この記事では特に留学生などをアルバイト雇用する際に重要となる資格外活動許可について、概要から種類、許可を得るための申請方法などを解説していきます。また資格外活動の外国人労働者を雇用する際の注意点もご紹介していますので、基本を押さえたい方は是非最後までご確認ください。
なお、YouTubeでも解説動画をアップロードしていますので、ぜひ併せてご覧ください!
在留資格における資格外活動とは
まずは資格外活動の概要から確認していきたいと思います。
資格外活動の概要
資格外活動とは、現在有している在留資格に属さない収入を伴う事業を運営する活動、もしくは報酬を受ける活動のことを指し、資格外活動許可を得ることで従事することが可能です。
資格外活動許可は、「技術・人文知識・国際業務」などの就労活動に制限のある就労系在留資格や、「留学」といった就労不可の在留資格を有する外国人が対象となっています。
逆にそもそも活動制限がない永住者や定住者などの身分系在留資格は、資格外活動許可の対象とはなりません。
資格外活動許可の有無は在留カードを確認
この資格外活動許可ですが、外国人の「在留カード」を見ることで、有無を確認できるようになっています。
「在留カード」とは在留資格の認定や変更、更新などの許可を得た際に、出入国在留管理庁から外国人に交付されます。外国人の方にとっては、身分証明書に匹敵するくらい重要なものとなっています。(実際に入管法では常時携帯が求められていますので、不携帯の方は警察からの補導対象となります。)
交付される外国人は3ヶ月以上の中長期在留者に限り、旅行者などの短期滞在者には交付されません。
この在留カードには外国人に関する重要な情報が多く記載されておりますが、外国人労働者を雇用する際は、特に以下の4点を確認するようにしましょう。自社で雇用できる外国人かどうかを判断するために必要な情報になります。
①在留資格
②就労制限の有無
③在留期限
④資格外活動許可の有無
留学生など、基本的に就労が認められていない在留資格を持っている方は、②の部分に就労不可と記載があります。しかし、資格外活動許可を持っていると、裏面④に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」と表記されています。
この④に何も記載がない場合は、資格外活動許可を有していないことになりますので、留学生をアルバイト等で雇用することはできません。仮に雇用してしまった場合は、後にも説明しますが、事業者側にも不法就労助長罪が適用され、罰則が課されてしまいますので、注意しましょう。
資格外活動の種類
資格外活動の種類としては、許可に応じて以下の2つの種類があります。
- 包括許可による資格外活動
- 個別許可による資格外活動
それぞれ詳しくお話していきましょう。
包括許可による資格外活動
包括許可による資格外活動とは、1週間に28時間以内の収入を伴う事業を運営する活動、または報酬を受ける活動のことを指します。
後ほど記載する要件を満たし、申請を行うことで許可を得ることができます。
1週間に28時間以内という制限があるため、基本的にはアルバイトのような働き方を想定しており、留学生や家族滞在で在留する外国人が就労する場合に該当してくるでしょう。
個別許可による資格外活動
個別許可による資格外活動とは、包括許可の範囲外の活動について許可申請があった場合や、就労資格を有する外国人労働者が他の在留資格に該当する活動を行う場合に、許可される資格外活動のことを指します。
出入国在留管理庁は個別許可による資格外活動として、以下のような事例を挙げています。
- 留学生が職業体験を目的とするインターンシップに従事するとして、週28時間を超える資格外活動に従事する場合
- 大学で稼働する「教授」の在留資格の方が民間企業で語学講師として稼働する場合
(「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当する活動を行う場合) - 個人事業主として活動する場合や、客観的に稼働時間を確認することが困難である活動に従事する場合
資格外活動許可の要件
資格外活動に従事するには、以下の要件を満たす必要があります。
- 申請人が資格外活動に従事することにより、在留資格本来の活動の遂行が妨げられないこと
- 現に有する在留資格に係る活動を行っていること
- 申請に係る活動が入管法別表第一の一、または二の表に該当すること(ただし特定技能と技能実習は除く)
- 申請する活動が以下の活動に該当しないこと
・法令に違反すると認められる活動
・風俗営業
・店舗型性風俗特殊営業が営まれている営業所において行う活動
・無店舗型性風俗特殊営業
・映像送信型性風俗特殊営業
・店舗型電話異性紹介営業
・無店舗型電話異性紹介事業に従事して行う活動 - 収容令書の発行又は意見聴取通知書の送達、もしくは通知を受けていないこと
- 素行が不良でないこと
- 日本の公私の機関との契約に基づく在留資格に該当する活動を行っている場合、当該機関が資格外活動を行うことについて同意していること
上記条件の内、包括許可の場合は③の要件に該当する必要はありません。
資格外活動許可が不要なケース
資格外活動の概要の最後に資格外活動許可が不要なケースについて、簡単にご紹介しておきます。
無報酬での活動
報酬などを伴わないボランティア活動などを行う場合、資格外活動許可を得る必要はありません。
業として行う活動ではない場合
単発の講演や通訳などを行う場合は、謝金を伴う者であっても許可を得る必要はありません。
就労活動ではない活動
就労系在留資格を有する外国人労働者が学校へ通う場合なども、資格外活動許可は不要です。
資格外活動許可の申請方法
続いて資格外活動許可の申請方法について確認していきましょう。
申請の流れ
資格外活動許可の申請の流れとしては、大きく以下の4つのステップを踏みます。
ステップ①:必要書類を準備
まずは必要書類を準備することになります。必要書類については、後ほど詳しくご紹介します。
ステップ②:申請の実施
必要書類が準備できた後は、出入国在留管理庁にて申請を実施します。
申請については、外国人本人だけでなく、申請の取次承認を受けている以下の方も対応が可能です。
- 申請人が経営している機関又は雇用されている機関の職員
- 申請人が研修又は教育を受けている機関の職員
- 外国人の円滑な受け入れを図ることを目的とする公益法人の職員
その他、出入国在留管理庁に届け出た弁護士や行政書士も対応できます。
ステップ③:許可の通知
申請が許可された場合、通知書が郵送されます。
資格外活動許可申請の標準処理期間は、2週間~2か月程度となっています。
ステップ④:資格外活動許可証の交付
その後資格外活動許可証が交付されます。
在留カードを持っている場合は、在留カード裏面に資格外活動許可を受けていることも記載されることになります。
申請に必要な書類
資格外活動許可の申請を実施する場合に必要な書類は以下の通りです。
- 資格外活動許可申請書
- 当該申請に係る活動の内容を明らかにする書類
- 在留カードを提示
- パスポート又は在留資格証明書を提示
- パスポート又は在留資格証明書を提示できない時は、その理由を記載した理由書
- 身分を証する文書などの提示(申請取次人が申請を提出する場合)
上記以外にも審査の過程において、別途資料の提出が求められるケースがある点は留意しておきましょう。
なお申請において手数料などは掛かりません。
資格外活動において禁止されている業務
ここまで資格外活動の概要や許可申請の方法などをお話してきましたが、ここからは資格外活動において禁止されている業務について確認していきましょう。
資格外活動において禁止されている業務として、先ほどの要件にも上げた通り風俗営業などが挙げられます。
具体的には以下のような業務が禁止となります。
禁止業務①:風俗営業
キャバレーやカフェにて客を接待して飲食させる営業など
禁止業務②:店舗型性風俗特殊営業
浴場業の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業など
禁止業務③:無店舗型性風俗特殊営業
人の住居または人の宿泊の用に供する施設において、その客に接触する役務を提供する営業など
禁止業務④:映像送信型性風俗特殊営業
性的好奇心をそそるため、性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業など
禁止業務⑤:店舗型電話異性紹介営業
面識のない異性との交際を希望する者に対し、会話の機会を提供することにより異性を紹介する営業など
禁止業務⑥:無店舗型電話異性紹介営業
面識のない異性との交際を希望する者に対し、会話の機会を提供することにより異性を紹介する営業で、一方の者からの電話による会話を他の一方の者に取り次ぐことなど
資格外活動許可に違反した場合のリスク
次に資格外活動許可に違反した場合のリスクについて確認していきましょう。
不法就労
資格外活動許可に違反した場合、不法就労に該当することになります。
不法就労とは、許可された範囲を超えた活動に従事したり、そもそも就労が認められていない在留資格で就労したりといった、違法な状態で就労することです。
資格外活動においては、包括許可における28時間を超えてしまうケースや、先に述べた禁止されている業務などに従事するケースなどが該当してくるでしょう。
不法就労の罰則規定
不法就労は当然違法行為であるため、罰則規定が設けられています。
不法就労に該当した場合、当該外国人は刑事処分として3年以下の懲役もしくは禁錮、又は300万円以下の罰金が科されます。
その上行政処分として強制送還や国外追放の対象となります。
また不法就労をさせた企業や雇用主側も、不法就労助長罪に問われ3年以下の懲役、もしくは300万円以下の罰金、または併科されることになるのです。
不法就労助長罪については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
▶︎【不法就労助長罪とは】成立要件や防止方法などをわかりやすく解説
資格外活動で働く外国人労働者を雇用する場合の注意点
最後に資格外活動で働く外国人労働者を雇用する場合の注意点について、確認していきましょう。
資格外活動の許可は出ているか
まずそもそも資格外活動許可が出ているのかの確認を行いましょう。
資格外活動許可の有無は、繰り返しになりますが、資格外活動許可証や在留カードの裏面を確認することで把握することができます。
そのため資格外活動による外国人労働者を雇用する場合は、必ず確認するようにしましょう。
掛け持ちの業務はあるか
続いての注意点は掛け持ちの業務はあるかという点です。
包括許可における週28時間以内という制限は、雇用契約ごとに設けられているわけでなく、全ての就労を合算して28時間以内ということになっています。
例えば、雇用しようとしている外国人労働者が既に別のアルバイトなどに従事しており、週20時間働いている場合、自社で働いてもらえるのは週8時間までとなるのです。
この点を把握せずに「28時間以内であれば問題ない」と考えて雇用してしまうと、不法就労助長罪に該当してしまう可能性があるため注意しましょう。
外国人雇用状況の届出を怠らない
最後の注意点は外国人雇用状況の届出を怠らないということです。
外国人雇用状況届出とは、外国人労働者の雇い入れ、あるいは離職の際に厚生労働大臣に届け出ることが義務付けられた報告となっています。
フルタイムの雇用でなく、資格外活動で雇用した場合にも適用されるため、忘れずに提出しなければなりません。
基本的に雇用した月の翌月10日までに、管轄のハローワークもしくは専用のシステムを用いて届出を行うことになります。
届出を怠った場合、30万円以下の罰金対象となるため、必ず届出をすると覚えておきましょう。
まとめ
今回は在留資格の資格外活動についてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。
当社は外国人労働者に特化した人材紹介サービスを提供しており、外国人労働者の活用を検討されている企業様のサポートを行っております。
資格外活動の外国人労働者は勿論、フルタイムの外国人労働者まで幅広くご提案致しますので、是非一度お気軽にお問い合わせください。