ワーキングホリデーとは
まずはワーキングホリデーの基本的な内容から確認していきましょう。
ワーキングホリデーの概要と現状
ワーキングホリデーとは、2つの国・地域間の取り決めを基に、それぞれ相手国・地域の青少年に対し、休暇目的の入国および滞在期間中における滞在賃金を補うための付随的な就労を認める制度です。
ワーキングホリデーで来日する外国人数の現状については、以下のグラフを見てみましょう。
上記は外務省の発行する査証発給統計のデータを基に、当社で作成したものです。
グラフを見ていただくと、2016年から2019年にかけて毎年増加していたところ、2020年〜2021年にはコロナの影響によって、一気に減少したことがわかります。
ワーキングホリデーの対象国
ワーキングホリデーは、全ての国籍者に許可されるわけではありません。
2020年4月時点で、ワーキングホリデーの対象となるのは、日本国政府と協定を締結した以下の26か国のみです。
- オーストラリア
- ニュージーランド
- カナダ
- 韓国
- フランス
- ドイツ
- 英国
- アイルランド
- デンマーク
- 台湾
- 香港
- ノルウェー
- ポルトガル
- ポーランド
- スロバキア
- オーストリア
- ハンガリー
- スペイン
- アルゼンチン
- チリ
- アイスランド
- チェコ
- リトアニア
- スウェーデン
- エストニア
- オランダ
ワーキングホリデーが可能な在留資格
ワーキングホリデーが可能な在留資格は、特定活動が対象となります。
特定活動とは、法務大臣が個々の外国人について特に活動を指定する在留資格です。
このうち「告示特定活動5号の1」と「告示特定活動5号の2」が対象となっており、それぞれ以下のように定義されています。
なお、在留資格について概要を知りたい!と言う方は以下の記事をご覧ください。
▶︎【在留資格とは】種類や取得要件、ビザとの違いなどを簡単解説
告示特定活動5号の1とは
日本文化及び日本国における一般的な生活様式を理解するため、本邦において一定期間の休暇を過ごす活動並びに、当該活動を行うために必要な旅行資金を補うため必要な範囲内の報酬を受ける活動
告示特定活動5号の2とは
以下の要件を満たすものが日本文化及び日本国における一般的な生活様式を理解するため、本邦において1年を超えない期間、休暇を過ごす活動並びに当該活動を行うために必要な旅行資金を補うため必要な範囲内の報酬を受ける活動
- ワーキングホリデー査証の申請時に台湾の居住者であること
- ワーキングホリデー査証の申請時の年齢が18歳以上30歳以下であること
- 1年を超えない期間、本邦において主として休暇を過ごす意図を有すること
- 以前にワーキングホリデー査証の発給を受けていないこと
- 被扶養者を同伴しないこと(当該被扶養者に査証が発給されている場合を除く。)
- 台湾の権限のある機関が発行した法第二条第五号ロに該当する旅券を所持していること
- 台湾に戻るための旅行切符又は当該切符を購入するための十分な資金を所持していること
- 本邦における滞在の当初の期間に生計を維持するための十分な資金を所持していること
- 健康であり、健全な経歴を有し、かつ、犯罪歴を有しないこと
- 本邦における滞在中に死亡し、負傷し、又は疾病に罹患した場合における保険に加入していること
その他、特定活動については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
▶︎【特定活動とは】概要や種類、取得申請の方法などをまとめて解説
ワーキングホリデーで従事できる業務
ワーキングホリデーでは、就労系在留資格のような活動制限が設けられていません。
そのため様々な業界や業種に関する幅広い業務に従事することができ、資格外活動のように時間の制限もないのです。
ただし、風俗営業に関する業務には従事できません。
ワーキングホリデーで外国人労働者を受け入れるメリット
ワーキングホリデーで外国人労働者を受け入れるメリットには、以下のようなものが挙げられます。
メリット①:様々な業務を任せることができる
先程触れた通り、ワーキングホリデーによる就労には風俗営業などを除き、基本的に活動制限はありません。
そのため職種は勿論、専門的な業務から単純作業まで幅広く任せることができるのです。
メリット②:就労時間制限がない
資格外活動許可によるアルバイトと異なり就労時間制限がないため、日本人と同じように働いてもらうことができるでしょう。
メリット③:若手人材を確保できる
ワーキングホリデーの査証を取得するには、多くは18歳以上30歳以下という要件が設けられているため、基本的に若手人材しかいないのです。
ワーキングホリデーで外国人労働者を受け入れる方法
続いてワーキングホリデーで外国人労働者を受け入れる方法について、お話していきます。
ワーキングホリデーの査証発給の要件
ワーキングホリデーの査証発給要件は以下の通りです。
- 要件①:先に挙げた26か国のいずれかの外国人であること
- 要件②:一定期間、主として休暇を過ごす意図を要すること
- 要件③:査証申請時の年齢が18歳以上、30歳以下であること
(オーストラリア、カナダ及び韓国は18歳以上25歳以下、アイスランドは18歳以上26歳以下) - 要件④:子又は被扶養者を同伴しないこと
- 要件⑤:有効な旅券と帰りの切符もしくは資金を所持していること
- 要件⑥:健康であること
- 要件⑦:以前にワーキングホリデー査証を発給されたことがないこと
受け入れの流れ
ワーキングホリデーの外国人労働者を受け入れるには、以下のような流れを取ります。
ステップ①:募集
ワーキングホリデーの外国人労働者を集める場合、日本ワーキングホリデー協会が運営しているお仕事掲示板「Job Board」を利用すると効率が良いでしょう。
その他、FacebookなどのSNSを利用して集めるという方法もあります。
ステップ②:選考
応募者が集まれば、選考を実施しましょう。
書類選考や面接の結果、特に問題なければ雇用契約を締結します。
選考の際は在留カードとパスポートを確認し、当該外国人が本当にワーキングホリデーの対象者かを確認する必要がある点も覚えておきましょう。具体的な確認方法としては以下の2点になります。
- 在留カードの在留資格欄に「特定活動」と記載があるか
- パスポートに添付されている「指定書」に、ワーキングホリデーとしての活動を許可されていることを確認する
ステップ③:受け入れ
雇用契約締結後、受け入れ開始となります。
受け入れの注意点
受け入れの注意点として、以下のような点が挙げられます。
注意点①:雇用できる期間は最長で1年
ワーキングホリデーで来日する外国人労働者の在留期間は最長でも1年となります。
そのため1年を超えての雇用はできません。
注意点②:20.42%の所得税となる
ワーキングホリデーの外国人労働者は税制上「非居住者」となります。
そのため所得額に関わらず20.42%が課税されることになるのです。
注意点③:外国人雇用状況の届出
ワーキングホリデーの外国人労働者であっても、雇用した後は期日までに外国人雇用状況届出を実施する必要があります。
こちらの詳細は以下の記事をあわせてご覧ください。
▶︎【外国人雇用状況届出とは】手続き概要や様式 、提出方法などを解説
就労系在留資格へと変更するには
ワーキングホリデーの外国人労働者を1年以上雇用したい場合、就労系在留資格への変更を実施する必要があります。
ただし、ワーキングホリデー制度においてはオーストラリアやカナダといった一部の国を除き、ワーキングホリデーが終了した後、日本から出国することが求められます。
そのため日本に在留したまま在留資格変更許可申請を実施することはできないケースが多くなるため、基本的には母国に帰国後、改めて在留資格認定証明書交付申請にて来日してもらう必要があるのです。
インターンシップとは
ここからはインターンシップについて確認していきましょう。
インターンシップの概要
インターンシップとは、学生が希望する企業で職業体験をすることを指します。
企業にとって採用活動の一部であり、インターンできた学生(以下、インターン生)と関係を継続しておき、そのまま就職してもらうという取り組みをしている企業も多いと言えます。
インターンシップは日本国内においても2000年頃から普及し始めていますが、当然外国人も対象となり、留学生などによるインターンシップも当たり前のように実施されています。
なお、留学生については、以下の記事をあわせてご覧ください。
▶︎【在留資格「留学」とは】申請の流れなど基本的な概要を解説
インターンシップを利用するメリット
インターン生を受け入れるメリットには、以下のような点が挙げられます。
メリット①:優秀な外国人との接点を構築できる
インターン生を受け入れる最大のメリットは、優秀な外国人との接点を構築できるという点です。
インターンシップによって優秀な外国人と接点を構築しておけば、将来の雇用機会に繋げることができるでしょう。
メリット②:外国人労働者の受け入れ体制を構築できる
また外国人労働者の受け入れ体制を構築できる点も見逃せません。
いきなり外国人労働者を正社員として雇用するのはハードルが高いですが、インターンシップで受け入れておくことで、社内に外国人労働者の受け入れ体制や風土を徐々に構築していくことができるのです。
インターンシップの在留資格
インターンシップが可能な在留資格は以下の通りです。
報酬ありのインターンシップ
- 留学
- 特定活動(継続就職活動・就職内定者)
- 告示特定活動9号(海外の大学に在籍中の者)
上記のうち留学と特定活動は、資格外活動の包括許可を得れば週28時間、個別許可を得れば28時間を超えてインターンシップに従事できます。
告示特定活動9号は1年を超えない期間でインターンシップに従事可能です。
なお、資格外活動許可については、以下の記事で詳細を解説しています。
▶︎【在留資格における資格外活動許可とは】要件や申請方法などをわかりやすく解説
報酬なしのインターンシップ
- 文化活動
- 短期滞在
文化活動は90日以上の滞在かつ報酬を得ない場合のインターンシップに該当し、90日以内の滞在で報酬を得ない場合は、短期滞在が対象となります。
インターンシップで外国人を受け入れる方法
最後にインターン生を受け入れる方法について確認しておきましょう。
ここでは留学生を受け入れる場合を前提にお話していきます。
受け入れの流れ
インターン生を受け入れる際の流れは、大きく以下の様な流れとなります。
ステップ①:募集
まずはインターンシップの募集を実施します。
インターンシップを専門に扱った求人媒体やハローワークなどを利用して募集をかけることになるでしょう。
ステップ②:応募者の情報確認や面談を実施
応募があった場合、応募者の情報を確認し、面談を実施します。
面談ではインターンシップで従事してもらう内容を説明するとともに、留学生自身の情報についてもより詳しく確認していきましょう。
ステップ③:受け入れ決定後、資格外活動許可申請を実施
面談後、受け入れが決まれば、資格外活動許可申請を実施しましょう。
インターンシップの内容に合わせ、包括許可、あるいは個別許可の申請を実施します。
詳細はこちらのページからご確認ください。
ステップ④:許可後インターンシップの開始
資格外活動許可申請が通れば、無事インターンシップの受け入れを開始できます。
受け入れの注意点
受け入れの注意点としては、所得税や保険加入の対象になるという点が挙げられます。
インターンシップであっても、所得が生じる以上源泉所得税が課税されるのです。
ただし外国人留学生の母国が租税条約の対象国である場合、源泉所得税が免除されるケースがあります。
また就労時間が当該企業における正社員の4分の3以上、もしくは週に20時間以上を超える場合、社会保険の加入対象となるのです。
インターンシップの外国人を正社員として採用するには
インターン生を正社員として採用するには、就労系在留資格へ変更する必要があります。
自社で採用予定のポジションに該当する就労系在留資格を確認し、インターン生が取得要件を満たしているかなどを確認した上で、変更を実施することになるでしょう。
特に留学生から変更する場合、対象となる在留資格としては、「技術・人文知識・国際業務」、「特定活動46号」、「特定技能」などが該当してくるでしょう。
まとめ
今回はワーキングホリデーやインターンシップによる外国人の受け入れについてお話してきましたが、いかがでしたか。
当社は外国人労働者に特化した人材紹介サービスを提供しており、最後に触れた特定技能や特定活動46号などの在留資格を持つ外国人労働者のご紹介も可能です。
ワーキングホリデーやインターンシップは勿論、本格的な外国人労働者の受け入れにご興味ありましたら、是非一度お気軽にご相談ください。