特定技能制度におけるタイ人の割合
初めに特定技能制度を利用して日本で働いている外国人労働者のうち、タイ人の割合について確認しておきたいと思います。
以下の表を見てください。
この表は出入国在留管理庁が公表している、2022年3月末時点の特定技能外国人の人数を示したものです。
2022年3月末時点で全ての特定技能外国人数が64,730人いるのに対し、タイ人は1,339人となっています。
割合としては全体の2.06%程度となっており、人数の多さで言えば6番目となっています。
採用の前に知っておきたいタイ人の特徴
次に採用の前に知っておきたいタイ人の特徴について、確認しておきましょう。
タイ人の特徴①:マイペンライの精神
タイ人が良く使う言葉に「マイペンライ」という言葉があります。
マイペンライには
- 大丈夫
- 何とかなるよ
- 気にしない
といった意味が含まれています。
この言葉から読み取れる通り、ポジティブで小さなことは気にしない特徴がタイ人にはあるのです。
タイ人の特徴②:学習意欲が高い
タイは学歴を重視する社会であるため、全体として学習意欲が高いという特徴があります。
そのため親も教育熱心であり、子供に対して質の高い教育を施し、高学歴となってくれるように考えているのです。
2005~2010年にかけてのタイにおける15歳~24歳の識字率は98%となっていることからも、学習意欲が高いことがわかります。
タイ人の特徴③:自己犠牲精神
タイ人は仏教を信仰する人が多く、人を助けるということを大切にしています。
目の前で困っている人がいれば手を指し述べることは勿論、自身の財産を寄付することも日常的に行われているのです。
これには自らを犠牲にしてでも他者を助けることで、徳を積むことができるという仏教の考えが根底にあると言えるでしょう。
特定技能制度でタイ人を採用するメリットとデメリット
続いて特定技能制度においてタイ人を採用するメリットとデメリットについて、お話していきます。
メリット
まずはメリットからご紹介します。
メリット①:職場がポジティブになる
一つ目のメリットとしては、職場がポジティブになるという点が挙げられます。
先の特徴でお話した通り、タイ人には「マイペンライ」という言葉が根付き、その精神が浸透しているため、物事をポジティブに捉えています。
マイペンライの精神を持つタイ人が職場にいることで、職場全体がポジティブになることは間違いないでしょう。
メリット②:仕事で誰かが困っていれば助けてくれる
仕事で誰かが困っていれば助けてくれる、という点もメリットと言えます。
仏教徒であるタイ人の多くは人助けを重要視しているため、職場において同僚が困っていれば、損得勘定を抜きに助けてくれるのです。
メリット③:高学歴者が多い
また学歴社会の中で育ってきたタイ人は、他のアジア諸国と比べて高学歴者が多い傾向にあります。
高学歴ということは頭も良く、それだけ素地がしっかりとしているため、育成の仕方によって優秀な人材へと育つ可能性が高いのです。
デメリット
デメリットについても併せて確認しておきましょう。
デメリット①:マイペース
多くのアジア諸国の民族に見られるマイペースな傾向は、タイ人にも当然見られます。
そのため仮に問題が発生しても、慌てるどころか、自分のペースで対応しがちです。
時間に関してもルーズな人が多いため、時間管理などには注意が必要でしょう。
デメリット②:人前で怒られる事に慣れていない
タイでは人前で誰かに対して怒る行為は恥ずかしいものと考えられています。
そのため日常生活において、人前で怒ることは勿論、怒られることに慣れていません。
日本では仕事のミスをした部下に対して、同僚がいる前で怒ったり注意したりすることが当たり前のように行われていますが、タイ人に対してそういった対応をしてしまうと、信用を失う恐れがあるでしょう。
特定技能制度でタイ人を採用するルート
ここからは特定技能制度においてタイ人を採用するルートについて、確認していきます。
なお、特定技能制度の基本的な概要について知りたいという方は、以下の記事をご覧ください。
▶︎特定技能とは?制度の概要から採用の流れまで基本を徹底解説
タイから来日してもらうルート
まずはタイから来日してもらうルートについて見ていきましょう。
ステップ①:求人・採用活動
まずは求人を出し、採用活動を実施します。
特定技能制度においてタイ人を採用する場合、受け入れ企業は送り出し機関を利用せずに、直接採用活動を行うことが可能となっています。
ただし日本企業がタイ現地に赴き、直接求人を出すという行為はタイの法律上禁止となっているので注意しましょう。
ステップ②:雇用契約の締結
求人・採用活動を経て、特定技能外国人として受け入れるタイ人が決まれば、雇用契約の締結に進みます。
送り出し機関を利用しない場合、直接当該タイ人と雇用契約を締結することになるでしょう。
ステップ③:在留資格認定証明書の交付申請
続いて受け入れ企業側で、在留資格認定証明書の交付申請を実施します。
必要書類を揃えた上で、管轄の出入国在留管理庁まで申請しましょう。
在留資格認定証明書については、こちらの出入国在留管理庁のページも併せてご参照ください。
在留資格認定証明書が交付された後は、当該タイ人まで送付します。
ステップ④:雇用契約書の認証
次に受け入れ企業は、駐日タイ王国大使館労働担当官事務所に対して雇用契約書を提出し、認証を受ける必要があります。
ステップ⑤:査証発給申請
続いて当該タイ人が在留資格認定証明書とその他の書類を準備した上で、在タイ日本国公館にて、査証発給申請を行うことになります。
ステップ⑥:海外労働・出国許可申請
査証発給申請後、当該タイ人側でタイ王国労働省に対して、認証を受けた雇用契約書などを提出し、出国許可の申請を実施します。
ステップ⑦:入国・就業開始
出国許可が降りれば、日本での上陸審査を経て、特定技能の在留資格が付与されます。
その後就業開始となります。
既に日本にいるタイ人を採用するルート
続いて既に日本に在留しているタイ人を採用するルートについて見ていきましょう。
ステップ①:雇用契約の締結
求人や採用活動を経て、受け入れるタイ人が決まれば、雇用契約の締結を実施します。
ステップ②:雇用契約書の認証
次に雇用契約書を駐日タイ王国大使館労働担当官事務所に提出し、認証を受ける必要があります。
ステップ③:在留資格変更許可申請の実施
最後に在留資格変更許可申請を実施し、当該タイ人が現在保有している在留資格から「特定技能」の在留資格へと変更することになります。
在留資格変更許可申請については、こちらの出入国在留管理庁のページもご参照ください。
特定技能制度でタイ人を採用する場合の注意点
タイ人を採用するルートを確認いただいたところで、改めて採用に際して注意すべき点を確認しておきましょう。
雇用契約書の認証
特定技能制度においてタイ人を採用する場合、必ず雇用契約書の認証を受けなければなりません。
タイから呼び寄せるケース、既に日本に在留しているタイ人を採用するケースともに必要である手続きであるため、忘れないように注意しましょう。
認証された雇用契約書は、駐日タイ王国大使館労働担当官事務所の認証印が押される形になります。
海外労働・出国許可申請
もう一つの注意点が海外労働・出国許可申請です。
タイから呼び寄せるケースにおいて必要となる手続きであり、この申請を実施しなければ受け入れ予定のタイ人がタイを出国することができません。
手続き自体はタイ人側で実施することになりますが、受け入れ企業側もこの手続きが必要であることを認識しておきましょう。
特定技能制度でタイ人を採用する場合の費用
最後に特定技能制度でタイ人を採用する場合に掛かる費用について確認しておきましょう。
送り出し機関への手数料
タイの送り出し機関を利用して特定技能外国人を採用した場合、手数料を支払う必要があります。
この手数料はどの送り出し機関にするかは勿論、交渉次第でかなり差があり、10万円程度で済むケースもあれば、50~60万円掛かるケースもあるようです。
外国人本人に支払う費用
外国人本人に支払う費用としては、主に以下の3つが挙げられます。
日本への渡航費
タイから日本への渡航費として4〜8,5万円ほど掛かることになるでしょう。
給与
特定技能雇用契約において設定した給与を支払う必要があります。
相場は受け入れ企業や業種によって多少の違いはあるものの、多くの場合20~30万円程度でしょう。
健康診断費用
健康診断を受診してもらう際の費用も、受け入れ企業が負担するケースが多くなります。
その場合は1~2万円程度の費用が発生することになるのです。
入管申請に係る費用
在留資格認定証明書などの申請に必要な書類作成を、行政書士などに外部委託する場合、その委託費用も別途掛かることになります。
申請書類の作成を委託した場合の費用相場は10~20万円程度となっています。
登録支援機関への外部委託費用
1号特定技能外国人に対しては各種支援が必要です。
その支援業務を登録支援機関へ委託する場合、委託費用として2~3万円(月/一人当たり)程度掛かることになるでしょう。
人材紹介会社に支払う手数料
国内に在留しているタイ人を採用する場合、人材紹介会社を利用することもあるでしょう。
その場合の紹介手数料は、採用するタイ人の年収の35%前後もしくは1名あたり10〜30万円が相場です。
トータルの費用イメージ
最後に上記の費用を踏まえつつ、採用に掛かる全体費用のイメージについて、確認しておきましょう。
【前提条件】
- タイの送り出し機関を経由し、来日してもらう
- 登録支援機関に支援を委託
- 行政書士に入管申請書類の作成を委託
【トータルの費用イメージ】
- 送り出し機関への手数料:10~60万円
- 入管申請委託費:10~20万円
- 健康診断受診費:1~2万円
- 渡航費:4~8.5万円
- 登録支援機関への委託費(一人あたり2~3万円/月):24~36万円
- トータル費用:49~126.5万円
特定技能外国人の受け入れ費用については、以下の記事でも詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
▶︎【特定技能外国人の受け入れ費用まとめ】費用相場もあわせて紹介
まとめ
今回は特定技能制度においてタイ人を採用するケースについて解説してきましたが、いかがでしたか。
当社はタイ人を含めた特定技能外国人の人材紹介サービスを展開しています。
また人材紹介サービスだけでなく、登録支援機関としても活動しているため、人材の紹介から就業後の支援まで一貫してサポートさせていただいておりますので、少しでもご興味あればお気軽にお問い合わせください。