【特定活動46号とは】概要や取得要件、必要な手続きなどを解説

この記事は、特定活動46号の概要や具体的な業務に加え、在留資格の取得要件や手続きなどについてまとめて解説していきます。在留資格「特定活動46号」の基本を押さえたい方は、是非ご一読ください。

なお、YouTubeでも解説動画をアップロードしていますので、ぜひ併せてご覧ください!

外国人労働者の「在留資格」って何?

在留資格は外国人が日本に在留した上で、何かしらの活動を行うために必ず必要になる資格です。

もちろん、就労する際にも必要になり、現在29種類の在留資格があるうち、24種類が就労可能な「就労系在留資格」と呼ばれています。

在留資格によっては、「就労ができないもの」や「身分系在留資格」と呼ばれる、活動制限がほとんどないものも存在します。

その中で、少し特殊な位置づけにあるのが特定活動」と呼ばれる在留資格です。

特定活動とは法務大臣が個々の外国人について、特に活動を指定している在留資格を指します。

そのため特定活動と一口に言っても、様々な活動が認められており、今回はその中でも特定活動46号にテーマを絞ってご紹介していきます。

在留資格についてより詳しい情報を知りたい方は、「【在留資格とは】種類や取得要件、ビザとの違いなどを簡単解説」もぜひ併せてご覧ください!

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特定活動46号とは?

それでは特定活動46号について具体的にお話していきたいと思います。

特定活動46号の概要・創設背景

「特定活動46号」は、特定活動の中の告示特定活動と呼ばれる在留資格の一つで、「本邦大卒者で、N1以上の日本語力を有する者が、留学生としての経験を通じて得た高い日本語能力を活用することを要件として、幅広い業務に従事する活動を認める」と定義されています。

技術・人文知識・国際業務」では、認められていなかった反復・単純作業(工場でのライン作業や接客を伴うサービス業務)が、「特定活動46号」では要件を満たした場合に認められている点が大きな特徴の一つと言えるでしょう。

入管法では、「法務大臣が指定する本邦の公私の機関との契約に基づいて、当該機関の常勤の職員として行う当該機関の業務に従事する活動」と定義されています。この一文からも、アルバイトやパート、派遣形態での雇用はできず、正社員での雇用のみ認められています。

また、日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務に従事することが求められ、「風俗営業活動及び法律上資格を有する者が行うこととされている業務に従事するもの」は除かれることになります。

この「特定活動46号」は、留学生の就職支援のため、2019年5月に新たに追加された、という創設背景があります。日本独自の就職文化や在留資格の取得など、外国人留学生の就職ハードルはかなり高いため、優秀な留学生に一人でも多く就職してもらうためにできたといっても過言ではありません。

※ 参考までに、独立行政法人日本学生支援機構の「外国人留学生進路状況・学位授与状況調査結果」によると、2019年度中に卒業した外国人留学生のうち、実際に日本企業へ就職できた人数は全体の36.1%という結果になっています。
参照:留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学卒業者)についてのガイドライン

その他、46号以外の「特定活動」については、「【特定活動とは】概要や種類、取得申請の方法などをまとめて解説」の記事に取りまとめていますので、ぜひご覧ください。

特定活動46号で従事できる業務

従事可能な業務については、出入国在留管理庁HP『留学生の就職支援に係る「特定活動」(本邦大学卒業者)についてのガイドライン』へ、以下のように具体的に例示されています。

  • 飲食店においての店舗管理業務や通訳を兼ねた接客業務
  • 工場のラインにおいて、日本人から受けた作業指示を他の外国人労働者に外国語で伝達しつつ、自らもラインで作業する業務
  • コンビニなどの小売店においての通訳を兼ねた接客販売業務
  • ホテルや旅館などで、翻訳業務を兼ねた外国語によるWebサイトの開設や更新作業
  • タクシー会社において、観光客のための企画・立案や自ら通訳を兼ねた観光案内
  • 介護施設において、その他の外国人労働者への指導を行いながら、日本語を用いて介護業務に従事する業務

これを見てみると、単純作業にも従事可能な一方で、「翻訳」や「その他の外国人労働者への指導・通訳」など、日本語での円滑なコミュニケーション能力を求められる業務が基本になることが伺えます。

また、技術・人文知識・国際業務」で求められる業務(企画・など)+αで一部単純作業も認められているイメージとなっています。

ただし、単純作業のみに従事することは認められませんので、その点はご注意ください。

在留資格「技術・人文知識・国際業務」に関しては、こちらの記事もあわせてご覧ください。

特定活動46号の在留期間 

特定活動46号の在留期間は5年、3年、1年、6か月又は3か月のいずれかの期間が付与されます。この在留期間は、出入国在留管理庁が、雇用元企業の規模や安定性、外国人本人の素行状態などを考慮した上で決定します。

ただし、注意点として、在留資格「留学」からの在留資格変更時と初回の在留期間更新時においては、在留期間は原則1年のみ付与されることになります。

「技術・人文知識・国際業務」では、受け入れ機関の規模や業務内容、本人の学歴等によっては、留学からの資格変更時であっても3年や5年の在留資格がいきなり付与されるケースもあります。

しかし、特定活動46号は新卒で就職する場合は在留期間1年が必ず2回連続して続くことは、ご留意ください。

家族帯同の可否

特定活動46号は家族帯同が可能な在留資格の一つです。

「特定活動46号で在留する外国人労働者の扶養する配偶者や子供」が在留するための在留資格として、同じく特定活動において47号という在留資格が設けられています。

この特定活動47号を当該外国人の配偶者や子供が取得すれば、日本へ帯同することができるのです。

その他の就労系在留資格との違い

特定活動46号とその他の就労系在留資格との違いとして、取得にあたって実務要件がないことが挙げられます。

取得要件については後ほど詳述しますが、就労系在留資格の多くは従事予定の業務の実務経験が問われますが、特定活動46号は留学生の就職支援を目的としている背景があるため、実務経験要件はないのです。

その代わり、その他の在留資格よりも高い日本語の能力が求められることになります。

特定活動46号のメリット

最後に、ご参考までに特定活動46号のメリットを確認しておきましょう。

メリット①:日本語能力が高い

一つ目のメリットとしては日本語能力が高いという点です。

特定活動46号を取得するには、日本の大学を卒業し、且つ日本語能力試験JLPTでN1以上の能力があることが要件となっています。 

そのため海外から呼び寄せる外国人労働者と比較して、日本語能力が高く、業務におけるコミュニケーションも円滑に取ることができるでしょう。

メリット②:長期的に雇用できる

また長期的に雇用できる点も見逃せないメリットです。

特定活動の在留資格の多くは在留期間の通算上限が5年となっているため、5年を超えて在留するにはその他の在留資格への変更が必要でした。

しかし、特定活動46号は在留期間の通算上限がなく、在留期間更新が許可される限り、長期的に業務に従事してもらうことが可能なのです。

メリット③:アルバイトから正社員として雇用しやすい

また、アルバイトとして雇っていた外国人留学生を、そのまま正社員として雇用しやすい点もメリットと言えるでしょう。

従来アルバイトの職種によっては、在留資格などの兼ね合いで、同様の職種で正社員として雇うことが難しい場合がありました。

その点、特定活動46号が設けられたことで、先に挙げたような業務に従事することができるため、留学生をそのまま正社員として雇用しやすくなったと言えるのです。

なお、在留資格「留学」については、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

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特定活動46号の取得要件は?

続いて特定活動46号の取得要件について詳しく見ていきましょう。

特定活動46号の取得要件

特定活動46号の取得要件として、以下の点が挙げられます。

要件①:日本の4年制大学を卒業又は大学院の課程を修了

一つ目の要件は学歴に関するものです。

特定活動46号を取得することができるのは、日本の4年制大学を卒業しているか、大学院の課程を修了し、学位を授与された外国人に限られます。短期大学及び専修学校、外国の大学及び大学院の卒業生は対象になりません。

要件②:日本語能力が日本語能力試験N1以上相当であること

日本語に関する要件も設けられています。

具体的には日本語能力試験JLPTにおいてN1、もしくはビジネス日本語能力テストBJTにおいて、480点以上を有する外国人が対象となるのです。

外国の大学または大学院において、「日本語」を専攻して卒業したものは、上記の試験要件を満たしたものとみなされますが、併せて日本の大学・大学院を卒業している必要があります。 

要件③:フルタイムでの雇用であること

フルタイムの雇用であることも要件に挙げられます。

パートタイムやアルバイトなどの雇用形態では特定活動46号の在留資格を取得できません。

また、派遣社員として派遣先において就労活動を行うことも認められていないこととなっています。

要件④:日本人と同等以上の報酬を受け取ること

報酬に関しても要件が設けられています。

具体的には、同種の業務に従事する日本人と同等額以上であることが求められるのです。

要件⑤:日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務に従事すること

特定技能46号は、単に雇用主からの作業指示を理解して、作業のみに従事するような業務では取得できません。

翻訳などの要素がある業務や、自ら第三者へ働きかけるなど、他者との双方向のコミュニケーションを要する業務に就くことが求められるのです。

要件⑥:「技術・人文知識・国際業務」の対象となる業務が含まれている

従事しようとする業務内容に、「技術・人文知識・国際業務」の対象となる「学術上の素養などを背景とする一定水準以上の業務」が含まれていることや、今後そのような業務に従事することが見込まれることも求められます。

ここでいう一定水準以上の業務は、商品企画や技術開発、営業や管理業務、企画広報業務などが挙げられています。

不許可になるケース

特定活動46号が不許可になるケースとしては、学歴や日本語能力以上に、業務内容に起因するものに注意すべきでしょう。

先程記載した通り特定活動46号は翻訳の要素や第三者への働きかけといった、双方向のコミュニケーションを要する業務である必要があります。

そのため先に挙げた具体的な業務に関連して、例えば以下のような業務では不許可になります。

  • 飲食店において厨房での皿洗いや清掃業務のみに従事すること
  • 工場ラインにおいて、指示された業務にのみ従事すること
  • コンビニなどにおいて、商品の陳列や店舗の清掃のみに従事すること
  • ホテルや旅館において、客室の清掃のみに従事すること
  • 介護施設において、清掃や衣服の洗濯のみに従事すること

繰り返しにはなりますが、単純作業のみに従事させることは基本的には認められていません。もし仮に、ライン作業に従事してもらいたいが、「翻訳」や「その他の外国人労働者への指導・通訳」などの業務は発生しない、というケースにおいては、ぜひ在留資格「特定技能」の雇用をご検討ください。

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転職時にも在留資格変更許可申請が必要

最後に注意点として、特定活動46号を取得した外国人が、転職等で雇用先企業が変更された際、都度在留資格変更許可申請が必要となります。

特定活動46号は、在留資格申請時に「指定する活動」として雇用先企業が「指定書」に明記され、パスポートに貼り付けられます。そのため、転職に伴い、この雇用先企業が変更された場合、新たに在留資格変更許可申請を行う必要があるのです。

そのため、特定活動46号の在留資格を有する外国人を雇用する際には、新たに在留資格申請を実施し、許可されるまで就労を開始できないという点は、ご留意ください。

特定活動46号の在留資格申請の流れは?

最後に特定活動46号の取得申請の手続きについてお話していきます。

ここでは最も多くなることが想定される、在留資格「留学」から「特定活動46号」への在留資格変更を取り上げてご紹介していきます。

手続きの流れ

まずは在留資格変更許可申請の流れについて確認しておきましょう。

ステップ①:書類の準備

まずは在留資格変更許可申請に必要な書類を一式準備しましょう。

どのような書類が必要かは次項で確認していきます。

ステップ②:出入国在留管理庁の窓口にて申請を実施

必要書類の準備ができれば、管轄の地方出入国在留管理庁の窓口にて申請を実施しましょう。

ステップ③:出入国在留管理庁における審査

申請実施後、出入国在留管理庁において審査されます。

おおよそ2週間〜1か月ほど掛かるケースが多いです。

ステップ④:在留資格変更許可

無事審査が通れば、特定技能46号として業務に従事することが可能となります。

なお変更時には4,000円の収入印紙が必要です。

在留資格申請に必要な書類

特定活動46号への在留資格変更許可申請に必要な書類は以下の通りです。

  • 在留資格変更許可申請書
  • 写真
  • パスポート及び在留カードの提示
  • 申請人(外国人労働者)の活動内容などを明らかにする資料
  • 雇用理由書(特定活動46号に該当することが明らかな場合は不要)
  • 申請人の学歴を証明する文書
  • 申請人の日本語能力を証明する文書
  • 事業内容を明らかにする資料(登記事項証明書など)

 詳細は、こちらの出入国在留管理庁HP「別紙(提出資料)」をご覧ください。

在留期間更新の手続き

在留期間の更新手続きについても簡単に確認しておきます。

更新手続きの流れは、変更許可申請の流れとそこまで変わらず、提出する書類が異なってくることになります。

具体的には

  • 在留期間更新許可申請書
  • 写真
  • パスポート及び在留カード
  • 課税証明書及び納税証明書

となっております。 

 詳細は、こちらの出入国在留管理庁HP「別紙(提出資料)」をご覧ください。

まとめ

今回は在留資格「特定活動46号」にフォーカスして、概要や業務内容などをお話してきましたが、いかがでしたか。

特定活動46号は現在留学生をアルバイトとして活用している企業は勿論、その他の企業においても、「技術・人文知識・国際業務」などでは従事できない業務で雇用することができるため、是非ご検討いただきたい在留資格となっています。

また当社は外国人労働者に特化した人材紹介サービスを提供しておりますので、外国人労働者の雇用にご興味がありましたら、是非一度お問い合わせください。

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監修者
編集
菅原 勇人
菅原行政書士事務所代表。埼玉県熊谷市生まれ。2017年早稲田大学大学院卒業後、建材商社へ入社。主に営業として、中小中堅の建設事業者への提案に従事。就労をしながら、行政書士や宅建など法務系資格を複数取得。現在は菅原行政書士事務所の代表として、約1,000件にも及ぶ申請取次業務に携わる。行政書士(埼玉県行政書士会所属 / 第24132052)
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