【外国人労働者の受け入れ準備】必要な手続きや準備すべきことを解説

外国人労働者の受け入れ準備とは

外国人労働者を受け入れるには、公的な手続きから社内体制の構築まで、様々な事前準備が必要となってきます。また、受け入れ後に関しても、適切なサポートを適宜実施していく必要ももちろん発生してきます。

そのため、外国人労働者を雇用する場合、日本人を雇用するのとはまた違った観点からの準備が必要となる点は、しっかりと認識しておきましょう。

適切な受け入れ準備ができていなければ、外国人労働者の活用は勿論のこと、外国人労働者の定着も見込めません。

そのため外国人労働者に中長期で就労してもらい、しっかりと活躍してもらうためには、受け入れ準備にも力を入れていく必要があるのです。

外国人労働者を受け入れる際に必要な手続き

具体的な外国人労働者の受け入れ準備についてお話する前に、そもそも受け入れる際に必要な手続きを簡単に確認しておきましょう。

在留資格申請

一つ目の手続きとしては、在留資格申請です。

外国人労働者を雇用する上で、最も重要なプロセスと言え、ここをクリアしなければそもそも受け入れることはできません。

在留資格は雇用するポジションによって異なる上、取得要件なども違ってくるため、外国人労働者を雇用するにはまず該当する在留資格と取得要件を調べる必要があるでしょう。

在留資格申請は基本的に雇用契約締結後に実施するため、雇用する外国人労働者が取得要件を満たせるのかは書類選考や面接時に確認しなければなりません。

在留資格申請に関する詳しい説明はここでは省きますが、在留資格申請が必ず必要であるという点をここでは押さえておいてください。

在留資格については、以下の記事でも詳しく解説しています。
▶︎【在留資格とは】種類や取得要件、ビザとの違いなどを解説

外国人雇用状況届出

実際に外国人労働者を雇用した場合、外国人雇用状況届出を提出しなければなりません。

外国人雇用状況届出は雇用した外国人労働者の氏名や生年月日、取得した在留資格の種類、在留期間などの基本的な情報をまとめた資料です。

これを外国人労働者の雇用が発生した日の翌月10日までに、管轄のハローワークの窓口もしくは専用のオンラインシステムで提出することが義務付けられています。

外国人雇用状況届出を怠った場合、30万円以下の罰金が科されますので、注意しましょう。

外国人労働者を受け入れる際の準備:入社前編

ここからは本記事のテーマである外国人労働者を受け入れる際に必要な準備について、お話していきます。

まずは外国人労働者の入社前における準備から見ていきましょう。

全社への説明会の実施

まず受け入れ準備として取り組むべきは、全社への説明会の実施です。

外国人労働者を雇用することになる旨は勿論、その目的や出身国、その時点で把握できている当該外国人労働者の日本語能力やスキルなどを全社に対して説明しましょう。

また全社として外国人労働者の受け入れ体制を整備していく旨を周知し、受け入れ現場以外の社員も巻き込んでいく方針を打ち出すことが重要です。

この全社への説明会を実施するかしないかで、この後に行う各準備の精度やモチベーションが変わってくるため、外国人労働者雇用の取り組みを始めた時点で実施すべきと言えます。

勉強会の実施

次に外国人労働者の受け入れ準備として挙げられるのは勉強会の実施です。

雇用することになる外国人労働者の母国について、その文化や商慣習、国民性などを事前に学習しておくことはとても重要な取り組みになります。

また当該外国人労働者の母国語も学んでおくというのも一つでしょう。

実際に喋れるようになることが目的ではなく、外国人労働者の考え方や価値観を理解することが目的になります。

また外国人労働者側としても受け入れ現場の社員が、自分の国について文化や言語を勉強してくれているという姿勢は嬉しいもので、入社後に好印象を与えることも可能になるでしょう。

研修の実施

また研修の実施も効果的な受け入れ準備となります。

研修の内容としてはダイバーシティやインクルージョン、異文化コミュニケーションなどをテーマにすると良いでしょう。

また自分自身が海外で働くことになった場合を想定したワークショップを開催し

  • どういった点で困るのか
  • どういう対応をされたらモチベーションが下がるのか
  • どういったフォローをしてほしいのか

等を議論していくことも有効です。 

これらの研修を外国人労働者の上司になる人材だけでなく、現場の社員や人事部門の社員を含めて実施することで、外国人労働者の受け入れに対するモチベーションも高めていくことができるでしょう。

ダイバーシティ・インクルージョン、マネジメントについては、以下の記事もぜひご覧ください。
▶︎【ダイバーシティ&インクルージョン】意味や具体的な取り組みについて解説
▶︎【ダイバーシティマネジメントとは】意味やメリット、具体例を解説します!

メンター育成

メンター育成に取り組むことも重要な準備となります。

外国人労働者の安定就業にはメンターを配置することが効果的ですが、このメンターとして配置される人材が誰でもいいのかと言えばそうではありません。

メンターとしての役割をきちんと理解し、正しい対応をできる人材を配置する必要があります。

そのため受け入れ現場において事前にメンター候補者を選出し、先の研修に優先的に参加させた上で、メンターとして必要なコーチングなどのスキルを学ぶ研修も実施するといった対応が求められるのです。

もし現場に留学経験がある人や外国人の友人がいるという人がいれば、その人をメンターとして育成するのも効果的でしょう。 

マニュアルなどの資料整備

受け入れ現場において、マニュアルなどの各種資料を整備しておくことも当然必要になってきます。

業務に関するマニュアルや就業規則、安全衛生における注意事項をまとめた資料など、外国人労働者に必要とされる資料をあらかじめ準備しておきましょう。

上記の資料の他にどんな資料が必要であるかは、先の研修におけるワークショップなどで議題として取り上げれば、抜けや漏れなく準備できます。

マニュアルなどの資料整備においては、簡単な日本語で記載したものや、英語あるいは雇用する外国人労働者の母国語で記載したものを手配しておくことが重要です。

他にも文章だけでなく図やイラストなどを盛り込んだ、直感的に理解しやすい資料を用意しておくことも効果的と言えます。

その他の準備として

その他にも必要に応じて、外国人労働者の住居の手配や、入国後の様々な手続きに必要になる印鑑の作成などの準備なども対応しておくとよいでしょう。

特定技能制度技能実習制度であれば、受け入れに当たって住居手配などの支援をすることが制度上求められているので、必然的に対応することになります。

しかしその他の就労系在留資格、例えば「技術・人文知識・国際業務」や「高度専門職」等で来日する外国人労働者に対しても、必要に応じて住居の手配などをしてあげる方がよいケースがあるのです。

外国人労働者を受け入れる際の準備:入社後編

続いて入社した後の準備・対応について確認していきましょう。

メンターの配置

入社後の準備としてまず挙げられるのは、「メンターの配置」です。

先程入社前の準備で「メンター育成」について触れましたが、そこで育成したメンターを配置することになります。

メンターを配置して、外国人労働者に対して業務における教育を実施するだけでなく、当該外国人が「何に悩んでいるのか、どういった点に困っているのか」などを業務だけではなく、プライベートでの生活面についても聞き、フォローしていくことが重要なのです。(もちろん、必要以上にプライベートを探るような行為は控えてた方が良いですが。)

外国人労働者におけるメンターの役割においては、業務における指導よりも、悩みをきちんと聞いてあげるという精神的なサポートに重きを置く1on1などを最低でも週に1回は実施した方がよいでしょう。

生活面でのサポート

また生活面でのサポートも欠かせません。

外国人労働者に安定して働いてもらうためには、日常生活も安定的に過ごしてもらう必要があります。

そこで初めて来日して働くことになる外国人労働者に対しては、生活面でのサポートなどを実施するとよいでしょう。

具体的には日常生活を営む上で必要になる日用品や食品などを購入できる場所や、病院といった施設の利用方法、銀行口座の開設方法などをレクチャーすることになります。

既に来日して別の企業で働いていた外国人労働者を、転職者として受け入れる場合は必要ないケースもありますが、生活面でのサポートも場合によっては必要であることは覚えておきましょう。

日本語学習の機会などを提供

入社後に日本語学習の機会などを提供することも、効果的な取り組みと言えます。

来日する外国人労働者は、基本的な日本語については学習している場合が多く、日常におけるコミュニケーションを取ることは可能です。

しかし従事することになる業務においての専門用語や難しい言い回し、ビジネスシーンにおける敬語などについては、課題が残っているケースが大半でしょう。

そのため外国人労働者が入社した後も、定期的に日本語学習の機会を提供していくことが重要になります。

ただただ日本語の教材を手配するだけでなく、現場の上司やメンターを主軸として、社内で日本語講習を実施することなども良い取り組みと言えます。

フォロー面談の定期実施

入社後の準備・対応事項として最後にご紹介するのは、フォロー面談を定期的に実施することです。

メンターは日ごろの業務における様々な支援を実施していくわけですが、それとは別に所属部門の上司や人事部門の社員が定期的なフォロー面談を実施することも効果的でしょう。

メンターとの関係性の中に悩みを抱えている場合、そのメンターには言いづらく、結果として相談できないというケースもあります。

そのほか上司には言いづらいことも当然あるわけです。

そのため外国人労働者に対して、様々な接点において相談できる機会を定期的に設けておくことが重要になると言えるでしょう。

その他、外国人労働者の定着率を高める施策については、以下の記事でも解説しています。
▶︎【外国人労働者の定着率を高めるためには】方法やポイントを交えて解説

外国人労働者を受け入れる際のポイント

ここまで外国人労働者を受け入れるにあたっての準備についてお話してきましたが、最後に受け入れる際のポイントについてお話しておきたいと思います。

在留資格関連の手続きもサポートする

この記事の冒頭で外国人労働者を受け入れる場合に必要な手続きとして、在留資格申請をご紹介しました。

この在留資格申請は企業だけで行うのではなく、外国人労働者自身が対応しなければならない部分も多いのです。

とはいえ日本の在留資格を取得するには、様々な書類の準備が必要であるため、初めて申請を実施する場合は、難易度が高いと言えます。

そのため外国人労働者が在留資格申請を実施するにあたって、必要なサポートを実施することも、受け入れにおいては重要なポイントになるでしょう。

まとめ

今回は外国人労働者を受け入れる際に必要な準備についてまとめてお話してきましたが、いかがでしたか。

当社は外国人労働者の雇用に取り組みたい企業様を支援すべく、人材紹介サービスの提供や在留資格申請のサポート、受け入れ体制の構築支援などを行っております。

受け入れのための準備に関するコンサルティングなども対応しておりますので、外国人労働者の雇用に取り組みたいという方は、是非一度お気軽にお問い合わせください。

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監修者
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。
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