日本で働くインドネシア人の性格や価値観を理解することは、外国人雇用において非常に重要です。彼らの文化的背景や宗教的な信条が、仕事のスタイルや人間関係にどのように影響するのかを知ることで、より良いコミュニケーションが可能になります。ここでは、インドネシアの基本情報と文化、彼らの性格の特徴、給与事情、さらには日本での労働観について詳しく紹介します。
なお、YouTubeでは、弊社のインドネシア人社員から、こちらの記事の内容を紹介していますので、併せてご覧ください。
インドネシアの基本情報と文化
インドネシア人の特徴に入る前に、インドネシアという国の基本情報をおさえていきましょう。

インドネシアの地理と人口
インドネシアは、13,000以上の島々から成り立つ世界有数の島国であり、面積は、約192万㎢で日本の約5倍です!人口はなんと2.7億人、中国、インド、アメリカに次いで世界第4位の人口を擁しています。人口の増加はまだまだ続くと予想されており、3億人までは到達するだろうといわれています。インドネシアと聞いて多くの人がバリ島をイメージすると思いますが、首都はジャカルタ、平均年齢は29歳と非常に若くエネルギーに満ち溢れいている国です。多様な文化や言語が共存している背景には、豊かな地理的特性が影響しています。特に、各地域で異なる生活様式や信仰が見られるのが特徴です。
公用語はインドネシア語
インドネシアの公用語はインドネシア語です。インドネシア語は、1928年に公用語として定められたもので、全国で広く使用されています。国内には500以上の民族と言語が共存していますが、インドネシア語は国民の共通語としての役割を果たし、教育やビジネスの場でも重要な位置を占めています。
また、基本的に英語で教育を受けているので大学まで進学した方々は基本的に流暢に英語を話せます。それ以外の方々は日常会話レベルの簡単な英語であれば通じるケースもあります。
宗教と多様な文化
インドネシアは宗教と文化が豊かに交じり合った国です。多宗教国家であり、イスラム教が大多数を占める一方で、キリスト教やヒンドゥー教、仏教などが共存しています。出身地に応じて、信仰している宗教は異なるケースや、同じ宗教でも、地域や年齢に応じて信仰度合いや礼拝の頻度などに若干違いがありますので、注意が必要です。データとしては、86%以上がイスラム教徒ですが、バリ出身の方は、ヒンズー教徒が多いようです。
この多様性は、日常生活やビジネスの場面でも重要な要素となっており、お互いの信仰を尊重する文化が根付いています。
毎日礼拝している?
前述のとおり、インドネシア人の86%以上がイスラム教徒です。イスラム教では1日5回決められた時間に礼拝しなければなりません。
では、実際に日本にいるインドネシア人は、1日5回礼拝をしているのでしょうか?この点、5回きめられた時間に行うのが基本ですが、中には、仕事の1回の休憩で5回分礼拝するという人もいるようです。
弊社が支援しているイスラム教のインドネシアの方にもインタビューしましたが、仕事中にはお祈りをせず、仕事が終わってからまとめお祈りするとのことでした。
このように基本的に仕事をするときにお祈りしませんが、インドネシア人を雇用する際には、礼拝の回数と時間について、あらかじめ面接で確認しておいた方が良いかもしれません。
断食はある?
5月から6月の1ヶ月間、朝5時に朝食を食べてから、夜6時か7時まで何も飲み食いしない、そういう期間があるようです。 ただ全く何も食べない訳ではありません。
この期間はラマダーンと呼ばれ、イスラム教徒にとって非常に重要な意味を持つ時期です。 この断食の目的は、自己研鑽や精神的な清め、貧しい人々への理解を深めるためとされています。 そのため、断食中は食事だけでなく、飲み物も控えることが求められます。
また、ラマダーンの期間中は、会社や職場でもこの習慣を尊重されることが一般的ですので、日本で働くインドネシア人も、コミュニティのサポートによってこの断食を実践し、一緒に礼拝する機会を持ったりします。
NGな食事は?調理はOK?
イスラム教徒は、特に食事に関してのルールが厳格です。
お酒と豚肉は絶対に避けなければなりませんが、ヒンズー教徒の場合は、牛肉も禁止されているため、宗教ごとに食事の制限が異なります。
とはいえ、禁じられている食材を扱うこと自体は許容されており、調理や食材の購入を行うことが制限されるわけではありません。
したがって、インドネシア出身の方々を雇用する際には、宗教的な制約を考慮しつつ、調理環境を工夫すれば、問題なく働けるでしょう。このように、インドネシア人と働く際には、彼らの宗教上のしきたりを尊重することが大切です。お互いに理解し合うことで、良好な職場環境を築くことができます。
インドネシア人の性格・特徴

では、インドネシア人の性格や特徴を紹介していきましょう。前提として、インドネシア人の性格や特徴は、その人によって異なり、一概には言えません。弊社のインドネシア人社員から聞き取った情報をもとに紹介していきます。
楽天的で寛容である
インドネシア人は一般的に楽天的で寛容な性格を特徴としています。困難な状況においても、ポジティブな思考を持ち続け、人との関係を大切にすることが重視されます。彼らは周囲の人々に対して開かれた心を持ち、柔軟に対応することで、より良いコミュニケーションを築くことができます。この特性は、日常生活や仕事においても役立つ要素となっています。
仕事とプライベートの境界を区切らない
インドネシア人は、仕事とプライベートの境界をあまり厳格に区切らない傾向があります。彼らは、コミュニティ意識が強く、業務上のつながりが深まることが多いのが特徴です。個々のプライベートな時間を尊重し、仕事の合間にもリラックスできる環境を重視するため、職場は和やかな雰囲気が保たれやすいです。
助け合いを大切にする
インドネシアの文化には、助け合いを大切にする風習が根付いています。コミュニティ意識が強く、仲間や家族を支え合うことが美徳とされています。この助け合いの精神は、職場においても重要な要素であり、チームワークを促進し、良好な人間関係を築く基盤となります。インドネシア人と共に働く際には、この文化を理解し、尊重することが大切です。
断り慣れていない
インドネシア人は相手との関係性を大切にする傾向が強く、頼まれごとを断ることに慣れていません。
たとえ難しい依頼であっても、「できません」とは言いにくく、つい笑顔で「大丈夫です」「わかりました」と返答してしまうことがあります。
これは相手の気分を害さないようにという配慮から来るもので、悪意はありません。
しかし、業務においては誤解やミスにつながるリスクもあるため、内容の理解度や進捗状況を丁寧に確認しながら進めることが大切です。
時間に対してややルーズである
インドネシアでは「ジャム・カレット(ゴムの時間)」という言葉があるように、時間に対して柔軟な考え方が浸透しています。
交通渋滞や天候などを理由に予定がずれるのは日常茶飯事で、遅刻や納期遅れに対しても寛容な傾向があります。
全員がそうとは限りませんが、日本のように時間厳守が当たり前の感覚ではありません。
スケジュールにはある程度の余裕をもたせ、こまめなリマインドや確認を行うことが円滑な関係構築につながります。
インドネシア人と働く際の注意点
インドネシア人は日本と異なる文化を持っており、一緒に働く際には気をつけるべき点があります。
理解しておかないとトラブルになる可能性もあるので、順番に確認していきましょう。
頭を触らない
インドネシアでは、頭は「魂が宿る神聖な場所」と考えられており、他人に触れられることに強い抵抗を示す文化があります。
たとえ親しみやねぎらいの気持ちであっても、無断で頭を撫でたり、おでこに手を当てたりする行為は、無礼と受け取られる可能性があるため注意が必要です。
子どもに対しても同様で、無意識のスキンシップが相手に不快感を与えることもあります。
職場では、頭に触れる必要がある場合は事前に確認をとるよう心がけましょう。
左手で握手や料理の受け渡しをしない
インドネシアではイスラム教の影響が強く、左手は「不浄の手」とされる文化的な考え方があります。
そのため、握手や食べ物・物の受け渡しを左手で行うのは失礼にあたると感じる人が多いです。
ビジネスの場でも、初対面のあいさつや書類の手渡しは必ず右手で行いましょう。
万が一右手がふさがっている場合は、右手を軽く添えたり、「左手ですみません」と一言添えるだけでも相手への配慮が伝わります。
人前で怒らない
インドネシア人は温和で協調性を重んじる文化で育っており、人前で怒られることに慣れていない傾向があります。
幼少期から公の場で叱責される機会が少なく、大勢の前で注意を受けることに強いストレスを感じやすいのが特徴です。
そのため、仕事で注意を促す必要がある場合は、他の人がいない場所で1対1で冷静に伝えることが大切です。
感情的にならず、なぜ注意が必要なのかを丁寧に説明することで、信頼関係を保ちながらコミュニケーションを取れます。
インドネシアの平均年収はいくら?
それでは、気になるインドネシアにおけるお給料事情について、ざっくりと見ていきましょう。

インドネシアの平均給与水準は、日本と比較するとかなり低いですが、地域によって差があります。特にジャカルタなどの大都市では、生活費も高いため、相対的に給与も高く設定されています。
インドネシアの平均年収・月給
インドネシアの給与水準をご紹介していきます。
地域によって異なりますが、大卒の場合、平均月収4万1,000円、高卒だと2万4,000円からが相場のようです。ただ物価の上昇に伴い給与水準も上昇しているみたいです。
インドネシアでは地域差が大きく、特にジャカルタなどの都市部では給与が高めに設定されています。地方に行くと最低賃金が適用されることが一般的で、予想以上に低い給与水準となることもあります。
平均月収と平均年収のデータをまとめますと以下のようになります。
インドネシアの給与体系
インドネシアの給与体系は、日本と同じように、会社の在籍期間に応じて昇給していき、さらに成果に応じてプラスアルファで昇給するという給与体系になっているところが多いようです。
このような制度、特に年功序列型の給与制度を採用している企業様に関しては、ある程度理解を得られる可能性が高いでしょう。
ただ、いずれにおいても、自社の評価基準や給与体系については、しっかりと面接時・入社時に説明しておいた方が後々のトラブルを防げますので、しっかりと説明しておきましょう。
インドネシア人から見た日本での仕事
インドネシア人が日本での仕事に対して抱く印象は、高収入や治安の良さ、労働環境の整備といったポジティブな要素が多く見受けられます。特に、日本の安定した経済や安全な社会は、インドネシアからの労働者にとって魅力的なポイントとなっており、これが彼らの日本で働く意欲を高めています。
インドネシア人が日本に住み続ける理由を弊社インドネシア社員に聞いてみたので、気になる方はぜひご覧ください。
高収入で治安が良い
インドネシア人から見た日本での仕事の魅力の一つは、高収入と治安の良さです。日本は安定した経済を誇り、働く環境も整備されています。また、特に女性にとって夜道を一人で歩けるほど日本では治安が良いため、安心して生活できることがインドネシア人にとって大きなポイントとなっています。このような要素が、インドネシアから日本への就業を希望する人々の意欲を高めています。
労働環境が良い
日本の労働環境は、インドネシア人労働者にとって魅力的な要素が多く含まれています。労働時間の管理がしっかりしており、休暇制度も充実しています。また、職場の安全や衛生面に配慮がされているため、安心して働ける環境が整っています。このような労働環境の良さは、インドネシア人が日本で働く際の大きな利点といえるでしょう。
日本文化と生活環境に魅力を感じる
日本の文化と生活環境は、インドネシア人にとって新たな体験を提供します。日本の礼儀正しさや勤勉さ、四季折々の自然の美しさは、インドネシアの文化とは異なる魅力を持っています。また、公共交通機関の便利さや、食文化の豊かさも大きな特徴です。
弊社でも日本で働くインドネシア人へインタビューしたところ、日本に来て一番嬉しかったことは?の質問に対し、日本は四季があり、特に冬が好きで、雪を見ることができたことが嬉しいと答えていただきました。
これらの要素が、日本での生活をより快適で充実したものにしています。
終わりに
当社は、インドネシア人を含めた特定技能外国人の紹介や支援活動の代行などに対応させていただいております(インドネシア人の正社員も所属しているため、母国語でのサポートも可能です。)。
特定技能制度を活用したインドネシア人の採用をご検討されている方は、ぜひこちらのお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
