特定技能「介護」で外国人を雇用しよう!他の介護ビザとの比較、業務内容や採用方法・試験などについて徹底解説!

外国人介護士の受け入れを考えている介護施設の皆様へ、本記事では、今話題の特定技能「介護」について解説していきます。従事可能な業務内容受け入れ方法EPA介護福祉士候補者技能実習など他のビザ(在留資格)との違いもしっかりと解説していきますので、ぜひ最後までご確認ください。

特定技能「介護」とは?

それでは、特定技能「介護」の基本情報を確認していきましょう!
出入国在留管理庁「特定の分野に係る運用別冊」の介護分野を参考に解説していきます。

また、弊社YouTubeチャンネルでも解説をしておりますので併せてご覧下さい。

特定技能「介護」は、2019年4月に設けられた新たな就労系在留資格「特定技能」の1つです。後ほどご紹介する試験に合格すれば、介護福祉士の資格がなくても、介護業務に従事することができます。

後ほど詳しく紹介しますが、この他、介護業務に従事することができる資格として、在留資格「介護」EPA介護福祉士候補者技能実習「介護」があります。

なお、特定技能制度は、人手不足の解消を目的として設けられており、日本国内において特に人手不足が深刻とされる産業分野において、単純労働を含めた職種でも外国人労働者の活用を可能としました。

介護分野においても、人手不足が叫ばれており特定技能分野の対象となっています。

特定技能「介護」に任せられる業務

特定技能「介護」で外国人が従事できる業務は、介護分野の特定の分野に係る運用別冊によると、

  • 技能試験などで確認された技能を要する身体介護等(利用者の心身の状況に応じ た入浴、食事、排せつの介助等)の業務
  • 当該業務に従事する日本人が通常従事することとなる関連業務(例: お知らせ等の掲示物の管理、物品の補充等)に付随的に従事すること

とされております。

なお、特定技能外国人については、一定の専門性・技能を有しているため、就労開始と同時に「介護報酬及び障害福祉サービス等報酬上の配置基準」に算定する取り扱いとなります。

また、特定技能外国人を受け入れる事業所は、介護福祉士国家試験の受験資格の認定において、実務経験として認められる介護等の業務に従事させることができる事業所でなければなりません

雇用形態と条件

特定技能においては農業と漁業分野を除き、派遣雇用が認められていないため、特定技能「介護」の外国人はフルタイムでの直接雇用に限られます。

また、労働条件についても、勤務形態や労働時間、報酬額などは日本人の従業員と同等以上でなくてはなりません。介護分野に限らず特定技能においては、以下は必ず守る必要があります。

  • 報酬額は日本人従業員と同等以上
  • 各種手当や福利厚生施設の利用等で差別的取り扱いをしない
  • 一時帰国を希望した際は、休暇を取得させる

報酬額に関しては、出入国管理庁へ在留資格申請する際に確認され、金額によっては修正するようにと指摘が入る可能性があります。

さらに、雇用期間は、通算5年が上限です。

上記通り、日本人と勤務形態が同じなので、技能実習では認められていなかった、1人での夜勤も可能な他、施設に配属後すぐに人員配置基準に加えることができます 。

一方で、特定技能「介護」の外国人は、事業所単位で日本人の常勤職員数よりも多く受け入れることはできないと定められているため、受け入れ人数には注意が必要です。

特定技能「介護」が制定された背景

周知の事実ではありますが、日本では少子高齢化が進行しています。

2020年では65歳以上の高齢者は全体の28.6%でしたが、2070年には38.7%にまで高齢化が進むと推計されています。

また、団塊の世代の方々が全て75歳となる2025年には、75歳以上の方は全体の約18%となり、2040年には65歳以上の人口が約35%となると推計されています。

このような少子高齢化社会は、働き手が少なくなるだけでなく、介護を必要とする方々が増えていくことになります。

介護業界での人手不足が原因

厚生労働省が公表している資料によると、介護職員の必要数は2022年で約215万人、2026年では約240万人、2040年では約273万人が必要とされています。

第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について
出典:厚生労働省|第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について

このように介護を必要とする要介護(支援)認定者が増えており、2022年から2026年の4年間で約25万人の介護職員が追加で必要となってきているのです。

一方で、介護関係職種の有効求人倍率は2019年(令和元年)には4.20、少し下がったものの2021年(令和3年)では3.65と全職種計の1.03と比べても圧倒的に高いことが分かります。

介護関係職種における有効求人倍率の推移
出典:厚生労働省|図表1-2-39 有効求人倍率(介護関係職種)の推移(暦年別)

つまり、介護職への就職を考える人1名あたり3.65件の求人がある状況で、介護事業者の人材確保がいかに困難な状況なのかが分かるでしょう。

このような背景から、人手不足の解消が目的である特定技能で介護分野も対象となっているのです。

介護分野の他の在留資格も含めた外国人の受け入れ実績は以下の通りです。

在留資格受け入れ実績
在留資格「介護」9,328人(2023年12月末時点)
EPA介護福祉士候補者7,070人(2023年2月末時点)
在留資格「技能実習(介護)」14,751人(2,023年6月末時点)
在留資格「特定技能(介護)」28,400人(2023年12月末時点)

厚生労働省、法務省、国際厚生事業団のデータを元にジンザイベースで作成

見て分かる通り既に特定技能の外国人が最も多くなっております。

また、以下のグラフの通り、介護分野の特定技能外国人在留者数の推移は右肩上がりになっており、2023年1月末時点では17,066名です。さらに、直近の入管庁データだと2023年12月末で28,400名となっているため、今後もどんどん増えていくことが予想されます。

介護分野の特定技能外国人在留者数の推移
出典:厚生労働省|介護分野における 外国人の受入実績等

このように、介護業界でも特定技能は注目の在留資格と言えるでしょう。

特定技能「介護」になるための試験や資格の取得要件

次に特定技能「介護」になるための試験や資格の取得要件を確認していきましょう。

大きくは以下の4つのルートから特定技能1号「介護」の在留資格を取得することができますが、①は試験合格が必須、②~④は試験免除となるルートです。

特定技能介護になるためのルート

以下に詳しく見ていきましょう。

日本語能力試験と介護技能評価試験

最も一般的なルートは上記①試験合格ルートでしょう。

試験合格ルートで特定技能「介護」の在留資格取得のするためには、

の合格が必須です。どの試験も国内外で開催されているため、日本にいなくても受験が可能です。

介護技能評価試験は、介護分野で即戦力で働ける知識を確認するための試験で、CBT方式(コンピューター・ベースド・テスティング)で実施されコンピュータ上で問題文を読み、回答していく形になります。全て日本語で出題されるため、一定の日本語力も併せて必要です。

日本語試験は、日本語能力試験(JLPT)と国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の2つが存在します。どちらの試験を受けても問題ありません。

また、特定技能「介護」においては、他の分野と異なり「介護日本語評価試験」の合格も必要です。これは、介護現場で業務に携わる上で支障のない程度の介護用語などを使える日本語能力をはかる試験で、介護のことば、介護の会話・声かけ、介護の文書の3つの科目にてCBT方式でそれぞれ5問ずつ計15問が出題されます。

試験が免除になる要件

次に上記の②~④の取得ルートです。

いずれのルートも日本語試験と介護技能評価試験、介護日本語評価試験が免除になります。

介護福祉士養成施設の修了

介護福祉士養成課程は、介護福祉の専門職として介護ニーズの多様化等に対応できる介護福祉士の養成をはかるものであり、この課程を終了した留学生は、一定の専門性・技能を有すると判断されます。

ただし、介護福祉士養成施設修了者は、在留資格「介護」の取得を目指すことになるため、特定技能への移行者は多くないのが現状です。

技能実習2号の良好な修了

技能実習2号修了者は、3年間の実習期間を通じて、介護の技能及び日本語能力を有する即戦力人材であるとみなされ、先にあげた3つの試験が免除されます。

ここでいう良好というのは、技能実習2号を2年10ヶ月以上終了しているものを指しますのでご留意ください。

EPA介護福祉士候補者としての4年間の在留

EPA(経済連携協定)に基づき、介護施設で就労及び研修を通じて介護福祉士の資格取得を目指す方を「EPA介護福祉士候補者」と呼び、現状インドネシア・フィリピン・ベトナムの3ヵ国から受け入れています。

厚生労働省の指針に基づき、一定の基準をクリアした介護実習施設において、事前に作成された介護研修計画に則り、研修責任者・支援者から専門的な知識・技術を4年間学んでいるため、一定の技能水準をクリアしているとみなされます。

一定期間内に介護福祉士資格を取得できないと帰国しなければなりませんが、特定技能へ移行が可能になったためプラスで5年の就労ができるようになりました。

他の介護ビザとの比較

次に、特定技能「介護」と他の介護系在留資格(ビザ)との比較を見ていきます。

まずはじめに、「介護」分野における外国人材受け入れの仕組みは以下の図の通りです。

外国人介護人材に係る人員配置基準上の取り扱いについて
出典:厚生労働省|外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いについて

介護系在留資格は4種類あり、合計で5万人以上の外国人が介護士として、介護施設等で就労しております。

在留資格受け入れ実績
在留資格「介護」9,328人(2023年12月末時点)
EPA介護福祉士候補者7,070人(2023年2月末時点)
在留資格「技能実習(介護)」14,751人(2,023年6月末時点)
在留資格「特定技能(介護)」28,400人(2023年12月末時点)

厚生労働省、法務省、国際厚生事業団のデータを元にジンザイベースで作成

それでは各介護系在留資格との違いを、各在留資格の特徴や従事できる業務などと比較して見ていきます。

在留資格「介護」との違い

在留資格「介護」の特徴

在留資格「介護」は、介護福祉士の資格を有する外国人のみ取得することができます。

2017年9月から運用が始まった就労系在留資格であり、「即戦力人材」としての就労が可能です。

在留期間に関しても、「5年・3年・1年・3ヶ月」のいずれかが付与されることになり、在留期間の更新手続きが認められる限り永続的に日本で働くことができます

報酬については、同等業務に従事している日本人職員と同等以上の報酬が必要です。家族の呼び寄せも可能で、配偶者と子の帯同が認められており、外国人にとっては非常に魅力的な在留資格と言えるでしょう。

一方で、特定技能「介護」は在留期間の上限が5年間と決まっており、家族の帯同は認められていません。

従事できる業務

在留資格「介護」で従事できる業務に特に制限はなく、日本人と同じ業務に従事できるため、「身体介助」「生活援助」などを始めとし、特別養護老人ホームや有料老人ホームなどで従事することは勿論、高齢者住宅などへの訪問介護にも従事可能です。

特定技能「介護」は、訪問系サービスでの就業ができない他、従事できる業務にも制限があります。

なお、在留資格介護について詳しく知りたいという方は、以下の記事で詳しくご紹介しておりますので、ご覧ください。
▶︎【在留資格「介護」とは】概要や取得要件、採用までの流れを解説

技能実習「介護」との比較

在留資格「技能実習」の特徴

技能実習とは、開発途上国を中心とした諸外国から技能実習生を迎え、技能の移転を図り、その国の経済や技術の発展に貢献することを目的とした制度です。

技能実習で来日する外国人は、厳密に言えば労働者ではありませんが、介護を含めた様々な業界における貴重な人材供給源となっています。

技能実習生は必ず国外から呼び寄せる必要があり、送り出し機関と呼ばれる現地の教育機関で約6ヶ月近く日本語を学んだ後来日します。来日後は監理団体と呼ばれる組織が企業と人材の間に入り、双方のサポートを実施していきます。

在留期間は最大で5年となっており、技能実習生を雇用する場合、正社員として雇用する必要があります。

報酬については、技能実習であっても同一労働同一賃金などの対象となるため、同一業務に従事している日本人職員と同等以上の報酬を支払う必要があります。 

一方、特定技能「介護」は、国外から呼び寄せる必要はなく、国内で外国人材の確保が可能で(もちろん国外から呼び寄せることも可能)、また先述の通り、技能実習生からの移行も可能です。

雇用条件や賃金条件などは同様です。

従事できる業務

技能実習で従事できる業務としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 身支度や移動の介助
  • 食事の介助
  • 入浴や排せつの介助
  • 掃除や洗濯
  • 機能訓練の補助やレクリエーション業務

特定技能「介護」との大きな違いは、技能実習生はあくまでも研修生としての扱いとなるため、従事できる業務範囲や内容に違いがあり、主には、

  • 1人での夜勤が可能か(技能実習は不可、特定技能は可)
  • 服薬の介助ができるか(技能実習は不可、特定技能は可)
  • 人員配置基準の人員として認められるまでの期間(技能実習は6ヶ月、特定技能は即日)

などが異なります。

なお、技能実習「介護」について詳しく知りたいという方は、以下の記事で詳しくご紹介しておりますので、ご覧ください。
▶︎技能実習生って問題だらけ?制度や受け入れ方法について徹底解説!

特定活動EPAとの違い

EPA介護福祉士候補者の特徴

EPAとは国や地域を限定して、関税などの貿易障壁を撤廃することで、ヒト・モノ・カネ・サービスの移動を促進することを目的とした経済連携協定であり、介護領域における外国人労働者の受け入れも認めています。

EPA介護福祉士候補者の受け入れは、インドネシアフィリピンベトナムの3か国に限定して行われており、希望すれば誰でも候補者になれるわけではなく、以下のように母国での基準を満たさなければいけません。

国名必要条件
インドネシア高等教育機関(3年以上)卒業+インドネシア政府による介護士認定またはインドネシアの看護学校(3年以上)卒業
フィリピン4年制大学卒業+フィリピン政府による介護士認定またはフィリピンの看護学校(学士・4年)卒業
ベトナム3年制または4年制の看護過程修了

この候補者は日本での介護福祉士資格の取得を目的としており、一定の要件を満たす介護施設で3年以上就労・研修したのち、4年目には、介護福祉士試験の受験が義務付けられています。

試験に不合格の場合は帰国となり、合格の場合は在留期間の制限がなく就労可能になります(試験に不合格の場合でも、特例的に1年間の滞在が認められます)

報酬については、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を支払うことが要件として挙げられています。

注意点として、公益社団法人国際厚生事業団(JICWELS)という組織が唯一EPA介護福祉士候補者のあっせんを行っております。

受け入れる介護施設については一定の基準が設けられており、全ての介護施設で受け入れられるわけではありません

人材に関しても、入国する前に最低6ヶ月入国後に関しても一定期間の日本語研修を受講するため、ある程度の日本語能力を有している一方で、実際に働き始めるまで時間がかかる点も留意しておく必要があります。

特定技能「介護」との大きな違いは、この候補者は、母国で看護系学校卒業または介護士として認定されているという点です。このような学歴要件から、比較的、人材の質が安定していると言えるでしょう。

従事できる業務

身体介助やそれに付随する関連業務へ従事可能で、介護保険3施設、認知症グループホーム、特定施設、通所介護、通所リハ、認知症デイ、ショートステイ等で就労可能です。ただし、特定技能「介護」と同様、訪問介護については従事できません。(在留中に介護福祉士の資格を取得した場合のみ、訪問介護系の業務に従事できます。)

なお、特定活動とは、現在あるどの在留資格にも当てはまらない活動を行うために設けられた特別な在留資格です。

現在は個人の活動も多岐に渡るため、全ての活動を特定の在留資格に当てはめるのが難しい場合があります。このため、他の在留資格に該当しない活動の受け皿としてあるのが特定活動で、特定活動「EPA介護福祉士(候補者)」もその1つです。

特定活動について詳しく知りたいという方は、以下の記事で詳しくご紹介しておりますので、ご覧ください。
▶︎在留資格「特定活動」46種類まとめ!指定書の確認や就労制限について解説します!

特定技能「介護」のメリット

ここでは、外国人介護士や特定技能「介護」の外国人を受け入れるメリットについて簡単に見ていきます。

この内容に関しては、以下の記事でも詳しく解説していますので是非ご覧下さい。

外国人介護士の採用方法!4つの在留資格ごとのメリット・デメリット総まとめ

外国人受け入れの利点

外国人を受け入れるメリットは、主に以下のようなことが考えられます。

  • 人手不足の解消
  • 若い労働力の確保
  • 意欲の高い人材の確保
  • 異文化交流に繋がる

慢性的な人手不足が続いている介護業界において、外国人介護士を採用する最大のメリットはなんと言っても「人手不足の解消」でしょう。また、日本人介護士の獲得が難しい地方の施設も、好条件であれば外国人は採用がしやすくなります。

また、日本に来る外国人労働者は比較的若く、かつ意欲的な方が多い傾向があるため、そういった人材の確保もメリットと言えるでしょう。

外国人職員がいることで事業所内の異文化交流が進むのもメリットです。外国人職員を通して他国の文化や生活習慣を学ぶことができるだけでなく、母国の歌や民族衣装をレクリエーション等に取り入れることもできるでしょう。

事業所側のメリット

介護分野にて特定技能外国人を受け入れる事業者側のメリットとしては、国内での母数が急増しており、必要人員確保における工数やコストを抑えられる点でしょう。

また、技能実習と比較すると、

雇用後すぐに配置基準に含むことができる点や、上限はあるもののはじめから常勤職員数までの雇用ができる点、業務範囲が広い点などもメリットでしょう。

受け入れ事業所が満たすべき要件

介護分野に限らずですが、特定技能外国人を受け入れるにあたっては、受け入れ機関となる企業(事業所)は以下の基準を満たす必要があります。

受け入れ企業が満たすべき基準
出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」をもとに、ジンザイベースが作成

もし、支援体制に関する基準を満たすことができなかった場合は、「登録支援機関」に支援を委託することで、基準を満たしたとみなされます。そのため、特定技能外国人を受け入れる際は、登録支援機関の活用も検討することをオススメします。

また、特定技能「介護」においては、

  • 受け入れ事業所は、訪問系介護を除く、介護等の業務を行うものである
  • 受け入れ人数は、事業所単位で常勤職員数を超えない数が上限である

の要件も満たす必要があります。

特定技能「介護」の受け入れ対象となる施設詳細は以下の通りです。

介護の特定技能1号外国人を受け入れる対象施設について
出典:厚生労働省|介護分野の1号特定技能外国人を受け入れる対象施設について

特定技能外国人支援計画の策定

特定技能外国人の受け入れ機関は、特定技能外国人の就労と生活を支援する体制を用意しなければなりません。出入国在留管理庁が定める以下の10項目において、支援が義務化されています。

10の義務的支援業務

特定技能外国人の受け入れ前には、この10項目の義務的支援内容を具体的に書類に記載した「支援計画書」の策定が必須です。

この義務的支援についても、自社内での対応が難しい場合は登録支援機関に支援計画の実施を委託することが可能です。

分野別協議会への入会

介護分野で特定技能を受け入れるためには、厚生労働省が組織する協議会に加入した上で、必要に応じた協力を実施しなければなりません。

協議会への加入は、初めて雇用する特定技能外国人が在留資格を取得してから4か月以内に実施する必要があります。期日までに加入ができなかった場合、特定技能の受け入れが不許可になってしまいますので、注意が必要です。

加入後は、厚生労働省が実施する様々な調査への協力や、指導に対する改善・対応などを適切に実施していく必要もあります。 必要な協力ができない場合、先と同様に、特定技能の受け入れができなくなってしまいます。

加入方法等の詳細については、厚生労働省のこちらのページもご確認ください。

注意点と重要なポイント

上記の通り、特定技能「介護」の外国人を雇用するメリットは多くありますが、一方で、注意すべき点や重要なポイントもあります。以下に詳しく見ていきましょう。

派遣雇用の禁止

重複しますが、特定技能制度において、漁業と農業の2分野を除き、派遣雇用はできません。フルタイムの直接雇用のみなのでご注意下さい。

訪問介護の可否

こちらも重複しますが、特定技能「介護」の外国人は訪問介護サービスでの就労はできません

しかし、厚生労働省は有識者討論会で、特定技能の外国人も訪問介護サービスで従事ができるようにする方針を決めています。従事者の要件や介護事業者の順守事項などを固め、2025年度の実施を目指すとされております。

受け入れ人数の上限

非常に重要な点として、特定技能「介護」は、その他の分野とは異なり受け入れ可能人数に制限があります。 

具体的には、事業所単位で日本人等の常勤介護職員の総数が上限とされています。

ここでいう日本人等の常勤介護職員には、日本人の職員だけでなく以下の外国人も含めることができます。

  • EPA介護福祉士の外国人労働者
  • 在留資格「介護」を有する外国人労働者
  • 身分系在留資格(永住者や日本人配偶者等)を有する外国人労働者

技能実習生、EPA介護福祉士候補者、留学生は含まれない点にはご留意ください。

例えば、企業全体で100名の常勤介護職員がいたとしても、特定技能外国人を受け入れる事業所に10名しか常勤職員がいない場合は、特定技能外国人は10名までしか受け入れができません。

転職可能

技能実習と異なり、特定技能においては転職の制限はありません。そのため、在留資格で認められている分野の範囲内であれば自由に転職が可能です。

もし、別分野へ転職をする場合は、各分野の特定技能試験に合格する必要があります。

注意が必要なのは、特定技能の在留資格は受け入れ機関(企業)と分野、業務内容が決まってから取得できるものなのです。転職の場合は、転職先の企業の協力のもと「在留資格変更許可申請」を行う必要があります。

‍まとめ

今回は数ある特定技能の分野の中から、介護分野にフォーカスしてお話してきましたが、いかがでしたか。

当社は本文中でもご紹介した登録支援機関として、支援業務の代行や在留資格申請のサポートなどを実施しております。

就業開始後の定着率向上に向けたコンサルテーションなども対応しておりますので、ご興味ありましたら是非一度お問い合わせください。

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監修者
菅原 勇人
菅原行政書士事務所代表。埼玉県熊谷市生まれ。2017年早稲田大学大学院卒業後、建材商社へ入社。主に営業として、中小中堅の建設事業者への提案に従事。就労をしながら、行政書士や宅建など法務系資格を複数取得。現在は菅原行政書士事務所の代表として、約1,000件にも及ぶ申請取次業務に携わる。行政書士(埼玉県行政書士会所属 / 第24132052)
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。
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