【特定技能】インドネシア人の採用ルートや注意点、費用などをまとめて解説

この記事では特定技能制度でインドネシア人の採用を検討されている方に向けて、「インドネシア人の特徴や採用メリット・デメリット」、「採用ルートや採用における注意点」、「採用に係る費用」などについて解説しています。 

特定技能制度におけるインドネシア人の割合

はじめに、特定技能制度で来日してくる外国人の内、インドネシア人が占める割合について見ていきましょう。

特定技能外国人の国籍別データは出入国在留管理庁が公表しています。2022年6月末におけるデータは以下のようになっています。

特定技能外国人の在留者数一覧
引用:出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数(令和4年6月末現在)」

特定技能で在留するインドネシア人は上記表からわかる通り9,481人となっており、全体の約11%程度の割合となっています。

11%と聞くと少なく感じがちですが、ベトナム人が群を抜いて多いだけで、2番目に多い国籍者となっています。インドネシア人は、特定技能外国人の中核をなす国の一つとも言えるのです。

なお、特定技能外国人の受け入れについて一から知りたい!という方は、「特定技能とは?制度の概要から採用の流れまで基本を徹底解説」をぜひ併せてご確認ください。

採用の前に知っておきたいインドネシア人の特徴

続いて採用の前に知っておきたいインドネシア人の特徴をご紹介したいと思います。こちらはあくまでも特定技能外国人として日本で就労される方に多く見られる傾向に過ぎませんので、ご参考程度にお読みください。 

インドネシア人の特徴①:「何とかなるさ」という精神

一つ目に挙げられる特徴は「何とかなるさ」という精神を持つことです。

インドネシア人は非常にポジティブであり、小さなことを気にせず、大抵のことを「何とかなるさ」の精神で乗り切る傾向にあります。

インドネシア人の特徴②:仕事よりも宗教や家庭を優先する

インドネシア人は仕事よりも宗教・家庭を優先します。

仕事はあくまでも、家庭や宗教を含めたプライベートを豊かにするために必要なお金を稼ぐ手段であり、それ以上でも以下でもないのです。

ただし、近年インドネシア人の若者の中には、宗教の優先度が低くなってきている層が増えてきています。イスラム教だけど、毎日5回実施するお祈りを、夕方1回にまとめて済ます方がいたりと、以前と比較すると仕事に与える影響は小さくなってきたと言えます。

インドネシア人の特徴③:叱られることに慣れていない

また「叱られることに慣れていない」という点も特徴として挙げられます。

インドネシアでは親が子供を叱ったり、怒ったりする習慣があまりないため、そういった場面に慣れていない人が多いのです。

そのため人前で間違いを指摘したり、叱ったりすると、インドネシア人は屈辱を受けたと感じてしまうでしょう。何か指摘事項がある際は、1対1の環境で注意を促すなど、ある程度配慮する必要があります。

特定技能制度でインドネシア人を採用するメリットとデメリット

次に、特定技能制度でインドネシア人を採用するメリットとデメリットについて見ていきましょう。

メリット

まずはメリットからご紹介していきます。

メリット①:若手人材が豊富にいる

まずメリットとして挙げられるのは、若手人材が豊富にいるという点です。

総務省統計局が公表している「世界の統計2021」を見てみると、インドネシアの平均年齢は29.7歳と非常に若いことが分かります。

そのため日本では不足しがちな若手人材の供給源として、有力な国と言えるでしょう。

メリット②:助け合いの精神が強い

インドネシアは多民族・多宗教国家であるにもかかわらず、お互いの価値観を尊重し、助け合うという精神が根付いています。

そのため仕事においても、誰かが困っていたら見て見ぬふりをせずに、率先して協力してくれるでしょう。

メリット③:採用に係る費用を抑えやすい

インドネシア人を特定技能制度で採用する場合、ベトナムなどの国と異なり、送り出し機関を経由する必要がありません。

そのため送り出し機関への手数料などを削減でき、その分採用に係る費用を抑えることができます。 

デメリット

続いてデメリットについて見ていきたいと思います。

デメリット①:宗教への配慮が必要

インドネシアは多宗教国家ですが、中でもイスラム教が大半を占めます。

イスラム教は毎日5回のお祈りがあったり(先に記載した通り、人によっては、多少緩和されつつありますが)、断食期間があったり、豚肉やアルコールの飲食が禁止されていたりと、様々な規則が存在します。 

そのため採用側の企業も、宗教上の規則に対する配慮をする必要があるのです。

デメリット②:ゴム時間

インドネシアには「ジャムカレット/ゴム時間」という言葉があります。

インドネシア人にとって時間はゴムのように伸び縮みするもので、例えば13時と言えば13:00~13:59のことを指すという風に、時間に対する認識が幅広いのです。

そのため業務の期限や納期を守るためには、余裕を持たせたスケジュールを組むなどの工夫が必要と言えます。

特定技能制度でインドネシア人を採用するルート

ここからは特定技能制度でインドネシア人を採用するルートについて、お話していきます。「インドネシアから来日してもらうルート」と「既に日本に在住しているインドネシア人を雇用するルート」では手続き・流れが若干異なりますので、ご注意ください。

インドネシア人を特定技能として採用する際の手続きの流れ
採用ルート別の手続きの流れ

参考としまして、こちらの出入国在留管理庁のHPにも詳しく記載がありますので、あわせてご覧くださいませ。

インドネシアから来日してもらうルート

まずは海外在住のインドネシア人に来日してもらうルートから見ていきましょう。

ステップ①:IPKOLに登録・求人申し込み

まずはインドネシア政府が管理する労働市場情報システムIPKOLに登録し、求人申し込みを実施します。

ステップ②:雇用契約の締結

その後IPKOLを通じて応募してきたインドネシア人と面接などを実施し、双方問題なければ雇用契約を締結する流れとなります。

なおここで対象となるインドネシア人は、技能実習2号または3号を良好で修了した後に帰国した者、もしくは現地で特定技能評価試験に合格した者です。 

ステップ③:在留資格認定証明書交付申請

続いて在留資格認定証明書交付申請を実施し、交付された後は当該インドネシア人に送付します。

ステップ④:SISKOTKLNへの登録

その後当該インドネシア人側が、インドネシア政府が管理する海外労働者管理システムSISKOTKLNに登録を実施し、移住労働者証を発行してもらう形になります。

ステップ⑤:ビザ申請

次に在留資格認定証明書と移住労働者証を合わせて、当該インドネシア人が在インドネシア日本大使館にて、ビザ申請を実施します。

ステップ⑥:来日・就業開始

無事ビザが発給されれば、来日・就業開始となります。 

既に日本にいるインドネシア人を採用するルート

続いて、既に日本に在留しているインドネシア人を採用するルートについて確認していきます。

ステップ①:雇用契約の締結

技能実習2号または3号を良好に修了、もしくは国内で特定技能評価試験に合格したインドネシア人を対象に採用活動を実施し、双方に問題がなければ雇用契約を締結する形になります。

ステップ②:SISKOTKLNへの登録

その後当該インドネシア人側で、SISKOTKLNへの登録を実施し、移住労働者証を発行してもらいます。

ステップ③:海外労働者登録手続き・推薦状の発行

移住労働者証が発行された後、駐日インドネシア大使館に対して、当該インドネシア人側から海外労働者登録手続きを実施し、推薦状を発行してもらう必要があります。

ステップ④:在留資格変更許可申請

移住労働者証と推薦状が用意できたら、当該インドネシア人側で地方出入国在留管理庁へ在留資格の変更許可申請を実施します。

ステップ⑤:就労開始

在留資格の変更許可申請が通れば、無事就業開始となります。

特定技能制度でインドネシア人を採用する場合の注意点

特定技能制度でインドネシア人を採用するルートを確認いただいたところで、改めて採用する場合の注意点をまとめておきましょう。

IPKOLへの登録が必要

インドネシアから来日してもらうルートの場合、受け入れ企業はまずインドネシア政府が管理するIPKOLに登録する必要があります。

IPKOLへの登録自体は無料且つオンラインで行うことができますが、入力方法が英語もしくはインドネシア語となっているので注意してください。

インドネシア人にSISKOTKINへ登録してもらう必要がある

また、インドネシア人にSISKOTKINへ登録してもらう必要があるという点も押さえておきましょう。

SISKOTKLNへの登録については、インドネシアから来日してもらう場合でも、既に日本に在留している場合でも対応してもらう必要があります。

受け入れ企業側が直接対応するわけではありませんが、留意しておくべきでしょう。 

その他の注意点

インドネシア人を採用する場合、上記の通りIPKOLを通じて求人募集していくことになります。

そのため送り出し機関を経由する必要がないのです。

ただし送り出し機関を経由しない分、日本語やマナーといった教育は受け入れ企業側で手厚めに行う必要が出てくるので、その点は注意しておきましょう。

特定技能制度でインドネシア人を採用する場合の費用

最後に、特定技能制度でインドネシア人を採用する場合の費用について、確認していきましょう。

外国人本人に支払う費用

外国人本人に支払う費用としては、大きく以下の3つが挙げられます。 

日本への渡航費

渡航費に関しては、技能実習制度などとは異なり、特段受け入れ企業側で負担する義務などはございません。

ただし、求人募集をしやすくするなどの観点から、受け入れ企業側で渡航費を負担するケースもあります。その際には、インドネシアから日本への渡航費としては3〜6万円程度かかるでしょう。

給与

特定技能雇用契約において設定した給与を支払う必要があります。

受け入れ企業や業種によりますが、一般的に20〜30万円程度と言うケースが多いでしょう。

健康診断費用

健康診断の受診費用も、受け入れ企業が負担するケースが多いです。

その場合は1〜2万円程度の費用が発生します。

住居の準備費用‍

国外から呼び寄せる場合、物理的に入国後の住居を外国人本人で準備することができません。

このように、受け入れ企業が住居を手配する場合、受け入れ企業が住居契約に係る初期費用一式を負担する形となります。

入管申請に係る費用

入管申請に必要な書類作成を外部の行政書士や登録支援機関などに委託する場合、費用として10〜20万円程度掛かってくる形になります。

登録支援機関への外部委託費用

インドネシア人に対する各種支援を登録支援機関へ委託する場合、2〜3万円程度の委託費用が掛かります。

こちらの費用は一人当たり2〜3万円、毎月発生してくる金額となりますので、注意しましょう。

人材紹介会社に支払う手数料

国内在住のインドネシア人を採用する場合、人材紹介会社を活用するケースも多くなるでしょう。

その場合紹介手数料として、一人当たり10〜20万円を支払う必要があります。

トータルの費用イメージ

最後にここまでご紹介してきた費用を合算して、トータルの費用イメージを確認しておきましょう。

 【前提条件】

  • 人材エージェントを活用し、インドネシアから呼び寄せ
  • 月収20万円 賞与2か月
  • 登録支援機関に支援を委託
  • 行政書士に入管申請書類の作成を委託

【年間トータルの費用イメージ(初年度)】

  • 人材紹介手数料:10〜20万円
  • 健康診断受診費:1~2万円
  • 入管申請委託費:10~20万円
  • 住居の準備費用:契約物件により大きく変動
  • 渡航費:3~6万円
  • 登録支援機関への委託費(2~3万円/月):24~36万円
  • トータル費用:48~84万円+住居の初期費用

もちろん、すでに日本国内に在住しているインドネシア人を雇用する場合は、渡航費用や健康診断費用は発生しません。

また、住居に関しても、本人が自身で契約する形や元々会社の近隣に住まわれている方を雇用する場合は発生してきません。

特定技能外国人の受け入れ費用に関しては、「【特定技能外国人の受け入れ費用まとめ】費用相場もあわせて紹介」にて、より詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

まとめ

今回はインドネシア人の特徴や特定技能で採用した場合のメリット、採用のルートなどをまとめて解説してきましたが、いかがでしたか。

本文中でも触れましたがインドネシアは送り出し機関を経由する必要がないため、ベトナム人などを受け入れる場合よりも費用を抑えやすいというメリットがあります。

特定技能での外国人の受け入れを検討されている場合は、是非インドネシア人も検討してみてください。

また当社は登録支援機関として活動しており、インドネシア人含めた特定技能外国人の紹介や、支援活動の代行などに対応させていただいております。(インドネシア人の正社員も所属しているため、きめ細かいサポートも可能です。)

特定技能制度を利用したインドネシア人の採用をご検討されている方は、ぜひこちらのお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

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監修者
編集
中村 大介
1985年兵庫県神戸市生まれ。2008年に近畿大学卒業後、フランチャイズ支援および経営コンサルティングを行う一部上場企業に入社し、新規事業開発に従事。2015年、スタートアップを共同創業。取締役として外国人労働者の求人サービスを複数立上げやシステム開発を主導。海外の学校や送り出し機関との太いパイプを活用し、ベトナム、インドネシア、タイ、ミャンマー、バングラデシュの人材、累計3000名以上の採用に携わり99.5%の達成率にて、クライアント企業の事業計画の推進に成功。このノウハウを活かし、パフォーマンスを倍加させた新しいシステムを活用し、国内在住の外国人材の就職の課題を解決すべく2021年に株式会社ジンザイベースを創業。趣味はキャンプとゴルフ。
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