。

ステップ①:利用申出

オンライン申請の利用申出をするためには以下の書類が必要です。

  • 利用申出書(外国人の所属機関が法人の場合は法人番号も必要)
  • 外国人の所属機関に関する概要資料
  • 誓約書
  • 登記事項証明書
  • 外国人の所属機関に所属している外国人従業員のリスト、受け入れ予定の外国人のリスト
  • 所属機関から依頼を受けたことがわかる資料(弁護士などが対応する場合)

ステップ②:オンラインでの申請

利用申出の承認後、在留申請オンラインシステムを利用して申請を行うことになります。

取得したIDとパスワードでログインした後、申請情報を入力し、必要書類を添付しましょう。

資料の添付が終わった後は申請する案件を選び、申請ボタンを押すと申請完了となります。

具体的な操作については、こちらの操作マニュアルをご確認ください。

ステップ③:結果の通知

申請の審査終了後、結果がメールで通知されます。

許可された場合、手数料納付書といった必要書類を提出しましょう。

その後新しい在留カードなどが郵送されるので、外国人本人に渡せば、無事全ての手続きが完了となります。

手続きの詳細についてはこちらの出入国在留管理庁のページもご確認ください。 

オンライン申請の利用条件

オンライン申請を利用するにあたって、以下のような条件を満たす必要があります。

  • 条件①:5年以内に出入国又は労働に関する法律により罰せられていないこと
  • 条件②:入管法や労働施策総合推進法において求められている届出を行っていること
  • 条件③:過去3年間、外国人を適法に受け入れていること
  • 条件④:利用申出の承認を受けていない者に不正にIDやパスワードを利用させないこと
  • 条件⑤:1年に1度、求められる定期報告を行うこと など 

より詳細について知りたい方はこちらの出入国在留管理庁の資料をお読みください。

まとめ

今回は在留資格のオンライン申請についてお話してきましたが、いかがでしたか。

在留資格のオンライン申請を利用すれば、在留資格の手続きの工数を大幅に削減することができ、外国人労働者の受け入れ体制の準備などにより多くの時間を割くことができるでしょう。

是非この記事を参考にオンライン申請を活用してみてください。

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監修者
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。
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